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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年6月17日(水) 14:00~14:12 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1214特別会議室)

発言要旨

まず始めに、小売電気事業者に対する重点的な点検の要請についてです。
ここ数年来、小売電気事業者が特定商取引法に違反する行為を行う事例が度々発生しておりまして、法令違反により行政処分をとる事例も発生しています。このため消費者庁では、本日、小売電気事業者として登録されている全655事業者に対して、特定商取引法で義務付けられている行為について、法令の遵守を改めてより強く徹底するとともに、自社だけでなく、委託先の事業者や関係会社等も含め、特定商取引法及び関係法令の各規定の遵守について自己点検を行い、コンプライアンス体制の一層の確立を図ることを消費者庁長官名で要請いたしました。消費者庁としては、今後も特定商取引法等に違反する行為があった場合には迅速かつ厳正に対処し、電力・ガス取引監視等委員会とも連携し、小売電気分野における取引の公正化・消費者被害の未然防止に取り組んでまいりたいと考えております。また、消費者の皆様においても、くれぐれも御注意いただくようお願いしたいと思います。
二点目は、令和2年6月物価モニター調査結果についてです。
本日、令和2年6月の物価モニター調査結果を公表いたしました。調査期間は6月4日から8日までであります。これは5月22日に緊急事態宣言解除後、初めての物価モニター調査ということになります。まず消費者の物価見通しですが、「変わらないと思う」と回答したモニターの割合が12.6%、前回は9.2%でございますから、5月調査から増加するなど、全体的には落ち着きを見せつつあると思っております。特徴的なのは今回の意識調査です。今回、意識調査では、春先の外出自粛・緊急事態宣言の発令から、新しい生活様式の提言に至るこの2か月のネットショッピングの利用頻度等を尋ねております。まず、この2か月間のネットショッピングの利用頻度は、月2~3回以上利用したモニターが59.6%と、1年3か月前の平成31年3月調査から約15%増加しております。年代別に見ても、月2~3回以上利用しているという人は全ての年代で増加しております。また、週に1回程度、あるいは週に2~3回以上といった利用頻度の高い方については、30代を除いてこれも増加しているという状況でございます。一方で、商品の破損ですとか、届かないといったトラブルも、やはり発生しております。消費者庁では、ネットショッピングに関するトラブルをまとめた注意喚起チラシを作成して、消費者に注意を呼び掛けてきたところでございますが、引き続き、ネットショッピング利用時のトラブルに十分注意していただきたいと思います。また併せて、現在、消費者のデジタル化への対応に関する検討会を行っておりますので、そうした中においても十分議論していきたいと思っております。
三点目は、消費者庁が令和2年度の新たな取組として行う「消費生活相談員担い手確保事業」の実施についてです。
御案内のとおり、消費生活相談員は消費者行政にとって大変大事な存在です。この事業は、より多くの方に消費者生活相談員資格の取得を目指していただけるよう、試験対策講座をeラーニング等に対応する形で行うものです。受講料は無料で、6月25日から受講者の募集を開始する予定です。eラーニングにより、パソコン、スマートフォン、タブレットから受講可能であることから、地方にお住まいの方も含めて、全国から多くの方の応募を期待しております。報道各位におかれましては、周知・広報に御協力をいただけると有り難いと思っております。

質疑応答

朝日新聞の兼田です。
冒頭にありました小売の電気事業者への要請ですが、これは個社にそれぞれ要請した形なのか、それとも業界団体のようなところにお願いしたのでしょうか。

業界団体は今ございませんので、個社にそれぞれ全部に出します。

では、先ほど600いくつとおっしゃいましたか。

現在、小売電気事業者として登録されている事業者数は655でありますので、655事業者それぞれに全部出します。

なるほど。今日付けで、ということですね。

はい。今日付けで行います。

関連ですが、この間の東京電力の子会社で、小売を行っている会社さんの委託先が、勧誘先とのやり取りを記録した録音を改ざんしたり、捏造したりしたということがあったみたいなのですが、これについての受け止めをお願いします。

報道があったことについては承知しております。消費者の同意なく契約を変更することや虚偽の説明を行うということは、報道が事実であるとすると極めて問題のある行為だと考えております。
消費者庁としては、個別の法執行に関してはコメントを差し控えますが、一般論として申し上げれば、特定商取引法に違反する行為があった場合には、迅速かつ厳正に対処したいと思っております。
小売電気事業者に関することにつきましては、国民生活センター及び全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数も比較的多いものだというふうに思っておりますので、この機会に小売電気事業者の方々におかれましては、きちんと点検していただきたいと思っておりますし、消費者の皆様にも十分勧誘に当たっては気を付けていただきたいと思っております。

読売新聞の加藤です。
担い手確保事業ですが、これは500~600名程度、これは先着だと考えてよろしいのでしょうか。

(地方協力課)そこは今まだ決めてはいません。もし超えた場合には、その状況に応じて考えていきたいと思います。

NHKの秋山です。
先ほどの冒頭の発言の関連ですが、処分が今年度も行われている中で、随時チラシなどで注意喚起されてきたと理解しておりますが、改めてこのタイミングで行われた理由として、先ほど挙がっていた東京電力の子会社の件などがあったから、というふうに理解すればいいのか、その辺りはいかがでしょうか。

これも、ここのところ高い頻度で処分しておりまして、そもそもやや緩みがあるのではないかと懸念しています。
この際、もう一回自己点検をしていただくことが大事ではないかと思い、文書を出させていただきました。個々のこれがきっかけということではございません。

もう一点、今回、関係会社等というところが明確に書かれているところが、これまでよりもより詳細な注意喚起をされているのかなという印象を受けるのですが、その辺りの狙いはいかがですか。

以前も別に本体ではなくて、委託先といいますか、関係会社のところに注意喚起なり、あるいはその処分をしたこともございますので、特段何かがあるというわけではございませんが、本体ではないから大丈夫だろうと思われる事業者がいらっしゃるようですので、この際、念のために申し上げておいたということでございます。

共同通信の国枝です。
今月末にキャッシュレス決済のポイント還元事業が終了すると思いますが、キャッシュレス決済やポイント還元事業をめぐってのトラブルだったり、消費者庁として注意喚起されることはありますでしょうか。

昨年10月から開始したキャッシュレス・ポイント還元事業をめぐっては、事業開始以降、全国の消費生活センター等に、数字は細かいところを精査しないといけないので正確ではなくて恐縮なのですが、少なくとも300件程度以上の相談が寄せられていると承知しています。その相談の中に、キャッシュレス決済をした後、還元が確認できないとか、買物をした後に還元額の上限があることを知ったとか、そういったものが含まれていると承知しております。
必ずしもその事業者なり、店舗の責任ではないものもあるとは思いますが、本事業については、事務局を一般社団法人キャッシュレス推進協議会が行われておりまして、そこで消費者向け問合せ窓口も設置されていると承知しておりますので、何か疑問がございましたら是非そちらに問合せしていただければと思っております。
なお、キャッシュレス・ポイント還元そのものではございませんが、今回の新しい生活様式ということの中では、キャッシュレス化の取組そのものというのは恐らく進むと見込んでおります。
これについては、今、消費者のデジタル化への対応に関する検討会というのもやらせていただいておりますので、今度は夏ぐらいまでにいろいろな報告書の取りまとめをするべく議論しているので、キャッシュレス化に伴う新たな消費者トラブルへの対応については、そうした中においても議論した上で、消費者にどのような注意喚起をしたらいいか整理をしていきたいと思っております。