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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年4月30日(木) 14:00~14:30 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

まず始めに、先週に、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から「人との接触を8割減らす、10のポイント」が示されております。その中に関連するお話として二つ、まず冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。
一つ目は、10のポイントの中に「待てる買い物は通販で」というものがございます。今後は多くの消費者が自宅に籠ることで、通信販売の利用が増えるものと考えております。そこで、このゴールデンウィークの期間中に、消費者がインターネット通販に関わるトラブルに巻き込まれないように注意を呼び掛けます。インターネット通販は消費者相談の中でも非常に多い割合を占めているものですが、その中には大きく二つに分けて、悪質サイト、悪質事業者によるものと、一般的に気を付けないといけないものがあります。まず一つ目は「偽ショッピングサイトではないか」ということです。本日、消費者安全法第38条第1項に基づき具体の事業者名の公表、注意喚起を予定しておりますが、販売実態がないにもかかわらず、巧みに払込みだけをさせるといったような、実態が全くないサイトがございます。二つ目は、フィッシングサイトです。ショッピングサイトを装って、不正にマイナンバーや口座番号などの個人情報を抜き取るといった悪質サイトも出回っております。三つ目は、今月7日に特定商取引法に基づく行政処分を行いましたが、大手ショッピングモールサイトなどでも、偽ブランド品に御注意いただきたいと思います。実際に取引している出品者、出店者が誰か。身元を隠して偽ブランド品を売っているという人がいます。具体的に、今月7日に特定商取引法に基づき13事業者を行政処分しましたが、その全てが、商品自体はあるのですが、出品者が誰かよく分からず、実態もありませんでしたので、お気を付けいただきたいと思います。
次に、一般的に気を付けないといけないことでありますが、定期購入に関する消費生活相談件数の推移は、2018年が2万1,977件であったのに対して、2019年は4万4,370件と、倍増以上になっております。それだけ定期購入に関する消費生活相談が増えているということです。お試し価格や、一回限りというように思って購入しようとしていても、本当は複数回での購入になっている、それも2回目からは高額になった契約である場合がございます。全てが悪質とは言えませんが、分かりにくいものが非常に多いので、十分気を付けていただきたいと思います。なお、これにつきましても、消費者庁で処分をした事例がございます。
また、返品についてのルールの確認も重要です。返品については、事業者が表示したルールをよく確認することが必要です。通信販売では、いわゆる一般的なクーリング・オフの適用はございません。返品不可など、事業者が別にルールを設けている場合もありますので、よく注意をしていただきたいと思います。なお、返品ルールが何も決められていない場合は、制度上は商品が届いてから8日以内なら、送料は消費者負担で返品が可能となっております。このように、インターネット通販は非常に便利なので、お使いになられる方が多いと思うのですが、幾つか気を付けていただきたいことがあります。具体的に、それぞれどういったところが気を付けるべき事項かについても、併せて注意事項をまとめておりますので、消費者庁のウェブサイトで見ていただき、それらに気を付けて、いい買物をしていただきたいと思います。また困ったときは一人で悩まず、消費者ホットライン188(いやや)に御相談いただきたいと思います。報道各位におかれましても、注意喚起チラシを参考に、消費者への情報発信に是非御協力を賜りたいと思います。
二つ目は、同様に「人との接触を8割減らす、10のポイント」の中に、8番目に「飲食は持ち帰り、宅配も」というのがございます。新型コロナウイルス感染症対策に伴う学校の休校、外出自粛、イベントの中止、飲食店の休業・営業時間短縮等の影響により、新たな食品ロスが発生しております。一方で、仕入れた食材の廃棄を避けるための新しいビジネスの取組も行われつつあります。こうしたことを踏まえ、消費者庁ではこの状況下で食品ロスを削減できる工夫について、消費者の皆様に活用いただける情報を取りまとめ、Webページを通じて提供していくことといたしました。特にテイクアウトや、インターネットを活用した様々な削減の取組がございますので、そのようなものが注目されるようにと思っております。なお、農林水産省においては、未利用食品の販売を促進するビジネスの活用促進や、フードバンクへの情報提供の推進などについて、本日公表予定と聞いております。これも、リンクを貼っておりますので、併せて見ていただければと思っております。この緊急事態宣言下においても、食品ロスの削減は様々な形でできることがございます。特に、逆に今だから特徴的になっているというようなこともございます。消費者庁としても、農林水産省等の関係省庁と連携し、引き続き情報発信をしていきたいと思っておりますので、消費者の皆様にはこれらの情報を御活用いただき、食品ロス削減に御協力いただきたいと思っております。報道各位におかれましても、消費者への周知に御協力をいただきたいと思っております。なお、緊急事態宣言下の食品ロス削減の工夫もチラシに載せていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、令和2年度消費者支援功労者表彰被表彰者等の公表についてです。
令和2年度消費者支援功労者表彰被表彰者等につきまして、内閣総理大臣表彰5件、内閣府特命担当大臣表彰15件、ベストサポーター賞40件を決定したことを御報告させていただきます。これまでの御功績に深く敬意を表し、心より感謝を申し上げるとともに、引き続き消費者行政の推進に向けて御協力をお願いしたいと思っております。
なお、消費者支援功労者表彰の表彰式につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症の発生状況を踏まえまして、実施を取りやめることとしております。表彰状等につきましては、まず推薦団体にお送りいたしまして、授与の取扱いにつきましては推薦団体に委ねることとしておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、消費者基本計画の工程表素案のパブリックコメントの開始についてです。
既にお伝えしておりますとおり、先月31日に、消費者基本計画を閣議決定しております。これは、2020年度から2024年度までの5か年計画ということになっておりますが、第4期消費者基本計画ということであります。これに基づき、関係府省庁等が講ずべき具体的施策の取組予定を示す工程表の素案について、本日よりパブリックコメントを開始いたします。5月29日までを予定しております。このパブリックコメントにおける御意見や、消費者委員会の御意見等を頂きながら内容を精査していく考えです。なお、デジタル化への対応、あるいは新型コロナウイルス感染症対応の部分につきましては、現在進行中のところもございますので、また状況が変われば、この内容を更に精査して書き加えていきたいと思っております。このようなことを通じて、消費者基本計画がきちんと進んでいくように、消費者庁としても取り組んでいきたいと思っております。

