伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年9月16日(水) 14:00~14:22 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
私からは三点、御報告を差し上げたいと思います。
一点目は、令和2年国勢調査に関する注意喚起についてです。
今週月曜日(9月14日)から令和2年国勢調査が開始されております。国勢調査を装った詐欺や不審な調査にはくれぐれも御注意をお願いしたいと思います。お手元に、総務省と連携して作成した注意喚起資料を配付させていただいております。
まず、国勢調査では、年収や預貯金、それからクレジットカード番号、マイナンバーカード、銀行口座といったような個人情報を国勢調査員が聞くことは絶対にありません。また、今回、コロナ禍での国勢調査となり、インターネットや郵送により回答される方も多いと思われますが、くれぐれも偽サイトに御注意いただきたいと思いますし、また裏にも書かせていただいておりますが、郵送のときにも宛先等々について、よく注意をしていただきたいと思っております。不審・不安に思ったら、お住まいの市区町村や消費者ホットライン188に御相談いただきたいと思います。報道各位におかれては、消費者への注意喚起に御協力をお願いいたします。
二点目は、介護ベッドに挟まれる事故の注意喚起についてです。
9月21日は敬老の日です。高齢者の事故についての注意喚起ということで、高齢化の進展に伴いまして、介護ベッドのレンタルの数などは非常に増えている状況にございます。その中で、高齢者が介護ベッドと手すりの隙間に首や腕が挟まって、死亡又は重症事故に至るものが毎年5件程度発生している状況にあります。まず、使っているベッドや手すりに挟まるような隙間がないか、あるいはカバーやクッションを使用して隙間を埋めてはどうかとか、あるいは、利用者の安全をきちんと確認しながら操作していただくということで、手元スイッチは安全な場所に置いて、利用者の手足の場所を確認して動かすといったような、もう一度、その利用方法、使用方法について見直しをいただきたいと思っております。
三点目は、ECサイトにおける食品表示についての調査についての御報告であります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、消費者の購買行動が変化している中、インターネットを介したECサイト上での購入が増加しておりまして、特に食品の購入が顕著に伸びているという民間の調査もございます。一方、食品表示法に基づく食品表示基準は、原則は食品の容器包装への表示ということについて対象にしておりまして、いわゆるECサイトにおける表示については何ら規定がない状況にございます。このため消費者庁においては、まず、ECサイトで食品を販売する事業者の食品表示、どのようになっているかということの取組状況の把握と、それから、消費者自体がどのようなことを知りたいと思っているかというニーズの把握、この双方について実態を把握するための調査を開始したいと思っております。なお、国際食品規格を作るCodex委員会においても、ECサイトでの食品表示に係る国際的なルール作りの議論が始まっておりまして、この動きも踏まえた上で、ECサイトにおける食品表示の在り方について検討してまいりたいと思っております。
質疑応答
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問
読売新聞の加藤です。
長官に伺うことではないのかもしれませんが、国勢調査の件で、5年前の国勢調査のときにも個人情報を聞かれたとか、何かそういうような相談とかっていうのはあったりしたのですか。 -
答
前回5年前に実施された国勢調査に関しては、2015年の9月から10月の間に、国勢調査に関する消費生活相談がおよそ200件程度寄せられています。
その中では三種類ありまして、一つ目は訪問者の信頼性に関するもので、要は国勢調査の調査員と言っているけれども、名札も腕章もしていないがどうだろうか、不審であるといったようなもの。二つ目は不審な電話に関するもので、国勢調査を騙って銀行口座や年金について質問する不審な電話があったとか、あるいは一人暮らしかどうか、1千万円以上の預貯金があるかといった電話があったというもの。三つ目はインターネット回答についてで、国勢調査をインターネットで回答したのだが、途中でよく分からない画面になって暗証番号を求められたと。ついキャッシュカードの暗証番号を入力してしまったのだが、どうしたらいいかというような、このようなものが現にありました。
また、今回、コロナ禍において、インターホンを押して直接会うことなくポストに入れるということもございます。そういったこともあるので、より一層御注意いただく必要があるのではないかということで、総務省とも連携してこのようなチラシを作らせていただいたということです。 -
問
NHKの秋山です。
今のに関連してですが、なかなか難しいとは思うのですが、消費者側が防御策というんですかね、これを信じろというか、こういう格好をしている人がとか、何か総務省側のポイントとかっていうのは何かあったりされるのでしょうか。 -
答
国勢調査員は、その身分を証明する調査員証等を携帯しているというのもありますが、今回インターネットでお答えになられる方が結構いらっしゃると思いますけれども、そのときには、国勢調査を装った不審なメールやウェブサイトに返信やアクセスはしていただかないように。このインターネットでの回答のために、QRコードが基本的にあります。あるいは検索サイトから国勢調査オンラインで間違いなくアクセスをしていただかないと偽サイトに誘導されるということがあるので、基本はこのQRコードからやっていただくのが一番安全ではないかと思います。
