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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年4月15日(水) 14:00~14:24 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

一つ目の話題は、感染症に関連した送り付け商法に関する注意喚起についてです。
政府による布製マスクの一住所あたり2枚ずつの配布は、今週の後半以降、感染者数が多い都道府県から順次配送開始予定です。政府による布製マスクの配布は、お知らせ文と一緒に透明の袋に包んで配布される予定です。
一方、新型コロナウイルス感染症に関連した送り付け商法や、政府や自治体を語り個人情報等を聞き出そうとする不審な電話等の情報も寄せられております。4月13日までにPIO-NETに登録されたもののうち、全体では1万3,432件が新型コロナウイルスに関連する消費生活相談だったわけでございますが、新型コロナウイルス感染症に関連する送り付け商法に関すると思われる消費生活相談は151件です。そのうち約9割が、マスクを始めとする「保健衛生品その他」の送り付けに関するものでした。当然、政府から届くものは安心して早めに御活用いただければと思いますけれども、頼んでもいない商品が送られてきた場合は、慌てて事業者に連絡したりせずに、使用せずに保管して、14日間経ってから処分をしていただきたいと思います。関連して、取扱いについてのチラシを作成しておりますので御参考にしていただければと思います。また困ったときは一人で悩まずに、消費者ホットライン188(いやや)に御相談いただければと思います。私どもはこの手のものが増えてくるのではと非常に心配しておりますので、報道各位におかれましても、消費者への情報発信に御協力をお願いしたいと思います。
また、それに関連して、赤いパンフレットを御用意させていただいておりますが、PIO-NETを支えているのは消費者行政の最前線である地域の消費生活相談を受けられる消費生活相談員の皆様でございますが、最近ですと、この手の新型コロナウイルス感染症に関連した数多くの悪質商法等に関する相談にも御対応いただいていると思います。一方で、消費生活相談員の配置数は、相談員の高齢化等による課題などもありましてやや減少傾向にあります。配置数もそうですし、資格試験の受験者数についても減少傾向にあるということで、私どもとしてもとても心配しているところです。非常に大事な仕事ですので、消費生活相談員の新たな担い手を増やすために、その役割を広く知っていただければと思っておりまして、広報用のコンテンツとして、パンフレット、それから動画を作成して、本日消費者庁のウェブサイトに公開することといたしました。今後、これらのコンテンツを地方公共団体、関係団体にも送付して周知を図るとともに、5月から6月にかけてYouTubeなどのSNSを活用して動画の配信も行いたいと思っております。消費生活相談自体、非常に大切だと思っておりますので、消費生活相談員の認知度の向上に向けた取組を積極的に進めていきたいと思っております。
(地方協力課)動画につきましては、役者の方を使ったイメージ動画と、実際の相談員の方に対するインタビュー形式の動画の2種類を作成したところでございます。

(動画再生)

(伊藤長官)実際の相談員の方に対するインタビュー形式の動画についてですが、相談員さんの中には、仕事を退職してから新たに相談員になった方や、子育てを行いながら相談員をされている方など、様々な経歴の方がいらっしゃって、いろんな働き方というか、関わり方があるのだなと感じまして、私も見ていて面白かったです。少し長いですけれども、どこかで見ていただければ幸いです。

質疑応答

ウェルネスニュースグループの木村です。
送り付け商法の件なのですけども、マスク以外にどのような商品が送り付けられてきているのでしょうか。

送り付け商法はマスク以外ですと消毒液があって、先ほど少し申し上げましたけれども、送り付け商法自体の相談が151件で、そのうち約9割の137件がマスクを始めとする「保健衛生品その他」の送り付けに関するものとなっておりますので、やはり今回のようなことに乗じて、きっと家族の誰かが頼んだに違いないと思ってつい開けてしまい、実は家族の誰も身に覚えがない高額なものだった、というようなことはありえる話だと思いますので、啓発チラシに書かせていただいているように、身に覚えがないものであれば、14日間使用せずに保管しておいていただければ、その後は処分するなり、好きに使っていただいてもいいということになりますので、慌てずに御家族に確認をしていただくことが大事だと思います。
マスクにつきましては、転売防止の措置もあるので、高額なものは減ってきているとは思いますけれども、消毒液など、まだなかなか足りないと言われているものについては、高額なものの取引も見られますので、是非この点はお気を付けいただければと思います。

