伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年4月22日(水) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
今日は4点、ございます。
まず1つ目ですが、物価担当官会議の開催についてです。
本日、物価担当官会議を開催いたしました。物価担当官会議といいますのは、物価の安定のための政策に関する会議でございまして、消費者庁長官以下、関係省庁の連絡調整会議ということです。この会議において、今般の緊急事態宣言の発出を踏まえ、政府行動計画等に基づき、生活関連物資の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう、調査・監視を行うこととされております。
特にマスクにつきましては、世界的に需給がひっ迫する中で供給を拡大することが求められております。このため、本日の会議におきましては、一般消費者向けのマスクについての市場動向を踏まえまして、政府としての今後の方向性について確認を致しました。
その資料につきましては、まず一番初めにありますマスクの一般消費者への供給拡大に向けてということで、厚生労働省、経済産業省、消費者庁の紙がございますが、これが方針の紙で、この方針について関係省庁の了解を得ました。
この資料の中身でございますが、まず一つ目は、国際的なマスク需給のひっ迫を背景に、海外からのマスクの仕入価格が高騰する中でも小売事業者の積極的な仕入れや販売をお願いしたい。二つ目、販売に当たっては、仕入価格の上昇等合理的な根拠を持った適正な価格での販売をお願いしたい。三つ目、将来的な値上がりを期待した売惜しみ等は行わないようにしていただきたいということです。
これについて関係業界に周知するなど、関係省庁が連携して取組を進めるということを決めましたので、今後ともこういう方針のもとに進めたいと思っております。
なお、ここで言っております一般消費者向けのマスク、主にいいますと、いわゆる医療用に使われていますN95やKN95マスクではなくて、私が今手元に持っておりますこのマスクを主にしたいわゆる一般の消費者向けのマスクということです。
その際、もう一個お手元にありますのが、厚生労働省、経済産業省から今の市場動向についての御報告を頂きました、マスクの生産、調達動向でございますが、原材料が特にメルトブロー不織布をはじめとして、非常に高騰していると。輸入マスクにつきましては、2番目の丸でございますが、枚数ベースで流通量の過半を占めていた大容量での販売用の使い捨てマスクが従来1枚当たり5円から7円程度で仕入れることができていたのに対して、現在、大幅な値上がりが生じて35円から50円程度となっているという状況の報告がありました。また、国内生産につきましては、増産に一生懸命取り組んでいただいているところであり、据え置き、又は小幅増加という価格になっています。
なお、この数字につきましては、厚生労働省、経済産業省が関係事業者についてヒアリングをしたその結果を記載させていただいているものです。
また、一般小売店舗でのマスクの販売動向でございますが、直近、1年前でいいますと18円ぐらいだったところが、29円ぐらいとはなっておりますが、これについて今申し上げたような直近の状況、輸入価格等々の上昇について反映されたものであるかということについてのお尋ねしたところ、それについては十分反映されているとは言えないまだ状況にあると答えがございましたので、併せて御報告をさせていただきたいと思います。
なお、この数字の詳細につきましては、大変申し訳ありませんが、厚生労働省、経済産業省の方で取りまとめをしておりますので、そちらの方にお尋ねをいただければと思っております。
2つ目は、物価モニターについてです。
お手元の資料のとおり、令和2年4月の物価モニターの調査結果を本日公表いたしました。調査期間が4月9日から13日と、いわゆる緊急事態宣言が4月7日でございますので、その直後の調査ということになります。特に意識調査は、この緊急事態宣言を受けての特徴がございましたので、そこを御紹介させていただきたいと思います。
まず、生活関連物資全般の価格について、1年後に上昇すると思うか思わないかというところは、資料の1番の下に枠囲いにございますが、「下落すると思う」が8.4%に上昇し、「分からない」も12.6%に上昇しているという状況です。
今後3か月間の消費支出、昨年同期間と比べてどのようにしていこうと思っているかという問いに対しましては、1番下にある通り、「減らそうと思っている」という回答が増えています。
消費を増やそうと思っているのはどういうものか、というのは、食料品が3月に比べて大幅に上がっていて、日用・家事用品についてはやや下がっている。サービス品についても大幅に下がっているという状況になっております。何分にも緊急事態宣言を受けて自粛をしているという状況での皆さんの意識調査ということですので、ある特定の状況下の意向ということではございますが、引き続き我々としても注視をしていきたいと思っております。
