伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年10月7日(水) 14:00~14:14 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1214特別会議室)
発言要旨
今月22日、徳島県において新未来創造戦略本部開設記念シンポジウムを開催いたします。本シンポジウムでは「コロナ時代の消費者の脆弱性」をメインテーマに、行動経済学、心理学等各分野の専門家をお招きし、パネルディスカッションを行います。私自身も参加し、今後の消費者行政に資する有益な議論を行ってまいりたいと考えております。なお、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、一般の来場者の募集は行いませんが、オンラインで視聴できるよう中継を行う予定ですので、是非多くの方にご覧いただければと思っております。詳細は新未来創造戦略本部にお尋ねいただければと思います。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
昨日から、持続化給付金についての不正受給報道とか経済産業大臣の発言が相次いでいますが、実際に不正受給したと思われる人などからの相談状況や、消費者庁が把握している状況について教えていただけないでしょうか。 -
答
全国の消費生活センターに寄せられている新型コロナに関する相談のうち、持続化給付金に関するものは少なくとも700件ございます。そのうち、受給要件を満たしていないのに受給してしまったという相談については、数字は正確には把握しておりませんが、一定程度寄せられております。持続化給付金を申請するから山分けしようと言われ、免許証や銀行口座を送信したけど、これは不正受給になるのだろうかといったり、動画、SNSで知り合った人に簡単に50万稼げると持ちかけられ、申請したが、不正受給と知ったので対処方法を知りたいとか、返金したいけどどうしたらいいかとか、このようなことが若い人を中心に相談を頂いている状況です。
これに対しては、消費者庁としては、経産省からの御依頼もあり、昨日、都道府県、政令指定都市を通じて、全国の消費生活センターに対して、返還希望者からの相談をされた場合には持続化給付金コールセンターへ紹介するように依頼をしたところです。これも昨日、梶山経済産業大臣から呼び掛けがあったとおりですが、持続化給付金の受給要件を満たさないのに給付を受けた場合は、当然速やかに御返還をいただく必要がございます。是非覚えのある方は持続化給付金コールセンターへ御相談をいただきたいと思います。
なお、持続化給付金の事務局を装った、個人情報を詐取するような詐欺などについては十分お気を付けいただきたいと思いますし、また、持続化給付金の申請代行をうたう事業者に渡してしまった個人情報が悪用されるということを御心配される方もいらっしゃると思いますが、この場合は信用情報機関の本人申告制度を利用するといったことも考えられますので、こうしたことについても併せて情報提供をしたいと思います。 - 問 今日、LINEなどでも消費者庁から発信をされていたと認識はしているのですが、厳密に言えば中小企業庁が対応することだとは思うのですが、後半におっしゃっていた、いわゆる二次被害だったり情報の悪用というところでいうと、消費者トラブルの懸念もあるかなと思うのですが、改めて消費者庁として一般の方に呼び掛けたいことがあれば教えていただけないでしょうか。
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答
誤って、あるいはそういう受給資格がないにもかかわらず、給付金を受け取った、あるいは受け取る手続中であるような方に対しては、一刻も早く返還していただく必要があると、まず強く申し上げたいと思います。
その上で、再度申し上げますと、持続化給付金事務局を装って、こういう形で返せるといった形での詐欺ということも考えられますので、こういった個人情報を取られないように。また手続についても、給付金事務局から言われた手続にのっとってやっていただく必要がありますので、そこを十分御注意いただければということが1点目です。二点目は、そういった給付金の申請代行をうたう事業者に、誤って自分の情報を渡してしまったという場合があろうかと思いますが、その悪用性が心配される場合は、信用情報機関の本人申告制度などによって二次被害の防止をやっていただければと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
冒頭発言の徳島の戦略本部との関連ですが、国民生活センターが先週発表されました、越境消費者トラブルの一つとして、格安電機、家電とか、家具の模倣サイト。これ、トラブルに遭わないためのチェックポイントを出されましたけれども、ただ事業者の所在が海外であることから、一旦契約したらなかなか解決、救済が難しいと。それでお聞きしたいのは、こういうトラブルの解決についてCCJが担うようになる、要するに解決ですね、来年度予算ではそういうふうな解決までいくということになっております。
