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伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2019年11月7日(木) 14:00~14:17 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

皆様、こんにちは。
先般の台風等の被害の影響に鑑み、先週、11月1日から国民生活センターにおいて、通話料無料で相談を受け付ける「令和元年秋台風関連消費者ホットライン」を開設しております。0120-486-188(しんぱいむよう・いやや)ということでやらせていただいております。現在の状況でございますが、昨日6日までに52件を受け付けております。千葉を中心に相談がございまして、これは平成30年の7月の「豪雨消費者トラブル110番」では、大体6日間で39件ということですので、それよりは多いペースであります。
なお、これ以外にも、188の方では、台風第19号関連で415件、台風第15号関連で1,312件、11月5日現在で、問合せが来ております。
主な相談内容といたしましては、台風で雨漏りした自宅の修理を業者に依頼したが、追加工事を勧められたとか、保険会社から紹介のあった業者から、保険申請した内容とは別の工事を勧められたといった相談などが寄せられていると聞いております。
被災地域の皆様におかれては、台風等に関連した消費者トラブルの心配がある場合には、引き続き、「令和元年秋台風関連消費者ホットライン」、0120-486-188(しんぱいむよう・いやや)を御利用いただきたいと思っております。

質疑応答

NHK、秋山と申します。
台風の件ですが、この相談の中で、いわゆる悪質業者と断定できるようなケースですとか、千葉の際にあった、職員を名乗るような、そういう悪質なケースは確認されているのでしょうか。

どこまでが悪質かということは言えないのですが、今御紹介したのは、この工事が本当に必要かどうかというところがあるので、必ずしも悪質と断定しにくいところあるのですが、要は、そういったことに乗じたような御相談だったと思います。その点は、引き続き注視をしていきたいと思っております。

2点目ですが、消費者庁のSNSで、携帯電話関係のことで注意喚起されていますが、これについてはどのような対応をされているのでしょうか。

スマートフォンに関連した消費生活相談というのは、以前からかなり寄せられておりまして、10月1日に、通信料金とスマートフォン等の端末代金を分離する改正電気通信事業法が施行されたということですので、これに合わせて、携帯電話事業者各社が端末の販売プランを出されてきたと認識しております。
その中で、9月26日に御案内のとおり、携帯電話端末の広告表示に関する消費者への注意喚起をさせていただいて、その後の経過を注視すると申し上げたと思います。
私どもの注意喚起も含めて、いろいろ御検討されて、11月に入りまして大手携帯電話事業者の変更されたプランが出そろったという感じがしておりまして、これを受けまして、消費者に自らの利用状況とか、自分のそのニーズに合った形での端末の買い方をしていただきたいということで、Twitterにて参考となる資料を公表したものであります。
端末を御購入されるに当たっては、そもそも月額だけではなく、総額だとか、あるいは2年後に端末を返す、または新たに購入するなど、いろいろな条件が付いている場合もあるので、それが自分のライフスタイルに合っているかを確認の上でお買い上げいただきたいと思っている次第です。

日本消費経済新聞、相川です。
地方消費者行政現況調査について質問させていただきます。
17日の会見で、長官は、「自主財源の増加により、消費者行政の行政予算は前年度に比べて増加して、相談体制の整備が着実に進んでいることが分かった」とおっしゃいました。
詳細版が25日になって出まして、それを拝見させていただいたところ、相談体制に関わる消費生活センターと本課の予算は、今年の伸び率は0.9億円です。
確かに、広義の予算は5億円を超えて伸びていましたが、昨年減額されたセンターと消費者行政予算は6.9億円あって、はるかに及ばないと。
それで、各自治体を電話させていただいたところ、補助率が3%以上、自主財源が増えないところ、依存率が15%を超えるところは3分の1にされるという新しい交付金に対応するために、他課の予算を読み込んだり、従来あった予算を見直して予算を増やしているところがかなり見受けられまして、現実的には週末相談を廃止したり、商品テストをやめざるを得なかったり、それから相談員を切らざるを得なかったりという自治体が出ていました。
キャラバン隊をやられていますが、もう少し基礎自治体を含めて現場の本音とか、本当のそのニーズとか、苦悩とかが吸い上げられるような仕組みを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

確か先月お話しさせていただいたときも、着実に伸びていて、それで安泰だということを申し上げたつもりは全くございません。当然、地域によってのばらつきもありますし、十分でない点はあるので、それはしっかりとやっていくということを念頭に置いて、予算にしても、何にしても考えていく必要があると申し上げたかと思うので、全くもって、良かったと言うつもりはないです。
地方消費者行政の足腰を強くするということは、大切な問題だと思っていますので、まず、首長さんの方に消費者行政の大切さを理解していただく、あるいは、その見守りネットワークの推進ですとか、機会を捉えて、直接必要性をお話しする機会は大事なことだと思うので、これは引き続きやりたいと思っています。
その上で、予算についても、強化交付金だけではなくて、人材育成ですとか、あるいは情報支援の観点での予算、モデル事業といった形で今年度予算要求をしているところでありまして、こういうのも含めて全体を頑張っていきたいと思っております。また、人員がなかなか、今回の制度の変更に伴って減らされるのではないかという御懸念もあると思うので、条例の状況も見極めながら、しっかり総務省とも連携して注視していきたいと思っております。