また、郵送の場合も、同封されている返信用封筒でお願いしたいと。かつ、返送先は令和2年国勢調査 調査事務局となっているかどうかを見ていただく必要があろうかと思っております。もし違った封筒、不審な封筒がある場合には絶対に使用しないように。また、気になるようでしたら、先ほど申し上げたように、市区町村、あるいは188の方にお尋ねいただければと思っております。 -
問
ウェルネスニュースグループの木村です。
先ほどのECサイトにおける食品表示の件です。これからその実態調査をして、それを基に検討していくのでしょうが、その検討する場というのはどういう場を想定されていますか。消費者委員会では全体像の議論もやってきて、そこも絡む話かと思うのですが、ちょっとイメージとして、どういう場で検討するのかという点について教えてください。 -
答
まず実態把握が先だと思っていますので、それを受け止めてどうするかということを詳細に議論するような大きな検討委員会を考えているわけではございませんけれども、事業者、それから消費者関係、それから公共団体にお入りいただいたような検討会みたいなものは設置したいと思っています。
ただ、それはあくまでもそういう実態把握だとかを整理していくためのものということですので、それを基にしてこうするべきだとか、ああするべきだというところまで至るかどうかと言われると、ちょっとそういう性格ではないかなと。
ただ、今回是非課題を抽出して事業者向けの提言はしたいと、そういったところまでは行きたいと思っております。 - 問 その実態調査は、例えばいつまでに終えて、それで検討会が大体いつ頃をめどに立ち上げるとかのスケジュール感がもしあれば教えてください。
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答
調査自体は10月の初めから始めたいと思っております。これは今年度内には一定の取りまとめをしたいと思っています。それを基にして、次にどうやっていくかということはもしかしたらあるかもしれませんが、取りあえず、まず今年度の取りまとめを見てということになろうかと思います。
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問
NHKの秋山です。
今のに関連してですが、やはりそのルールがないというところが根本なのかなというのと、消費者がそういうルールになっていること自体を、なかなかまだ、その把握もされるということですけれども、改めて現状の課題点はどういうところにあると長官は今考えていらっしゃいますか。 -
答
食品表示自体は、正にそこで手に取って、その場で御判断いただくという性格なものですから、容器包装への表示が基本で、あるいはそうではないもの、例えば生鮮食品とかだと、そこのすぐ近くに表示していただくということになっております。
それに対してECサイトについては、そういう即時性というのと、現物との一致というのが要はない状態での販売ということになりますので、やや考え方が違ってくる部分があろうかと思います。
例えば、注文したときと発送されて届く時期にどうしてもタイムラグが出てくるとか、あるいはたくさん注文が来たときによくあることですが、原産地、何々県産の例えば果物を送るということを思っていたけれども、それが足りない場合は、よくどこどこ県になる可能性もありますと書いてあったりする場合もあろうかと思いますが、そういうようなことが、現物では起き得ないことが起こるということになります。
一方で、例えばアレルギー表示といったように、買うときには是非欲しい情報というのもあると。必ずしもそのものじゃなくても構わないという情報と、是非これは買うに当たって絶対に欲しい情報というのがあろうかと思いますので、そういうECサイトにおける取引の特性も考えながら、消費者側で絶対必要なことは何かということについて整理が必要であろうということで、今回事業者の実態と消費者のニーズの両方を把握したいということであります。
先ほども申し上げましたけれども、それについてはCodexにおいても同様にそのような議論が始まっておりますので、それは皆さん日本だけではなくて、恐らく国際的にもそういったことをどうしていくかという議論になっているという状況でございますので、そういうような状況も見ながら、我が国においてどうやっていくかということについて考えたいと思っております。 -
問
共同通信の国枝です。
関連してなのですが、ECサイトというのはデジタル・プラットフォームのようなAmazonとか、そういったものを使う? -
答
それだけではなくて、その個々のものもあると思います。デジタル・プラットフォームは、いろいろな事業者が共有化するプラットフォームだと思いますけれども。
- 問 今回その実態調査は、デジタル・プラットフォームを含めて。
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答
そうです。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
関連なのですが、以前、食品表示企画課の方だったと思いますが、食品表示基準では容器の包装を対象にしていると。それのあのECサイトでは規制、規定外だと。
そのときに、食品表示基準に即した義務表示なりを、そのサイトの方でやる、記載するべきだという、そういう検討のあれがなかったどうかちょっと、私の誤解かもしれませんが。 -
答
(食品表示企画課)おっしゃっているのは、平成28年に食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会というのがありまして、そちらの方で大枠の方向性のようなものは提言されているのですが、実際まだ具体的な部分までははっきりしないということでありますので、そちらの方を今回の事業の方で実態調査をしていきたいというところです。
