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井上内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2020年11月13日(金) 10:44~11:04 於:中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

発言要旨

消費者及び食品安全担当の大臣として報告をいたします。
本日、「令和2年度地方消費者行政の現況調査」を公表しますが、その中でも、特に消費生活相談員に関係する調査の結果について、私から一言申し上げます。
結果を見ますと、相談員の平均報酬額について、基本給はおおむね横ばいですが、今年4月の会計年度任用職員制度への移行を背景に、多くの自治体で賞与の支給が始まったことによって、賞与を含めた平均報酬額全体としては改善を示す結果となりました。
他方、昨年比で平均報酬額が減少した自治体が1割程度存在し、また、全国の相談員の数が2年連続で減少するなど留意すべき点も見られました。
従来から申し上げているとおり、相談員の方々には地方消費者行政の最前線で大変重要な役割を担っていただいていると考えています。その能力や経験などに見合った処遇となるよう、引き続き自治体へ直接的な働きかけを行うとともに、相談員の担い手確保や研修の充実、デジタル化などを通じて、相談員の方々が十分に力を発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。
また、相談員の負担軽減に向けては、相談対応困難者への対応マニュアルについて、年度内、できるだけ早い時期の完成を目指してまいります。
以上です。

質疑応答

今検討中の科学技術基本計画についてお聞きしたいんですけれども、これまでの科学技術基本計画は、例えば第1期だと基盤整備ですとか、2期だったら重点4分野とかで、今やっている5期であればSociety5.0の実現で、こうやって一言で言い表されてきたんですけれども、現在検討中の第6期は、一言で言うとどういう基本計画なんでしょうか。

一言はなかなか難しいんですが、現状、我が国の科学技術・イノベーションについては、コロナで明らかになったデジタル化の遅れとか、それから論文数の国際的なシェアの大幅な減少などの研究力の低下、こういった課題があると思っています。それに加えて、菅政権の最重要課題としては、2050年のカーボンニュートラルの実現ということですので、こういった背景を踏まえて、来年度からの5カ年計画ではデジタル化の徹底、カーボンニュートラルの実現、また、次のイノベーションの源泉となる基礎研究をはじめとした研究力の強化、その基盤となる人材育成、こういったことを重点として盛り込んでいただいたものです。

もう一つは、今回の第6期基本計画は科学技術基本法改正後の初めての基本計画ということで、科学技術基本法の改正では、イノベーションと人文社会科学というのが入ったんですけれども、イノベーションというのはいろんなところで出てきているから分かるんですけれども、人文社会科学を基本計画にどういうふうに入れていくのか、具体的に教えていただければと思います。

おっしゃるように、社会のあり方と、それから科学技術との関係は密接不可分となっていて、科学技術政策も、人文・社会科学を含めるとともに、イノベーションを創出する総合的な政策へと進化することが必要です。
具体的にということでありますと、例えば私も先日、SIP自動運転プロジェクトの国際ワークショップに参加いたしました。自動運転技術を例にとると、実用化には研究開発だけではなくて、どのように実装化し社会を変えていくかというイノベーションの観点、それとまた、法制度の整備や心理学的な観点といった人文・社会科学の観点、これも必要であるというふうに考えています。ですから、次の基本計画においては、社会を変えるイノベーションの創出と研究力の強化、これを大きな柱とするとともに、人文・社会科学が社会の価値観形成にかかわる学問であるから、これを科学技術・イノベーション政策の課題設定に生かしていきたいと思います。
また、自動運転のような社会受容性が必要なテーマについては、自然科学と人文・社会科学による総合知を活用した研究開発やイノベーションが進展するような施策を計画に盛り込んでいきたいと思います。

以前もちょっと触れたんですけれども、15日にも野口宇宙飛行士の打上げが迫っています。大臣の御所感、そして期待することや、野口さんへの応援のメッセージなど、いただけたらと思います。

大変期待をしております。今回は、民間企業が開発した有人宇宙船による打上げという、アメリカにとっても新たな試みでありますし、それに野口さん、アメリカ人以外で唯一の搭乗者となります。初号機の唯一の米国人以外の搭乗者が日本人であること、これは日米の宇宙協力が強固であることの証左でもあると考えています。
野口さんのISS滞在中には、双方向ライブ配信、またアバター体験の実証実験など、企業主導のミッションも計画されています。民間による宇宙利用を促進する先行的な成果が生み出される、こういったことも期待をしています。野口宇宙飛行士の活躍は、広く日本国民に夢や希望を与えていただける。野口さんも会見で述べられていたとおり、全集中で力を発揮してもらいたいと思います。

BIEの総会が12月1日にオンラインで行われることになりました。半年遅れの開催ですけれども、受止めを教えてください。
あと、これは、大臣は大臣室から参加される形になるんでしょうか。

そうですね。オンラインでの開催ということで、コロナの影響ですから、そういう意味では致し方ないと思いますけれども、大変残念にも感じています。もちろんオンラインで私も参加したいというふうに思っています。

昨夜、河野大臣が、競争的資金における執行ルールを統一するために井上大臣と動き出しますといったようなツイートをされていたんですけれども、今朝、総理と会われたのは、この関係になるんでしょうか。

総理とお会いしたのは、科学技術政策一般について、もろもろ御相談ということで会わせていただきました。
むしろ、この河野大臣の件に関しては、昨日河野大臣からも私にお話がありまして、もともとこの件は従来から私も同じような問題意識を持っておりまして、内閣府においてもいろんな取組を進めてきたところです。ですから、そういう意味では、河野大臣と協力して、しっかり改善を図りたいと思っています。

