伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年8月26日(水) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)
発言要旨
私からは二点、お願いしたいと思います。
一つ目は「食品ロス削減推進大賞」の実施についてです。
食品ロス削減については、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」を3月31日に閣議決定を致しておりまして、この中で「国民に取組の重要性が広く認知され、各地域における取組が促進されるよう、国において表彰制度を創設する」とされております。この基本方針に基づき、消費者庁では今年度新たに「食品ロス削減推進大賞」という表彰制度を創設し、本日から募集を開始いたします。締切りは食品ロス削減の日であります10月30日を予定しておりまして、年内をめどに受賞者を決定する予定です。この事業では「食品ロス削減」の取組に焦点を当てて、消費者等に対し広く普及し、直接的波及効果が期待できる優良な取組を実施した人を表彰することとしております。応募は自薦、他薦を問わないため、様々な取組を行っている方から幅広く御応募いただければと思っております。報道各位におかれましても、本事業の周知に御協力をいただくことをお願いいたします。
二つ目は、特定保健用食品公正取引協議会の設立についてです。
明日8月27日に、特定保健用食品、いわゆるトクホの公正競争規約の運営団体である特定保健用食品公正取引協議会が設立される予定ですので、お知らせいたします。トクホは1991年に始まっておりまして、8月25日現在で153社、1,074件で許可されておりまして、この協議会には、そのうちの7割の事業者が参画する予定と聞いております。公正競争規約は、消費者庁及び公正取引委員会の認定を受けて設定する業界の自主規制、自主ルールでございまして、これを運営する公正取引協議会は現在76団体ありまして、消費者庁発足以降の団体設立は仏壇公正取引協議会に続き二つ目ということになります。保健の用途を標ぼうする健康食品分野の団体設立は初めてということになります。もとよりトクホは、健康増進法に基づいて、エビデンスを基に国の審査、評価を経て、消費者庁が許可した保健の用途を表示できる食品ということでございますが、我が国の健康寿命の延伸にも寄与することが期待されております。今般、この設立に伴いまして、効果をカテゴリー別にしたようなマークも作られると伺っております。特定保健用食品公正取引協議会の設立によりまして、トクホ業界における公正な競争の確保と消費者に対する適切な情報提供の推進が図られ、トクホ制度の更なる普及が促進されることを期待しております。
質疑応答
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問
ウェルネスニュースグループの木村です。
今のトクホの件ですが、トクホができてだいぶ年月がたつのですが、その公正競争規約の作成、これは長官から見て時期的に遅かったのか、こんなものなのか、その辺のところと、あと、7割の事業者が参画するという話ですが、トクホの場合はもっと多くてもいいのかなという気もしたのですが、その辺の感想的なところをお願いします。 -
答
景品表示法等々について、これは私ども全体の方針ではございますが、行政が一つ一つ処分する、見張るということはもとより、やはり業界、それから個々の事業者、それから業界団体がまとまって、消費者保護の観点からコンプライアンスを確保する形で活動していただくということは非常に大事なことだと思っております。
そういう意味では、公正競争規約がよりたくさんできていくことが大事だというふうには思いますが、そのためにはある程度業界全体がまとまって、こういう格好で行こうというふうにルールを作っていただかなくてはいけないということが重要になるわけです。この中で、恐らくトクホについてはなかなか業界の方でまとまるのに時間が掛かったと思っておりまして、今回7割強ということですが、よくまとまっていただいたというのが私の感想です。
高齢社会において、とりわけ健康食品に対する国民の意識というのは非常に期待というのは高いものがある中で、そうした中でトクホは正に消費者庁が許可をする、きちんとしたエビデンスに基づいて許可をするということで、今のところやや伸びが止まっているような状況もございますので、これを契機により飛躍していただくことを私としては期待したいと思っております。 - 問 関連ですが、もう一つの健康食品関係の重要な制度としては機能性表示食品制度がありますが、こちらの方もその公正競争規約の策定という動きも議論は始まっているようですが、長官の方から何か期待する点とか、何かありましたらコメントをお願いします。
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答
機能性表示食品については2015年から始まっていて、これは8月26日現在で公表件数2,899ということで、近年非常に伸びているということです。
これについてもトクホと同様に業界が集まっていただいて、こういった公正競争規約ができるだけ早い時期にできることを私としては望んでおりますので、我々としてもそういったことを業界がなされるように一生懸命応援をしていきたいと思っております。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