3つ目につきましては、お手元に「それ、給付金を装った詐欺かもしれません!」という紙がございますが、昨日、私どもの衛藤大臣からも御紹介させていただきましたが、特別定額給付金を装った詐欺への注意喚起でございます。
今年に入ってから受け付けた新型コロナウイルス感染症に関する消費者相談としては、4月20日までにPIO-NETに登録されたものが、件数としては1万7,522件となっております。4月13日から4月20日までの1週間で、4,090件増えております。その前の週は3,000件ほどの増え方でしたので、非常に増えているという状況です。
特に、一昨日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が改めて閣議決定され、一律に1人当たり10万円の給付を行う特別定額給付金が盛り込まれたところです。この給付金を装った詐欺が今後出てくる可能性があり、国民の皆様に注意喚起をさせていただきたいと思っております。
内容については、警察とも連携して対応したいと思っておりますが、いずれにしろ、現時点では本給付事業について、まだ国民の皆様へ直接御連絡や給付を行う段階にはなっておりません。不審な電話や来訪は無視し、相手の電話番号等をメモして、おかしいと思ったら消費者ホットライン188又は最寄りの警察署(#9110)に御連絡を頂きたいと思っております。
4つ目は、消費者行政全体の話でございます。先進的モデル事業の公募開始ということです。
消費者庁では、令和2年度からの新たな取組として、地方消費者行政に関する先進的モデル事業を実施することとしておりまして、本日、民間事業者・団体等からの企画提案の受付を開始いたしましたので、お知らせを致します。
地方消費者行政、非常に大切だと思っておりますが、いわゆる地方消費者行政強化交付金といっただけではなく、直接支援をする道は何とかないものかということを考えておりまして、その中で、広域連携、あるいは官民連携等の新たな手法を活用して、地域の関係者が一体となって取り組む体制を整備するといったような事業を応援しようということで、これをやろうと考えております。その成果を、優良事例として全国に横展開をしようと思っております。
具体的には、食品ロスの削減や、若者への消費者教育、高齢者や障害者などの配慮を要する消費者の被害防止といったテーマなどを考えておりますが、幅広く様々な工夫を凝らし、モデル事業への応募を頂きたいと思っております。
こういったことを通じて、有意義な事業が展開されるように取り組んでいきたいと思っております。
質疑応答
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問
読売新聞の加藤です。
転売の話で、飲料用のすごく度数の高いアルコール飲料を酒造さんが頑張って造られていると。それがかなり高額で転売されているものが散見されるような状況で、国税庁は、業としてやる場合には酒税法の範囲になる可能性もあるとおっしゃっているところもあるみたいなのですが、従前でも消費者庁や、警察庁のマスク、当初、プラットフォーマーに対して、転売できないようにしてくれという要請もされていると思いますけど、その高濃度のアルコールについては、何かお考えはありますでしょうか。
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答
高濃度のアルコールも、消毒液として有効だということが言われて、せっかくそのような皆さんを助けようというお気持ちでお造りになられている方の気持ちが踏みにじられるような行為というのは、本当に困ったことだと思っているわけですが、今の御指摘の点、まず、国税庁の方でも取組をされると伺っております。我々としても、状況をよく見ながら対応を考えたいと思っております。
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問
フジテレビ、一之瀬です。
冒頭にありましたマスクの供給拡大に向けての件で、業界団体に周知するということは、これは要請とは別の呼び掛けという形でしょうか。
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答
業界団体の方に呼び掛けというよりは、しっかりと通知をして、お願いをしようと思っておりますので、そういう意味では要請と取っていただいても構いません。
- 問 要請はいつ頃される予定ですか。
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答
本日中にも関係の業界団体に連名で文書を出したいと思って、準備をしているところです。
- 問 これは不勉強で申し訳ないのですが、法律的には何に伴う要請になるのでしょうか。
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答
あくまでも政府行動計画においての買占め、売惜しみが生じないように調査、監視を行うということの一環としてお願いをするということなので、いわゆる法に基づいた要請というものではありません。
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問
