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井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2020年12月8日(火) 10:33~10:51 於:中央合同庁舎第4号館12階共用1202会議室)

発言要旨

本日の閣議におきまして、小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが無事回収されたことに関して発言を行いました。「はやぶさ2」は、我が国の最先端科学技術の結晶です。6年にわたる宇宙航行で、未踏の空間を切り開き、人類に新たな英知をもたらすことになりました。まさに宇宙の「マルコ・ポーロ」と言えるのではないでしょうか。「黄金の国」とも言える「リュウグウ」からサンプルという大きな宝物が得られることを期待しております。失敗を恐れず挑戦した宇宙航空研究開発機構及び関係する企業、大学の研究者、技術者の皆様の努力に感謝を申し上げます。
このような難しいミッションは、我が国の高い技術力によって達成されたものです。我が国の約15倍の宇宙予算を持つ米国が、我が国との協力を求めているのも、この高い技術力ゆえのものです。このため、私としても、今後とも我が国の高い技術力を守り、育てていきたいと考えています。そのためには、府省の垣根を越えて、宇宙政策を推進し、安全保障の確保や経済成長の実現、世界が直面する諸課題の解決に貢献するよう努めてまいります。
もう一件、宇宙政策担当の大臣として報告をいたします。
本日午後、「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース」を開催します。本タスクフォースは、政府等による衛星リモートセンシングデータの活用を、府省の垣根を越えて政府全体で進めるため、6月に閣議決定された「宇宙基本計画」において設置することとしていたものです。私が座長を務め、関係府省の副大臣、または政務官に参集いただきます。本日の第1回会議では、衛星データ提供事業者の利用拡大に向けた活動や、各府省の取組状況を共有した上で、今後の取組方針をまとめる予定です。
衛星リモートセンシングデータは、技術の高度化を背景に、これから様々な分野でイノベーションを実現することが期待される有望なビッグデータです。我が国が世界をリードして、その利用を拡大していくため、本タスクフォースのもと、関係各省が緊密に連携し、民間に率先して取組を進めてまいります。
最後に、消費者及び食品安全担当の大臣として報告します。
10日に食品表示に係る実証事業及び消費者志向経営に係る取組の視察等をする予定です。先日の閣議後会見で私から発言したとおり、消費者庁では、12月1日からデジタルツールを活用した食品表示の実証調査事業を開始しておりますところ、当該事業に御協力いただいているイオンスタイル幕張新都心店を訪問し、実証現場を視察します。またあわせて、イオングループにおける食品ロス削減の取組についてもお話を伺います。
続いて、消費者志向経営優良事例表彰の大臣表彰・長官表彰を平成30年度及び令和元年度に2年連続受賞した花王株式会社のすみだ事業場を訪問し、事業場内の花王ミュージアムを視察します。
現場の視察を通じて、食品表示におけるデジタルツールの実用化に向けた課題、流通大手による食品ロス削減、大手家庭用品メーカーによる消費者の声を聴いて、持続可能な社会に貢献する消費者志向経営の推進等、消費者政策に係る先進的な取組についてお伺いし、今後の施策にしっかりと生かすことで、消費者行政を強力に推進してまいります。
以上です。

質疑応答

有馬先生が亡くなったんですけれども、大臣としてのコメントをお願いします。

まず、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
有馬先生、文化勲章を受賞されるなど、原子核物理学分野の研究者として優れた功績を残されただけでなく、文部大臣及び科学技術庁長官としても、熱心に科学技術の振興に尽くしていただきました。改めて敬意を表するとともに、御冥福をお祈りしたいと思います。
有馬先生が生前に重視されていた、若手研究者の育成や大学改革の重要性は、私もよく理解しており、若手研究者をはじめとする研究環境の整備や学術研究・基礎研究の推進にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

