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井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2021年5月21日(金) 9:16~9:41 於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

発言要旨

消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
新型コロナウイルス感染症の発生やデジタル化の進展など、消費者や消費生活相談員を取り巻く環境が大きく変化する中で、例えばデジタル化の進展などを背景に、対面や電話以外での相談ニーズの高まり、コロナ禍において相談員が出勤しにくい中での相談業務の継続などの消費生活相談に係る新たな課題への対応が求められております。
これまで国民生活センターとともに、これらの課題への対応の検討を行ってまいりましたが、今般、その具体的な設計に向けて、学識経験者、実務家、相談現場の各有識者から知見を聴取する「消費生活相談デジタル化アドバイザリーボード」を設置することとし、来週、5月28日に第1回会合を開催します。
なお、あわせて、PIO-NETをはじめ消費生活相談について、消費者団体等から意見を頂く場を設けたいと考えており、頂いた御意見については、本アドバイザリーボードにも共有したいと考えております。
有識者や消費者団体等の幅広い知見も頂きながら、消費者目線での相談機能の強化や現場の働きやすさの向上に向け、取組を進めてまいります。
もう一件あります。
9都道府県に緊急事態宣言が発出されています。現時点では生活関連物資の需給状況に大きな変化はなく、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談件数は、ゴールデンウイーク前に比べてやや増加傾向であり、引き続き注視をしてまいります。
ただ、ワクチンに関する相談は急増しております。特にワクチン詐欺が疑われる相談が、19日時点で累計113件、週ベースで前週と比べて倍増しており、大変懸念をしております。その中には「自治体の接種予約窓口に何度も電話しているが全くつながらないので、代行で予約を取ってもらえるのであれば検討したい」といった消費者の声が寄せられており、不安な消費者心理につけ込む詐欺が懸念されます。
ワクチン接種の予約代行に関する相談につきましては、その後も、例えば「ポストに『新型コロナワクチンの接種の申込みを代行する』というチラシが入っていた」といった相談が寄せられております。
予約代行につきましては、複数の自治体が予約代行を行っているケースや、薬局などが予約代行をするという例もあると聞いておりますが、日常的にお付き合いがない人や機関から、有償で予約代行の話があった場合、詐欺被害につながりかねない相談事例も寄せられております。自治体名を出して予約代行の話があった場合は、お住まいの自治体に確認するようにしてください。
また、政府が東京と大阪に設置し、自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約受付も始まっておりますが、防衛省・自衛隊や地方自治体の職員が、電話で予約代行を申し出ることはないと聞いておりますので、こちらも十分御注意をお願いします。
消費者におかれては、不審な勧誘やトラブルなどがあった場合には、ひとりで悩まず、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」等に御相談をいただきたいと思います。
消費者担当大臣として、消費者被害を防止する観点から、引き続き消費生活相談の状況を注視し、必要な注意喚起を行ってまいります。
次に、健康・医療戦略担当大臣として報告をいたします。
先日及び昨日、自民党政務調査会より政府に対し、国産ワクチン実用化の実現に関係する2つの提言が提出されました。その中で、緊急時の薬事承認プロセスなど制度に関する提言の他、戦略的なシーズ研究力の強化や国際共同治験の推進についてなど、私の担務である研究開発の推進に関しても言及されております。
私としては、精力的におまとめいただいた党の提言をしっかりと受け止めるとともに、健康・医療戦略推進本部の医薬品開発協議会における検討を加速してまいります。
そして、5月25日に開催予定の協議会におきまして、政府として国産ワクチンの迅速な開発・供給を可能にする体制の構築のために必要な政策を取りまとめる予定です。
最後に、宇宙政策担当大臣として報告します。
本日、ビル・ネルソン米国連邦航空宇宙局(NASA)の長官とビデオ会談を行いました。日本側からは私のほか、萩生田文部科学大臣と山川JAXA理事長も参加しました。ネルソン長官は、今月NASA長官に就任されたところであり、本日の会談は、同長官の就任後、最初の外国政府との会談です。私からは、日米間で宇宙科学・探査、安全保障、産業を含む包括的な宇宙協力を進めていくことの重要性について述べました。ネルソン長官からは、「日本は、宇宙協力における最も重要なパートナーであり、特にアルテミス計画やアルテミス合意について緊密に連携していきたい」との御発言がありました。
また、本日午後には、ジェームズ・ディキンソン米宇宙コマンド司令官の表敬を受け、同司令官との間でも宇宙分野における日米協力について、幅広く意見交換を行う予定です。
宇宙政策全般の総合調整を担当する大臣として、これらの会談を通じ、日米協力をさらに深化・発展させてまいります。
以上です。

質疑応答

2つ教えてください。
1つは、19日に大臣のところに日本工学アカデミーから、大学院博士後期課程学生についての支援について提言があったかと思うんですけれども、これをどのように受け止めて、それで、今後どのような政策に展開していくのか、まずそれを教えてください。