調整とか、人の配置など、いろんな質問の想定問答や、時間が取られて、実質的な自主財源を獲得することにつながっていないという意見もありますので、本質のところは見ていただきたい。

おっしゃるとおり、トップが直接来て話すことと、恐らく現場のサイドで何がどう困っているかを吸い上げるということは、いろいろなレベルでの情報交換が必要だと思います。

5日に全国消費者団体連絡会が、都道府県の消費者行政の調査を致しました。その結果、法執行で専任職員がどんどん減っていることがもう消費者庁にとって致命的だと私は感じていて、その明確な調査結果が出ていて、47都道府県のうちに、専任の執行の職員がいるところは20都道府県しかありませんでした。そして、兼務のみのところが24県、そして、職員が配置されていないところが3県ということでした。
この2年間、特定商取引法の行政処分ができていないところが24県と出ています。それから、行政処分も行政指導もできていないところが、この2年間1回もできていないところが9県ありまして、この9県というのはいずれも職員がいないところだと。皆さんが職員の複数配置と専任配置と人員体制増加のための予算を求めているという、現実があります。
これに対して、この調査結果でも出ているのですが、多くのところが安定的、継続的な国の財政支援を求めていて、それについてどうお考えになっているか、どうやって人を増やそうとされているのか教えてください。

今の消費者行政全体が自治事務と整理されている中で、いろいろ交付税措置をされているということで、今の強化交付金と、それから交付税措置と、要は自主財源とセットで議論されているという状況はあると認識しています。
その中で、今御指摘あったのは法執行体制ということだと思います。もちろん職員の確保も必要ですし、それから具体的にやったことがないところに関して言うと、それをどうバックアップしていくかということも大切だと思っておりまして、そういうことも併せて考えてやっていきたいと思っております。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
11月1日に消費者庁の方で公表されました、消費者志向経営の表彰制度についてなんですけども、これは大事な制度だと私は思っています。
これの意図するところは、要するに事業者ではなくて、むしろ事業者が取り組んでいる事例だと思っています。けれど、公表されたのは社名であって、肝心の事例が来年1月ということになっております。
これは事例がモデルになるわけですが、何らかの形で公表される御予定はないのでしょうか。

おっしゃるとおり、消費者志向経営自体は会社の取組を褒めるものではありますけれども、取組の中身、消費者志向経営とは何かということをそれぞれの事業者の方に考えていただくということも、大事だと思います。
今回、企業名だけ公表させていただいたわけですけれども、1月24日に表彰式で選考委員から詳しい講評もしていただくことにしておりまして、その内容については消費者庁ウェブサイト等に載せたいと思います。
表彰式では、具体的な表彰理由、何を評価されて消費者経営としたかというところについて、それぞれの観点をお話しいただくことにしております。
今回そういう講評が別にあるので、こういったやり方をさせていただきましたが、今後は、併せて出した方が良いかなどについては、また議論したいと思います。

日本消費経済新聞の相川です。
消費生活相談員の不足が本当に深刻です。もう国家資格保有者がいないということよりも、相談員さんになろうという人がいなくなっているという深刻な訴えがありました。
交付金による削減もあり、僅かでは、確認できましたけれども、本当に深刻な状態で、国家資格になっても非常勤が8割で、1年契約が9割で、報酬単価はこの8年間、調査を始めてから時給が88円しか上がっていないという状況です。
これに対して、本当に本腰を据えて抜本的な見直しをしなければ、非常に危機的な状況があると。
それから、全国消費者団体連絡会の都道府県調査で、40県しか回答はしていないのですけれども、行政職員が国、各省庁を含め、国の研修、国民生活センターの研修、都道府県がやっている研修のいずれにも1回も出られていないという人が719人のうち334人と、46%もいると。これに関して、地方強化作戦では今後80%にしていくような目標設定をしていくという懇談会の報告書が出ていますけれども、目標だけ設定しても非常に困難な状態があると。
これはもう具体的な相談員の数にしても、職員の数とか研修にしても、本当に本腰を入れて消費者庁が何らかの支援策を打たなければ、非常に大変な時期が来ていると思いますので、その辺についての見解をお教えください。

まず、前者の、相談員のなり手という話であります。
今日は全国消費生活相談員協会の方と午前中意見交換をさせていただいたのですが、相談員自体のなり手については、所得の問題、それから社会的な地位ですとか、あるいはそういう位置付け、またはやりがいなど、そういったことが大事ではないかとに思っております。先程のキャラバンの話をいただいたところですけれども、地方行政において、消費者行政の地位を上げていくことが、とても大切なことだと思います。
そういうことも含めて首長さんに働き掛ける、あるいはだまされないための対応だけではなくて消費者教育をやるとか、あるいは今の消費者志向経営的なものも含めて、食ロスなど、様々な場面で消費者行政の必要性というのを理解していただく必要があると思います。
国民生活センターの研修については、場合によっては地方にもう少し出向いていった方が受けやすいのではないかということも言われておりますので、どうしたら研修のハードルが低くなって、受けやすくなるかということについても、実務的に議論をしていきたいと思います。