文字サイズ
標準
メニュー

井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2021年3月30日(火) 9:22~9:44 於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

発言要旨

まず、健康・医療戦略担当大臣として報告をいたします。
昨日、健康・医療戦略推進本部の第3回医薬品開発協議会が開催され、我が国のワクチン開発・生産体制を強化するため、産学官における現状の課題の整理と要因分析、解決策の検討を始めることを決定しました。
具体的には、同協議会の事務局内に、ワクチン開発・生産体制強化タスクフォースを設けて議論し、医薬品開発協議会において、政府としての対応策を取りまとめます。
新型コロナウイルスをはじめとしたワクチン開発は、国民の関心も非常に高い課題であり、ウイルス変異株や今後の新たな新興・再興感染症にしっかりと対応するためにも、関係府省の垣根を越えて十分な議論を行い、今夏を目途に結論を得られるよう進めてまいります。
もう一件あります。
4月1日に健康・医療戦略推進事務局を内閣府に設置することに合わせて、グローバルヘルスに関する戦略の検討にも取り組むべく、事務局体制を強化することとしました。
日本は、これまで日本のすぐれた医療制度や技術を世界に提供することで、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の実現に貢献してきました。グローバルヘルスに関する戦略は、こうした取組を包含する「保健外交」の基本指針に位置付けられるものです。自分は健康・医療戦略の担当大臣として、医療分野の研究開発の支援に加え、健康・医療関連産業の創出とその成長、さらにはその海外展開の促進に取り組んでいます。
昨今の新型コロナウイルスの世界的流行の影響を見るにつけても、グローバルヘルスに関する戦略は、「健康・医療戦略」と相互補完的、かつ包括的に推進する必要があります。今回の事務局機能の強化は、その第一歩となるものであり、政府における司令塔機能をしっかりと果たしてまいります。
次に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
我が国において、子どもの貧困が問題となる一方、まだ食べることが可能な食品が廃棄されている現場を見るにつけ、大変な危機感を覚えてまいりました。また、コロナ禍の中、若い世代や子供たちを中心に、さらに厳しい状況に陥る方がおられます。こうした現状も踏まえ、制度面の対応も含め、食品ロスの削減に向けた取組を進める必要があります。
現在、政府一丸となった取組を加速化するよう指示をしておりますが、その取組の一環として、まずは消費者庁では、今般入替え時期の到来により、役割を終えた災害用備蓄食料を有効活用するため、福島県郡山市のフードバンク団体へ提供することとしました。食料の引渡しについては、私も参加して本日13時より本庁舎の正面駐車場において行います。
消費者庁としては、こうした取組が政府や地方公共団体等、災害備蓄を行う様々な団体で広がるよう、関係省庁と連携した取組を行ってまいります。
最後に、宇宙政策、また消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
昨日、JAXA相模原キャンパス及び国民生活センター相模原事務所を視察しました。JAXA相模原キャンパスの視察では、はやぶさ2の実物大模型や管制室を見学し、はやぶさ2のサンプル分析状況を確認しました。さらに、月面を模擬した施設で月面ローバが移動する様子を体験しました。また、午後は国民生活センター相模原事務所を訪問し、地方の消費生活相談員などのための研修施設、身近な物品の安全性などを検証する商品テストの現場、新型コロナワクチンの接種会場の準備状況などを視察しました。
今回の視察を踏まえ、今後の政策運営に役立ててまいります。
以上です。

質疑応答

先ほどのグローバルヘルスに関する戦略の事務局体制の強化なんですけれども、グローバルヘルスに関する戦略というのは、今まで健康・医療戦略の中で、海外展開タスクフォースがやっていたようなものよりも、大臣の今のお話を聞くと、さらに高い次元のもので、健康・医療戦略と並立するようなものなのか、それとも健康・医療戦略の中の一部なのか、そこら辺の位置付けはどうなっているんでしょうか。

そういう意味では、それぞれ相互に密接に連携をして、これから進めていくということになります。これからさらに力を入れていかなければいけないと思っていますので、しっかりした体制を組んで、そして関係省庁からも人員を出してもらって協力をしながら、この健康・医療戦略の中で取り組んでいくということになります。

グローバルヘルスに関する戦略のようなものをつくるんでしょうか。もしつくるとしたらいつごろになるのか。

そういう意味では、今、既存の戦略がありますので、それを何かバージョンアップするような形で、今後検討していかなければいけないと思っております。

2点お聞きしたいんですけれども、1点が、昨日JAXAを見学されてどのように思われたのか、御所感をお伺いしたいと。もう一点が、ちょうど今日の大臣会見が今年度最後の大臣会見となると思います。科学技術・宇宙政策に関しまして、今年度の振り返りをしていただくとともに、来年度どのようなことに重点的に力を入れていきたいかということを、お聞かせいただければと思います。

