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井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2021年3月19日(金) 9:07~9:34 於:中央合同庁舎第4号館1階全省庁共用108会議室)

発言要旨

科学技術政策担当の大臣として報告します。
本日、統合イノベーション戦略推進会議のもとに設置されているイノベーション政策強化推進のための有識者会議「安全・安心」及びシンクタンク機能検討ワーキンググループの合同会議を開催します。私も出席します。
本日の会議では、安全・安心に関する内閣府における取組のうち、「研究インテグリティ」と「安全・安心に関する新たなシンクタンク機能」について、これまでの議論や検討の結果などが報告されると聞いております。
私としては、個々の研究者が、卓越性が高く独創的な研究に安心して取り組んでいただくこと、国益という俯瞰的な視点から総合的な安全保障の確保を図っていくこと、この両方が重要であり、両者の視点を両立させ、その適切なバランスのもとに様々な政策や施策の具現化を図っていくことが重要であると考えています。
我が国及び国民の安全・安心の実現に向けて、有識者の方々より貴重かつ活発な御意見をいただき、有意義な会議になることを期待しております。
もう一件、近年、マテリアルをめぐる国際競争が熾烈になり、我が国が有していた強みが失われつつあるという深刻な状況にあると認識しています。そのような中で、昨年10月より、統合イノベーション戦略推進会議のもとにマテリアル戦略有識者会議を設置し、精力的に検討を進めてきました。
この度、有識者会議において「マテリアル革新力強化戦略案」が取りまとめられました。国内に多様な研究者や企業が数多く存在している強みも生かし、革新的なマテリアルの開発と迅速な社会実装、データ駆動型の研究開発の促進、資源制約の克服、サーキュラーエコノミーの実現、人材育成等の国際競争力の持続的強化の3点に取り組むこととしております。
今後、統合イノベーション戦略推進会議で正式に決定することを予定しています。本戦略に基づく取組を着実に実行することで、我が国のマテリアル分野の競争力がさらに強化されることを目指してまいります。
次に、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
21日で緊急事態宣言が解除されます。この間、生活物資の需給動向や新型コロナウイルスに関する消費生活相談件数を注視してまいりましたが、大きく変化することはありませんでした。冷静に対応いただいた消費者の皆さんにはお礼を申し上げます。
ただ、ワクチン接種も始まる中、消費者トラブルには引き続き注意が必要です。消費者庁では、緊急事態宣言期間中、消費者被害防止キャンペーンや、新型コロナに効くと称する不当表示への対処などに取り組んできました。この点に関連し、3月から4月は新生活が始まる時期であり、新しい生活環境に慣れるまでの不安な心理につけ込んだ悪質商法やトラブルに巻き込まれやすい時期であり、特に今年はコロナ禍と相まって注意が必要です。
このため、現在のキャンペーンを延長・拡充し、今後発生が懸念されるトラブルへの注意喚起の取組を強化します。具体的には、テレビ番組や啓発動画の制作・放映や、新生活スタート時におけるトラブル防止に関するオンラインイベントの開催などを実施する予定です。特にワクチン詐欺については、今後接種が本格化することも踏まえ、テレビCMの放送を予定しています。
なお、本キャンペーンについては、消費者団体とも連携し、週末電話相談、消費者向けイベントでの広報などを実施しております。今後も、コロナ禍の収束まで、関連した消費者トラブルを防止するため、こうした取組を戦略的に進めてまいります。
もう一件、消費者及び食品安全担当の大臣として報告をします。
令和4年4月の改正民法施行による成年年齢引下げに向け、来年度はいよいよ施行前の最後の1年となります。引下げ後は、18歳で自らの責任において契約を結ぶことができるようになるため、18歳、19歳の若い方にも契約の成立や支出管理の基礎的な知識に加え、消費者被害から身を守る対処法を身につけていただくことが必要となります。
これまで消費者庁、文部科学省、法務省、金融庁が連携し、若年者への消費者教育を推進してきました。今後1年間、改めて関係者を巻き込んだ重層的な取組を集中的に行う「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」を、関係省庁を挙げて実施します。このため、施行前最後の1年における一層の取組強化を確認する場として、来週にも関係省庁の大臣等に出席をいただき、施策を取りまとめる会議を開催します。会議日時等の詳細については、改めて御連絡します。
最後に、国際博覧会担当の大臣として報告します。
3月16日にイタリアのマンリオ・ディ・ステーファノ外務・国際協力省政務次官との間で、2025年の大阪・関西万博について二国間のウェブ会談を行いました。また、17日にはリトアニア、シンガポール、タイ、スイスの4カ国の在京大使をお招きし、万博への参加招請を行いました。
私より、マンリオ・ディ・ステーファノ政務次官及び各国大使に対して、大阪・関西万博の成功に向け、早期参加表明を強く働きかけました。先方からは、万博への強い期待が表明されました。いずれの国も参加を前向きに検討いただいている模様であり、大変心強く思います。
今週行った招請活動で、私からは、合計53カ国1国際機関に対し直接の働きかけを行ったこととなります。今後もしっかり招請活動を進めてまいります。
以上です。

