文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年7月22日(水) 14:00~14:17 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

発言要旨

私からは二点お話をさせていただきたいと思います。
一点目は「「賞味期限」の愛称・通称コンテスト」及び、「私の食品ロス削減スローガン&フォトコンテスト」の公募についてです。
食品ロスの削減については、事業者、消費者など各々が主体的にこの課題に取り組み、国民運動として推進することが重要です。その観点から、一人一人に食品ロス削減を「我が事」として捉え、行動に移していただくため、「「賞味期限」の愛称・通称コンテスト」及び「私の食品ロス削減スローガン&フォトコンテスト」を実施することといたしまして、本日公募を開始いたしました。締切りは9月11日で、10月に結果を公表する予定です。
まず、この「「賞味期限」の愛称・通称コンテスト」ですが、賞味期限はおいしく食べることができる期限ということで、食べても安全という消費期限とは性格を異にしますが、賞味期限が来たらもう食べられないというふうに考えて廃棄するといったようなことがあり、食品ロスにつながりかねないという御指摘もあります。そのため、賞味期限の意味をきちんと理解していただくという目的も含めまして、広く皆様が使いたくなるような愛称を募集するというものであります。
それから、「スローガン&フォトコンテスト」ですが、皆様の食品ロス削減のための独自の取組やエピソードに基づいて作成したスローガンと、その思いを表現した写真のセットを募集するものです。食品ロスの問題というのを身近なものとして皆様に楽しみながら考えていただければということが私どもの思いです。是非奮って御応募をいただきたいと思います。審査を通過した作品については、当庁における各種広報媒体、ウェブサイト等において広く活用する予定です。報道各位におかれましても、コンテストの周知に御協力いただければと思っております。
二点目は「魚介類の名称のガイドライン」の改正についてです。
「魚介類の名称のガイドライン」でございますが、これは生鮮魚介類の小売販売を行う事業者に対して、食品表示基準に基づいて魚介類の名称の表示等をする際に参考となる考え方を示すといったものでありますが、これは平成19年の制定以来13年間改正を行ってきておりません。これについて4回の検討会を開催いたしまして、その議論を踏まえて7月16日付けで「魚介類の名称のガイドライン」の改正を行い公表いたしました。特徴ですけれども、海外の漁場とか外来魚種39種などを含めて、魚種の追加等をしております。また、日本魚類学会の協力を得まして、標準和名のない魚類について、当庁が窓口となり、新たな標準和名を提唱できるスキームを構築いたしまして、これも併せて公表したところでありますので御報告したいと思います。

質疑応答

NHKの秋山です。
まずスローガンの件で伺います。従前から賞味期限と消費期限、なかなか認知が進まないということは長官もおっしゃっていたと思うのですが、これをきっかけにどのような理解が広がっていくことを期待されているのか、改めて教えてください。

皆さん、消費期限と賞味期限は違うんだということは何となく認識はしていただいているのですが、先ほど少し申し上げましたように、賞味期限が来たら何となくそうはいっても食べにくく、何か気持ち悪いから捨ててしまうといったような行動される方は結構いらっしゃると思っております。おいしく食べられる期間ということですので、それを過ぎて食べたら安全上問題があるという期限ではありませんので、消費期限と賞味期限は性格が違うものだということをよく御理解いただいて、賞味期限が仮に近いとか、ちょっと過ぎても、大丈夫だなと思って食べられるものは食べていただきたい。そのことによって食ロスを減らすことにつながることを私どもとしては期待しております。

併せて業界側も、年月日表示を年月表示に変えるとか、消費者、事業者合わせて対策していくことが求められているとは思いますが、この賞味期限に関しては、事業者側の協力だったり連携だったり、何か考えていらっしゃることはありますでしょうか。