まず、昨日の視察についてですけれども、やはり「はやぶさ2」の関連は非常に興味深く、おもしろかったなと思って見させてもらいました。管制室とか、それからシミュレーションの現場とか、いろいろ体験談も聞かせてもらいましたので、もちろん課題もいろいろあって、いろいろな困難を乗り越えながら成功したということ。他方で、やはり「はやぶさ1」の経験もありましたので、それを踏まえながらしっかりできたのではないかなと。
ただ、これからまさに成果として、しっかりそれに実を結びつけていくためにいろいろ国際的な協力もしていかなければいけないということで、キュレーションの現場ではフランス人の方も既に一緒に共同作業をされておりましたけれども、そんな話が非常に印象的でしたので、この成果に結びつくように、これからもしっかり取り組んでいかなければと思っています。
その後、宇宙食の試食というのもやらせてもらったんですけれども、これはまだ進歩の余地があるのかなと思いました。やはりおいしくないと、宇宙飛行士の皆さんも、何かやはり食べることが一番の楽しみだと言うんですよ。本当に現場で頑張っていただいている宇宙飛行士の方々ですから、その方々のためにも、より開発というのを、事業者、またJAXAの皆さんにお願いをしたというところです。
それから、今年度最後ということで、振り返ってということで、これはいろいろあるものですから、まず読み上げますけれども、まず科学技術としては、何といっても基本計画の策定、これが非常に大きかったと思います。「社会変革」を前面に出した点が特徴的でありますし、その基本計画の中で政府の研究開発投資額30兆円、また官民合わせて120兆円、こういったことを示すことができたというのは非常に大きなことだと思っています。
それから、やはり大学ファンドの創設ですよね。これもいろいろ苦労はありましたけれども、おかげさまでこれをつくることができたということで、とにかく若手人材の育成というものは非常に重要だと、私も危機感を持っていますから、よかったと思っています。ただ、これからしっかりこの大学ファンドを機能させていくようにということで、やらなければなりません。そういう意味では、その受皿となる大学、この大学改革をこれからしっかりやっていこうということで、取り組んでまいりたいと思います。
それから、これは政府全体としても大きな課題なんですけれども、やはり総合的な安全保障の確保ということで、経済安保の中でもこの科学技術・イノベーションのあり方というものが今大きく問われておりますから、しっかりこれから考えて、体制づくり、ルールづくりにも取り組んでいきたいと思っています。
それから宇宙政策ですけれども、宇宙政策は、やはりこれも予算が1.4倍近いのかな、昨年度に比べて。逆にいえば、今後10年間の伸びを1年間で上回るような、それだけ大幅に伸ばすことができたということは非常によかったと思っています。
あわせて、「はやぶさ2」のようなしっかりした成果も出ましたし、今後JAXAもそうですし、今、民間企業、スタートアップ企業、そういった方々が非常に今、宇宙に取り組んでいただいていますので、こういう連携に取り組みながら、さらなる成果を目指していきたいと思っています。
加えて、やはり宇宙基本計画の実行に向けてということで、来年度にはアルテミス計画もありますし、様々な革新的な基盤技術開発、衛星データのさらなる利用拡大、こういったような課題がありますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っています。

週末の話になりますけれども、愛知県を視察されて、愛・地球博の会場だったところですとか、あと空飛ぶクルマを開発しているスカイドライブ社さんを訪問されたと思いますけれども、このスカイドライブ、空飛ぶクルマに関して、実際にその展示用の車に試乗されたと思いましたけれども、実際に乗ってみた御感想はいかがでしたでしょうかというのが1点目です。
この空飛ぶクルマについて、4年後の万博でその目玉として空を飛ばしていくということを目指していますけれども、その実現可能性というのは、実際に訪問してみてどのように感じられたでしょうか。以上2点、お願いします。

