伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年7月1日(水) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
私からは三点ございます。
一点目は、消毒・除菌商品についてです。
消費者庁は、消費者の方々が新型コロナウイルス感染症対策として、消毒や除菌効果を標ぼうする商品を購入する際の商品選択に資するよう、厚生労働省及び経済産業省と連名で啓発用チラシを作成し、既に消費者庁ウェブサイト及び各種SNSを通じて公表しております。
一つは、消毒や除菌効果をうたう商品は目的に合ったものをまず選んでいただくことが大切だということです。手指の消毒にはまず手洗い。物の消毒は、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする家庭用の漂白剤を希釈して利用する。あるいは、界面活性剤を含む家庭用の住宅・家具用洗剤や薄めた台所用洗剤で消毒が可能です。このほか、物の消毒としては、次亜塩素酸水が、有効な濃度と使い方を守っていただいて使えば有効であることが、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)で確認されておりまして、既に公表されております。
それと併せまして、特に何を気を付けなければいけないかが分かりにくいところがあると思います。まず、消毒・除菌商品を購入するときの注意点でございますが、手指の消毒剤を購入する際は、消毒をうたう医薬品・医薬部外品、あるいはアルコール濃度60%以上のものを選んでいただくことが大事です。アルコール濃度60%以上と書いていなくて分かりにくいというものがあろうかと思いますが、消防法上、アルコール濃度が60%以上ものは「火気厳禁」と記載しなくてはいけないということになっておりますので、それを見ていただくと、これは60%以上だなということがお分かりになるので、それを一つの目安にしていただければと思います。
それから、消毒・除菌商品を安全に使用するための注意点でございますが、アルコール濃度60%以上ということになりますので、火気厳禁ということになります。キッチンなどの火の気のある場所で使用するのはお控えいただければと思います。また、空間噴霧につきましてはお勧めはしておりません。さらに、最近はマスクにシュッシュッとされる方をお見かけするのですが、マスクに噴霧して、薬剤を吸引してしまうような状態で使用することはお勧めしておりません。このようなことを整理しておりますので、御参考にしていただき、正しく消毒・除菌をうたう商品とお付き合いいただければと思います。
新型コロナウイルス感染症対策における消費者庁の取組については、引き続き関係府省と連携して、適切な情報発信に努めていきたいと思っております。
二点目は、テイクアウト等を使用するときのポイントについてです。
食中毒予防の観点から飲食店のテイクアウト等を利用するときのポイントについて注意喚起の公表を行いました。これは、新しい生活様式の普及に伴い、飲食店のテイクアウト等を利用する機会が増えていること、また7月~9月が、気温や湿度との関係で食中毒の原因となる細菌が非常に増殖しやすい季節でございますので、このタイミングで注意を呼び掛けるものです。主なポイントとしては、(1)食品を購入したらすぐに帰宅する。(2)持ち帰ったら速やかに食べる。(3)再加熱をするときは中心までしっかり加熱する。(4)食べる前にはしっかり手を洗う。などが挙げられております。食中毒予防には「つけない(洗浄、消毒)」「ふやさない(温度管理、速やかな喫食)」「やっつける(加熱)」の三原則の徹底が重要です。是非この季節、気を付けていただきたいと思っております。
三点目は「デジタルプラットフォームを介した取引の利用者向けガイドブック」の公表についてです。
これは、後ほど担当課の方から詳細を御説明させていただきますが、近年、デジタルプラットフォームを介した取引が増加していることを踏まえまして、消費者庁においては、二つの検討会を御案内のとおり立ち上げているところです。一つは主に事業者がどういう役割を果たすといいかということの議論です。もう一つは、消費者にとってどういったことに気を付ければいいかについてで、両方とも今、検討会で議論をしていただいて、この夏の取りまとめに向けて、現在、作業を鋭意進めているところです。新型コロナウイルス感染症拡大を受けた新たな生活様式において、デジタルプラットフォームを介した取引の更なる増加が見込まれますので、今後どうしていくかということももちろん大事なのですが、現行法制下において可能な対応は速やかにしていく必要があろうと思っておりまして、そうした観点から、前回の消費者向けの議論のところで、このガイドブックをできるだけ早く取りまとめた方がいいということを委員からも言われたところでございますので、これを踏まえて、検討会の報告書に先んじてガイドブックを公表したいと思っています。
このガイドブックは、デジタルプラットフォームを介する取引に共通した事項を抽出して、購入者として気を付けること、出品者として気を付けること、その両方について整理をしたものです。
特に、デジタルプラットフォームに不慣れな消費者への注意喚起や、相談対応をやっていただいている地方公共団体とか、消費生活相談をやられている方に対してもお使いいただけるものだと思っておりますし、また、これを基に、消費者にとってより分かりやすい簡潔な啓発資料についても今後作成していきたいと思っております。