万博についてなんですけれども、次の招請活動の見通しですとか、何か新しい動きがあれば教えてください。

12月1日のBIE総会での登録承認後、直ちに、世界に展開している我が国の在外公館に対し、外交ルートによる正式な参加招請状の発出や現地政府等への働きかけを開始するよう指示しており、現在既に各在外公館において、こうした働きかけを実施しているところです。
私自身も、コロナ禍の厳しい状況でありますけれども、引き続き12月2日に実施したような在京大使の皆様を集めての働きかけを行ってまいりたいと思います。
また、具体的に決まっていることでは、12月10日、フィリピンのロペス貿易産業大臣とビデオ会談することを予定しております。今後とも在京大使をお招きし、あるいは各国のカウンターパートとのビデオや電話会議形式での会談などを通じて、参加招請活動を精力的に行ってまいります。
また、菅総理や他の閣僚に対しても協力をお願いしており、各国の要人との会談の際などに、既に何件か参加の呼びかけをいただいたと聞いております。
なお、先ほど菅総理にお会いをいたしまして、こういった招請活動を含めた万博の現状や今後の取組について御報告もしたところです。

ちょっと話は変わりまして、学術会議のあり方の見直しについてなんですけれども。一部報道で、完全な民営化には大臣は否定的といった話がありましたけれども、それは運営費などは、一定国が支出するべきと考えているということでよろしいでしょうか。あと、国が一定支出すべきだと考えている理由についても、あわせて教えてください。

学術会議の見直しにつきましては、これは従来から申し上げているとおり、まずは学術会議自身でお考えをいただきたいということで、私とも意見交換をしながら、その回答をお待ちしているところということになります。
その際に、組織のあり方についても検討してもらいたいと言っておりますから、その観点から、完全民営化ですか、ちょっと報道がなされていたと思いますけれども、それはおっしゃるように、全く政府からの予算や人員などの支援もないというような形を想定しているのであれば、やはりそれはふさわしくないのではないかと、そういったような趣旨で私は申し上げたところです。
むしろ私としては、この学術会議が国民から期待される機能、この機能に何があって、どういう形であればそれを果たし得ることができるのか。まずはそれを考えていただいた上で、それにふさわしい組織の形態のあり方であるとか、あるいは予算や定員も含めて、国の関与のあり方、そういったことを決めていくと、こういう手順になるかと考えています。

あわせまして、今後の流れで確認させてもらいたいんですけれども、学術会議側からの報告であるとか、自民党PTの提言が出そろった段階で、政府としては検討結果をまとめるということになっていくと思うんですけれども、その後は具体の制度設計に関しては、来年から有識者会議を設置するということになるんでしょうか。

これも、先日インタビューにおいて、私からそういった可能性もあるということで申し上げたわけであって、何か具体的に今の時点で決まっているということではありません。
やはり、まずは学術会議側からの検討結果というものを受けて、その後どうしていくべきかというのを我々が考えていくということになります。

学術会議法の改正とか、そういった点に関しても特に何か方針として決まっているものというのはないですか。

ありません。

3日の自民党のクールジャパン特別委員会の席上で、アニプレックス岩上敦宏社長などから御意見をお聞きになったというふうに思います。海賊版対策や海外展開について御説明があったというお話ですが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいというのが1点です。
もう一点が、アニプレックスが携わるアニメ「鬼滅の刃」について、以前グループインタビューで、自粛期間中に漫画をお読みになったというふうな御発言があったように記憶しています。映画の大ヒットについても、大臣御自身からコメントをいただければと思います。