質疑応答

今日、「安全・安心」の会議、開かれるかと思うんですけれども、その中で議論されるシンクタンク機能について、大臣としてはどういうようなイメージを持ったシンクタンク機能だとお考えでしょうか。

我が国及び国民の安全・安心の実現に向けて、国民生活、社会経済に対する脅威の動向の監視・観測・予測・分析、国内外の研究開発動向把握や人文社会科学の知見も踏まえた課題分析を行う取組を充実するため、安全・安心に関する新たなシンクタンク機能を構築するものです。その構築に当たっては、政府からの課題設定や、その背景となる社会情勢等の前提要因の共有を適切に行い、戦略的に育てるべき重要技術等に関する政策に資する提言を行うことが重要であると考えています。
安全・安心に関する適切な情報管理を行う観点や、高度な科学技術的知見を有する専門人材を迅速に集めうる仕組みを構築する必要がある点を考慮し、内閣府が自ら構築する予定です。
設立に向けたスケジュールに関しては、来年度予算案において必要な経費を計上しており、来年度よりシンクタンク機能を立ち上げ、2023年度を目途に組織を設立する予定です。来年度早期に「新たなシンクタンク機能」の立ち上げに向けた方向性を示し、その方向性も踏まえつつ、関係府省庁と連携のもと、早期の立ち上げに向けて鋭意取り組んでまいりたいということなんですが、ですから、方向性を示した上で、詳細については、また来年度以降検討していくということになります。その課題は、もう従前から言われておりまして、やはり我が国として、例えばどういった重要分野を進めていくかとか、あるいは、経済安全保障の話もあります。そうした中で、機動的に政府からの課題に応えて、しっかりした答えもいただけるような、そういうシンクタンク機能というものを内閣府として設立をしたいということです。

新たなシンクタンクは、内閣府の中につくるというイメージでしょうか。それとも内閣府の外につくるということですか。

外ですね。内閣府ですけれども、外の機関として設立するということです。

JAXAが開発中のH3ロケットの打上げリハーサル実験が先日行われたんですが、それは良好な成果だったという発表がありました。今後の宇宙輸送機として大変期待されているものですが、今回の成果に関して、大臣、御所感をお聞かせいただけますでしょうか。

H3ロケット試験機1号機、今回、17日から18日にかけて種子島宇宙センターで極低温点検を実施し、ロケット及び地上設備の機能等の確認を終了したと聞いております。
H3ロケットは、打上げ能力が2トン近く増え、打上げ費用は約50億円と半減するなど、性能向上とコスト低減の両立を目指しており、我が国の宇宙輸送システムの自立性の確保や、宇宙開発利用の拡大を実現する上で極めて重要です。
来年度の試験機1号機の確実な打上げに向けて、関係者の皆様におかれては、引き続き着実に取り組んでいただきたいと考えております。

消費者教育についてお伺いしたいんですけれども、来週、関係大臣も出席されて会議をされるということですけれども、現時点で主な検討課題として想定されているもの、どんなものがあるか、もしあれば教えてください。
それと、今後、どんな形で議論を進めて、どのぐらいのペースでなど、最終的な報告書をまとめられるまでの議論の進め方についても、もし分かっているものがあれば教えてください。

