伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年7月15日(水) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)
発言要旨
本日は私からは四点ございます。
まず始めに、令和2年7月豪雨に関連する注意喚起です。
改めまして、令和2年7月豪雨によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
被災地では今後、生活再建に向かう中で、便乗した悪質商法や各種消費者トラブルの発生が懸念されることから、金融庁、国土交通省及び関係の業界団体と連携して注意喚起資料を作成いたしました。PIO-NETでは、7月14日時点で7月豪雨関連のものはまだ10件程度ということで、あまり多いわけではございません。そういう意味では注意喚起はまだ早いのではとも思いましたが、既に大分県日田市で、危険度を判定する紙を被災建物に貼って修理を勧誘するといった事例がありまして、これについて日田市と国土交通省が注意喚起をしているという事案がもう起きておりますので、こういった災害後によく起こる例を紹介させていただいて、注意喚起させていただきたいと思います。不審・不安に思ったら、注意喚起資料に記してありますように、消費者ホットライン188や、住宅の補修等の関係でしたら「住まいるダイヤル」、保険に関係することでしたら各保険会社等に御相談いただきたいと思います。
二点目は、令和2年7月物価モニター調査結果についてです。
本日、令和2年7月の物価モニター調査結果を公表いたしました。調査期間は7月2日から6日までであります。まず、今後3か月間の家計の消費支出については「減らそうと思っている」あるいは「特段増やそうとも減らそうとも思っていない」といったような数字を見ますと、全体として消費の抑制傾向がやや落ち着いてきたとみられると思っております。
また、今回、新しい生活様式で提言されているオンラインサービスの活用状況、それから今後1か月間の外食やテイクアウト等の利用予定も意識調査で聞いております。オンラインサービスについては既に御報告させていただいているところでありますが、この1~2か月の間にオンラインショッピングを利用したことのあるモニターが約8割ということで、最も多い状況でありました。ほかのサービスですが、オンラインでの音楽鑑賞、映画鑑賞等、あるいはオンライン飲み会、お茶会等といったものにつきましては、2割、あるいは1割弱という状況ではございますが、年代別に見ますと、例えばオンライン飲み会、お茶会等は20~30代で約2~3割と、ほかの年代に比べて非常に高かったということであります。前の調査がないので比較はできないのですが、恐らくオンライン飲み会、お茶会等はもともとこの前にはなかったことだと思いますので、こんなにたくさんの方が、という印象を私自身は持ちました。また、今後1か月間の外食等の予定を複数回答でお尋ねしたところ、「家族と昼食」や「家族と夕食」が約3割である一方、友人・職場の同僚などと大人数での食事は1割未満と低く、控える傾向がうかがえます。加えて、「積極的に外食する予定がない」との回答が約4割と高い状況にあります。積極的に外食を予定しない理由は「感染防止のためにまだ不要不急の外出は控えるべきだと思うから」が約6割と最多でありました。このように直近の消費者心理を反映したものになっていると思われましたので御紹介いたします。
三点目は「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」の進捗状況についての御報告です。
令和4年(2022年)の4月から成年年齢の18歳への引下げがございます。2018年度からの3年間を集中強化期間とする「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」というものを関係省庁と連携して取り組んでおります。本日、集中強化期間の2年目である2019年度の進捗状況を消費者庁のウェブサイトに公表いたします。
アクションプログラムでは「社会への扉」等の消費者教育教材の活用による実践的な授業を推進しておりまして、この活用実績は高等学校等の数で見ますと、2018年度が38%(3分の1程度)でありましたが、2019年度は67%(3分の2程度)ということで、確実に上がっているところであります。
一定の成果はあるのですが、一方で中身を見ますと、やはり私立学校や特別支援学校の割合が低いという状況にございますので、これにつきましては関係省庁と連携して取組を進めたいと思っております。
四点目は、東京医科大学訴訟の簡易確定手続の開始決定についてです。