質疑応答

ウェルネスニュースグループの木村です。
先ほどの定期購入の相談件数なのですが、今まで消費者庁は何度も注意喚起してきて、それでも倍増しているということで、消費者への注意喚起だけではもう防ぐことができないのではと思うのですが、それに対する御見解をお願いします。

御指摘のとおり、定期購入については注意喚起だけではなく、先ほど具体的に申し上げましたとおり、直近ですと、令和元年12月及び本年1月に3社、株式会社TOLUTO、株式会社アクア及び株式会社GRACE、この3社については、正にこの定期購入ということについての表示が非常に分かりにくかったので、特定商取引法違反として行政処分を行ったところであります。
このような形で、もちろん注意喚起だけではなく、明らかに悪質なものについては、法と証拠に基づいてきちんとした対応をしていきたいと思っております。
また、御質問は、いろいろな制度的な対応も更に必要ではないかという意味だと思いますが、どのような点が分かりにくいかということについてもしっかりと精査した上で、消費者庁としてもどのようなやり方ができるかについて、引き続き検討していきたいと思っております。

今、消費者庁で検討中の特定商取引法、消費者契約法の改正に向けた検討の中でも議論されていると思うのですが、その結論を踏まえて何らかの法改正に結び付けていくというような流れでしょうか。

制度的な検討の中には、当然その法律もあるかもしれませんし、あるいはそのガイドラインといった形のものもあるかもしれませんので、そこはどういった形が一番良いかというのもありますが、確かに定期購入は非常にトラブルが多いということについては、非常に問題だという認識はしておりますので、何らかの分かりやすい形で、そのようなトラブルが減るように考えていきたいと思っております。
まだ具体的にどのような方向で行うというところまでは決まっていませんが、問題意識としては十分持っているということでございます。

NHKの秋山です。
ゴールデンウィークに既に一部突入して、本格的なものが明後日から始まりますが、緊急事態宣言の延長という話も少し出てくる中で、改めて長官として消費者に訴えたいこと、注意してほしいことは何かありますでしょうか。

本日はちょうどこのインターネット通販、それから食品ロスのお話をさせていただきましたが、正に先ほどお話した専門家会議で言われているものとして、人との接触を減らす10のポイントというのがございます。
消費者庁としても、例えば買物の仕方などについても、農林水産省等の関係省庁とも連携して情報発信もさせていただいているところですが、どうしても自宅にいる高齢者等を狙ったような悪質事案などもPIO-NET等で報告もされています。
また、特に給付金などが始まりますと、それに絡んでの話が出てくるのではないかと思います。既に大臣の方からそのような相談体制についての強化について、御説明をさせていただいているところでありますが、消費者庁としてもそのようなことがないように、万全の体制を取っていきたいと思っております。
今日のインターネット通販等々のお話につきましても、どうしても自宅にいることに伴って増えるであろう消費者トラブルに関して、事前に皆様方に注意喚起をすることで、トラブルを減らしていきたいという趣旨でございます。
こういった緊急事態宣言下においても、皆さんが安心して生活できるように、できるだけ気を付けるべきところについては、私どもとしても情報提供していきたいと思っております。