今回のこの送り付け商法なのですけれども、接触が今までなかった事業者がいきなり送ってくるケースや、勧誘されて断ったのに、それでも送ってくるケースはあるのでしょうか。

詳細までは分かりかねますが、比較的、接触が今までなかった事業者から送り付けられるというタイプだと認識しております。

フジテレビの一之瀬です。
先ほどお話が出た消毒液についてなのですけども、品薄状態が続いているということで、中にはアルコール濃度の記載がないものや、濃度が薄いものが販売されているという例が見られます。濃度が低いものは「除菌」「殺菌」という文言は書いていないものの、消費者の中にはその効果を期待して購入している方が多いと思うのですが、その辺については注意喚起も含めて、現状認識あればよろしくお願いいたします。

御指摘のように、消毒液については厚生労働省が情報発信をしているところです。御案内のとおり、手指消毒用のエタノールがいいということと、最近ですと70%以上の濃度のアルコールも効果があるということを情報発信しているかと思いますが、御指摘のように、その効果があまりないものについても、言われているようなところはあると思います。
それについては、まずきちんとした情報を基にやっていただきたいということが一つと、それ以外のものも、例えば食器とか手すりには、熱水とか、塩素系の漂白剤が有効であるとか、あるいは手指については手洗いを丁寧に行うことでウイルスを除去できますので、必ずしも消毒液がなければウイルスを除去できないというわけではないということも、是非皆さん認識いただければと思っております。
どうしても消毒用のエタノールにつきましては、医療機関、高齢者施設等に不足しているということがあって、供給面ではメーカー団体等に対して増産を要請していて、また、増産設備の導入を行う事業者を支援するということも行っているところです。
3月に一般用、医療用合わせて220万リットルということで、昨年比でいうと2倍になっていると認識していますけれども、そうはいっても先ほど申し上げたような医療機関や高齢者施設等に対しての優先供給、15万リットルを確保するということで行っております。そのため、その分どうしても消費者向けには、なかなか増産の効果が見えてこないというところがあるので、手指消毒剤以外の高濃度エタノール製品、酒類等を代替品として使用できるということも通知させていただいているかと思います。
もしも、消毒に効果がない商品について、消毒に極めて有効だといったような表示をされるのであれば、当然、景品表示法の観点から問題だということもあるので、これについても注視していきたいと思います。

NHKの秋山です。
今の消毒液に関連してですけれども、アルコールと付随して、塩素系の次亜塩素酸系の水溶液だったり、次亜塩素酸水と呼ばれるようなものがネット上でかなり販売されております。厚生労働省などは推奨しないというふうな国会の答弁等をしているとは理解しているのですが、濃度についてなど、安全性が担保されていないものが出回っていることに関しては、消費者庁としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

おっしゃっているとおり、塩素系の漂白剤に関しては、確かに手指の効果はないけれども、一方で、その辺りを拭いたり、食器とか、手すりの消毒について、身の回りのものには有効だということにはなっているので、一概に全く駄目だということでは恐らくないのだろうとは思いますが、御指摘のように、誤解をされてということがあるのは非常に問題だと思います。
厚生労働省の方でもそれについては情報発信されているところでありますけれども、私どもの方でも注視していき、もし明らかに誤解を招くというような売り方がされているのであれば、厳正に対処をしていきたいと思います。

