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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年6月24日(水) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1214特別会議室)

発言要旨

まず、私からは二点申し上げたいと思います。
一つ目は、自転車に関する消費者事故等の傾向を踏まえた注意喚起です。
withコロナあるいはアフターコロナの新しい生活様式の中でも自転車の利用というのは推奨されております。また民間の調査でも、通勤などに自転車利用をしたいという人が、やはり以前よりも非常に増えるというデータもございます。一方で、例年7月に自転車事故が最も多いということもございますので、今後、自転車の利用機会の増加等があるということも踏まえまして、このタイミングで改めまして注意を呼び掛けたいと思います。
主なポイントといたしましては、これも、古くて新しい話でありますが、(1)乗車前には異常がないかを点検していただく。(2)子どもを乗せる場合には荷台に乗せない。(3)「自転車安全利用五則」を守り、保険に加入する。などが挙げられております。さらに、ちょうど一年前、昨年の6月24日付けで消費者庁が注意喚起を行いました、ハンドルロック「一発二錠」を搭載した自転車、これはリコール等をしておりますけれども、まだ充分に回収が進んでいない状況にございますので、これをお持ちの方でハンドルロックのケースが破損している場合には、すぐに当該自転車等の使用を中止いただくように、改めまして注意を呼び掛けたいと思います。
二つ目は「地方消費者行政に関する先進的モデル事業」の公募結果についてです。
この事業は、今年度から地方消費者行政の強化のために始めた新事業であります。4月22日の会見において公募開始をお知らせいたしましたが、この度、応募をいただいた企画提案の中から8件の事業を選定いたしましたのでお知らせいたします。具体的な事業の内容については、お配りしている資料のとおりですが、例えば、消費生活センターにおける障害者からの相談対応手法の開発、相談現場における対応困難者(いわゆるクレーマー)への対応マニュアルの作成、地域における企業と連携した消費者教育プログラムの開発、などを選定しております。事業の実施に当たっては、委託先の事業者と地方公共団体等の地域の関係者が連携しながら、他の地域のモデルとなるような事業を行っていくことを期待しております。

質疑応答

フジテレビの一ノ瀬です。
自転車事故に関してですが、7月に最も多いというのは、何か背景的なものは分析ありますでしょうか。

あまり原因はよく分かってないのですが、7月になると梅雨明けだったりして、お乗りになられる方が一般的に増えるということではないかと思っております。

ウェルネスニュースグループの木村です。
昨日の消費者のデジタル化への対応に関する検討会で、利用者向けのガイドブックについてはもう合意されて、先にもう展開していこうというお話になったかと思いますが、消費者庁として具体的にどのように普及啓発していく予定なのかということについて教えてください。

すみません、利用者向けのガイドブックとおっしゃったと思いますけれども、消費者とそのデジタルとの関係においてはツールがいろいろあります。それに対応してそれぞれどう考えていくかということで、ガイドブックを作るということを確か申し上げていたかと思います。関係の省庁だとか関係者のヒアリングなどもしながら、必要に応じて、ものによってやり方が違ってくるのではないかと思いますが、できるだけ早い時期にまとめて公表をしていきたいと思います。例えばゲーム障害などもそうかもしれませんが、ものに応じて対応していきたいと思っております。

NHKの秋山です。
今のお話に少し関連しますが、デジタル化の議論で、内閣府の方でも広告規制の議論が進んでいると理解しているのですが、長官の考えとして、あちらの検討と、こちらのデジタル・プラットフォームなどの検討との両輪というか、関係性というのは、どのように今、考えていらっしゃるのでしょうか。

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律が成立しまして、また次には、今、御指摘いただいたような広告の話が議題に挙がっているということについては承知しております。まず法律は、GAFAといった割と大規模なプラットフォーム事業者と、そこでの事業をなさる中小の事業者との関係というのがメインで、取引の透明性を確保するということがまず目的だと思います。広告になってきますと、それと併せて、やや消費者との関係も出てくると考えております。
私どもの方の会議は、むしろ消費者保護の観点から、幾つか御報告しておりますように、いろいろな消費者トラブルがあり、実際に注意喚起をしたり、行政処分をしたりした例がありますので、そういったことを事前に予防するという観点から、どういった取組をするべきかという議論をさせていただいているところです。先ほどの広告の部分などと結果的に見るとシンクロする部分があるかもしれませんが、これはこれから議論をしていきたいと思っています。
どちらかといったら向こうで議論されているのは事業者との関係で、こちら側はむしろプラットフォーム事業者と対消費者だということで、スタンスは違っているかなと思っております。いずれにしろ、よく連携して行いたいと思っています。

朝日新聞の前田です。
先ほどの長官の話にもあったのですが、ゲーム障害について、デジタル化の検討会の中で、正しくまず相談を受けるために、職員の方にギャンブル依存症の対応のマニュアルを基にしてマニュアルを作るということと、併せて、専門機関につなぐことも大事ではないかというような一言が資料の中にもあったと思うのですが、ゲーム障害に対応している専門機関や民間支援団体がまだ少ない中で、どうやって個人情報の話もあるのに、つないでいくということを考えておられるのかなというのが、まだ具体的に決まってはいないと思いますが、つなぐということができれば理想なのだと思いますが、その辺りの長官のお考えを伺いたいなと思います。

