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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年8月5日(水) 14:00~14:14 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)

発言要旨

まず私から二点申し上げたいと思います。
一点目は、災害に便乗した住宅修繕についての保険金がらみの悪質商法への注意喚起です。
近年、豪雨や台風、地震などの大きな自然災害が発生しております。本年も、令和2年7月豪雨によって多くの被害が出ております。改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
今後、復旧や再建などが進むと思われますが、この際、住宅の修繕やその修繕費用の補償に関する保険金の申請代行などの、災害に便乗した住宅修繕についての保険金がらみの悪質な勧誘が行われる可能性があるので注意喚起したいと思います。
先月7月15日、令和2年7月豪雨に関連する注意喚起を行いましたが、今般、特に住宅修繕についての保険金がらみの悪質な便乗商法を中心に再度チラシを作成いたしました。金融庁、国土交通省、それから関係の業界団体と連携して作ったものであります。
注意喚起資料では代表的な手口を紹介しているほか、クーリング・オフの制度、相談窓口について紹介しております。これは、今回この令和2年7月豪雨に関するものではございませんが、災害に便乗して特定商取引法に違反する疑いのある行為をしていると認められた5事業者に対し、法令を遵守するよう行政指導を行いましたので、これを契機として、その手口などを参考にして作成したものです。
この注意喚起は、当該事業者による消費者被害の防止はもとより、同様の手口による消費者被害が更に広がることを防止する観点から緊急に行うものでございますが、本件の詳細につきましては、本日の15時から、担当課より御説明をさせていただきます。
不審・不安に思われたら、注意喚起資料に記載してあるとおり、消費者ホットライン188や0120-213-188、または一級建築士の資格を持った相談員が相談に乗る「住まいるダイヤル」、あるいは保険に関係することは各保険会社等に御相談いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
二点目は、令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査の公表についてです。
エシカル消費は御案内のとおり、自分のことだけではなく他人のことですとか、あるいは社会というものを考えた消費をするという観点から進めているものでございまして、正にwithコロナ時代に大切な消費行動だと思っております。これについて、令和元年度のエシカル消費に関する消費者意識調査を公表したので、その概要をお示ししたものでございます。
この調査は、消費者の意識や消費行動について、現状把握、それから変化の分析をし、今後の政策立案に資することを目的として3年に1度実施しているものです。今回の調査では、エシカル消費の認知度、あるいは興味度、それからエシカル消費につながる商品・サービスの購入の意向がある人、こういったものについて見ますと、それぞれ非常に比率が上昇しておりまして、エシカル消費の考え方が消費者に着実に浸透してきているというように見られます。一方で、具体的にエシカル消費につながる商品・サービスの購入経験者の比率というのは、前回の調査と比較すると上昇はしておりますが、興味度などが大幅に上がっていることに比べますと、まだ39.7%ということなので、まだまだ十分ではないなということであります。消費者庁としては、消費者一人一人の具体的な行動を促すよう、引き続き啓発や情報発信に努めてまいりたいと思っております。

質疑応答

NHKの秋山です。
高額転売のことで幾つか質問させてください。まず昨日、大阪府の方で、うがい薬とコロナに関する発表を受けてかと思うのですが、一部のドラッグストアでうがい薬が売り切れになったり、現在もネット上の通販サイトで高額で販売されているケースが確認されています。マスクとかアルコールと同じで、医療現場には不可欠なものになってくるのかなと思いますが、改めて消費者に対してどういう注意とどういう行動を取ってほしいかについて、消費者庁の方でどういったことを考えていらっしゃいますでしょうか。

ポビドンヨードを含むうがい薬でうがいをすると新型コロナウイルスの感染の重症化に対する予防効果があるのではないかという御発言が大阪府の方であったということは報道等で承知しておりますが、その内容そのものについてのコメントは厚生労働省などの関係部局にお尋ねいただければと思っております。消費者庁といたしましては、今御指摘がありましたように、まず一つ目は、当然ポビドンヨードに限らず、必要な人に必要な物資がきちんと届くということが大事ですので、不要な買占めはお控えいただきたいと思います。
また、ポビドンヨードに関して言いますと、薬機法上、医薬品に該当するものについての販売は都道府県知事の業の許可が必要となります。これは転売を含めて、また個人であるか否かにかかわらずということでございますので、この点は十分お含みおきいただきたいと思います。
また、今度は使用するという観点でいいますと、うがい薬を使用する場合には、当然用法や用量等をよく見て適切な使い方をしていただく必要があろうかと思います。このポビドンヨードを含むうがい薬について見ますと、例えばヨウ素に対して過敏症の方はお控えくださいですとか、あるいは適切な用量で1日数回と、こういった用法・用量についても記載されているところでございますので、過剰にお使いになられるということはいかがなものかと思いますので、この点についても気を付けていただきたいと思います。この三点を消費者庁からは申し上げたいと思います。