もう一点、冒頭発言あった政府が配布するマスクに関連してなのですけれども、送り付け商法ではないかどうか、チラシが入っているかどうか、透明な袋かどうかということになるかと思いますが、場合によっては、かなり似せてくる形のものも出てくるおそれがあるかと思うのですけれども、確認するために連絡先として、例えば自治体なのか、何かそのエリアが配布し始めていますよみたいなことを確認する手法などがもしあれば教えていただけないでしょうか。

マスクについては、どういった形で供給するのかについては、厚生労働省の方で情報発信をすると伺っております。もう一つは送り付け商法と、2枚がビニール袋に入って厚生労働省の名前の下に届けられるという性格のものですので、これでなかなか高額にお金を取るというわけにもいかないと思いますので、そこはそこまで心配ないのではと思ってはおりますが色々なことを考える業者もいますので注意喚起いたします。いずれにしろ、厚生労働省もマスクの発送状況などについての連絡先の窓口を設けておりますので、それを見ていただくのが一番安全なのではないかと思います。

政府のものであれば、後から個人情報を引き出されたり、手数料や送料を含めて、お金を要求することは一切ないのでしょうか。

一切ございません。

そういったことについて改めて消費者にメッセージがあれば教えていただいです。

まずマスクの配布につきましては、先ほど申し上げたとおり、1住所当たり布製マスク2枚と、お知らせのお手紙が入っているものが届くということであります。その際に、送料や手数料が発生することは当然ございません。
ただ、今後、お金の給付の話がございます。給付の話についても、それに伴って、例えばマイナンバーの細かいのが要るだとか、クレジットカードの番号が要るとか、そういった便乗したような動きがあるかと思います。それにつきましては、お金が給付されるような時期になりましたら併せて注意喚起をさせていただきたいと思っております。
現時点ではまだ給付は始まっておりませんので、今の時点で個人に対してそういったお話があるとすれば、それは怪しいと思って御注意いただければと思っております。

朝日新聞の兼田です。
送り付け商法の相談事例の代表的なものを一、二例教えていただければと思います。どのような流れ、手口でだまそうとしているのかというところをお願いします。

送り付け商法は今回のマスクより、どちらかというと食品などがいきなり宅急便のような形で届いて、それで慌てて払ったら、実はそれは全く自分が注文していなかったものだったと。こういうのがいわゆる送り付け商法ということになります。
今回よくありますのは、注文していない箱入りのマスクが送付されてきたり、あるいは身に覚えのない消毒液が送付されてきたといったことなどです。このようなものがPIO-NETなどに寄せられている情報でございまして、それに対して、高額な払込みをしてくれと、こういった話になっております。
ですから、どうしても先ほど少し申し上げたように、家族の誰かがきっと注文したのだろうと特に今の時期は思いがちなところだと思いますので、それでよく考えずに開けてしまった、あるいは慌ててお金を払い込んでしまったというようなことが起きる可能性がございますので、その点は是非お気を付けいただきたいと思います。
更に詳細な具体例は後でもう一度確認をして、必要でしたら情報提供をさせていただきたいと思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
冒頭の御発言の中に、コロナ関連相談が1万3,432件と、前回の会見の際は1万500件だったと思いますけれども、要するに約3,000件がこの1週間で増えたということですか。

今まで、1週間で1,600件から1,900件ぐらいで推移してきたのですけれども、今回、4月6日から4月13日までの間に2,919件増えておりますので、新型コロナウイルス感染症に関する消費生活相談が非常に増えているということは事実だと思います。
また、その際、先週も申し上げたかと思いますが、相変わらず様々なキャンセルに伴う返金の話、あるいはマスク等の品不足の話もございますけれども、大きな消費者被害につながりかねない、例えば詐欺サイトでクレジットカードの番号の入力を促すようなものや、先ほど申し上げた送り付け商法ですとか、新型コロナウイルスの効果を標ぼうする商品、これはこの間注意喚起もさせていただいたところですけれども、そういうものですとか、あるいは政府や自治体の方から頼まれた消毒にこれから行くとか、その手のものがだんだん増えてきているように思われますので、その点には十分お気を付けいただければと思っております。