7月10日、消費者裁判手続特例法に基づく東京医科大学訴訟について、東京地方裁判所により、二段階目に当たります簡易確定手続開始の決定がなされております。
対象消費者が入学検定料等の支払を求めて手続の参加を希望する場合は、本手続の申立団体である消費者機構日本に御連絡いただいて、本年9月20日までに必要な手続を行っていただく必要があります。本法による最初の裁判ということもございますので、多くの対象消費者が手続に参加し、被害回復が円滑に進むことを期待しております。
質疑応答
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問
共同通信の国枝です。
豪雨の関係でPIO-NETに寄せられた相談が10件程度とあるのですが、主にどういった相談なのか具体的に知りたいのですが。 -
答
キャンセル等に関するようなものが4件くらいで、いわゆる訪問事業者に関するものが2件程度ですが、まだ直接、災害後の消費者被害という感じのものではないと思っております。
- 問 不審な問合せがあったとか、そういうものはありますか。
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答
点検商法じゃないですけど、ちょっと下水が、排水管がこういうふうになっているのですが。といったようなものがあったということであります。詳しくは、後で担当の方にお尋ねいただければと思います。
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問
NHKの秋山です。
物価モニターの関係で伺います。前回6月のネットショップのトラブルの質問などはあったりしたかと思うのですが、今回、外食とテイクアウトの結果が幾つか出てきて、かなり生活様式というか感染拡大防止を意識された結果で、さらに今後もそうした傾向が続くのではないかという結果かなというふうに理解いたしました。これを踏まえてまた改めて、既にやられていますが、消費者に対する意識ですとか、テイクアウトに関する注意点とかも既に啓発されていると思いますけど、この結果を踏まえて何か取り組まれたい、若しくは再度呼び掛けたいことなどありましたら、少し教えていただけないでしょうか。 -
答
外食につきましても、既に事業者のガイドラインを作られてやられているということに対して、一方で、それについて消費者はどういうふうな形で対応したらいいかということについても、既にチラシも作成させていただいているところです。
またテイクアウトについても、先日、気を付けるべきことは申し上げたところでありますが、我々としては、一つはこういった生活様式、感染拡大の状況等々によって皆さんの感覚も違うと思うのですが、引き続き機会を見てまたモニターしていきたいと思っております。それから、併せてこういった新しい生活様式に対応して、事業者の方も守っていただく、それに対して消費者の方もそれに対応した行動を取っていただくというように、共に協働しながらやっていく必要があろうかと思いますので、その点、外食もそうですし、テイクアウトも同様なところがあろうかと思いますので、是非皆様方にはそういったことに留意しながら行動していただきたいと思います。 - 問 本日、東京都がレベルを引き上げるという動きもありまして、少し地域差みたいなものがまた改めて出てくるのではないかと思うのですが、Go To キャンペーンなども始まる予定で、人の動きが進められる地域と、一方で感染防止をしなければいけない地域、さらに災害に備えないといけない地域、様々な状況があると思います。そういった観点から、消費者に改めて気を付けてもらいたいもの、特に、この動向という意味でいうと、引き続き感染防止、どのようにしていかないといけないのか。
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答
御指摘のとおり、今までですと全国のそれぞれの皆様に対して一律に申し上げたところはあろうかと思いますが、地域によっては感染防止が重要なところ、今御指摘いただいたような、災害に関連した詐欺被害と新型コロナウイルス対応と両方見なくてはいけないところ、もっと経済活動にドライブを掛けても大丈夫なところと、様々な地域があろうかと思います。
私どものチラシ等につきましては、当然、地方公共団体や地域の消費生活センターの方にも共有化させていただこうと思っておりますが、それぞれの地域において必要な発信をしていただくように、私どもの方からも改めてお願いしたいと思っております。 -
問
フジテレビの一之瀬です。
一部報道で、販売預託商法禁止へという情報が出ておりましたが、現在検討中ではあると思いますが、預託法の改正に向けたスケジュール感も含めて、現在の状況を教えていただければと思います。 -