関連ですが、マスクやアルコールのときも、まずは慎重な、冷静な判断をというような呼び掛けもあったかと思いますが、そういった呼び掛けは今回のうがい薬に関しても改めて言っていきたいというか、同じようなメッセージを発信されていくというふうに理解してよろしいのでしょうか。

現時点でマスクと同様にという状態かというと、どうかというところはあるのですが、これに限らず、当然のことながら必要な人に必要な物が届くということが大事なものというのはたくさんあると思います。これについては先ほど申し上げたように、不要な買占めはせず、皆さん冷静に行動していただきたいと思います。
それから、薬機法なり、ほかのいろいろな法令に基づき、転売行為が禁止されているものも当然ございますので、違反すると法違反に問われる可能性が当然ございますので、そういった点も気を付けていただきたいです。
また、使用に当たっても、よくどういう使い方が適切なのか見てもらわないと、人によっては必ずしも良くない場合もあるように見受けられますので、その点は十分気を付けていただきたいと思います。

もう一点関連ですが、先日の厚生労働大臣の発表で、マスクやアルコール消毒液の転売規制について、月内にも規制を解除するように手続を進めるというような御発言があったかと思います。いまだに規制があるから安心できるというような、まだ規制を続けてほしいというような消費者の声も多く聞こえるのですが、改めてこの解除に向けた手続が進むことに関して、長官はどのようなお考えをされていますでしょうか。

先週金曜日の7月31日に、御指摘のとおり厚生労働大臣からマスク及びアルコール消毒製品の転売規制を解除するための手続を進めるとの方針が示されたことは承知しております。これは需給の関係でいいますと、マスク等についても市場の方で相当供給がなされているということを踏まえたものだと考えております。
消費者庁としては、関連省庁と連携して必要な手続を進めることになると思います。解除に当たっては法制的な調整もさることながら、消費者委員会の諮問ですとか、答申とか、そういった手続もございますので、こういった手続も経てやるということだと思います。引き続き関係省庁と連携し、そういった生活関連物資の需給を注視して、必要な物資が必要な方に安定的に供給されるという立場で見ていきたいと思っております。

西日本新聞の山下です。
災害に便乗した悪質商法に関連してですが、令和2年の豪雨災害において、何か具体的な被害ですとか、相談が寄せられたりしているのでしょうか。

はい。二つ申し上げたいと思います。まず、先日注意喚起を行いました令和2年7月豪雨に関連する消費生活相談というのは、8月3日までのPIO-NET登録分でいいますと53件ございました。具体的には、「保険金を使って工事しないかと不審な勧誘電話があった」とか、「屋根の状態をドローン撮影したいので許可してほしい、屋根補修が必要ならば保険金が下りる、手続もこちらでするといった電話があった」といったような、保険金に絡む悪質商法が疑われる相談もあったと聞いております。
また、これは今回の直近の話ではございませんが、令和元年度に、「保険金が使える」とうたう住宅修理サービスに関する消費生活相談がどの程度あったかということですが、これは消費者ホットライン188に寄せられ、PIO-NETに登録された相談件数が2,684件ということであります。
令和元年度は御案内のとおり、台風第15号や台風第19号等の災害があったということでございますが、今回は再建という言葉がやっとそろそろ緒に就いたところだと思いますので、これから多分関連する消費生活相談が出てくるのだと思いますが、今のところは先ほど申し上げたような私どもが把握している範囲においては、8月3日のPIO-NET登録分までで53件ということでございます。

5事業者に対して注意喚起をされたということですが、この5つの業者というのは、この令和2年の豪雨災害とは無関係なのですかね。

はい。5つの事業者は、この令和2年7月豪雨はこれからの話ですので、そういったこと自体がこれから起こるであろうということですので、これはその前の災害で起きたことについての事業者に関する注意喚起で、今なぜこれをやるのかということについて言いますと、当然こういうような人たちにより、また今回の災害でも悪質な勧誘等がなされる可能性があるので、これについての被害の防止ということと併せて、むしろこれらの事業者そのものというよりは、これらの事業者がやっているような手口を広く皆さんに御紹介することによって、同様な手口が広がらないように、同様な手口に対してだまされることがないように消費者に注意喚起をすると、こういった意味で今回この行政指導についても公表させていただくということであります。