この全力キャンペーン、この4省庁について関係省庁がさらに連携をして、地方公共団体などの若者を取り巻く関係者への働きかけなど、重層的な取組の方針を確認、決定することになります。これまで実施してきた学校現場に加え、事業者や金融機関など幅広く関係者に御協力をいただき、より広い場面で情報提供を行うことを通じ、若い世代にも届く効果的な消費者教育を行っていきたいと考えています。

関連なんですけれども、消費者庁が作成した「社会への扉」という消費者教育教材がありますが、先日の徳島の国際シンポジウムでも、この実証活動の成果が報告されていました。つまり、この教材を全国の高校生に活用してもらうという方向性、予定なんですけれども、いよいよあと1年になりますので、この教材の活用の期待といいますか、ちょっとお聞きしたいと思います。

おっしゃるように、消費者庁では成年年齢引下げを見据え、全国の高等学校において「社会への扉」などを用いた消費者教育を行うよう働きかけを行ってまいりましたが、現在のところ、実施済みの高校は3分の2程度となっています。こうした状況も踏まえ、来週開催する4省庁会議においては、全国の高校において「社会への扉」などを活用した実践的な事業を実施していただくよう働きかけを行うよう、文部科学省にも要請したいと考えています。
加えて、一度の授業にとどまることなく、知識の定着のため、学習した内容を簡単に復習できる確認シートなども活用し、学校現場における継続的な消費者教育の機会の確保を要請したいと考えています。

各省庁への要請もあるということだと思います。
もう一つなんですが、4月、先ほどおっしゃったように新しい生活というのが、4月になって、若い方々にも入学であるとか就職であるとかあるかと思いますが、各自治体のほうでは、若者110番を設けたり、つまり若者の消費者被害防止に向けたいろいろな対策を提案されています。消費者庁、消費者行政として、今回、この時期に若者全体に対する消費者被害、トラブルについての対策であるとか、あるいは大臣の思いであるとかというのがあれば、お聞かせ願いたいと思います。

例年、年度替わりのタイミングで新生活を始める方が多く、一人暮らしを始める大学生など、新生活への不安や期待につけ込んだ悪質商法などに注意すべき状態にある方が増えます。こうしたことを踏まえ、消費者庁では、これまで年度の節目のタイミングで注意喚起資料を公表し、新生活のスタートに対しても注意すべきポイントを呼びかけてまいりました。今年は特にコロナ禍も相まって一段と警戒が必要と考えています。このため、先ほど申し上げたとおり、コロナ対応で行ってきた消費者被害防止キャンペーンを拡充・延長する形で、より広範な周知を図り、消費者トラブルの未然防止に努めます。

無料通信アプリのLINEの利用者の個人情報が、中国の会社の技術者から閲覧可能になっていたという問題が明らかになって、利用する自治体が連携を見直しするとかの動きも出ているようですけれども、先ほどの安心・安全の話も少し絡むようなお話かなと思ったんですけれども、大臣、所管は多いんですけれども、LINEを業務上使っていらっしゃいますでしょうか。

使っていません。

今回の事態について、何か受止めまたは所感があればお聞かせいただきたいんですけれども。

そうですね。所管外ではありますけれども、やはり個人情報保護など非常に重要ですから、こういうことはしっかり対応していかなければいけないと思っています。状況をきちんと把握をして、そしてしかるべき対応をしていくということが大切だと思います。

大臣はLINEを使っていないということなんですけれども、例えば消費者庁とか内閣府などで職員の方が使っていたりとかという、そういった事例はあるんでしょうか。

消費者庁では、LINEを使った消費生活相談の試行、LINEを用いた新型コロナ関連消費者向け情報の発信においてLINE公式アカウントを活用しております。LINE社をグループ会社として、Zホールディングスにおいて外部の有識者から構成される特別委員会を組織して、LINE社の取組を検証するとのことなので、その動向を注視の上で今後の対応を検討したいと思います。

万博の招請活動、大臣、日々精力的に取り組まれていると思うんですけれども、アメリカですとか、これまでの万博で非常に話題になった国というのはまだ出てきていない中、6月もだんだん近づいていっていると思います。菅総理の訪米も予定されていると思うんですけれども、その中で万博の話というのが何か話題になるような形で菅総理と打合せをされていたりだとか、何か話をされているということはあるんでしょうか。

