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井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2021年7月13日(火) 11:14~11:30 於:中央合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

発言要旨

まず、知財戦略担当の大臣として報告します。
本日、知的財産戦略本部会合にて「知的財産推進計画2021」を決定しました。副題を「コロナ後のデジタル・グリーン競争を勝ち抜く無形資産強化戦略」としました。
無形資産の活用や投資が国際競争の中で重要性を増している中で、日本企業の活動は外国優良企業と比して劣後している状況にあります。日本企業の知財・無形資産投資を活性化させることが急務となっております。
今回の推進計画では、第1に、コンテンツのデジタル配信を円滑にするよう、配信の際に発生する複雑な著作権の処理を一元的に行うことができる制度を創設すること。第2に、企業が投資家から知財投資戦略を適切に評価され、資金が供給されるよう、改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえ、企業の知財投資・活用戦略の開示等を促すガイドラインを策定すること。第3に、官民一丸となった標準活用を強力に推進するため、省庁横断的な推進体制の下でスマートシティー、ビヨンド5G、グリーンなどの戦略的重要分野における標準活用の加速化支援などを実施することなどに取り組むこととしております。
本日決定した推進計画を踏まえ、政府一丸となって取組を推進してまいります。
次に、科学技術政策担当の大臣として報告します。
本日夜、G7科学大臣会合及びグローバル新興技術サミットにオンライン参加します。G7科学大臣会合では、先月発出された首脳宣言の附属文書「G7研究協約(Research Compact)」を踏まえ、国際研究協力の重要性や直面する課題について連携して取り組んでいく方針を確認したいと考えています。
グローバル新興技術サミットは、「米国国家安全保障人工知能委員会」の主催の下で開催される公開のシンポジウムであり、このうち日米豪印4カ国の閣僚級による、新興技術に関する国際協力をテーマとしたパネル・セッションに参加する予定です。AI等の新興技術が自由や基本的な人権の尊重といった価値を支え、国際社会の持続的な発展に資するものとなるよう、議論への参加を通じて、重要分野における科学技術協力をさらに推進していきたいと考えています。
最後に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
消費者行政の司令塔として消費者庁が設置され、12年目に入りましたが、消費者を取り巻く環境は、デジタル化や国際化をはじめ大きく変化しています。こうした中で施策を進めるに当たり、様々な関係者とこれまで以上に密にコミュニケーションを行うことが重要となっています。
私が昨年9月に消費者担当大臣に着任してからも、現場の消費生活相談員の方とも意見交換をしてまいりましたが、明日、消費者関連団体の4団体をお招きし、消費者行政全般について懇談を行うこととしました。
さらに、先の国会で成立した特定商取引法等改正法に規定した契約書面の電磁的方法による交付につき、消費者からの承諾の取り方、電磁的方法による提供の在り方について、オープンな場で広く意見を聴いて検討するため、消費者団体、事業者団体、デジタル分野等の有識者から構成される「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」を立ち上げます。第1回は今月30日に開催する予定です。こうした場でいただいた率直な御意見も踏まえ、今後の消費者行政を展開してまいります。
以上です。

質疑応答

冒頭で、今お話しになった検討会についてなんですけれども、大臣としては、この検討会にどのように関わっていかれるか。毎回毎回出席されるわけではないと思うんですけれども、この前の国会で成立した法改正を潤滑に進めていくために非常に重要な検討会だと思っているんですけれども、どのように関わっていかれるおつもりかというところを教えてください。

私も大変重要だと思っておりまして、国会の質疑の中でも様々な方から様々な御意見をいただいたものですから、それを受け止めて、しっかりこれから政省令の詳細な制度設計をしていかなければいけないと思っています。その際に、やはり消費者団体の方々とか関係者の方々の御意見を法律改正の作業の中で十分に聴いてこなかったのではないかと、そういった御指摘もだいぶいただいたものですから、そういう意味では、施行から2年ということで、まだまだ時間はあるんですけれども、早急にこれを立ち上げて、なるべくお話を伺いたいと思っています。
ただ、他方で、国会の中では、いろいろ政省令の案についても、例えばということで例示をしたりしていたんですけれども、むしろそれは国会の議論の中で思いついたように言う話ではなくて、ちゃんと手続きを踏んで、やはりよく関係者に検討してもらった上で考えた方がいいという思いもあるものですから、ゼロベースでしっかり考えたいと思っています。
私も、30日の会議には、時間が許せばなるべく出席する予定ですけれども、その後、この検討会の下にワーキングチームを設けて、より詳細な検討をしていただくということですから、そのワーキングチームまで全部出席するかどうかというのは、今後考えたいと思っていますけれども、できる範囲でしっかり私も議論を伺いたいと思っています。

話は変わって、先週、オリンピックが無観客で行われるということになって、チケットを持っていた人、東京に観戦に来る予定だった人が「ホテルのキャンセルをしたんだけれども、例えば家族5人分、3日、2週間前のホテルのキャンセルでキャンセル料がすごく高い、どうにかならないのかな」というような声をインターネット上なんかでちょっと見たんですけれども。大臣の今把握していらっしゃる、オリンピックが無観客になったことによる消費者トラブルとかキャンセルトラブルとか、何か足元でちょっと増えているとか寄せられているということはありますでしょうか。