日本農業新聞の石原です。
二つ目の話題の食品ロスの削減についてですが、現在の外食店の営業時間短縮や、休校により学校給食がなくなっていることで、新たな食品ロスが生まれようとしているということですが、象徴的なものでもいいのですが、具体的にどのような品目で食品ロスになろうとしているのかを、挙げられれば御紹介いただければと思います。

恐らくこれは農林水産省がおっしゃっているように、例えば給食がなくなったことによる野菜や、牛乳、生乳の類いなどについてのロスの話があります。
それから、本日御紹介をさせていただいたと思いますが、今までテイクアウトなどをなさっていないような飲食店がテイクアウトを始められるなど、新しいスタイルが出てきていると思っております。
特に、引取り手がなくて捨てられそうな農産物については、農林水産省もフードシェアリングやフードバンクへの情報提供を呼び掛けております。それから、消費者の方々にも今一歩の御協力をということで呼び掛けをされているところでありますので、私どもとしても協力して情報発信をしていきたいとに思っておりますし、新しくテイクアウト販売をされるようなところに関しても、いろいろな工夫をされて飲食店の方はやられていますので、3食ずっと作るのもなかなか皆さん大変な中、上手に活用していただき、これが場合によったら今後の外食産業の持ち帰り、いわゆるドギーバッグなどにもつながっていくと良いと思っております。

読売新聞の加藤です。
もし分かればで結構なのですが、このインターネット通販の相談は、前年同月比ベースで増えているのですか。

同月比ですか。

もうそろそろ自粛が言われて1か月くらい経つので、例えば4月いっぱいで見たときなど、出たりするものかなということですけど。

PIO-NET自体が、どうしても登録に時間が掛かるところがあり、今おっしゃったような緊急事態宣言下で急に相談が増えているかということだと思いますが、そこまでのデータは持ち合わせていないです。
ただ、先ほどの定期購入の数字、年単位で大変申し訳ないのですが、出ていると思いますが、あれはほとんどがインターネットです。そう思って見ていただければと思います。
ですので、もともと緊急事態宣言ということがなくても、これだけ伸びているということですので、恐らくかなりの伸びがあるだろうと思います。そうした中で、とりわけ消費者相談が多かったものを典型的なものとして、5つ御紹介をさせていただいたのですが、かなり悪質なものもございますので、その点は是非報道機関の方々には、消費者の皆さんに届くようにお伝えいただければと思っております。

フジテレビの一之瀬です。
既に注意喚起されていますマスクの送り付け、給付金詐欺についてなのですが、相談件数など、具体的な何か現状が分かるものがあれば教えていただければと思います。

毎回PIO-NETの相談件数について御報告をさせていただいていますが、4月27日時点で新型コロナウイルスに関する消費生活相談の件数は2万1,090件になっております。
前回、1週間で4,000件を超えたというお話を御報告させていただきましたが、今回は3,568件、1週間で増えているということです。
ずっと1,600件から1,700件というベースであったものが、4,000件になり、今回も3,600件くらいですので、やはり新型コロナウイルスに関する消費生活相談は件数としては多いと思っております。
今のお話でございますが、送り付けの話は前回御報告させていただいたとおりで、それ自体はすごく増えているという感じではないのですが、給付金としてはやはり代行と称していろいろな情報を引き出そうとしたり、手数料を下さいというようなことを言っている事例があったり、そのことに伴って所在を確認するといったタイプのものが出ております。
特に代行系は、銀行を装うとか、地方公共団体の名前を使うとか、あるいは、大手通信事業者であるとか、そういった形で、メールを送られたり、お電話をされたりといったいろいろな形で、個人情報であるマイナンバーカードや口座番号を教えてくれと言ってくるなどの事案が報告されております。
地方公共団体が、そういった形でメールでお問合せをすることはできませんので、それについては、給付金の詐欺に御注意ということで、総務省、消費者庁、警察の3省庁で連携して、注意のためのチラシもお出ししておりますが、市区町村や総務省が、ATMの操作をお願いしたり、手数料の振込みをお願いしたり、あるいはメールを送ってURLをクリックして申請手続を求めるといったことは絶対にございません。もうそろそろ給付金の給付が始まっているところもあるということでございますので、絶対にそういったものは教えない、渡さないということで、十分お気を付けいただきたいと思っております。

朝日新聞の兼田です。
冒頭のインターネット通販で、これはなかなかどの手口も巧妙だと思うのですが、チラシに正に書いていただいている、ポチッとする前に一呼吸置いてという辺りで、改めて長官の方から消費者に呼び掛けがあればお願いいたします。
あともう1点、この消費者ホットライン188は、連休中も間違いなく通じるのでしょうか。