ウェルネスニュースグループの木村です。
農水省の方で、生乳がこれから牛の場合は搾乳していかなければ病気になるので、6月ぐらいがピークでどんどん増えますが、学校給食キャンセルや、需要減で捨てざるを得なくなってくるのでは、ということで、酪農家を支援するという意味で、農水省の方は少しでも多く買ってくださいということを消費者に対して呼び掛けていますが、それだけでなく、食品ロスの観点からも意味のあることだと思っており、消費者庁でも生乳等乳製品に関する呼び掛けなど、お考えでしょうか。
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答
今実際に困っていて、かつ我々の生活としてもとても大切な話で今おっしゃっているような食品ロスの観点からも重要だと思っております。
生乳に限らずということになるかと思いますが、どういったことができるかについて、また担当の方で検討させていただきたいと思います。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
今回の1万7,552件の中には、給付金を装った詐欺ということは、含まれていますでしょうか。
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答
これそのものが直近ではありますが、助成金、今回は公共団体がいわゆる協力金の類いで給付するものもあれば、事業主に対して給付するものもあり、それからこの10万円の話もあると考えておりまして、そのようなものを装った例があると聞いております。
直接この10万円、直に紐づけているかどうかということは分かりませんが、一般的に言いますと、いわゆる個人情報、要はマイナンバーを聞き出すことや、暗証番号を聞き出すといったようなものや、あるいはATMの操作をお願いするなどです。いわゆる振り込め詐欺と同じような動きがあると聞いており、警察の方でも非常に心配されているということですので、我々としても連携して注意喚起をしようと思っているところです。
なお、もうすぐ連休になりますが、このような相談についても、連休中も途切れずに受け止めることができるような体制整備について考えていきたいと思っております。 -
問
先進的モデル事業で、これは事業規模として9,000万円ということで、1事業当たりの金額が2,000万円以下になっていました。
これは民間事業者・団体がプラットフォームを創設してということですが、その民間団体、事業者団体は幾つかの事業が掛け持ちできるものなのですか、それとも、1事業団体として1つの事業ということですか。
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答
事業ごとにしますので、組合せが仮に複数ある団体が入られるということもあり得るだろうと思っております。提案の中身次第だと考えております。
- 問 公募をされたものを審査するということになっておりますが、これを公表というのはどういったことでしょうか。
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答
頂いたものを、私どもと、消費者団体の方々、いわゆる有識者の方々、お入りいただいて選ぼうと思っております。今年度の予算ですので、公募の後、できるだけ早く取り組もうと思っております。
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問
NHKの秋山です。
物価モニターの件で伺いたいのですが、緊急事態宣言が出て初めての物価モニターになったわけですが、コロナの影響で初めて幾つか、ティッシュペーパーや、マスクの話も値段が出てきておりますが、影響が出ていると思われる品目などが今のところあると考えていらっしゃるのかということと、もうひとつ、注視されていることがあれば教えていただけないでしょうか。
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答
価格そのものにつきましては、全25品目のうち価格が上昇したのが20品目で、下落したのが5品目です。うち、価格が前月比1%以上上昇している品目が、食用油、プラス1.4です。洗濯用洗剤、プラス1.1、ヨーグルトが1.0ということです。
御指摘のように、マスクそのものは実はデータで取っていないので、直ちにお答えができないのですが、今のような例示で言うと、特段その価格そのものが現時点でものすごく変わっていると我々は思っておりませんが、今回あえて御紹介をさせていただいたのは、意識調査の方が、従来とかなり傾向が違うものが出てきておりましたので、これはお伝えした方がいいかなと思いお知らせした次第です。
いずれにしろ、今回はやはり生活関連物資、今のマスクも含めてではございますが、様々なことが起きるだろうと思っております。マスクにつきましては、世界的に不足している中で、やはり引っ張り合いのようなところも実はある中での価格の上昇ということもございますので、そのようなこともよく見ていく必要があろうかと思っております。