答
販売預託商法につきましては、ジャパンライフをはじめとする、非常に悪質で、たくさんの方が被害に遭われた重大な事案が続いていると認識しております。こういったことを背景にして、河上先生を委員長として現在検討委員会を進めさせていただいているところです。また次の会合も近々開催する予定ですが、夏頃に一定の取りまとめをしたいと思っておりまして、これを基に必要な法制備等を、必要であれば当然取り組んでいきたいと思っています。
一部、そういった議論がされているということは、もちろん河上委員長からそういった議論の取りまとめとして御発言をいただいておりますので、当然承知しております。よくそれを踏まえた上で私どもとしても詰めさせていただきたいと思っております。 -
問
朝日新聞の兼田です。
冒頭発言の東京医科大学訴訟のところで、手続を行うと称する不審なものには御注意くださいという部分があったのですが、これは具体的な相談などがあるということなのか、それとも一般論として注意を促しているのか。 -
答
現時点ではそういった報告事例はないのですが、このようなことがありますと、必ずそういうことに便乗してやられる方がいるのではないかということで、あらかじめ注意喚起をすると、そういった性格です。具体的に今こういう案件が来ているということではございません。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
7月9日に国民生活センターがホットヨガについて、フィットネスのサービスの中でもホットヨガの危害が占める割合が増えてきているということで、このホットヨガについては何年か前にも契約問題で問題化して、今回は安全の問題といいますか、その危害が多いと。
これについて消費者庁に情報提供されたということですが、特定商取引法の改正も今見直しがあるのですが、何かそういう法的規制含めて検討の御予定はありますでしょうか。 -
答
ホットヨガについては、今回7月9日に国民生活センターの方からやらせていただいた注意喚起資料は、むしろ契約の問題というよりは、レッスン中だけではなくて、レッスン後にも体調不良になることがあるということで、非常に暑くて湿度の高いところでいきなり運動されると、非常に調子が悪くなる事案がたくさん発生しているということでございます。
恐らくこれにつきましては、ホットヨガをする前の体調管理の問題もあります。体調管理について、こういうことに気を付けなくてはいけないといったことは事業者にも気を付けていただかなくてはいけませんし、また当然、きちんと水分補給をしながらやっていただくことが大切です。事業者と消費者と両方気を付けることがあろうかと思いますので、こういった注意喚起に至ったものだと思っています。
法改正というよりは、安全・安心の観点から、それぞれが気を付けていく必要があるという注意喚起だと認識しておりまして、これは国民生活センターの方からも言われておりますが、我々の方も受け止めて、様々なところに情報提供していく性格のものだと思っております。 -
問
NHKの秋山です。
政府の方で骨太の方針の骨格を示されるように、まだ正式決定は先だと思いますが、デジタル関係など、幾つか消費者絡みの方針というか内容も盛り込まれているかと思います。今後、方針が示された後に何か検討されていることとか、もし具体的にスケジュールなど分かっていれば教えていただけますか。 -
答
未来投資会議や経済財政諮問会議において、いわゆる成長戦略や骨太方針の案が公表されたことは承知しております。
現在、閣議決定に向けて調整が進められている状況でございますので、私の方から詳細なコメントは控えさせていただきたいと思いますが、消費者庁としては、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引への対応ですとか、あるいはデジタル化、国際化に対応するための相談態勢、機能強化等は大事だということで、既に消費者基本計画の工程表にも書かせていただいているところです。その中でも、例えばデジタル化の消費者取引との関係につきましては、大体年末までに一定の取りまとめをするということを書かせていただいていると思いますが、会議そのもの、検討会そのものはまず夏までに一定の結論を得るということを既にお話しているところでございますので、そういった一定の結論を得た上で引き続き議論をして、年末までに議論をまとめたいと思っております。
また、ほかのことにつきましても、既に先ほど申し上げた消費者基本計画の工程表に書かせていただいているとおりでございます。私どもとしてはしっかり受け止めて対応していきたいと思っております。