文字サイズ
標準
メニュー

伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2019年9月19日(木) 16:00~16:18 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室)

発言要旨

皆さん、お集まりいただいてありがとうございます。
まず、一番始めには台風15号による被害の関係です。
今般の台風による被害については、まだ全容が明らかになっておらず、相当多数の家屋被害が生じていると見込まれております。このような大規模な災害の後には、災害に便乗し、建物、設備の修理や点検を騙る悪質商法などの消費者トラブルが発生する傾向にあります。
具体的には、住宅リフォーム事業者と称する人が、火災保険の代行申請を行うとか、屋根等の修理を、リフォームを勧める、あるいは火災保険の補償対象とならない工事についても対象となると騙り、屋根等のリフォームを勧める、あるいは地上自治体の職員を騙り、屋根のリフォームを勧める等のケースが想定されます。
事業者よりリフォーム等の勧誘があった場合は、まずは損害保険会社に直接相談し、補償対象等を確認することが重要と考えております。
今後、契約等には慎重に御対応いただき、困ったときは一人で悩まず、お近くの消費生活センター、「消費者ホットライン188(いやや!)」に御連絡ください。
また、特に住宅リフォームに係るトラブルにつきましては、「住まいるダイヤル」への御相談を受け付けているということでございますので、これも御活用いただければと思っております。これが1点目です。
それから、2点目です。お手元に資料をお配りしていると思いますが、ゲノム編集技術応用食品の表示の在り方についてです。
本日、ゲノム編集技術応用食品の表示の在り方についての整理方針を、食品表示基準Q&Aに盛り込み、消費者ウェブサイトにおいて公表いたしました。
ゲノム編集技術応用食品については、お手元にありますとおり、厚生労働省における食品衛生上の整理では、外来遺伝子が残っており遺伝子組換え食品に該当するものと、それ以外のものの2タイプに分けられます。このうち、遺伝子組換え食品に該当するものは、食品表示基準に基づき、遺伝子組換え表示を行う必要があります。
また、遺伝子組換え食品に該当しないものは、厚生労働省に届出をするという制度があり、本日通知が発出されておりまして、消費者庁としても事業者に表示等の情報提供を行っていただきたいと考えております。
なお、現段階ではそちらに理由も書かせていただいておりますが、ゲノム編集技術を用いたものかどうかが科学的な判別が困難であること、それから、国内外においてゲノム編集技術応用食品について取引記録等の書類による情報伝達の体制が不十分であることを踏まえまして、いわゆる食品表示基準の表示の対象とはしないということとしております。
また、今後、流通実態、諸外国の表示制度に関する情報収集も随時行った上で、新たな知見等が得られた場合には、必要に応じて取扱いの見直しを検討することとしております。
いずれに致しましても、厚生労働省の届出制度と整合性を取る形で、表示についても推進していきたいというふうに思っております。
それから、もう一つ資料がお配りしてあるかと思います。アーモンドの食物アレルギー推奨表示品目への追加です。
資料にありますように、食品のアレルゲン表示につきましては、全国の医師の協力の下で行っている実態調査の結果を踏まえまして、症例数及び重篤度の観点から、義務表示品目と推奨表示品目を定めております。
今般、アーモンドによるアレルギー発症者数の増加及び本年7月5日の消費者委員会食品表示部会における御意見を踏まえまして、消費者庁次長通知を改正して、推奨表示品目として新たにアーモンドを追加することと致しました。これは本日付で通知を発出しております。
事業者におかれては、できるだけ早期にアーモンドを表示していただくようにお願いしたいと思っております。これがお手元にある資料でございます。
それから、もう一つお手元に資料がありますが、「地方消費者フォーラム/エシカル・ラボ in ひょうご」の開催についての御案内です。
9月29日に「地方消費者フォーラム/エシカル・ラボ in ひょうご」を開催いたします。これは8月に石川で行ったものの第2弾ということであります。
今回は、ファッション産業を通じたエシカル消費にスポットを当てたイベントとなっております。
詳細につきましては、担当課に御確認いただければと思っている次第です。
私からは以上です。