賞味期限の愛称・通称がどんなものになるか分かりませんが、もし、とても魅力的な愛称がつけば、事業者側もいろいろな広報の際に併せてその言葉について御紹介をいただくことによって、賞味期限ってこういう意味なんだということで、賞味期限ぎりぎりのものは避けようと思っていた方が、大丈夫なんだと思って商品を取っていただくというようなこともできるようにしたいなと思っております。

今のスローガンのお話で、賞味期限とはおいしく食べることができる期限というふうに書いてあるのですが、こういうふうに書かれると、我々はおいしいものを食べたいのであって、おいしく食べられないなら食べたくないという人がいるような気がするのですが、今回の目的としては、賞味期限前にできるだけ食べようということを推進するというよりは、おいしく食べられる期限は過ぎているけど、食べても体に問題はないからみんなちょっと過ぎても食べてねという意識を広げることなのか、どういうことが目的なのでしょうか。

消費期限と賞味期限というのは割と同一視をされがちな方がいらして、賞味期限が少し前でももう危ないんじゃないかと思って、お捨てになられるということは結構あるというふうに聞いております。
もちろんその賞味期限、できるだけおいしく食事ができるのは当たり前のことだから、いいことだとは思いますが、例えば賞味期限ジャストだったり、ちょっと過ぎたからといって直ちに捨てなくいけないというような性格ではないということを御理解いただきたいなと思っております。

多少過ぎてもおいしく食べられると思っていいですかね。私はおいしく食べたいのですが。

おいしいか、おいしくないかは御本人が決めることですので、賞味期限からものすごく経ったものでしたらいかがなものかとは思いますが、私なんかは少しくらいだったら大丈夫と思って食べますが、これは人によりけりではないかと思います。

個人によるというふうに言ってしまうと、おいしく食べることができる期限というふうに表現すること自体が、かなり曖昧な気がしてるのですが。

賞味期限については、相当安全めに普通は書いているとは思います。おいしい、おいしくないというのは、ゼロかイチかという性格ではないのではないかと思います。
劣化が比較的遅いものですから、落ちていくカーブがそんなにガクンと急に、昨日と今日でいきなり変わるという性格のものではないですから、先ほど申し上げたように、賞味期限が切れたらそんなにいきなり変わるというわけではないと御理解いただければと思います。

ウェルネスニュースグループの木村です。
賞味期限の愛称の件について確認なのですが、今回募集するのは賞味期限の愛称のみで、消費期限の愛称は募集しないという理解でよろしいですか。

はい、そのとおりです。

その何か理由というか。

消費期限は安全に食べられる期限ということですので、それを過ぎてから食べることはあまり想定されないと思っていますが、賞味期限については、それを過ぎたからといって直ちに問題になるというものではないにもかかわらず、皆さん大変心配されてお捨てになられて、それが結果的に食品ロスにつながっているという御指摘も頂いておりますので、賞味期限についての御理解を深めることが大事ではないかということでやらせていただくものです。

今、消費者の中で賞味期限と消費期限を正確に理解していない人がどのくらいいるのか、もし分かれば。

消費者白書にも掲載させていただいていますが、賞味期限と消費期限の意味の違いを知っていますかという問いに関しては、知っているとおっしゃっている方は69.7%、何となく知っているとおっしゃっている方は25.6%ということですので、賞味期限と消費期限って違うんだというところまでは恐らく何となく分かっている状況なのですが、それがどういう意味があるのかと、で、具体的にどういう消費行動につながっていくのかというところについては十分ではないかなと。その辺の違いについてのアンケートが申し訳ないのですが私どもの手元にない状況です。

