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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年4月1日(水) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

本日から、また新たな年度に入ります。組織の話を申し上げると、令和2年度の新規入庁者として、消費者庁、20名の方をお迎えしております。新人の方々も含めて、私ども、新たな気持ちでまた取り組んでいきたいと思っています。
また、組織についてでございますが、本日付で、食品ロス削減推進室、それから、職員の採用、キャリア形成、育成等々、あるいは障害者の職場定着支援等を行います人事企画室を新設するほか、徳島にも7月に設置する「新未来創造戦略本部」の立ち上げ準備のために「新未来創造戦略本部準備室」を設置したところであります。
また、昨日は、総理及び全閣僚らの御出席のもと、消費者政策会議を開催いたしまして、令和2年度から始まる「第4期消費者基本計画」について、決定いただいたほか、食品ロス削減推進法に基づく基本方針についても閣議決定されたところです。この政策会議には、全国消費生活相談員協会の増田理事長にも御出席いただき、プレゼンテーションもしていただいたところです。
また、「第4期消費者基本計画」を踏まえて「地方消費者行政強化作戦2020」を策定いたしました。消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークの強化を始めとして、地方消費者行政も非常に大事だと思っておりますので、「地方消費者行政強化作戦2020」に基づいて積極的に展開をしていきたいと思っております。また、併せまして、「高齢者・障がい者の消費者トラブル見守りガイドブック」も公表しておりますので、御活用いただきたいと思っております。詳細につきましては、後ほど、担当の方から御説明をさせていただきます。
さらに、食品表示基準の、栄養成分表示等の新たな食品表示制度の完全施行も4月1日からなされております。新型コロナウイルス感染症関連のこともございますけれども、今般の各種の決定等も踏まえまして、消費者行政のさらなる推進に努めてまいりたいと思いますので、引き続きの御協力を賜りますようお願いしたいと思います。
また、私ども、手作りマスクというのはどうかと、経済産業省でも展開していて、私どももウェブサイトにリンクを掲載しておりますが、言っているだけでは駄目だろうと思い、各種作ってまいりました。官邸の会議も、昨日の朝までは必ずマスクをされていなくても良かったのですけれども、たしか夕方の諮問会議からは全員マスク着用になったと聞いております。官邸の会議等々においては、マスク着用ということになると思いますので、使い捨てマスクもいいですが、私はせっかくですから手作りマスクを着けて出てみようと思っております。皆さんも、是非お試しいただければと思います。

質疑応答

NHKの秋山です。
昨日の閣議決定で、食品ロス削減推進法と、消費者基本計画、二つの方針を閣議決定されたかと思いますけれども、改めて長官の受け止めと、今年度どのように進めていきたいか、決意も教えてください。

どちらも、消費者行政の新しい展開を考える上でとても大切な決定がなされたと思っております。
まず、消費者基本計画については、中身もさることながら、8年振りの消費者政策会議を開催していただいたのも非常に有り難かったと私としては思っております。先ほど申し上げたように、増田理事長の現場の声も、直接、総理を始め全閣僚にお届けできたということも、非常にいい機会だったと思っております。その上で、消費者行政も御案内のとおり、悪質事業者による消費者被害の防止、併せて、食品ロス削減を含めまして、消費者と事業者の協働というのも大切なテーマになっております。
また、既に会議を開かせていただいておりますが、デジタル化の進展、それから、災害時だけではなくて、今回のような、新型コロナウイルスなどの感染時拡大、一種の緊急時における消費者問題、消費者対応についてどう考えていくかということも、新たな課題として立ち上がってきていると思っております。
こうした節目に、こういう新しい基本計画ができた、また食品ロス削減については、基本方針ができたということで、非常に意義深いと思っておりますが、計画ができたり、あるいは方針ができただけではいけませんので、これを基にして、基本計画の方は工程表を作るということに今後なります。7月ぐらいまでの間に工程を作るということに消費者基本計画の方はなりますし、食品ロスの削減につきましては、これからその各事業者、それから地方公共団体、もちろん消費者もそうですけれども、それぞれの主体において取組を進めてもらう必要があると思っておりますので、それについても展開していきたいと思っております。
関係省庁とも連携しながら、新しいステージに入ったというつもりで取組を進めさせていただきたいと思っております。

基本計画にも盛り込まれたコロナの関係ですけれども、4月に入って1月から経過しても3か月、影響がまだまだ続いて、いつ終息するかも分からない状況です。いろいろなトラブルも出てきているかと思いますが、改めて現状を教えていただけないでしょうか。

今年に入ってから受け付けた新型コロナウイルス感染症に関する消費生活相談としては、3月31日までにPIO-NETに登録された件数が8,617件になっております。相談の登録件数は毎週約1,600~1,900件ずつ増加している状況でございまして、引き続き注視をしていきたいと思っております。
主な相談内容につきましては、従来からお話ししておりますとおり、キャンセルに伴う返金に関するものや、品不足に関するものもございますが、だんだんフィッシング詐欺や、送り付け商法、あるいは新型コロナウイルスへの効果を標ぼうする商品など、深刻な消費者被害につながりかねないようなものも中に含まれてきております。
こういったような相談、よく注視をしていきながら、新型コロナウイルスの効果を標ぼうする商品については3月31日にも、緊急監視の第2回を展開させていただいたところです。こういったことについても積極的に対応させていただきたいと思っております。