- 問 もう一点、介護ベッドの件なのですが、これは注意喚起ということだと思いますが、具体的には、消費者一般に対してされているのか、それも含めてですね。あと、この介護ベッド自体は高齢者施設であるとか、医療機関であるとか、先ほどおっしゃったレンタル事業者も考えられると思いますが、そういう事業者に対しての注意というか、要請というのは何かありますでしょうか。しているでしょうか。
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答
今の介護保険において、介護ベッドのレンタルが対象になっているものですから、これは施設だけではなくて、在宅での利用も非常に多いという状況になりますので、この注意喚起自体は施設の方だけではなくて在宅も対象です。年々介護ベッドの貸与の給付ケースは増えている状況にありますし、またこれ以外にも、給付ではなくても、買わないでも自費でレンタルというのも結構やられていると聞いているものですから、一般的に施設以外の人たちにもこれは注意喚起をする必要があるとは思っています。
今の御指摘もあったので、施設の関係については、このようなこと、これは厚生労働省の方にもお伝えして、何らかの格好で対象のところにも伝わるように考えたいと思います。御指摘ありがとうございました。 -
問
朝日新聞の兼田です。
ベッドの件で関連してですが、分かればで結構なのですが、要するに同じような事故が繰り返されているという話だと思うのですが、旧JISの製品でいまだに死亡事故が起きているのか、それが続いているのであれば、隙間を埋めるクッションとかそういうものもあると思うのですが、そういうものが徹底されてないから起きてるのかとか、その辺の分析って何かされてたら教えていただきたいのですが。 -
答
すみません。それも担当から答えた方がいいと思うのですが、JISは何回か、おっしゃるように改正はされておりますが、特にそういう意味では、非対応品のものの方が多いということではありますけれども、対象品であってもやや事故が、使い方によってはあるということでございますので、これは両方にわたって、ということかと思います。
特に機器を動かすときの注意というのは、必ずしも対応品であってもなくても同じように起きる場合がどうしてもございますので、使い方については是非古かろうが新しかかろうが気を付けていただく必要があろうかと思います。
JIS認証後かどうかについてのデータは、後で担当の方にお尋ねいただければと思います。 -
問
NHKの秋山です。
昨日、気象庁のホームページで民間広告の記載があって、今日どうも不適切なものが見つかったということで、気象庁側で掲載をやめたということがあったようなのですが、そういった不適切なものがあった場合、表示媒体となっている、いわゆるホームページを持っている気象庁側にもある程度責任を問えるのかどうか、そのあたりの解釈をデジタル化の検討会で議論されていると思うのですが、改めて消費者庁の現状の認識を教えていただけないでしょうか。 -
答
景品表示法は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示を規制するというものでございますので、自ら商品や役務を提供しない限り規制の対象になるということはございません。
一方で、今回の気象庁のような話は、法に違反する、違反しないの議論とは別に、国のウェブサイトへのバナー広告、あるいは国の印刷物についての広告がどうあるべきかというようなお話にもつながる面はあろうかと思います。
これは各省の申合せで、そういう掲載要領などが既にありまして、これに基づいて当然気象庁の方も広告掲載基準を決められて、法令に違反するおそれのある広告や、虚偽、誇大広告等は掲載できないということになっていると承知しております。
ですから、景品表示法の対象になる、ならないにかかわらず、そういう国が用意するものについての広告のありようというのは厳格に考えていく必要はあろうかと思いますので、気象庁において、今回一旦立ち止まって調査をされるとお伺いしておりますので、きちんと対応していただきたいと思っております。 - 問 気象庁の方の運用基準も拝見して、やはり景品表示法だったりを意識して書かれているなという印象を受けたのですが、今後、一旦停止して運用を考えられると思うのですが、その際に消費者庁としてアドバイスというか、情報共有だったり連携というのは何か今検討されていることはあるのでしょうか。
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答
確認した限り、気象庁から事前に相談を受けたわけではありません。今取りあえず停止して調査されている状況でございますので、気象庁から御相談があれば、私どもとしても適切に対応したいと思っております。
- 問 最後に一回、デジタル化在り方検討会の方でアフェリエイトについても、いわゆるトラブルが起きているという実態とですね、その課題については一旦整理されてまとめられているかと思います。デジタル検討会の中でも比較的中長期の課題として位置づけられている印象も受けているのですが、図らずとも気象庁のトラブルでまたクローズアップというか、課題がまた鮮明化してしまってはいると思うので、やはりこういうアフェリエイトポップだとか運用型広告というものへの、法規制になるかどうかは別として、対策というのは急ぐべきなのではないかと個人的には思うのですけれども、気象庁に限らず、そういった運用型広告に対する今の受け止めというか必要性というのは、どういうふうに感じていらっしゃいますか。
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答
デジタル広告については大変課題があるというふうに御指摘、方々からいただいているところであります。
我々としてもできるだけ早めに対応したいと思いますが、ただ一方で、きちんともう少し勉強しなくてはいけないところもあると思っておりますので、こういった事案なども踏まえながら、少し丁寧に勉強して、できる限り早いうちに対応ができるように努力をしたいと思います。