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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年3月11日(水) 14:00~14:10 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

本日3月11日は東日本大震災から9年になります。改めて被災された方へ思いを寄せ、復興に向けた取組を進めていきたいと考えております。
消費者庁では、食品中の放射性物質に関する情報提供やリスクコミュニケーションを行っておりまして、昨日(3月10日)、風評被害に関する消費者意識の実態調査(第13回)の結果等を公表させていただきました。調査結果は既に御承知のとおりかとは思いますが、少なくなったとはいえ、福島県産をためらうという方がまだ一割程度いらっしゃるといった一方で、検査ですとか、あるいは、放射能についての知識については不十分だということが分かりました。調査結果も踏まえ、引き続き、正確な情報の提供やリスクコミュニケーションの推進に取り組んでいきたいと考えております。
二つ目は、新型コロナウイルスに関してです。昨日、大臣記者会見の冒頭で御発言があったとおり、国民生活安定緊急措置法の政令改正によって、マスクの転売禁止を15日から行うことになっております。大臣からのマスク転売が禁止されることについてのメッセージについて、その内容を当庁のウェブサイトに掲載するとともに、昨日付けで国民生活センター及び全国の消費生活センターへも協力依頼文書を発出して、マスク転売禁止に関する消費生活相談に対して適切に対応ができるようサポートを図っております。また、本日中に関係省庁と共同で作成したマスク転売規制についてのQ&Aをウェブサイトに掲載したいと思っております。
また、大臣の御指示を受け、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じて、新型コロナウイルスの予防に効果があるかのような広告表示を行っている商品に対し、景品表示法及び健康増進法規制の観点から緊急監視を実施いたしました。健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品等を販売している30事業者による46商品の表示について、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする文言等がありましたことを受け、緊急的に改善要請等を行ったところです。また、注意喚起を行った当該事業者が出店しているショッピングモール運営事業者に対しても、表示の適正化について協力を要請いたしました。
消費者庁では引き続き、不当表示に対する継続的な監視を実施し、法に基づく適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

質疑応答

NHKの秋山です。
新型コロナウイルス関連なのですけれども、先週の会見でもPIO-NETの情報などを教えていただいたかと思うのですが、新しい手口や相談などの状況等、変わっていましたら教えていただけますでしょうか。

今年に入ってから受け付けた新型コロナウイルス感染症に関する消費生活相談でございますが、先週の3月2日までに登録されたものに比べて大分増えまして、3月9日までにPIO-NETに登録された件数は2,753件になっております。相談内容はあまり変わっておりません。旅行や宿泊のキャンセルに伴う返金に関するもの、イベントの中止に伴う参加料や、イベントの中止を受けてのレンタル品等のキャンセルに伴う返金に関するもの、マスクや消毒液等の不足に関するものなどがあると承知しております。全体としての傾向は変わっておりませんが、昨日発表させていただいた、表示や勧誘に問題があるものも幾つか出てきておりますので、引き続き私どもとしても注視をし、必要な注意喚起もしてまいりたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初に御発言があった実態調査の件です。不安な方々がだんだん少なくなってきているという結果もありますけれども、6年前の第1回の実態調査と比べると、十分な情報がなくてリスクの内容が分からないという方々が、その当時と比べると約10ポイント上がって3割台になっています。リスクコミュニケーションを十分行うということですが、どういうことをされるのか、具体的に教えていただきたいです。

リスクコミュニケーションについては、これまでも関係府省、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、環境省等、それから地方公共団体等とも連携しまして、シンポジウム等を年間約100件を超える件数を行っております。引き続きシンポジウム等を行うとともに、また、食品と放射能についての基礎的な知識についても御存じない方が多いということも分かりましたので、冊子にして既に91万冊くらいを配布しているところでありますけれども、こういったものを通じて、基礎的な知識についての周知も図っていきたいと思っております。
震災後時間が経ちますので、このようなことに関するマスコミの報道も少なくなっている部分は致し方ないところはあると思いますが、そういった基礎的な情報提供についても、引き続き皆様方にも御協力賜ればと思っております。

先日、消費者機構日本(COJ)が提訴した裁判の判決が出ました。主な要求については原告側のものが認められて、しかし一方で認められなかった部分もあります。それでお聞きしたいのは、この裁判、判決をどう受け止められたかということと、もう一点が、消費者裁判手続特例法については、去年の10月で3年経過しているということで、3年たったならば、必要とあらば見直しも、ということが言われておりましたけれども、この法制度の見直し検討ついて、何か御予定があればお願いします。

まず、消費者機構日本の主張が認められたことは、消費者被害の集団的回復を目的として平成28年に施行された消費者裁判手続特例法の成果の現れだと受け止めております。
その上で、昨年10月で3年が経過しているということの見直しの話でございますが、これまでに3つの特定適格消費者団体が認定され、今回判決のあった学校法人東京医科大学も含めて、4事業者に対して訴えの提起がされております。
また、訴えの提起をする前の団体からの申入れを受けて、事業者が消費者に対して任意に返金をするというケースも見られております。
今回の判決も含め、消費者裁判手続特例法の施行状況等を踏まえまして、引き続き見直しを含めた検討を行っていきたいと思っております。具体的にどういった体制で、という状況にはまだ至っておりませんが、内部でいろいろな議論をしているところです。

昨日、民事訴訟制度の改革推進会議の関係府省庁連絡会議の取りまとめがあったということで、その取りまとめの中には国民生活センター越境消費者センター(CCJ)の体制の強化であるとか、消費者庁に対するオンラインの相談対応の在り方であるとか、そういった具体的なものがいろいろ含まれております。この民事訴訟制度の改革についての提案について、消費者庁としてはどういった対応で臨まれますか。

民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議及びこの幹事会につきましては、消費者庁も構成員として参画しておりまして、国民生活センターでもプレゼンもされたと承知しております。
内容としては、越境消費者紛争への対応力の強化、具体的に言いますと、CCJの体制強化の話ですとか、外国人が当事者となる国内民事紛争増加への対応力強化としての関係機関との連携強化、あるいは対応言語の拡充といったことが指摘をされているところです。
どれも非常に大事な観点を御指摘いただいていると思っておりまして、取りまとめに記載された内容には、予算要求で対応をするもの、あるいは組織で対応するもの、いろいろございますので、消費者庁として必要な対応をしてまいりたいと考えております。