そのとおりですね、19日に日本工学アカデミー小林会長らが来訪されまして、そして「博士後期課程大学院生に対する支援の強化」に係る提言をいただきました。提言の中身につきましては、我々政府の考え方と一致するものが非常に多いと思っておりますので、しっかり受け止めて実行していきたいと思っております。
とりわけ大学ファンドの活用であるとか、あるいは博士課程学生のキャリアパスの確保、こういったことは非常に重要だと思っておりますので、そういう意味では、アカデミアや、あるいは産業界とも協力をしながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。

もう一つは、話が出たんですけれども、先ほどのワクチン開発・生産体制については、政府としてもいろいろ動いているんだと思うんですけれども、COVIDをどうにかするために治療薬開発についても取り組まなければいけないかと思いますけれども、政府として、今、治療薬開発に関してどのように取り組んでいるか、教えてください。

これまで新型コロナウイルス感染症の診断薬、治療薬、ワクチンの研究開発に関して、医療分野の研究開発関連の調整費、令和2年第1次、第2次補正予算等を用いて総額1,930億円を措置し、開発の推進に取り組んでまいりました。これらの支援してきた研究開発課題のうち、治療薬候補については、前臨床研究を経て臨床研究に進んでいる課題も多数存在をしております。
新型コロナウイルス感染症の研究開発は、国民の命と健康を守るため最優先の課題であり、治療薬、ワクチン等の実用化を目指した支援を、引き続き緊張感とスピード感を持って進めてまいります。

ワクチンでは欧米に後塵を拝してしまったわけですけれども、治療薬に関しては、日本は先行できそうなんでしょうか。

先行できるように、しっかり頑張っていきたいと思っています。

昨日行われました学術会議の有識者会議についてお聞きしたいんですけれども、昨日が初会合ということで、そういったことに対して自民党のプロジェクトチームの方から何か反応はあったのか。また、有識者会議が初会合を迎えたことについて、改めて大臣の受止めをお聞きしたいです。

自民党からは、この間、自民党の会議に私が呼ばれたときに、「こういった会議を設けて検討を進めます」といったお話はいたしました。「それはしっかり政府としてやってもらいたい」ということを言われております。
それで、私としては、昨日ちょっとぶら下がりでも申し上げましたけれども、有識者議員の皆さんからは、非常に学術会議に対して厳しい意見も含めて率直な意見をいろいろ言っていただいたと思っています。ですから、やはり内部における検討だけではなくて、外部の皆さんの意見を聞くということは非常に重要なことなんだなということを改めて感じましたので、このCSTIの皆さんの議論がこれからしっかり深まっていくことを大いに期待したいと思います。

よく大臣がおっしゃる、「議論が深まる」という話があると思うんですけれども、「深まる」というのはどれぐらいとか、そういうレベル感というか、どこまで深めたいかというところは、今、大臣の中でお考えはありますか。

そういう意味では、これはあくまでCSTIの皆さんがやっていただいている検討ですので、私から「どういうことをやってもらいたい」とか、「どこまで議論してもらいたい」とか、そういったことを何か注文をつけるようなことは控えたいと思っております。ただ、「議論が深まる」というのは、要はいろんな観点からいろんなことについて検討してもらう、しっかり議論してもらうということですから、そのことは大いに期待したいと思います。

もう1点だけ。先ほどの国産ワクチン開発についてお聞きしたいんですけれども、来週また協議会があるということなんですけれども、今の検討状況ですとか、大臣が把握なさっている範囲でお聞かせ願えればと思うんですが、前回の協議会から、どういったところが今進んでいるのかというところについてお聞かせいただければと思います。

これは、私からも今月中には方針を取りまとめたいということを申し上げておりますので、もうかなり中身は確定しつつあるといった状況です。報道でも大分詳細な報道が出ておりますので、そのとおりかなと思っています。

大臣、先日、日本のファイザーの社長とオンラインで意見交換されていると思うんですけれども、どんな話をされたのかなというところを、ちょっとかみ砕いてお話しできることがあれば教えていただきたいんですが。

ファイザーの日本法人の原田社長と意見交換をさせていただきました。いろいろ示唆に富む御意見をいただけたと思っておりますので、それをしっかり受け止めて、今後、私の担務であるワクチンの研究開発などに向けて参考にさせていただきたいと思っています。
具体的には、例えば、やはり日本の国はライフサイエンスに関してしっかりした技術を有していると、あるいは国民皆保険という素晴らしい制度を有していると。ですから、ポテンシャルは十分なので、是非それを生かすような政策を進めてもらいたいということ。あるいは、そのために政府が、ライフサイエンスが非常に重要なんだということを、今、グリーンとかデジタルを最優先課題として政権として取り組んでおりますけれども、それに並ぶぐらい大切なんだということを大いに打ち出してもらいたいといったようなことをおっしゃっておりまして、私も、これはそのとおりだなと受け止めました。

