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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2020年1月16日(木) 16:00~16:14 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まず「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」素案のパブリックコメントの開始についてです。昨年10月に施行した、食品ロス削減推進法に基づく基本方針について、1月10日からパブリックコメントを開始しており、2月1日まで意見を受け付けております。その後は2月中に第3回「食品ロス削減推進会議」を開催して、基本方針の案の決定を行い、今年度中に閣議決定できるよう、作業を進めていく方向です。
二つ目です。機能性表示食品の事後チェック指針案のパブリックコメント開始についてです。機能性表示食品については、2015年の4月の制度運用開始から4年半が経過しておりまして、届出公表件数はこの1月15日時点で2,413件に達しております。他方、機能性表示食品の広告について、景品表示法違反の問題が生じたことなどを端緒といたしまして、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画においては、制度のさらなる運用改善として、販売後の関係法令上の問題点を事業者自らが把握できるよう、事後チェックの透明性向上に係るガイドラインの策定等が求められております。これを受け、今般、事業者団体や有識者の方々の御意見も伺いつつ、機能性表示食品の科学的根拠及び広告表示に係る関係法令上の考え方を示した機能性表示食品の事後チェック指針案を取りまとめ、本日から広く国民の皆様の御意見を募集するためのパブリックコメントを開始いたしました。パブリックコメント終了後、年度内に本指針の公表を行いまして、本年の4月からの運用を予定しております。本指針に基づきまして、事業者の自主管理の推進によるコンプライアンスの向上が図られることで、消費者にとって更に安心できる制度となることを私どもとしては期待しております。

質疑応答

NHKの鈴木と申します。機能性表示食品についてですけれども、法違反などの問題が端緒にあったということで、そこから検討してきたということですけれども、どういう点に気を付けて欲しいか、この指針を出すことによってどのように参考にして欲しいのか、そこについてお願いします。

指針の目的ですけれども、これは機能性表示食品に対する食品表示法、景品表示法及び健康増進法に係る事後的な規制の透明性を確保することで、不適切な表示に対する事業者の予見可能性を高めると、これについて自主的に、自主点検を事業者自体、あるいは事業者団体がやっていただくということで、事業者の健全な広告活動ができると。そのことで、消費者も、よりこの制度を安心することができると考えています。
具体的な内容ですけれども、一つ目は科学的根拠、エビデンスに関する事項でして、例えばその、機能性表示食品はこういった科学的根拠があるということを事業者自体が御用意されて、公表されているわけですけれど、その機能性の食品とそうではないものというのを、比べられるときに、統計的にきちんと有意な差があるものかどうか、そういった点をきちんとチェックしていただきたいというのが一つ目です。
二つ目は広告表示に関する事項です。機能性の内容について、PRしたいという思いが強いがゆえに、消費者を誤認させる可能性がある広告表示がございまして、これが景品表示法上の違反としてとらえられた事案がございます。こうした観点から、機能性の範囲を逸脱した広告表示として、景品表示法上問題となる恐れがある事例はどんなものがあるかということについて記載をさせていただいています。
また、客観的評価機関の評価結果等に対する景品表示法上の取り扱いとして、そういった客観的な立場を有すると認められる機関等において、科学的根拠資料が妥当と評価を受けたものについては景品表示法上の取扱いをこういうふうにしますといったことについて記載をさせていただいております。

共同通信の田中です。機能性表示食品の指針案についてですけれども、直接的に関係するのは事業者、若しくは事業者団体だと思うのですけれど、そういったエビデンスとかPRのところで、今回の指針案を通じて消費者の方々に安心してもらいたいことを詳しくお願いします。

少し逸脱した話になるのですが、明治以降、だいたい100年くらい前、データで言うと50歳以上の人が約2割の社会が100年くらい続いていましたが、現在は50歳以上の人は5割くらいです。そうすると皆さん健康を気になさることが多くなり、健康に関して訴求する。もちろんそれだけではないのですけれど、そういったことを始めとして機能性表示食品に対してのニーズは高いと思っております。一方で、厳格に沢山のデータに基づかないといけないということになると、提案もしにくいということがあって、今の機能性表示食品というのは、販売前に根拠資料を届けることで、事業者の責任で保健の機能の表示が可能という制度になっております。ただ、消費者からすると、その効果をあまりに誇大に言われると、誤解をしてしまう、あるいは薬品などと間違ってしまう方もいらっしゃるので、そういったことがないように、きちんと整理をしていく。そうして、いい制度に育てていくということが、事業者にとってはもちろん、それを受け取る消費者にとっても大事だと思います。過度に規制して、新しいいろいろな御提案、商品開発がされるというのを規制するのは良くないと思いますけれども、一方で、先程申し上げましたように、消費者を明らかに誤解させるといったことは非常に問題だと思いますので、そうした観点から、その点のルールが必ずしも充分ではないところがあったように思いますので、今回チェック指針案という形でまとめさせていただいたということです。これによって、機能性表示食品の制度の安心感は高まるのではないかと思っておりまして、(消費者と事業者が)お互いに良い形で制度が育っていくということは大事なことだと思っております。ただ、飽くまでも機能性表示食品というのはそういう性格のものですので、よく薬品とかと誤解される方が結構いらっしゃるものですから、それは飽くまでも一定の保健の機能があるというものであるということを認識した上で上手につきあっていただくことが大事ではないかと私どもとしては思っております。