もう一つが、徳島の戦略本部に設置された、国際消費者政策研究センター、ここは国際法の比較とかなんかっていう研究もやると書いてありましたが、こういう越境消費者トラブルについての解決に向けての研究をするのかどうか、こういうところの範囲をお聞きしたいと思っております。 -
答
まずCCJについては、まだ、これはもちろん協定を結んだ上でやっていくということになります。ただ、まだ体制が十分ではないということもございますので、これについての所要の予算については、来年度の予算要求の中でやらせていただいているところです。非常に大きいところですと、例えば中国などが、まず協定が結べておりませんので、この間、日中韓の会議に私どもの高田次長が行ったときにも、韓国と日本と両方で中国に対してそういった話もしたところでありますが、引き続きこういった取組についてもしていく必要があろうかと思っております。
二点目の徳島の件については、今のその政策研究の範囲、どこまでというふうに決めているわけではないので、できるだけ幅広くはしたいとは思っていますが、今の御指摘の話というのは、研究するというよりは、むしろ実務的に当局同士でやっていくということのような気がしますので、消費者被害の防止に当たって国際的な連携がどうできるかといったことについては、当然その政策研究センターの範囲だと思いますが、今頂いたような個別具体な話においては、個々の執行当局、相互に連携をしていくということがまず大事ではないかと思っております。 -
問
共同通信の国枝です。
先日、消費者行政ウォッチねっとで、消費者庁に対する評価が出されたと思いますが、販売預託の方針転換などで評価される一方で、やっぱり幾つか課題が出されていたと思います。前年に比べて3点評価が上がっているとは思うのですが、長官としてこの数字をどう受け止めているかお聞きしたいです。 -
答
まず、ウォッチねっとのような形で、外から私どもがどういうふうに見えるかということを併走して御評価いただける機会があるというのは大変有り難いことだと思ってはおります。
一方で、私どもの中ではこういうことなのに外からこう見えるのかとか、逆もございまして、それは私どもの方の十分な説明ができていない部分もあるのかなと。ここは本当は頑張っているのに、ちょっと評価が低いなというようなところも実はあったりして、そこはいろいろな点で反省をさせられる部分があったかなと思います。
昨年よりとか、個別の点数そのものについては、私の方で高いとか低いとか申し上げるところではないと思いますけれども、中身をしっかり受け止めて、必要なことについてきちんとやっていきたいと思います。また一方で、私どもの方が十分な情報発信ができていない部分については、これも意を用いていきたいと思っております。 -
問
毎日新聞の林です。
9月7日に八王子市の幼稚園で、ぶどうを食べた男の子が亡くなるという窒息事故がありましたが、そういう食べ物が原因の事故というのはちょいちょい起きているかと思うのですが、消費者庁さんの方でも昨年に注意喚起を大きく出されていて、あのぶどうの事故の後もTwitterとかやられていると思うのですけれども、今回は施設での事故でしたが、家庭にまでなかなかそういう情報って届いていないのかなと思うところなのですが、改めて何か実態調査されるとか、注意喚起の方法を何かまた新しく考えられるとかいうことがあれば教えてください。 -
答
子供のそういった、ぶどうだったり、あるいはミニトマトとか、ああいう大きさのものが丸飲みされることで窒息をされるという事故、大変痛ましい事案だったと思います。
私どもの方も情報提供しているところですけれども、これはむしろ皆様方へのお願いでございますが、なかなか我々のTwitterとかだけでは、常に消費者行政に御興味を持っている方以外にはなかなか十分伝わらない部分もございますので、是非報道の方も御協力していただきたいと思います。
私どもの方で調査をするというよりは、もう原因なりがはっきりしている話でございますので、これは注意喚起の方を、いろいろな機会を通じて、より一層丁寧にやっていくことにしたいと思っております。 -
問
NHKの秋山です。
冒頭のシンポジウムというか、徳島の関係で1点お伺いします。コロナの影響はあるとは思いますが、当初からいわゆる国際連携だったり、国際協調だったりというところが一つテーマになっていたかと思うのですが、今回は発足の記念シンポジウムということですが、例えば海外とのオンラインを通じた、G20まではいかないものの、何か会議とかというものは、現時点で何か決まっているものがあれば教えていただけないでしょうか。 -
答
今回は新型コロナウイルス感染症の影響もございましたので、海外からパネリストに来ていただくということは予定しておりません。ただ、国際的な情報を踏まえた議論が必要でございますので、海外の状況や法制度等に詳しい、海外出身で国内在住の有識者、具体的に言いますとカライスコス・アントニオス京都大学大学院准教授などにお入りいただくということにしておりまして、こういったところで知見をお借りしながら議論をしたいと思っております。
また、今後どうするかということでございますが、新型コロナウイルス感染症の状況なども見ながら、機会があれば、なかなかG20のサイトイベントほどの何か大規模なものをやるというのは難しいかもしれませんが、小規模であってもできるだけ国際的な議論の交流ができるように考えていきたいと思っております。