まず、消費者ホットラインについてのお話でございますが、今回この給付金のこともございますので、体制を増強しております。それから、それと併せまして、給付金に関連いたしましては、0120-213-188(にいさんいやや)という無料の相談の方も設けております。これも休日にも対応できるようにしております。この給付金関連のフリーダイヤルの方は10時から16時まで、188の方も時間は十分取ってやらせていただいていますので、電話が通じないというようなことはないようにしたいと思っています。
地方の消費生活センターの方は一部、当然休日、祝日は休むところもございますので、そういったことも含めてバックアップ体制を強化しておりますので、その点は心配なく不安なことがあったら御連絡を賜れればと思っております。
もう一つの御質問は、どうしても、つい急いでやらなくてはと思われることが多いと思います。ですので、あまり見ないでとにかくポチッと合意するといったり、あるいはポチッと送ったり、そういうお金をもらうのだから、早く言われたとおりにさっさとやってしまおうと思いがちです。特に、今の給付金等につきましては、とりわけトラブルが増える傾向がございますので、まず、本当にこれは正しいサイトだろうかと、あるいは正しい情報だろうかということをまず見て、場合によっては、これはちょっと変じゃないかなと少しでも思われたら、188に御連絡いただいたり、あるいはほかのお友達なり、お知り合いに確認していただいたりして、まず一呼吸置いた上で、大丈夫だということでやっていただければと思います。
特にご自宅にいる方が多い今の時期には、こういった悪質サイト、悪質事業者があなたを狙っているという状況がございますので、十分皆さんとしてお気を付けいただいて、何かあれば、是非この188の方に御連絡を頂きたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

NHKの秋山です。
相談も増えているということで、相談現場もかなり大変だという声も改めて聞いてはいますが、ただ、やはりエッセンシャルで大切な相談業務だとは思うので、例えばなのですが、相談員さんに特別手当みたいなものを自治体の方で検討してもらいたいというような、相談員さんへの労いではないですけれども、支えるというような何か方策というのは検討されたりしているのでしょうか。

相談員に関わらず、今のこの自粛に伴う積極的なインフラを支えていらっしゃる方というのは、ある意味でどうしても三密にならざるを得ないような状況の中で、一生懸命、いろいろなことを支えていただいております。それについては、十分、相談員さんについては距離を取ったり、いろいろお気を付けいただいているにしても、本当はご自宅にいてもらった方がいいというところがあるにも関わらず、出ていただいて、やっていただいており、これについては本当に感謝を申し上げたいと思っております。今のお話はなかなか直ちにお答えできる話ではないと思いますが、相談員制度全体が、そもそも支えられるように永続的にきちんと回るようにしていくということが今回の話に限らず、非常に大事な話だと思っておりますので、これは引き続き、ある程度IT化できるところはIT化しつつも、引き続き地方公共団体に対して、処遇等々についても引き続き働きかけていきたいと思っております。

時事通信の片岡です。
厚生労働省が高度数のお酒を消毒用のアルコールの代用に使えるといったような通知を出したことで、お酒、地酒みたいなものが結構注目されていますが、人体に有害なメタノールを含まないものという規定がついているのですが、何かそういった偽物みたいなものを購入してしまったという声などは今のところ寄せられていたりはしないでしょうか。

70度以上の非常に高濃度のお酒についても消毒液として同様の効果があるということを厚生労働省がおっしゃっているのは確かです。私どものPIO-NETの方ではお酒の話については、そのことに伴う、高額なものの転売が見られるというようなことはちらほら頂いておりますが、偽物という話は、今のところ、手元で見る限りはないと思っております。
ただ、先ほどおっしゃったようなメタノールは、間違われると大変危険でございますので、そこは十分気を付けていただきたいと思います。特に飲用にされると困りますので、その点は十分気を付けていただきたいと思います。

読売新聞の加藤です。
自粛が長くなってきて、子供さんも一人で留守番されている方々もいらっしゃると思いますが、事故情報の中で、子供の事故で上がってきていたりするものはありますでしょうか。

今、やはり多く来るのは、どちらかといえば、今の新型コロナ関係で直接のものが多いですし、かつ、事故情報にしても、例えば外で遊具で遊ぶことなどがないですので、恐らく今のお話だと、家の中での事故ということになろうと思います。かねてより、それは御報告させていただいているような、例えば、ベビーベッドの収納扉のロックをきちっと留めていただくことなどがありますが、件数は特段ものすごくそのことで増えているという状況にはないと思っています。