これも地元大阪の非常な期待もあるものですから、是非早目に見てみたいなと思っていまして、緊急事態宣言を解除されたので、早速行ってまいりまして、非常に興味深かったです。ただ、他方ではやはり課題も大きいのかなと思っております。まずは、やはり国内の事業者はスカイドライブさんしかいないということなので、本当はいろいろな国内のスタートアップなど、あるいは大企業なんかも少し協力してもらって、研究開発にしのぎを削ってやっていけば、より進むのかなということを思いました。
そういう中で、限られた予算であり体制の中で、スカイドライブの皆さん、非常によく頑張っておられますけれども、お話を伺ったら、例えば実際に実験をする場所がないと。ある程度の広さで、かつセキュリティの観点、あるいは事故防止の観点から人が絶対に立ち入らないような広い場所が欲しいということで、それは国内になかなかないということなので、もうそういったことから、やはり一つ一つハードルがあるなと。それは政府として協力できれば、そういった場所を紹介するとか、そんなこともやっていきたいと思いますし。規制改革ということで要望していくということなんですけれども、むしろ規制改革というよりも新しい形態のものなので、新たなルールづくりを、新しくルールをつくっていかなければいけないということで、よりそういう意味でも、ハードルが高いのかなと思いました。
地元の要望も高いですし、我々もその空飛ぶクルマは何としても万博で実現したいとは思っていますけれども、そういった課題が多い中なので、いわば時間との競争みたいなところもあるのかなと思っていますので、政府として協議会を今つくって関係省庁でいろいろな議論をしてもらっていますけれども、我々万博担当としても、これは強く応援をしていきたいと思っています。
あわせて、今回の視察の一つの成果として、大村愛知県知事とも会談をさせてもらいまして、想像以上にといいますか、大変、万博への協力に前向きでありまして。確かに愛・地球博から2025年で20周年ということで、そもそも何か20周年の企画を考えようかと思っていたところ、私から協力依頼があったということで、是非タイアップしてやっていきましょうということを言っていただいたのは大変ありがたいなと思っていまして。これはいい話なので、引き続き愛知県大村知事とも協議をしながら、何らかの形を実現したいと思っています。

特商法の改正についてお伺いします。
今国会に提出されている特商法の改正について、先週26日金曜日の国会で、契約書面のデジタル化について、共産党の大門議員から首相に質問があったんですけれども、このデジタル化は見直すことが必要だという趣旨の、そういうのは必要ではないかという趣旨の質問だったんですけれども、菅首相は、「正直承知していませんでした。そこについてはちょっと考えさせて検討させていただきたい。」と答弁されていましたが、その後、菅首相とはこの件についてお話しされましたでしょうか。何か指示などがあれば、教えてください。

その(参議院)財政金融委員会のときの話は(事務方から)報告を受けましたので、昨日、麻生財務大臣、それから今朝、閣議の後で菅総理にお話しを、私から説明をさせていただきました。たくさんある国会の提出法案ですから、一つ一つ全部総理に事前にお話しをするというのはなかなか難しいものですから、そういう意味では承知していなかったという答弁だったのだと思います。
もちろんこの電子化の、デジタル化の必要性、それから消費者保護の重要性というものも当然ありますから、そこについては、しっかり我々もやっていくということで、御了解をいただきました。

契約書面のデジタル化については、おっしゃるとおり消費者保護の観点から、消費者団体や日弁連から反対の声が上がっていて、立法事実がないというような批判もあるんですけれども、菅首相は先ほどの答弁の前に、このデジタル化戦略について、「消費者保護の観点等から配慮を要する手続については、デジタル化の対象とはしない。そうしたことを考えながら対応していきたい。」とお答えになっていたんですけれども。今のお話だと、井上大臣から菅総理にその説明をして、それは必要だねということになったという受止めでいいんでしょうか。

もちろんそれは御了解いただきまして。多分、菅総理がおっしゃったのは、保健業法の話とか、別の法案の話を消費者保護という観点から答弁をされたのだと思っています。我々のものは、まずはその消費者の皆さんの利便性の向上とか、そういった観点から、今回やらせていただくと。ただ、消費者保護という観点からも何かトラブルが起きてしまっては、これはよくないですから、そこは最大限、そういった担保措置もきちんと整備をしていくということで、そこはしっかり御理解をいただきました。

最後に、消費者保護の観点から契約書面のデジタル化が必要だというふうにお考えになっている理由を、もう一度ちょっと教えていただきたいんですけれども。

やはり1つは今、新型コロナの影響もありまして、とにかくデジタル化をしっかり進めていこうということだと思っています。その中で、消費者の利便性の向上ですよね。これは当然、同意を得た方に限りということですから、自ら電子で対応したいといった方々に対しては、やはりその選択肢を用意をするというのが大事なことだと思っています。このことによって、利便性も向上するということであります。

冒頭発言のありましたワクチンのタスクフォースのことなんですけれども、まず現状についてどのような問題というか、認識を持っていらっしゃったりした上で、今回の強化というのをしていくかというところを、もう少しお伺いできればと思います。

このワクチンについては今、新型コロナウイルス感染症ということで大変大きな課題になっておりまして、その際になぜ国産のワクチンが認められていないのかといったようなお話をたくさんいただいております。そういう意味では、国内でのワクチンの開発、あるいは生産体制が今まで十分でなかったというのは、これは事実だと思っております。新型コロナに限らず、これから新たな感染症が、また発生する可能性はそれはあるわけですから、そういう意味で、この国内のワクチンの開発・生産体制、これをやはり強化していくというのは、政府の責任だと思っていまして、そのことについて、政府一丸となって取り組むために、こういった体制をつくろうということであります。