実は、今日はこういうものをいろいろ持ってまいりました。
アルコールとマスクの転売禁止について、消費者委員会が妥当と判断されて、29日から解除されるということなのですが、実は日常的に使っている消毒用アルコールなどを買えたことがないと、このジェルに関しても店頭からは消えているという指摘があって、私、金曜日以降、土日に主要駅のそばのドラッグストア、自宅、会社のそばのドラッグストア十数軒を回ってきましたが、この商品を置いているところは1か所もありませんでした。無水エタノールが1本買えただけです。
それで、地方都市の方で、地方都市の主婦の取材をしていたら、メーカー名は言いませんが、ベンザルコニウム塩化物が有効成分で、添加物にエタノールが入っていて結構信頼できる商品ですが、これが大体どこでも買えていたんだけれども、最近買えなくなったと。それから、地方都市では、これもメーカー名は言いませんが、こういうマスクが通常薬局で買えていたそうです。東京では買えません。そんな通常手に入りません。私は最近これを見たことがありません。それで、10軒のドラッグストアでこれを置いていたところは1か所もありませんでした。
今転売を禁止して、こういうものが、皆さんが欲しがっている商品が更に高くなって転売されることはないのでしょうか。そういうことが起きたときに消費者庁はどんな対応をされるのでしょうか。 -
答
まず、転売規制についてのお話でございました。転売規制は非常に強力な私権の制約でございますので、国民生活安定緊急措置法においては、事態の克服に必要な限度で抑制的にやるべきという規定が実は設けられておりまして、本来需要のひっ迫が改善されれば解除すべき性質のものだと思っております。
御指摘のように、一部の商品についてそういう事態が見られることは一部の地域においてはあるとは思いますが、全体で見ますと、マスクについては8月には国内供給が月約10億枚を達成できる見込みになっておりまして、アルコールの消毒液についても製造量が増加し、市中への供給が増加している。それから供給量が増加したことで市中での購入がある程度可能な状況になっているということも踏まえまして、需給のひっ迫が改善しているものとして、消費者委員会の御意見もお伺いした上で、8月29日からマスク及びアルコール消毒製品の転売規制を解除することとしたところです。
なお、アルコール商品、消毒液につきましては、前も代替品といいましょうか、手の場合ですと手洗いによること、それから、あるいはいろいろな机を拭いたりということであるとするとこういったもの、というような形での情報提供もさせていただいているところでございますので、そういうのも併せ持ってですね、全体としては本当にひっ迫していて大変な状況であるということではないのではないかということで、こういう判断に至ったということでございます。
ただ、御指摘のように本当にまたいろいろな事態が起きて、需給がひっ迫するという状況があれば、その状況によってまた判断をさせていただくと、当然関係省庁と協議の上ということになりますが、連携して判断をさせていただくと、こういうことになろうと思っております。 -
問
消費者委員会で経済産業省の説明は伺いましたし、厚生労働省に取材をしましたら、厚生労働省も長官と同じような御説明でした。ですが、現実的に、例えばこれはハンドジェルというアルコールなのですが、今はコンビニとか、スポーツジムとかで置かれていますが、火気厳禁表示もないですし、パーセント表示もありません。私、各店舗で全部見てきたのですが、パーセント表示がないものが多いです。それから、パーセント表示があっても、例えばお客様相談センターに電話をしましたら、つながりません。
こういうマスクの会社も、もうほとんどつながりません。今は混み合っていますということで、切れてしまいます。1か所だけが30分つないで、確かに通常どおり量産して出ていると、こういう会社も、4倍も作って出ていると言うけれども、庶民の感覚からすると、本当に必要で欲しいと思っている物が全く手に入らない状況は全く変わっていないと。
風邪がはやるとか、インフルエンザがはやる時期に向けて、とても警戒している人たちが多い中でとても心配をしているということで、せめて、例えばどういうものが本当に安心、皆さん買っているのは、新型コロナウイルスを不活性化できると思ってお金を払ってるんです。
このアルコール消毒用エタノールは、大体600円台で買えます、とっても信頼ができるものが。こちら、1,480円です。みんな高いです。
皆さんはやっぱり、信頼できるものを今までどおりの値段で使いたいんです。でもそれが使えないんだったら、せめてどの製品が本当に良識があって、見識があって、公正な市場をつくるのが消費者庁の使命ですので、この機に乗じて、アルコール商品とか除菌、訳の分からない除菌用の製品を売っている人たちをきちんと取り締まって、ちゃんと消費者に必要な製品が入るようにしていただくのが筋ではないかと思うのです。
それから、皆さんから質問が一番多かったのが、この除菌用のウエットティッシュです。これは、雑貨店とかいろいろなところで出てるのですが、エタノールが最初に書かれている商品が本当に少なくて、それはあっと言う間に売れてしまってなかなか買えません。それで、水が一番に書かれているものがかなり出ていますが、これは効果がありますか。これについて分かりやすく消費者にも説明していただき、商品テストもやっていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。 -
答
