伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年5月20日(水) 14:00~14:29 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
皆様には、大変御心配と御迷惑をお掛けしております。私自身も、家族も、今のところ何か症状が出る等の状況にはなく、過ごさせていただいております。
本日は冒頭に、新型コロナウイルス関連の話題を三つ、それから消費者志向経営についての御報告をさせていただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス関連です。お手元に、令和2年5月の物価モニター調査結果があると思います。今回の緊急事態宣言前後の対応と行動の変化などについて尋ねておりますので、御参考にしていただければと思います。
見ていただくと、参考の問の1、この3か月間の家計消費支出については、依然として支出を減らそうという割合が高いです。次のページですが、この1か月の間に値上げがあったと感じた商品、サービスについては、生鮮食品、日用品と回答した人が多いということです。これは外出自粛等による家庭での需要が増えたために、一部の生鮮野菜や豚肉等の価格の上昇が見られたものと考えられておりますが、生鮮野菜等の価格上昇は一時的な動きと見ております。
また、興味深いのは3番目のところですが、買物でございますけれども、頻度がやや減った、又は減ったとの回答が5割弱、1回の買物当たりの購入量が増えたと回答した人が6割強となっておりまして、買物の頻度を減らし、1回のお買物当たりの購入量を増やす動きが見られております。いずれも予想されていることではございますが、数字が物語っていると思います。
二つ目は、新型コロナウイルスに関する消費生活相談の状況でございます。毎回御説明しておりますが、国民生活センターなり消費者ホットライン188なりで受け付け、5月18日までにPIO-NETに登録された件数は累積で3万1,183件です。先週から見ますと4,448件増加しておりますので、この1週間は相談件数が非常に多かったということであります。この1週間のうち、相談が多いのはマスクを含む保健衛生関係で、注文していないマスクが届いた、送り付けられたといったような送り付けに係るものが、マスクを含む「保健衛生品その他」という商品分類のうち3割を超える数字になったと聞いております。他にもキャンセルの相談や10万円の給付金関連の相談がございまして、例えば、携帯電話会社と名のる人からメールが届いて、URLにアクセスしてしまったとか、アクセスをして申請をするように言われたとか、地方公共団体の代理人を名のる団体から、個人情報や口座番号を聞かれたといったようなことが見られております。
なお、先週、今までの相談の全体の傾向について御要望があったと思います。昨日、国民生活センターが頑張ってくれまして、PIO-NETでの登録の分析の状況を国民生活センターが公表してくれておりますので、これも併せて御覧いただければと思います。
三つ目です。緊急事態宣言解除に伴って、新しい生活様式を踏まえた新しい日常に移行する必要があります。全部解除されているわけではもちろんありませんが、それに対応して、企業活動の本格化のために業界団体が自分たちでガイドラインを作成しているというのは、御案内のとおりです。感染予防と経済活動の両立を図るためには消費者の協力が欠かせないと思っております。既に外食や小売に関しては、ウェブサイトに消費者向けのチラシを掲載させていただいておりますが、その他、様々な業界のガイドラインを整理いたしまして、消費者が知っておいていただきたいことが、こんなふうにお店の方はやっているとか、あるいは映画館とか、飛行機などの乗り物とか、こういうふうに考えているというようなものを、今、発表されているものを元に整理をして、今週の金曜日をめどにウェブサイトに掲載する予定であります。次々に新しい、いろいろなガイドラインが作られていると聞いておりますので、追加したほうがいいものがあれば、関係省庁と相談させていただいて、随時整理させていただきたいと思っております。
続いては、消費者志向経営についてです。
この3月に閣議決定しておりますが、消費者基本計画においても、消費者と事業者の協働ということをうたわせていただいているところであります。平成27年から始まった消費者志向経営は、自主宣言事業者が現在153社になっておりますが、より裾野を広げていき、これから事業者に取り組んでいただくためには、より分かりやすく、どういったことを求めているかということを整理する必要があると思っています。消費者志向経営の客観的な評価の考え方、評価軸を整理して公表したいと思っておりまして、そのために消費者志向経営の推進に関する有識者検討会を立ち上げ、5月22日(金)に第1回を開催したいと思っております。その上で活動中に取りまとめをしたいと思っております。また、今年度の表彰等の公募につきましては、9月以降にして、年度内に選定をしたいと思っております。
質疑応答
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問
テレビ朝日の北田です。
先ほど、消費生活相談の内容についてお聞かせいただきましたが、給付金の支給も始まっている中で、改めて注意喚起等あれば、よろしくお願いします。 -
答
給付金の支給については、地方公共団体等を名のり、口座番号や個人情報を聞き出そうという動きが一つと、分からないようにURLに誘導するといったようなタイプがあると思っております。