新型コロナウイルス感染症に関連しまして、こういった消毒・除菌の話、食中毒の話、デジタルプラットフォームを介しての話といった新しい日常に向けて、私どもとしても、消費者が気を付けるべきことについて引き続き発信をしていきたいと思っております。
質疑応答
-
問
NHKの秋山です。
冒頭の消毒・除菌の表示の件ですが、使用する際や購入する際の注意点について、とても分かりやすく拝見いたしました。配布資料のチェックポイントのところに表示で四つ重要なものが掲げられているかと思いますが、一般に出回っているものでは、こうした表示が、法律上明記しなくてもいいという観点からされていないものもあります。購入する際、こういったポイントがないものは、消費者はどのように判断すればいいのかについて教えていただけますでしょうか。 -
答
手指に使う場合については、医薬品や医薬部外品、あるいはアルコール濃度が60%以上のものが有効ではあると思いますし、60%以上ということが書かれていない場合は、先ほど申し上げたように火気厳禁と書かれているかを一つの目安にしていただければ分かるかと思います。
薬機法上のそういった医薬品や医薬部外品については必ず記載がありますので、それを目安にしていただく。それから、火気厳禁という記載があるかを目安にしていただければ分かりやすいのではないかと思います。
その上で、御指摘のとおり物品に関しても、ファクトシートなどを出させていただいているところでありますが、実際にお店に行ったときにはなかなか書かれていないということで、分かりにくいという点があろうかと思います。
これについては、現在、経済産業省と御相談をさせていただいておりまして、小売店等々に対して、消費者が使用方法や有効成分、濃度等をできるだけ分かるような形でPOPを出していただくとか、ホームページに出していただくとか、そういったことに努めていただくようにお願いをしようと思っております。それは近々文書を出したいと思っておりますので、そういったことを通じて本当に有効なものを、その場面、場面に応じて消費者が選んでいただけるような環境整備をしていきたいと思っております。 - 問 もう一点、現在は法律上はそういった明記がなくても、特に一番分かりづらいのは雑貨に分類している次亜塩素酸水だと思いますが、そういったものがない場合については、現時点ではやはり消費者は判断ができないと思うのですが、そこはお店に聞いたり、メーカーに問い合わせてもらいたいというところでしょうか。
-
答
成分と使い方の両方を見ていただく必要があろうかと思いますので、それぞれによってかなり違いますので、そこはお店なり、ホームページなりを見ていただいて、御確認いただければと思っております。
また、次亜塩素酸水につきましては、先日3省庁合同で御紹介をさせていただいているところでありますので、そのような濃度での使い方を心掛けていただければと思っております。 - 問 最後に、中には悪質なところで、手指に使っていいとか、全てのウイルスに効くとかっていうふうにうたっている広告も散見されるのですが、そういったものに対しては、法律に違反するようであれば厳正に対処していくという理解でよろしいでしょうか。
-
答
景品表示法に基づく不当表示に当たるものがございましたら、それは当然、法と証拠に基づいて厳正に対処をしていきたいと思っております。
-
問
読売新聞の加藤です。
次亜塩素酸水についてですが、消費者庁の注意喚起の在り方というのが、事故情報データバンクを見ていると、3月末くらいからちらほら、噴霧したら目が痛くなったとか、そういった情報が挙がってきています。6月に入ってから、文部科学省は噴霧しないでくれというふうなことを各教育委員会に通知を出されたと思いますが、事故情報データバンクを見ると、噴霧しないでくれとか、手指に使ったとかっていうのもあったりするので、消費者庁としてそういった注意喚起ができなかったというか、しなかった理由があれば教えていただければと思います。 -
答
次亜塩素酸水に限らず、空中噴霧自体は、もともとWHOを始めとして空間噴霧についてはお勧めしないということを言われておりましたので、それについては早いうちに幅広く申し上げた方が良かったかなという思いはありますが、一方で、次亜塩素酸水を含めて、その有効性等々について、ちょうどその検証が進められているところでしたので、それも併せて情報提供しないとやや分かりにくいところがあるのではないかということで、その結論を待って、併せて情報提供させていただいたということであります。
できるだけ分かっていることについては早めに、正確にお伝えするように努めていきたいと思っております。 - 問 その正確にという、やはり検証が進められていると。その中であまり使わないでくれみたいなふうに言ったときに、混乱を来すという理解でいいのですかね。
-
答
混乱を来すというか、いろいろな議論をまとめてやらないと、あれはどうなんだ、これはどうなんだという議論になるものですから、今回一区切り、いろいろな情報がそろったので、まとめて御報告をさせていただいた方が分かりやすいのではということでやらせていただいたということであります。
-
問
共同通信の国枝です。
テイクアウトの注意点についてですが、消費者に対しては非常に分かりやすいと思うのですが、事業者に向けて何か注意喚起されることはありますでしょうか。 -
答
事業者については、既に厚生労働省から、5月と6月に文書が出ております。
特に、今回新型コロナウイルス感染症の関係で、新たにテイクアウトとか、デリバリーを始められる飲食店がいらっしゃるということを踏まえて、衛生管理を徹底して、食中毒に注意をしてくれというような形で、通知あるいはチラシも出されておりますので、それはそちらの方でやられているということでございますので、私どもの方としては消費者の方の立場に立って、消費者が気を付けるべきことというのを情報発信することかなと思っております。 -