これについては、もともとギャンブル等依存症に関連すると考えられる多重債務問題に係る相談への対応に際してのマニュアルというものを既に作っておりまして、この中では、マニュアルを国民生活センター等の消費生活相談員自体に御理解いただくことと併せて、センターで実際に、今おっしゃっているような医療機関等にうまくつないでいくということをやらせていただいております。
つなぐというよりは、こういうところがありますよという格好で情報提供するということだと思いますが、それと同様のことがゲーム障害においてもできるのではないかと思って書かせていただいているということです。
ゲーム障害そのものについてのお話については、もちろん厚生労働省が厚生労働省関係の専門窓口に対する相談マニュアルを、ちょうど今お作りになられようとしているところなので、それらの部局とも連携しながら、私どもとしては、消費生活の窓口の方にもどういうふうな対応をしたらいいかということについての相談のマニュアルを作ると同時に、先ほど申し上げたギャンブル等依存症に関して行っているようなことをゲーム依存症についてもできないかということで考えています。
ギャンブル等依存症に関しては、既に幾つかそういうつないでいるような実績もございますので、そこについては皆さんに御懸念がないような格好で行っていきたいと思っております。

ギャンブル依存症の相談者においては、医療機関に既につないでいるという実績が幾つかあるというお話でしたが、聞くところによると、ギャンブル依存症の方には、もう借金で首が回らなくて直接窓口に相談しに来るパターンもあって、そういう場合だとつなぎやすいというお話を聞いたのですが、ゲーム障害の場合だと親子さんが電話で相談するというパターンが多いでしょうし、そういう相談が多い中で、生身で会っての相談が少ないのではと思われる中で、医療機関につなぐにはどういう方法があるのか、まだ疑問が解けないのですけれども。

もともとこれからマニュアルは作っていくということですので、当然専門家の方々、あるいは厚生労働省とも御相談していきながらということですので、今御懸念のようなところも含めて考えていきたいと思っております。

そうすると、本年度中という報道が一部あったと思うのですが、少し厳しいのかなという気がしますが、目安の期間としてはどうですか。

期間として、本年度中というふうに文言とか資料で書いたことはないと思います。そこはよく調整して行いたいと思います。年度にこだわるというよりは、実際に意味のあるものにならないといけないと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
先ほどの地方消費者行政の先進的モデル事業の件で、これは新たな行政手法を構築すると記載されておりますが、実施に当たっては民間のプラットフォームが地域と連携してやるとなると、地域は既にもうその手を挙げていらっしゃるのかどうか、どういうふうにやるのかということをお聞きしたいです。
もう一点、先日、消費者安全調査委員会が水上設置遊具についての報告書を再発防止へ向けて意見を出されたのですが、そこには消費者庁長官への意見がなかったのですが、それについては消費者庁としてはどういう対応をとられるかということをお聞きしたいです。

まず、水上設置遊具における事故に関する消費者安全調査委員会の調査報告書の話について、申し上げたいと思います。
先週の金曜日に、この事故の調査報告書が公表されたということは承知しております。調査委員会からは、経済産業省と文部科学省に対して、事故の再発を防止するための体制の構築、それから事故要因に対するリスク低減策の検討を推し進めていただきたいと言われております。
消費者庁としては、このような省庁に対してこういった要請が出ておりますので、これをきちんと注視していき、確実に再発防止策が示されるよう支援をしていきたいと思っております。
それから、地方消費者行政に関する先進的モデル事業についてでございますが、これはもともと地方消費者行政の強化の観点から、地方公共団体を通じて行うだけではなくて、むしろ実際に現場で地方公共団体以外に消費者行政をやっていただいている方に前面に立ってもらって、現場の地方公共団体を巻き込んでいくという、ややその順番を逆転させるといいますか、そういったようなやり方をすることによって、地方消費者行政の足腰を強くする応援をしていきたいという趣旨で今年度から予算要求をして始めたものです。
今年はそういう意味でいうと、試行的にやってみて、どういうやり方ができるかということを考えていきたいと思っているのですが、ものによっては具体的にここで事業者が得られるものに対して、フィールドとして地方公共団体が参加するということもあれば、いろいろな議論のマニュアルを作るときに、その地方公共団体、あるいはそこの消費生活センターの方々にお入りいただくというような形のものもそれぞれ行いますので、そういった格好で現場を巻き込んでいきながら、現場の役に立つような形で進めていただくという形をお願いしておりまして、それぞれにおいてそういう事業計画を頂いて、これを審査して事業を選定したということであります。
また、それぞれのやり方はいろいろあると思いますので、やり方そのものも試行しながら、また次年度に向けて考えていきたいと思っております。