申し上げたとおり漫画を読みまして、この間、最終巻が発売されたので、早速それもつい先日読ませてもらいましたけれども、非常におもしろかったです。映画も機会を設けて、是非見にいきたいとは思っています。
個人的に「鬼滅の刃」のファンでもあるものですから、先般の12月3日の自民党のクールジャパン特別委員会、私も拝聴させてもらいました。講義では、アニプレックスの岩上代表取締役社長より、例えば海外でのアニメ配信時間は日本での公開から1時間後など、できるだけタイムラグが起きないように工夫していること、幅広い視聴者を獲得するため、ある配信サイトとの独占契約ではなく多くの配信サイトと契約するという戦略をとったこと、リスクをとって少数でアニメ製作委員会を構成することで迅速なプロモーションにつなげていることなどの話がありました。
また、これは私、公務のため中座しましたけれども、集英社の瓶子執行役員からは、漫画の海外展開について、海賊版被害の状況や、集英社が行っている「マンガプラス」などの取組の紹介があったと聞いています。
今回の講義を通じて、「鬼滅の刃」のヒットには、原作の素晴らしさに加えて、関係者の熱意と工夫、戦略があったことを再確認できました。「鬼滅の刃」につきましては、缶コーヒーなどの商材とのコラボやアニメツーリズムなどによって、2,700億円にも上る経済効果をもたらしていると報道されております。
このように漫画やアニメ等の「コンテンツ」は、異業種との連携を図りやすい分野であると認識をしており、コンテンツと異業種の「掛け合わせ」により、コンテンツの成功による利益がコンテンツ産業のみならず、幅広い分野や地域へ裨益することが可能と考えています。
クールジャパン関連省庁においては、これまでもコンテンツの発信力を幅広い分野や地域へ裨益させるための工夫を議論してきましたが、「鬼滅の刃」の事例を勉強し、教訓等をクールジャパン関係者に共有することで、クールジャパン関連分野の取組強化を図ってまいりたいと思います。

先ほどの学術会議の質疑のところで確認させていただきたいんですけれども、先日大臣は、国からの切り離しも含めてあり方の見直しを学術会議に要請されましたところですけれども、先ほどの御発言は、国からの切り離しになったとしても、予算と人員の支援、何らかの支援が必要だというお考えということでよろしいでしょうか。

はい、結構です。

念のために、予算だけではなくて、人員の支援もあわせて必要だというお考えなんでしょうか。

基本的には、もし仮にいわば切り離しということになっても、今まで国で予算と人員を全て措置しておりましたから、それが全くなくなるというのは、現実的ではないと思っています。ただ具体的には、やはり先ほど申し上げたように、学術会議のまず機能というものを考えて、それにふさわしい国の関与のあり方ということを考えていくということだと思います。
いずれにせよ、学術会議の組織のあり方についても、何も結論が出ているものではありませんので、あくまで仮定の話として、それは申し上げたということです。

少し話は変わるんですけれども、ジャパンライフに関連して、昨日警察が一連の捜査を終了した見通しという報道がありました。明日、債権者集会が予定されていますが、なかなか被害者救済の目途が立っていない状況だというふうにいわれております。
消費者庁で預託法と特商法の検討会の取りまとめがあり、新しい法改正に向けた動きが進められているのではないかと思いますけれども、昨日デジタルプラットフォーマーに関しては、新法の準備をという発言がありましたけれども、預託法と特商法についての具体的な進捗状況を教えていただけますでしょうか。

ジャパンライフの件につきましては、債権者集会でありますとか、あるいは捜査のことについては注意深く注視していきたいと思っています。
御承知のように消費者庁においては、ジャパンライフ社に対して、平成28年12月から1年間で4回にわたって厳しい処分を行うなど、悪質な法違反事件として全力で取り組んでまいりました。
消費者庁としては、ジャパンライフ事件に代表される販売預託の手口による悪質商法の再発防止及び被害防止という観点から、本年2月に有識者検討委員会を立ち上げ、本年8月に報告書を取りまとめました。報告書においては、販売を伴う預託等取引契約について、本質的に反社会的な性質を有しており、預託法において原則禁止とするとともに、預託取引全体についても規制と取り締まりの強化が必要とされるなど、制度改革の必要性が指摘をされました。
ですから、消費者庁では、この検討委員会報告書も踏まえて、そして現在具体的な制度設計を行っております。次期通常国会への法案提出を目指して、作業を進めているという段階です。

改めて、井上大臣の今の意気込みみたいなものは、何かお聞かせいただけますか。

そういう意味では、消費者あるいは国民からの声も非常に高い、そういった案件だと思っておりますので、しっかりそういった声を受け止めて、取り組んでいきたいと思っています。