国民生活センターが継続的に出しているのは、今、第6報でしょうか。

そうです。

出していますけれども。

具体例を出させていただいています。

やはりこの間のあれでは、便乗商法という形でのものが目立つようになってきて、深刻化しているということですか。

当初はキャンセル料などをどうしたらいいのかというような一般的なお問合せが多かったかと思いますが、だんだん今申し上げたような、重大な消費者被害につながるような性格のものが増えてきたかと思います。
国民生活センターの方でも、具体事例を随時公表させていただく予定ですので、それも併せて御覧いただければと思っております。

もう一点、今、国民生活センターのお話が出てきましたが、先週の4月9日だったと思いますが、国民生活センターが柔軟仕上げ剤の臭いについてのテスト結果を公表されたということで、年間130件から250件くらいの相談が来ていて、そのうちの6割くらいが、申出だけれども危害だと。
消費者庁に対しては、消費者へ継続的に、使用法についての情報提供や注意喚起を求めていらっしゃるのですけれども、消費者庁としては、今回の国民生活センターのテスト結果の公表については、何か対応されますか。

お尋ねの件は、国民生活センターで柔軟仕上げ剤の商品選択や使用に当たっての注意点の情報提供を行ったものと認識しております。
具体的には消費者へのアドバイスとして、自分にとっては快適な匂いであっても、他人は不快に感じたり、体調を崩す場合もあるということを認識していただく。あるいは柔軟仕上げ剤を使用する場合には使用量の目安を参考に、過度な使用は避けていただく。商品選択の際は、パッケージ等に記載されている香りの強さの目安を参考にしていただくといったことが挙げられておりまして、消費者の皆様におかれましては、柔軟仕上げ剤を使用する際にはこれらの点に御留意をいただきたいと思います。
消費者庁としても、今後の相談情報にも注視していきながら、必要な事項があれば関係省庁とも連携をしていきたいと思います。
現在のところは、日本石鹸洗剤工業会などが自主的に、会員の各社の取組として、会員社の香料成分の自主的な開示の際の指針を定められて、既に一部の企業ではこれに沿って自社のホームページにおいて柔軟仕上げ剤等の一部商品に含まれている香料成分の情報を開示しているという状況になっていると承知しています。必要に応じて、健康被害についての実態解明の進展などの動向もよく我々としては勉強していきながら考えていきたいと思っております。

NHKの秋山です。
もう一点、冒頭の発言にもつながってくる相談員の件なのですけれども、改めて今週、緊急事態宣言が出された7都府県の状況など、あと、国民生活センターも含めて伺ったところ、来所中止は以前からあったのですけれども、一部、神奈川県などでは、電話相談の時間を短縮されているケースなども出てきていまして、国民生活センターも昼の平日の相談を今中止にされていたりしています。改めてにはなってしまいますが、新型コロナウイルスの相談が一方で増えているということについて長官はどのようにお考えですか。

消費生活センターにおける相談というのは、本当に大事な社会インフラだと思っていますので、私どもとしてもバックアップ体制を取りながら継続していきたいと思っています。
来所相談自体は大体3分の1くらいがやめていて、3分の1くらいが縮小していて、3分の1は通常どおりだと思います。
相談体制の方は、今御指摘のような、一部、相談受付時間を短縮している例はありますが、そういったことはとても少なく、変更なし、あるいは勤務体制を通常8人体制のところを6人体制にするなど、少しローリングをさせながら、交代でとにかくやられているというところがいくつか見受けられているところです。
そういった形で特に相談体制の方はとにかく継続をしていくということを私どもの方もお願いしていますし、それが例えば、どうしてもそこの市で感染者が出て、どうしても閉じなくてはいけないというようなことがあれば、都道府県がバックアップをし、またそれができなければ国民生活センターの方でやるというような形で、それが途切れることがないように我々としても支えたいと思っております。