意見交換は、大体どのぐらいお話しされたんですか。

そうですね。30~40分だと思います。

先ほど行われたNASAの長官との会談について伺います。
アメリカのバイデン政権は、NASAの最優先に研究すべき課題として気候変動分野の研究を掲げています。先ほどの長官との会談でも、長官は、その点について触れていたと思うんですが、今後日本政府として、気候変動分野についてNASAとどのような協力関係を築いていけるか、大臣の考えがあれば教えてください。

むしろ気候変動については私から言及させていただきまして、宇宙全体ですから、そのほかにも安全保障とか産業とか、いろいろあるので、長官からは総論的に日米の協力が非常に重要だと、そういったようなお答えをいただきました。

日本学術会議の有識者会議の件で伺いたいんですが、今後は月1回ほどの頻度で開催して、大臣、数カ月ぐらいかかるんではないかという話もありました。今後、会議の議論を踏まえて政府方針を決めると思うんですけれども、例えばスケジュール感として、学術会議の方では今年の10月にもう一回総会が予定されています。政府方針がもし決まった場合、改めて総会という場でも議論してもらうことも必要だと思うんですが、この10月というのは一つの目途として考えているのか、その辺、スケジュール感がもしあれば教えてください。

これも度々申し上げているとおり、私からCSTIの皆さんに対して、いつまでに検討を終わらせてくれとか、そういった注文することは差し控えたいと思っています。むしろ月1回程度やっていただいて、議論の深まりを見ながら、おそらく有識者議員の皆さんが判断されることなのかなと思っています。そういう意味では、学術会議は学術会議として、総会の日程とか、そちらの事情もあるかとは思いますけれども、そこはCSTIの皆さんに、議論に集中して是非取り組んでいただきたいと思っています。

消費者担当としての大臣にお聞きしたいと思います。先ほど、デジタル化のアドバイザリーボードのことでありました。1点は、この報告書なりのスケジュールというのはどうなっているんでしょうか。5月28日、第1回ということですけれども。

そうです。それをやっていただいた上で、夏ごろ大きな方向性や進め方について、一旦取りまとめを行いたいと思っています。その後も詳細に内容を詰めるとともに、協力していただける地方公共団体での実証実験も進めて、最終的には年度末を目途に具体像をお示しする予定です。

そうしますと、これまで徳島で相談の受付のLINE相談というのを実験されていたり、あと、いろんなところでPIO-NETの刷新に当たってデジタル化が必要だということで検討されるとかということがありましたけれども、そういうものを全部ひっくるめた検討になるんでしょうか。これを確認したいと思いますが。

そうですね。広く検討して、デジタル化という課題についてしっかり答えを出していきたいと思っています。

もう1点、先ほどコロナワクチンの詐欺のことでおっしゃいました。相談自体が週単位では倍増していると。それで、代行予約、予約を代行で行うということについて、有償で予約代行の場合は詐欺的な勧誘のおそれがあるということでおっしゃっていました。
実際、自治体の中では、自治体自身が電話をかけて、高齢者のところへ電話をかけたりして、ワクチンの種類が替わるとか、会場が替わりますよとかお伝えしたり、あと、予約をサポートするとかということを実際やっていらっしゃるということも聞いております。そういう自治体もある。同時に、先ほどおっしゃったように、薬局とか。
これは、最初の頃はワクチン詐欺が予約しますよということを代行するに当たって5,000円とか、金額がとても考えられないような金額だったので、これは有償でやるに当たっては詐欺的な、詐欺の何かということが何となく分かったのですけれども。例えばこれがNPOの方々が手伝うと、予約をサポートするということで、もっと低額で予約の低額、つまり500円とか100円とかということを支援費用として取ろうとした場合、今、詐欺の注意のメッセージは、ワクチン接種に関連した金銭の要求はしませんということを、行政はしませんということをメッセージとして出されているんですけれども、それだけで足りるのかというのがちょっと心配事なのです。
つまり、金銭の要求は確かにしないけれども、それはワクチンを接種するに当たっての金銭要求というふうに捉えられる可能性があったりとか、予約ということについて代行しますということで、民間のほうがまさに詐欺ではなくて手伝うということになってくると、高齢者のほうもちょっとそれだけでいいのかなという、メッセージとしてはそういうことを考えるんですけれども、どうでしょうか。

まず、ワクチン接種に関しては、これはもう有償ということはあり得ませんので、無償で自治体が対応していると理解をしています。
予約代行については、これ、実はなかなか難しい問題がいろいろあります。代行そのものは私の所管ではないので、所管省庁は厚生労働省、あるいは総務省ですけれども、予約代行自体は、ある意味、自治体などもやっていただいていて、それは消費者サービスとしてはありがたい面もあるわけです。ただ、少なくとも自治体がやられているものに関しては、有償ということは予約代行もあり得ないと考えています。
では、民間、あるいはNPOはどうなのかということになりますと、予約代行を規制するような法令があるということではないらしいので、そうなると、可能性としてはあり得るのかなと。ただ、そのときに、そのことにつけ込んで詐欺が横行するということは決して許されることではないので、我々消費者庁としては、そういう観点から、予約代行詐欺、これを防ぐことに全力を傾けていきたいと思っております。