質疑応答

NHKの秋山です。
ゲノム編集について、とりあえずは技術的な側面も踏まえて、遺伝子組換えに当たらないものは義務の対象から外されるということでしたけれども、消費者などからは選択できるようにという声も上がっていますが、そういったところに消費者庁としてどのように応えていきたいというふうに考えていらっしゃるか、教えてください。

今回、届出のあるものについては、私どもとしては表示等の情報提供をしていただきたいということで、これは関係の業界の人たちにも当然働き掛けていくということであります。
理由につきましては、科学的な話と、それから諸外国の状況も含めて分からないという状況ですので、そうなってきますと、特に私どものように消費者に直に対面するような、例えば加工食品なんかを念頭に置きますと、全部について義務としてやってもらうということについてはなかなか難しいところもあります。
そういうことから、今回とにかくできるだけやってくださいということで、消費者の知りたいということについて、我々としては応えたいし、それについて業界にも働き掛けていきたいということであります。
それから、もう一回繰り返しになりますが、現時点ではそういう対応をさせていただくということでありますけれども、当然その周辺の状況が変われば、これから新しく届出制度も動き、諸外国の状況も変わってくるというようなことがあれば、その状況に応じて制度についての整理を見直したいというふうに思っております。

日本テレビの小倉です。
今の質問に関連して、消費者庁が言っている表示をしてほしいという対象は、生産者なのか、それとも、売場もあったりして、どこまでをこの事業者と指しているのは、どういう範囲で言っているのか。

生産者が、事業者になる場合もありますが、私どもとしては消費者に直に対面している人たちが事業者として食品表示をするということになります。
ただ、消費者に対面している人が表示するためには、川上の方からそういう情報が当然流れてこなければいけないということになりますので、そういうことについても御協力いただくしくみが今後必要となると思います。

日経新聞の矢野です。
同じく関連してゲノム編集についてですけど、まず確認したいのは、義務表示は見送って、任意表示については容認するという考え方でよろしいのかということと、その任意表示について、販売業者の責任で、ゲノム編集食品でないという表示が今後乱立された場合、これは逆に安全性が担保されているゲノム編集食品があたかも安全じゃないような、誤った情報が伝わる懸念がないのかどうか、長官の御意見をお聞かせ願えればと思います。

食品表示基準に基づく義務の対象にしないということを申し上げました。その意味でいうと、仰るとおり任意ではありますが、我々としては届出があったものについては、是非表示をして頂きたい。
ただ、先程申し上げたように、食品のいろんな流通の過程において、ゲノム編集したことがちゃんと分かる状態でないと、なかなか川下側の方の食品関係の事業者が表示できないですから、そういう状況を踏まえると、お願いということになるのは事実ですが、できるだけやってもらいたいということで、我々としては働き掛けたいということであります。
その上で、先程のゲノム編集技術応用食品でないということについての表示でありますが、表示が適切になされる限りにおいては、消費者の当然、自主的かつ合理的な選択の機会の確保に資するものですから、特に禁止するという性格のものではないと思います。御指摘のとおり、ゲノム編集技術を利用したかどうかの確認というのが科学的に現在検証できないということでありますので、事業者がゲノム編集技術応用食品でないとの表示を安易に行うということについては、望ましくないというふうに思っております。
そういう意味では、繰り返しになりますが、当然表示というのは基本的なエビデンスに基づいてやっていただく必要があるというふうに思いますので、そういうゲノム編集技術応用食品でない旨の表示をする場合においては、事業者自らが流通管理に係る取引記録その他の合理的な根拠資料に基づいて、適正な情報提供を通じてやっていただく必要があるということについても通知の中で記載させていただいているところであります。

今のお話だと、ゲノム編集食品でないということについて、表示する自由はあるけれども、余り好ましくないという理解でいいのか。科学的にないというのはなかなか難しいことで、例えば実質的にはトレーサビリティを徹底するとか、ある程度最終的にはいわゆる販売業者がリスクを負って表示してくる可能性もあると思うんですよね。それは、いわゆるそれをうたって商品を売るということを考えることは当然あり得ると思いますから、そこが今後の話になると思いますけど、どんどんそういうのが乱立した場合、これまた混乱するような気がして、その辺、長官自身懸念というか、どういうふうに思われているか。