そもそも万博の招請活動については、閣議か閣僚懇談会の中で、もう去年のうちに私から、総理はじめ関係閣僚には、それぞれカウンターパートとお会いする場合には必ず伝えてもらいたいといったようなお願いをしまして、既にいくつもの事例があります。アメリカに対しても、先日、茂木大臣がお会いしたときにお伝えをいただいたという報告を聞いております。ですから是非、総理も訪米する機会にお伝えをいただきたいとは思っております。
私自身は、そういう意味では、相手の担当閣僚にお会いする機会がまだないということ、それから、在京大使がまだおそらく決まっていないんだと思うんですね、政権が代わって。ですから、そのタイミングを見ながら、当然、最重要な同盟国ですから、アメリカに対しても招請活動をしっかり行っていきたいと思っています。

関連して、先日、アメリカからオースティン国防長官とブリンケン国務長官が来日されて、総理にもお会いになっていたと思うんですけれども、基本的には安全保障の話をしに来たとは思うんですけれども、そのときに何か万博に関する言及というか、日本側から何かメッセージを伝達したことはありましたか。

それは、今申し上げた、茂木大臣から国務長官に対して万博の招請、お願いを伝えたと聞いています。

先ほどから出ている安全保障に関連して、日本の研究現場、特に大学なんですけれども、多くの場合は中国人留学生がたくさんいて、彼らが研究業務を支えているという状況があります。一方で、アメリカなんかは安全保障上の観点から、中国人研究者とか中国人留学生の入国制限をしたり、あるいは行動制限をしたりとかいうことをやっています。
大臣としては、日本にいる中国人留学生に対して、これからアメリカのような考え方をするのか、それとももうちょっと緩やかな考え方か、どのように中国人留学生について考えているのか、そこら辺のお考えを教えてください。

これは政府全体の取組として、既に一つの課題として、この留学生の対応をどうするかということは方針として示しておりまして、ただ、留学生のことですから、基本的には文科省で対応策というものをこれから検討していただくということになっています。

冒頭の消費者教育に関連する関係大臣の会議のことなんですけれども、教育に関しては文科省でしたり、あと、民法改正ですと法務省というのが所管にはなってくると思うんですけれども、消費者教育という観点からすると大臣が中心になって進めていかれるのかなと思うんですけれども、そのあたりの大臣として引っ張っていくという、取りまとめていくというような所感を教えていただけないでしょうか。

そうですね。今まで、だから3年間かな、こういった取組をやってまいりまして、残すところあと1年ということで、より力を入れてやっていきたいと思っています。ですから、私から他の3省庁の大臣の皆さんにも、今回強くお願いをしたいと思っています。
併せて、消費者庁としては、普及啓発、あるいは教育、出前授業などもやっていますので、そういったことがメインになると思いますけれども、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

シンクタンク機能の点で伺いたいんですが、政策提言を行うということですが、この政策提言という機能でいうと、ある意味学術会議もそういうふうなものがあって、民間のシンクタンクに政府が委託するということもありまして、あるいは霞が関の官庁も個別に研究所を持っていたりして、巨大なシンクタンクという言い方もできるかもしれないんですが、その中で、あえて政府として、この新たなシンクタンクの意義について、ほかのシンクタンク機能との違い、差別化はどういうふうに考えているか、教えてください。

そうですね。そういう意味では、従来からのほかの機関のシンクタンク機能とも連携をとりながら、とは思っています。ただ、他方で、安全保障にかかわる機微な課題であったり、あるいは今後の重要課題の選定とか、そういった政府として考えていかなければいけないという課題も多くありますので、例えば政府からの問いかけに対して機動的に対応してもらうという意味で、この新たなシンクタンク機能が必要であるということ、それから、こういった分野に関して、やはりいわば専門家の方々、人材育成を強化していかなければいけませんから、そういう意味でも、このシンクタンク機能を活用していきたいと思っています。
ただ、いずれにせよ、実際、2023年度の立ち上げを想定していますから、そういった詳細についても今後検討しながら考えていきたいと思います。

内閣府の外部に置くということですが、それは一定の独立性を持たせなければいけないからという、そういう意味合いなんでしょうか。

そうですね。これはシンクタンク機能なものですから、そういう意味ではむしろ外部に置いて、研究者の方などに参加をしてもらいたいということで考えています。