チラシでも書かせていただいておりますけれども、直接そのようなことを電話やメールで地方公共団体がお尋ねするということは全くございませんので、絶対に個人情報は渡さないでいただきたいと改めて申し上げたいと思いますし、御心配なことがございましたら、総務省に直接お尋ねいただくか、地方公共団体でも問合せ窓口を開設しているところが増えておりますので、直接お尋ねいただきたいと思っております。
また、更にこの便乗であったりということがございましたら、消費者ホットライン188、又は今回設置しております新型コロナウイルス給付金関連消費者ホットライン0120-213-188の方にもお尋ねいただければと思っております。 -
問
読売新聞の加藤です。
給付金に関連してですが、給付金の詐欺的な事案の相談の件数が、先週の会見の際は詐欺的なものは47件と伺っていたかと思うのですが、数字が変わっていれば教えていただけますでしょうか。 -
答
まだ件数はそんなに多くないと聞いておりますが、それは事務方がお答えできると思いますので、大変恐縮ですがそちらに聞いていただけますでしょうか。
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問
通販新聞の佐藤です。
15日の措置命令の取消しの件についてですが、あれは表示期間が間違っていたということなのですが、もともとはその調査が綿密に行われていなかったということになるのですかね。 -
答
個別のことですので、すみませんが個別の担当に聞いていただきたいと思いますが、綿密に行われなかったとは思っておりませんが、やや証拠の保存の仕方等々について、もう少し丁寧にやったらよかったという部分はあったというところだと思っておりますので、この反省はきちんと踏まえて対応したいと思っております。
- 問 これ、判明したのは課徴金の調査の中で分かったことになるのですかね。
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答
すみません。個別のことは恐縮ですが、担当課の方に聞いていただければと思います。
- 問 では、個別案件ということではなくて伺いたいのですが、景品表示法のその執行というのは、課徴金制度とかが導入されて、厳罰化というのは進んでいるかと思うのですが、その中でこういった撤回みたいなことがあると、その信頼の低下みたいなことにつながるおそれというのは、何か考え方をお聞かせ願いたいです。
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答
すみません。今回の事案、個別の話はあまり詳細に申し上げることではありませんが、一般的な話というよりは、かなりちょっと特殊なところでのこの問題等々がございまして、ややまさかというところがあったということだと思いますので、その点は十分にやっていきたいとは思っておりますが、一般的にそんなに信頼を揺るがすような性格のものではないと思っております。十分そういうことがないように対応したいと思っております。
- 問 あと1点だけ、ちょっと担当課に聞いて、こういった事態というのはその制度上は起こり得るという話なのですが、そういうことであれば、例えば救済装置とか、何らかそういった事態が起こった場合の対処というのは、何かこう示すものというのはないのですかね。検討されるということは。
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答
これはあまりにも、これが非常に一般的に起こるような、もちろんこういうことがあってはいけないとは思っていますので、十分そういうことがないという、調査の過程において対応していきたいとは思っておりますが、いわゆる今おっしゃっているような話まで至るようなことは今のところはないと思っています。受け止めてよく考えていきたいと思っております。
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問
共同通信の国枝です。
先ほどの、事業者と感染予防についてのガイドラインを金曜日に公表されることについてですが、厚生労働省でも呼び掛けをされていると思うのですが、今は新型コロナウイルスの影響で、テイクアウトを行うことに慣れてない事業者が結構テイクアウトをしたりしていて、そういう食中毒の影響とかも今後あるのかと思うのですが、その点についての注意喚起というか、呼び掛け等はありますでしょうか。 -
答
御指摘のとおり、お尋ねの件につきましては、厚生労働省の通知を踏まえて各地の保健所等から、飲食店営業を行っている店がテイクアウトや宅配を行う場合に必要な、衛生管理に関する注意の呼び掛けがなされると承知しています。
気温や湿度が上昇する季節を迎えますので、テイクアウトの場合はもちろんですが、御家庭を含めまして食中毒の予防は非常に重要だと思っております。
改めて食中毒の予防の3原則である「つけない」(洗浄・消毒)、「ふやさない」(冷蔵保存・速やかな喫食)、「やっつける」(加熱)を徹底していただきたいと思っております。特に消費者の皆様におかれましては、「買ったら、常温で放置せず、手を洗って速やかに食べる」ということに御留意いただきたいと思っております。 -
問
NHKの秋山です。
新型コロナウイルス関連の注意喚起の中にも、消毒液の話が幾つか入っていたかとは思うのですが、昨日も厚生労働大臣の方で消毒液の転売に関する発言もあったかと思いますが、消費者庁としてもマスクに次いで消毒液の高額転売に関する対策など、改めて注意喚起されることがありましたら教えていただけないでしょうか。 -
答
アルコール消毒製品につきましては、本年3月以降、関係省庁とともにネット販売事業者に対する出品自粛要請などを行ってきましたが、依然として高額な転売事例が後を絶たない状況にあります。
今後、緊急事態宣言の一部解除により経済活動が再開することから、感染拡大防止に必要となるアルコール消毒製品に対する需要が増大すると見込まれております。このため、転売防止措置というものも検討されているところであります。医薬品、それから医薬部外品のアルコール消毒製品のほか、アルコール濃度の高い酒類、それから除菌シートなどを対象とする方向で調整されていると聞いております。