これ、ちょっと調べてみたんですが、1都3県の無観客試合が決定した7月8日以降、御指摘のようなホテルの予約キャンセルに関する相談は、まだPIO-NET上で確認はされておりません。これは、PIO-NETに掲載されるまで1週間ぐらいかかるらしいんですね。そのこと自体がデジタル化の中で問題だと思っていますけれども。そういう意味では、これからおそらくそういった情報が確認されてくるのかなと思っていますので、それに基づいてしっかり対応もしなければいけないと思っています。
ただ、キャンセル料につきましては、通常、約款などの当事者間の規定において事前に取り決めがなされていることから、個別の事案ごとに当事者間で契約内容に基づく解決が図られることが多いのではないかと考えております。
いずれにせよ、消費者側、事業者側、それぞれ立場もあると思いますので、この無観客試合が決定したことによって、いずれにしろどうされるかというのは、やはり早急にお考えをいただいて、その上でキャンセル料の問題など、どう処理をしていくかということになるんだと思っています。

最初の冒頭の発言にあった知財戦略本部の会合で、著作権の一元管理システムのお話があったんですけれども、これは、こういったシステムをつくるのに法改正というのは必要になるんでしょうか。あと、システムとしてはいつごろまでに動き出せそうなものなんでしょうか。

これは、著作権法の改正が必要だと考えております。著作権法ですから、基本的には文科省になるのかと思いますけれども、現在、この知財の推進計画2021の中で、簡素で一元的な著作権権利処理を可能とする制度の実現について、「2021年中に検討、結論を得て、2022年度に措置を行う予定」としております。
ただ、いずれにしろ、これ、今日の民間本部員の方からも御意見がありました。なるべく早く措置してもらいたいという御意見もありますから、そういう意味では、しっかり検討を進めて、なるべく早く措置するように検討しなければいけないと思っています。

明後日から開催予定の「Society5.0科学博」についてお聞きしたいんですが。開催期間について、メイン展示を7月28日までとしていましたけれども、緊急事態宣言が出されたことで、この期間というのはどのようになるのかということが1点お聞きしたいです。
また明日、式典も予定されていたと思うんですが、こちらについてはどのようにされますでしょうか。

Society5.0科学博について、東京都に緊急事態宣言が発出されたことを踏まえて、当初、明日14日の夜に予定していたオープニングセレモニーは中止することとしました。一方、明日、科学技術政策担当大臣として現地を視察したいと考えています。
実機を展示する期間につきましては、国及び都の新型コロナウイルス感染症対策に関する基準などを十分に配慮した運営方針としており、当初の予定どおり、7月15日から28日までの2週間、入場者数を想定の4割程度に抑えるとともに、開場時間を10時から19時までとすることにより実施する予定です。
また、インターネットを活用したサイバー展示につきましては、多くの子どもたちの夏休み期間中となる7月17日から9月5日までの間、継続して実施します。現地では御覧になれない、第一線で御活躍の方々の講演などもオンライン視聴できるので、遠方の方などは是非こちらを活用していただきたいと思います。
この科学博では、小中学生を含む多くの方々に科学技術の面白さや大切さを感じていただくとともに、科学技術を駆使した明るい社会であるSociety5.0の未来像を実感していただきたいと考えています。

冒頭発言にございました消費者関連団体との懇談のことについてです。これ、内容を見ますと、懇談の内容については非公開ということのようなのですが、動画配信もされないということのようですけれども、その理由がなぜなのかということ。あと、これまでの大臣の中では、こういう懇談を持たれた方もいらっしゃるんですけれども、とかく言いっ放しであったりとか、聴きっ放しであったりというのがありました。せめて議事録なりも作成、公開されたらいかがかと思うんですが、どうでしょうか。
もう一点、コロナ禍によって消費者運動とか消費者団体の取組形態が変わってきている。変わってきているというのは、要するにフェース・トゥー・フェースがなかなかできない。その中で意見書であるとか要請書であるとかというのは、どうしてもペーパーで提出すると。今回のような、大臣が取り組まれる懇談の場というのが、なかなか消費者団体にはなかったということもあって、こういう懇談の場というのは今不定期かと思うんですけれども、大臣としては定期的に開催されるような道筋といいますか、そういうものを作られる御予定はないでしょうか。今後ですね。

まず、今度の懇談につきましては、私は、この消費者庁に限らず所管において、やはりこういったいろんな会議、ありますよね。なるべく公開することが国民に対する説明責任だという思いを持っています。ですから、その見直しも横断的にやって、いくつか改善したことは御承知のとおりだと思います。
ただ、今回のこの懇談については、やはり出席者の方々の御意向というものもありますから、そういう意味ではフルオープンではなくて、冒頭と、それからぶら下がりでマスコミ対応させていただきたいと思いますので、恐縮ですけれども、何か御質問があれば、その後のぶら下がりのときにお聞きになっていただければと思っています。
それから、消費者団体はじめ関係者の方々の懇談というのは非常に重要なことだと思っています。正直言いまして、9月に就任して以来、いろいろちょっとばたばたしていたり、どうしても消費者庁としても法案を2つ抱えていたものですから、私自身がそういった関係者の方々と懇談する機会がなかなか持てなかったというのは大いに反省をしておりまして。そういう意味では、国会も閉会して少し時間が取れたので、今回やっていただくということで、今後についても、なるべくこういう機会を設けたいということで検討していきたいと思います。