ウェルネスニュースグループの木村です。
同じ件ですけれども、この事後チェック指針は法的な位置付けとしては、届出ガイドラインとかと同じレベルという認識でよろしいですか。

そうです。飽くまでもガイドラインということです。

この指針ができたことによって、例えば消費者庁が行う事後チェックとか、事後的な検証事業が、少し弱くなるとか、少なくなるとか、そういう懸念はないのでしょうか。

私どもからすると、ある程度指針を守ってもらっているものと、そうではないものとなると、指針を守っていないものについて、よりいろいろな形で、様々な規制に対する対処が注力できるので、問題がある事案についてリソースを投入することができるというメリットはあると思います。
また、この指針で運用を始めた上で、なお、いろいろな点で不足があれば、私どもとしても引き続き注視をしていきたいと思っております。

業界側の第三者機関的な前さばきのような取組について、今の状況や、何か今後の予定が、分かれば教えてください。

(表示対策課)第三者機関の関係につきましては、閣議決定された規制改革実施計画においても、そういった第三者機関の活用ということが、事業者団体側からの要望として明記されているところです。
今回、指針案の中では、先程三つ目のポイントとして長官から御説明をさせていただきましたけれども、客観性を持った組織において、科学的観点からしっかりと評価を受けてきたものということであれば、事後チェックにおいて法的対応にあたる部署におきましても、そういった結果を踏まえた上で対応に当たれることとなります。
行政のリソースの観点のお話、先程ありましたけれども、事業者団体を含めて、その届出をする事業者のエビデンスの客観性を向上されるという取組を行うための組織等が出来上がってくれば、そういった組織の活用を消費者庁としても推奨していきたいと考えておりますし、その結果を踏まえた上でのいわゆる事後チェック体制というのも考えることが可能になってきますので、今後そういった動きが事業者団体側で出てくれば、そのような取組についても可能な範囲で支援をしていきたいと考えております。他方、内容としては飽くまでも事業者の方々の自主的な取組ですので、それは今後、事業者団体の方々が今回の指針の考え方に沿ってこれから考えられていく段階にあるものと認識しております。

この事後チェック指針の中に、研究レビューのグラフの使用が条件付で入っているのですけれども、この件につきましては、これまで様々な学識経験者がトータリティー・オブ・エビデンスの観点からナンセンスだという意見が出ていて、それが今回盛り込まれたのですけれども、その経緯について、改めて知りたいのですが。

(表示対策課)それにつきましては、指針の記載内容を御覧いただければご理解いただけると思いますが、あくまでも広告の構成要素の一つとして、そういったグラフを使用する際には、注意すべき点があるということを記載させていただいているところです。
基本的に、特定の文言や表現を規制しているわけではありませんので、そういったグラフを使うこと自体が規制されるものではありません。ただし、そういったグラフを使うことによって、消費者に過度な期待を与えないようにするために、きちんとした考えを持って広告してくださいということをあえて明示しているわけなので、直接的に今あったお話のような御懸念を踏まえた上で何か記載されているという性質のものではないということは、指針の文書全体の構成から読んでいただければ御理解いただけるかと思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
機能性表示食品については、先程おっしゃったように規制改革推進会議の中でもガイドラインの作成・公表とともに、その第三者的役割を持つ機関の活用によって法執行、たしか法執行のスムーズなということを構築するということだったのですが、今のお話では第三者的役割を果たす、その機関というのは、事業者団体の方からの育ちを待つということですか。

(表示対策課)そのとおりです。

もう一点が、来週、パブコメが終了する第4期の消費者基本計画のことですけれども、この基本計画は基本的には5年ですが、年次の政策、施策について、その工程表なりを作りながら、消費者政策会議が決定していくと理解しているのですけれども、この年次の工程表については、公表はいつ頃になるのでしょうか。

(消費者政策課)工程表につきましては、本体の計画が、その作業を一旦年度内に閣議決定いたしましてから、また着手を本格化させていきたいと思っていますので、まだ具体的な時期について明言できる段階にはないのですが、なるべく速やかに策定をしていきたいと考えております。