問
ウェルネスニュースグループの木村です。
先週の金曜日に消費者委員会の方で、定期購入に関する対策で、特定商取引法のガイドラインの見直しを消費者庁に求める意見をまとめましたが、それに対する受け止めをお聞かせください。 -
答
6月26日に消費者委員会が「悪質なお試し商法に関する意見」を公表したということは当然承知しております。消費者庁としても、詐欺的な定期購入商法に対する監視を強化しておりまして、実際に通信販売における定期購入に関する表示について、特定商取引法に違反した事業者に対して行政処分も行っております。また、消費者への注意喚起も行っているところです。
ただ、一方で制度的な手当について、更に検討が必要ではないかという御意見があることも事実です。この問題につきましては、6月29日に開催された特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会で、詐欺的な定期購入商法を含むデジタル化に伴う課題等について議論をさせていただいたところでありますので、ここの中での議論、それから消費者委員会の意見も踏まえながら、検討委員会において引き続き議論を進め、今年の夏までに一定の結論を得た上で、必要な制度設計をしてまいりたいと思っております。 - 問 結論が出た後の話ですが、その法律の改正に伴う部分と、ガイドラインの見直しのようにすぐにできるような部分があるかと思うのですが、すぐにできるようなところは、もうすぐにやっていくというような、そんなスタンスでしょうか。
-
答
全体で、何と何をやらなくてはいけないか、今整理しているところですので、この部分は早くできるとか、まだ十分そこまで至っていないものですから、いろいろなことが分かった上で、もちろんできることであればできるだけ早くやりたいと思います。今の時点で、この部分だけは早くできますよということを申し上げられるほど整理はまだできていないと思っています。できるだけ頑張って検討したいと思います。
-
問
日経新聞の川口です。
一部報道で、ハイオクガソリンの誇大な表現を修正したというところがあるのですが、これは景表法違反に当たるのかどうか、消費者庁の見解をお伺いしたいです。 -
答
個別の事案についての見解は、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、当然、法と証拠に基づいて、問題があれば対処したいと思っております。
- 問 ということは、これから調査を始めるのですか。
-
答
個別の事案についてのお答えは控えさせていただきます。
-
問
NHKの秋山です。
本日からレジ袋の無料配布が中止になりました。それに関して何か消費者庁の方から発信されたり、検討されていることがあれば教えていただけないでしょうか。 -
答
本日より全国でレジ袋有料化が始まっております。レジ袋有料化の目的は御案内のとおり、これをきっかけにしてプラスチックごみ問題について考えていただくということだと思います。
消費者庁では、もともとエシカル消費の普及・啓発を行っておりまして、その中においても、このプラスチックごみ問題が大変大事な問題だということで、白書などでも取り上げさせていただいているところであります。
今年の消費者白書によれば、消費者の89%がプラスチックごみ問題に非常に関心がある、又はある程度関心があると回答しておりまして、非常に消費者の関心が高い問題だと思っております。
消費者の皆様におかれましては、引き続きマイバッグを活用するなどのプラスチックごみ削減に御協力いただきたいと思います。また一方で、新型コロナウイルス感染症について心配する声がございますけれども、これも既に買物エチケットのお願いというのを私どもの方でさせていただいておりますが、その中においても、マイバッグへの袋詰めはできるだけ自分でやっていただいて、使用前後には洗浄、消毒もやってくださいという呼び掛けもさせていただいているところであります。
今後とも、レジ袋の有料化も契機としながら、そうしたエシカル消費の考え方と行動が更に広がるように、環境省等の関係省庁や関係団体と連携して、しっかり取り組んでいきたいと思っております。 -
問
フジテレビの一之瀬です。
次亜塩素酸水についてですが、一部の業界団体は空間噴霧について、NITEで実験していないのにお勧めしないと表記していることについて批判をしておりますが、それについての受け止めがあればよろしくお願いします。 -
答
空間噴霧については、WHOは新型コロナウイルスに対する消毒に関する見解の中で、室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の空間噴霧や、燻煙をすることは推奨されないと。また、消毒剤を人体に対して空間噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されないと言っております。
これは次亜塩素酸水ということに限らず、ほかのアルコールも含めて、消毒・除菌に係るもの一般に言われていることでございますので、そうした国際的な知見を踏まえて、厚生労働省では、消毒剤やその他ウイルスの量を減少させる物質について、目や皮膚に付着し吸い込むおそれのある場所での空間噴霧はお勧めしないというふうにしているところでありますので、私どもとしても3省庁連名でそういったチラシについて書かせていただいているということだと思っております。