転売についてはそういったことでありますが、現状アルコール消毒については御案内のとおり、手の消毒はアルコール消毒液が入手できなくても、通常の手洗いをしていただければと思いますし、物の消毒は次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする家庭用の漂白剤を薄めて消毒可能ということもございますので、そういったものも活用して十分予防に努めていただきたいと思います。
また、消費者の方々が消毒商品を購入される際は、有効成分、濃度について確認をして御購入いただければと思っております。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
新型コロナウイルスに関する国民生活センターのまとめの件ですが、このまとめは月ごとに見ますと、内容も非常に深刻化しているような気がします。
これについては、消費者庁として情報提供を行うのは非常に重要だと思いますが、各地方自治体でその既存の消費者安全確保地域協議会であるとか、あるいは既存の見守りネットワークであるとかというところに対する情報提供は進めていらっしゃいますでしょうか。
もう一点、消費者志向経営の推進の件ですが、これも重要な制度だと思いますが、今年度の表彰はないということではなく、9月以降に設定されると。再度設定されてスタートして、今年度の表彰もあるという理解でよろしいでしょうか。
もう一点だけ、現在、5月は消費者月間ですが、今日までがギャンブル依存症の防止週間ということで設定されていると理解しておりますが、この5月に入ってから、公営ギャンブルについては、若者を対象としたコマーシャルが非常に目立ったような気がします。民間ギャンブルについては、パチンコ店のことが非常に話題になったということもあり、これからでもいいのですが、ギャンブル依存についての防止という意味で、消費者庁としてはチラシやポスター以外に厚生労働省等と連携して何かアクションを起こすお考えはありますでしょうか。 -
答
一点目の消費生活相談の取りまとめにつきましては、実はかなりお願いをして、昨日、無理やり早めに出していただいたということでございます。大変重要な情報ですので、関係省庁と共有したいと思っております。
二点目の消費者志向経営についてですが、評価の考え方なり、評価軸については、8月中に取りまとめたいと思っております。その上で、9月以降に今年度の表彰についての公募はしたいと思っております。
例年ですと、6、7月までに公募をして、年内に企業の表彰を行うことになっておりますが、それを年度内に選定するということであります。今年度についても、もちろん選定はしたいと思っています。
三点目、消費者月間の件ですが、緊急事態宣言ということがありましたので、その件を優先しており、やや遅れておりますが、消費者月間の取組については来週こういうことを行いたいということについて発表させていただくこととしております。
また、ギャンブル依存症について大変重要な御指摘を頂きました。厚生労働省とも認識を共有化し、どういったことができるかについても一度相談をしてみたいと思っております。御指摘ありがとうございました。 -
問
朝日新聞の兼田です。
販売預託商法について伺います。昨日の検討委員会で、原則禁止という方向性で一度合意ということになったのですが、今の段階での長官の受け止めというのを教えていただけませんか。 -
答
預託法、特定商取引法につきましては、昨日、検討会議を行っていただいて、河上委員長から、今のところとしての全体の意見の取りまとめをお話していただいたということは皆様御承知おきのとおりだと思います。取り分け、販売預託商法について禁止をすることを前提としつつも、問題のない事業をどういうふうに考えていったらいいかというようなことを、今後整理するようにという宿題を頂いたと理解しておりますので、そういった委員会の方針に従って、私どもとしても整理をしていきたいと思っております。
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問
NHKの秋山です。
モニター調査の結果で、ある程度予想される結論にはなっているかと思いますが、一方で、頻度が増えたと答える方や、それに伴って購入量が減っていると答えた方もいらっしゃって、ある意味で緊急事態宣言でも逆振れしている行動と見られる方も少なくはなかったような印象も受けました。逆にそういった方々に対しての注意喚起というか、改めてのメッセージについて、ガイドラインもまとめられるということだったので、伺えればと思ったのですが。 -
答
一度、デジタル・プラットフォーマーを通じた取引について注意を、チラシをもってさせていただいたところであります。新しい生活方式の中では、お買物は通販でということが言われていますので、デジタル・プラットフォーマーの介在した消費者取引というのが非常に増加してきていると我々としても思っております。そういった意味で、もともと委員会を始めたとき以上に、今後そういった、皆さんが安心して取引できる環境整備のためには何をしていったらいいかということが大切になっていると、今回の事態をもって思っているところです。事業者系の方々、消費者系の方々、それから学識経験者、様々な観点から留意するべき事項について、今、言っていただいておりますので、そのことを踏まえ、今後議論していきたいと思います。消費者におかれましては、詐欺サイトに気を付けていただき、まともなサイトにおいても、定期購入など消費者トラブルになりやすいことがございますので、その点には十分注意をして取引をしていただければと思っております。