まず、アルコールというか、消毒についてですが、火気厳禁と書いてあるのは、アルコール濃度が重量表示で60%以上ということであります。それとは別に、指定医薬部外品と書かれているものについても、当然、医薬品でございますので、消毒なりが標ぼうされているものは当然、人が使うものとして有効であるということで、これは私どもの方で、どういうものを見ていって御判断していただければいいか、ちょうど次亜塩素酸水が話題になったときに併せてチラシを出させていただいて、これは注意喚起をさせていただいたところですので、こういったものを参考にして御判断いただきたいと思っております。
それから御指摘のような除菌でございますが、除菌自体は、消毒と違って医薬品としての用語の使い方でございませんが、明らかに表示としておかしいというものがございましたら、これはきちんとした証拠に基づいて対応したいと思っております。
なお、先ほど申し上げたのは、7月7日に私どもの方でもチラシを作らさせていただいて、個別の商品名を挙げるという性格ではございませんが、どこを見て御判断いただいたらいいかということについては発表させていただいてますので、それも見ていただき、また私どもとしても周知をさせていただきたいと思っております。 -
問
実は次亜塩素酸水ですが、ずっと経産省のNITEを取材してまいりました。結局、最終的に出た結論は、80ppm、汚れをきれいに拭き取った後、びしょびしょになるまでかけて20秒置けば有効ということで、非常に家庭では使いにくいという条件です。
それで次亜塩素酸水というのは、汚れとか、熱とか、温度とか、紫外線とかでどんどん分解されて効果がなくなっていくのですが、この第2波が起きてから、店頭にまた次亜塩素酸水がいっぱい並んでいます。10店舗の中で本当にいろいろな種類の次亜塩素酸水が並んでいましたが、この中で消費期限の表示があったものは一つもありませんでした。有効塩素濃度が書かれているものは1製品だけありましたが、充塡時に200ppmと書かれているだけで、あとは何も書かれていません。それから使い方の説明も、経済産業省がこれが有効といった使い方とは全く乖離した内容しか書かれていません。
消費者庁は、本当にそれだけのことを経産省と一緒に公表したのであれば、その後、きちんと指導をして、そういうものはなくしていく必要があるのではないでしょうか。 -
答
まず、人に対するものじゃないものに関しては、家庭用洗剤等々も非常に有効であるということで、これについても情報提供をさせていただいたところです。
次亜塩素酸水しかないという状況にはまずないということは申し上げておきたいと思います。それから、次亜塩素酸水についてNITEで公表したものは、コロナウイルスに対してどうであったかというものであったと認識しております。今御指摘のように、気になるところで言えば、除菌とか、ウイルスとか、幅広く書かれておりまして、表示が、正にコロナウイルスとか明示的に書かれていないというところがあって、それをもって直ちに、問題があるというかどうかというところがあろうとは思いますが、ただ一方で、今御指摘のように、非常に誤解をされる向きがあるということも事実だと思いますので、それについては私どもの方もしっかりと情報提供するなり考えていきたいと思っております。 - 問 もう皆さん、新型コロナウイルスを焦点に商品を選んでるわけですから、こういう脱法みたいな、確かにそうかもしれないですが、それは医薬の定義と違うとか、そういうことではないんじゃないんですかね。消費者の視点とか、庶民の視点でもう少し考えるべきではないかと思いますけど、よろしくお願いします。
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答
お話は承りました。
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問
NHKの秋山です。
今のと少し関係して、この間のデジプラの検討会以降の、少し民間というか、企業の動きで、あの検討会の中でのオンラインの協議会が当日立ち上がりましたとかっていう発言があったり、高額転売もメルカリが出品禁止継続されていたり、幾つか、ヤフーが掲載をしなかったケースを公表したり、幾つか自主的取組が出てきている印象をここ数日受けております。まだ検討会が続いている状況ではあるので難しいかもしれないですが、こうした動きについて、改めて長官はどのように見ていらっしゃるか、受け止めを伺わせてください。 -
答
デジタル・プラットフォーム企業が消費者目線で自主的な取組を進めていただくということは非常に大切なことで、歓迎すべきことだと思っております。ただ一方で、個別な自主的な取組でございますので、全てのデジタル・プラットフォームに関してそういうことをやられているわけではないということもございますし、その取組がいろいろな議論をさせていただいた項目、全てを網羅してるかというところもございますので、デジタル・プラットフォーム事業者の具体的な自主的取組も十分注視しながら、我々としては、なお消費者の安心のために必要なことはないかという視点で具体的な検討を進めていきたいと思っております。
- 問 確認ですが、今の段階ではちょっと、個別の動きが評価できる、できない、とかいうのは、今の中だと少し判断しにくい状況ではあるということでしょうか。
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答
そうですね。協議会の方もそういう枠組みを作りましたということを発表されたと認識しておりますので、よく連携して考えていきたいと思っております。