フジテレビの一之瀬です。
新型コロナウイルス関連ですけれども、東京都などはここ数日、特に若者の行動について自粛を求めておりますが、若者の消費行動と密接に関連することだと思いますので、消費者庁長官としての呼び掛けがあれば、よろしくお願いいたします。

東京都の状況を含めて、今までですと高齢者の問題であると思われがちであったところが、若い人にもコロナウイルスの感染が広がっているということは、非常に衝撃的だと思っています。
また、著名人、皆さんが知っていらっしゃるような方がかかられたり、あるいはお亡くなりになったりという事態がありまして、大変心が痛い思いもしております。これは、エシカル消費もある意味で一緒かもしれませんけれども、私ども消費者行政としては、だまされない消費者というのは非常に大事だと思っていますが、併せて自分で考え、自分で行動するという消費者であっていただきたいということで、消費者教育も進めているところです。
今回のようなものは、自分はかからないだろうと思っていると、結果的に人に迷惑を掛け、巡り巡って自分自身にも返ってくるという形になっています。
他人事も、自分事として考えるというような行動が今こそ本当に求められているのではないかと思っておりますので、今の事態を深刻に我が事として受け止めていただいて、慎重な行動をしていただきたいと思っています。
また、併せて、誤った情報でいろんな行動をされるということがあり、そのことで結果的に急激に本来あるものがなくなったり、そういった事態があると思います。こういう緊急事態においては、皆さんが不安になられるというのは致し方ない部分はあるとは思いますけれども、まず、一呼吸置いて、正確な情報を確認していただいて、是非行動をしていただきたいと思っております。

ウェルネスニュースグループの木村です。
先週3月27日付で、消費者庁食品表示企画課から関係団体に、6月から始まる指定成分等含有食品の表示について周知がされているのですけれども、そもそも論かもしれないのですけれども、健康の維持増進を図る機能性表示食品で健康被害が出やすい指定成分を対象にすること自体、違和感なのですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

(食品表示企画課)こちらの点につきましては、指定成分については厚生労働省の告示も出されたところでありまして、ただ、飽くまでも機能性表示食品というのは、事業者が自分の責任でエビデンスを蓄積して、届出していただくということになりますので、そういった点も含めまして、事業者が、自分で取り組んでいただくというところがまずベースになるというところでございます。
飽くまでも27日に出した通知につきましては、食品表示基準が改正になり、指定成分等含有食品に関する表示をするということを踏まえた点で、その表示見本を、届け出ていただきたいということでお願いしているものでございます。

おっしゃっているのは6月の指定成分の話だと思いますが、いろいろな議論があったと思いますけれども、現時点で何か禁止するという性格ではないということから、あのような整理をされたと理解しておりますので、また情報が収集されていろいろなことが分かれば、新たな展開もあると思っております。
我々としては、きちんと情報発信をしていきたいと考えております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
高齢者・障がい者の消費者トラブル見守りガイドブックについてですけれども、国民生活センターが先日、地方消費者行政の充実・強化へ向けたアンケートを各自治体、そのとき消費者安全確保地域協議会、見守りネットワークの運用状況をまとめられました。
消費者庁が目標としている5万人以上の市町に対しては、2割にとどまっていると。その中で、設置されている自治体、これから設置しようとする自治体に共通の課題としてあったものの中に、福祉部局との連携が難しいということがあり、国民生活センターとしては、市と町が、福祉部局に働き掛けられていけるような、そういうその情報提供ということについて、国や都道府県に要望しているところが多いということがありました。
この見守りガイドの配布もとても大きな施策かと思いますけれども、消費者庁としては関係部局、特に福祉部局との連携をどう自治体の中でするのかということについて、どういう情報提供とか、働き掛けがあるか、お考えあればお聞きしたいのですけれども。

御指摘のとおり、なかなか見守りネットワークは消費者行政部局だけで立ち上げるというのはなかなか難しい部分もあります。福祉や、防犯・防災、様々な協議会が地域に現にございますので、そうした中において消費者行政も入っていくということの方が合理的だと思っております。とりわけ、今御指摘いただいたように、福祉行政との親和性は非常に高いと思っております。
そういった観点から、厚生労働省で、各種の公共団体を集めたいろいろな説明会等に私どもも入れてもらうようにお願いをしております。ただ、今回のコロナの関係で、集まるということができなくなったものですから、別の形で情報提供することになったのですが、できるだけ厚生労働省が自らの行政を御説明される際に、私どもの見守りの話も入れていただくようにしたいと思っておりますし、また、今回のこのガイドブックなどについては、全国地域包括・在宅介護支援センター協議会などの高齢者福祉関係団体、あるいは日本社会福祉士会などの専門職団体などについても周知をする予定としておりまして、とにかくできるだけ地域の中で孤立したり、弱い立場になりがちの人たちに、それをどうやって守っていくかということについては、福祉行政と全く同じ目的だと思っておりますので、連携がとれるように引き続き頑張りたいと思っております。
今はこういう状況なので、出張っていく機会がなく残念ですけれども、少し落ち着いたら是非また展開をさせていただきたいと思っていて、それは厚生労働省にもお願いしているところです。