別件ですが、先日の消費者のデジタル化への対応に関する検討会で結論が取りまとめられたのですが、その受け止めをお願いします。

会議でも申し上げましたが、消費者はこれから「新しい日常」の中で、デジタル化というのは避けられないということだと思いますし、これは物価モニター調査でも、従来に比べると、デジタルデバイスを使っていろいろお買物をされたり、音楽鑑賞とか、映画鑑賞とか、あるいは飲み会をされているということについては、先日御紹介をしたとおりだと思います。
ただ、一方で皆さんそんなにいきなり慣れていない方もたくさんいらっしゃって、それにどういった課題があるのかというのは御存知ない方もいらっしゃるので、それはどういったものかということを十分分かった上でお使いいただいた方がいいのではないかと思っております。
また、デジタルと消費者との関係については、そもそも社会インフラとして必要なある程度のいろいろなルール化みたいなことも本来は必要だとは思いますけれども、これは今、別の会議で議論しているところですので、お時間をいただければと思います。とはいえ現時点で何に気を付けなくてはいけないかということについては、消費者もきちんと分かる必要があるだろうということでまとめさせていただいたものです。
今後、あのまとめをベースにしながら、例えば消費者教育の場といったところにおいても、うまくそれを反映させていきたいと思っております。

共同通信の国枝です。
先日公表された東京医科大学の簡易確定手続の開始決定があったかと思うのですが、対象人数が5,200人に対して、消費者機構日本の方で連絡が取れる人数が500人で1割にも満たないということです。初の制度利用ということもあると思うのですが、実際の救済につながるのかということについて危惧しているのですが、その点、消費者庁の方からは広報されたりですとか、対象の方は消費者機構日本に連絡するようにだとか、そういった呼び掛けというのは。

先週、御発言をさせていただいたかと思いますが、連絡先が分からない方もいらっしゃるので、広く対象者の方に気付いていただいて、消費者機構日本に御連絡いただくということは、御指摘のとおりとても大事だと思いますので、私どもの方でもウェブサイトに作成したチラシを掲載させていただいているところです。是非対象者の方におかれましては、消費者機構日本に御連絡いただきますように私からもお願いしたいと思います。

読売新聞の加藤です。
この魚類のガイドラインですが、標準和名を提唱可能にするスキームを構築されると、この意義付けというか、これができることによって小売の方などが消費者庁を窓口として新しい和名を提唱できるということですが、どういうメリットがあるのでしょうか。

標準和名が付くと、当然のことながら一般の消費者に非常に分かりやすい名前になるので、結果的に見ると市場の中では扱いやすいということになろうかと思いますので、そういった効果があると思います。
それに当たって、事業者の方が研究者に直接アプローチするというのはなかなか難しいという点を御指摘いただいたものですから、私どもの方が窓口になってそれをつなぐと。それについて、日本魚類学会の方も協力すると言っていただいたので、今回こういう形を採ることとしました。名前が付いていくと、消費者側の方も分かりやすいということで、選択しやすくなるというメリットがあるのではないかと思っております。

そうすると、もうこれを提唱されて、学会の方でも新しい和名が付きましたというようになると、ガイドラインは都度都度更新していくような形になるという理解でいいでしょうか。

その標準和名が今のガイドラインに書いていないからといって、売ることができないというわけではないのですが、そういう分かりやすい名前が一般に人口に膾炙(かいしゃ)する発端にできるということにメリットがあると思います。ガイドラインの方は都度都度というよりは、また幾らかたまっていったときにやるということになろうかと思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
先ほどの共同通信さんの質問にも関連するのですが、先週、日本弁護士連合会が消費者裁判手続特例法についての施行後見直しについて、意見を大臣と長官に出されました。法内容についてということとか、新しい制度項目をということは盛り込まれていますが、施行後3年は過ぎていますので、その見直しというのはいつ頃着手されるのかということについて、どう思われますか。

今、御指摘いただいた要望書というか、意見書を頂いているということは承知しております。
施行後、今回の東京医科大学の例も出ましたし、また、裁判までには至らなくても、その前にいろいろな形の和解で消費者被害が防止された例もたくさんあると承知しております。
今の御指摘については、全体の様子を見させていただいて、まだいつ着手するということまで言える状況にはございませんが、私どもの方でよく勉強させていただいて、検討をしていきたいと思っております。