根拠も正確にないのに、ないというふうに表示されることはかえってよくないという点ももちろんあるとは思います。一方で、自分できちっと管理されていて、分かっているという場合においては、それを表示されるということがいけないかと言われると、それはいいのではないかと当然思います。それがゲノム編集技術応用食品であるかないかということについてのエビデンス自体が明らかである場合は、表示して大丈夫ではないかというふうに思っています。
とりわけ加工食品の場合は輸入品なども多いわけですけれども、国外においてそういう制度が確立しているかというと、まだ諸外国もそういう形をとっていないものですから、輸入されているものについてちゃんとエビデンスを集めて表示するというのは、なかなか難しいのではないかと思います。
ただ、本当にできるのであれば我々として反対するというものではないと。要はエビデンスさえあればいいということですから、そういう意味でいうとやることに関してはニュートラルなんです。そこは丁寧に確認していただく必要があるのではないかなと思っています。
それから、御懸念のような、もしいろんな表示が乱立するとか、そういうような事態がもし起きるのであれば、表示の有様として頭の整理をしていく必要はあると思います。

読売新聞の加藤です。
厚労省側は任意の届出であっても、届出がされていないことが事後的に分かれば事業者名を公表するような措置を取るというふうに公言されていると思うんですけれども、消費者庁としては厚労省に届け出された食品であって、それを使っていないということが事後的に分かった場合に事業者名を公表するとか、この食品は届出がされた食品でしたみたいなことを広く周知するようなことは考えていますか。

現時点では考えておりません。

NHKの秋山です。アレルギーの方で質問させてください。
今回アーモンドが加わるということですけれども、こちらに関しては広く伝えていく意義というか、推奨される意義というのを改めて考えをお聞かせ願えますでしょうか。

食品のアレルギー表示というのは、消費者の健康被害の発生ということが非常にありますので、正にアレルギーをお持ちの方にとってみたらとても大切な情報ということになります。
過去の健康被害の状況や頻度を考慮して、特定原材料と特定原材料に準ずるものという整理をさせていただいているところでして、今回アーモンドを追加するということですから、これはできるだけやっていただくように、それもできるだけ早くやっていただくように働きかけたいということであります。

テレビ朝日の北田と申します。
今後、ゲノム編集の食品についても状況が変われば見直していくというようにおっしゃったんですが、その状況が変わるというのは、そもそもこういった食品がたくさん出回ることなのか、それか遺伝子組換えのときと同じように、民間で生産の分別ができていく、そうなった段階でこれは編集されたものですというような表示を作るのかとか、先々のことはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

まず、先程申し上げましたように、諸外国、内外を含めて今おっしゃった食品の流通も含めての管理がどうかということもあります。それから、現時点ではゲノム編集で、かつ遺伝子組換えではないものかどうかというのが科学的に検証できないので、私どもが罰則付きでやろうと思っても、我々の方がそうであるということをなかなか証明できないという状況でございますので、そういう状況を全体で見てどうするかを考えていきたいということです。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初に発言された災害の苦情事例、トラブルといいますか、その中で住宅リフォームのことを例に挙げられました。既にこれは何件か相談が来ているのかどうかということが一つ。それともう一つ、もう10日余りで消費税が引き上げられますが、消費生活センター等に対しての相談が10月1日前後も出てくるかと思いますけども、消費生活センター、全国のセンター等の相談対応窓口というのはどうなっているのか、体制整備されているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

初めの台風関連について、停電の影響もあるのかもしれませんが、現時点ではデータ的に見ると、そんなにたくさんの消費生活センターの方に相談が寄せられているという状況にはないんですが、停電が解消されるにつれ次の段階に当然移るということになります。そうなると、従来の災害の場合は必ず消費者トラブルが起きていますので、今回もブルーシートによる屋根補修等で消費者トラブルがあるという報道もございますので、この点についてはよくよく周知をしていただければなというふうに思って申し上げているということであります。
それからもう一つ、消費税の話でございますが、消費者庁では消費税率の引上げに関しては、便乗値上げに関する消費者や事業者からの相談窓口の設置ですとか、あるいは軽減税率制度の実施に伴う価格表示に係るガイドラインの整備等々行っているところでありますが、現在消費税引上げそのものについての相談が現時点数多く寄せられているというふうには認識しておりません。