先ほど公表いただきました相談員の数なんですが、昨年度、全国の市町村のうち38%ぐらいの市町村に相談員がいない中で、昨年45人減って、今年55人減って、100人も減ってしまっています。それで、国が相談員養成講座を無料で開始して、800人も受講者がいたのですが、今年の受験者の希望者数はほとんど増えていないという状況があるのですが、この800人のうち、何人が受験されたか把握されているのか。それから、かなり抜本的な対策をとらなければ、この減少に歯止めがかかるとは思えないのですが、どのような対策をお考えでしょうか。

前者の質問については、後ほど事務方で調べてお返事をしたいと思っています。
私も、この相談員の方々のなり手不足、非常に心配をしております。従来から申し上げているとおり、やはり消費者と、そして国をつなぐ大変重要な、そういった方々だと思っていますので、しっかり充実強化について取り組んでいきたいと思います。
具体的には、例えば消費者庁では今年度、消費生活相談員資格の取得を目指す方を支援する相談員担い手確保事業、これを直接実施しております。引き続きそのような支援を行っていきたいと思います。

それだけですか。何も新しい対策が見えないのですが。
それから、相談員の平均報酬で、ボーナスが出ることになったにもかかわらず報酬が減っている人たちが1割いるというお話だったのですが、これに対して、もうどんどん格差が広がっていくと。それから、報酬はわずかに増えているのですが、月額が大きく減っている人たちもいると。普通、一般の公務員とか一般の企業では、ボーナスが出るからといって月額報酬が減るということは、とても将来の年金とか、いろんなことで影響が出て、一般の社会では考えられないと思っていて。何か国の役員の方たちは、これは当たり前だと思っていらっしゃるんでしょうか。

新しい話は何もないというお話でしたけれども、今、ちょうど来年度予算において、先ほど言った担い手確保事業、これを要求をしておりまして、予算額は増額で要求しておりますので、拡充も図っていきたいと思っています。
それから、確かにこの報酬の話に関しては私も非常に心配をしておりまして、格差も大分開いているなというふうに思っています。東京23区は突出していますけれども、それ以外のところとか、大分開いてしまっているということです。必ずしもボーナスがついたからいいのではないかといったような認識は持っておりませんので、そこは引き続きの処遇改善を自治体がやっておりますので、自治体側にも働きかけていきたいと思います。

この自主財源の予算のところなんですが、これ、見かけは増えていることになっていますが、広義の予算ではなく、本当に消費生活センターの予算が増えているという認識でいいんでしょうか。
実は、強化交付金は今2分の1の補助率なんですが、実は自主財源を3%以上増やさなくて交付金の依存度が15%以下のところが3分の1にされるというルールができていまして。そのために、例えば警察がやっている詐欺撲滅キャンペーンとか、他の省庁、他の部門がやっている食品ロス削減の予算も読み込んで、去年、見かけの予算が増えているというような自治体がかなりありました。これが本当に自主財源の増加につながっているのかと。その辺の視点で、ちゃんと全国を見ていただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。

恐縮ですけれども、かなり細かい数字の話ですし、事前に通告もいただいていないものですから、事務方のほうから後ほど回答させていただきたいと思います。
ただ、いずれにしろ、私もセンターのほうも何カ所か視察をさせてもらいまして、相談員の方々からも、本当に切実ないろんな御意見もいただいたので、それはしっかり受け止めて、何とか処遇改善をしたいと思っています。やっぱり、なり手不足は本当に深刻で、相談員の方がいなくなってしまえば消費者行政は成り立たないというふうに思っていますから、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。

学術会議の件で伺います。今週の水曜日に自民党のPTが開かれまして、その中で塩谷座長から、提言に向けた論点整理を来週あたりから始めたいという発言がありました。かねてから井上大臣は、自民党側との平仄を合わせていきたいという話をされていましたが、内閣府としても、この論点整理、もしくは中間報告のようなものを出す予定はあるんでしょうか。

我々としましては、自民党もそうですし、今、梶田会長に、学術会議としてまずは検証と見直しを考えていただきたい、それを年内には答えを出してもらいたいというお願いをしておりますから、そういったことを踏まえて、内閣府、政府としてもしっかり何らかのものを出していきたいと思っています。

何か中間報告的なものを報告、発表するという予定はあるんですか。

中間報告になるかはちょっと、ここはまだ分かりませんけれども、いずれにせよ年内に一定のアウトプットは出したいと思います。

また少し消費者行政に戻ってしまうんですけれども、コロナの影響で相談員の働く環境なども厳しい状況にあったかと思うんですけれども、地方行政で処遇とあわせて働く環境ということの改善も、大切なんじゃないかというふうに感じているんですが、そのあたりは、今回の結果も踏まえながら、大臣、今お感じのことはありますでしょうか。

今回の調査は今年の4月1日を調査時点としておりますので、主に昨年度の状況が中心になるということで、そういう意味でも、コロナの影響が特に大きかったとは考えてはいません。
ただ、他方で、今後につきましては、例えば研修の開催中止、あるいは不参加、こういったことによって自治体職員及び消費生活相談員の研修参加率が減少するといったような可能性、これを危惧しております。こうした問題に対しては、国民生活センターによるオンライン研修を充実させることなどによって相談員の皆さんが研修を受けやすい環境を整備していくなど、必要な対応を行っています。消費生活相談のデジタル化などを活用して、しっかり強化を図っていきたいと思います。

先ほど閣議後に総理と面会をされていたと思うんですけれども、もし学術会議の関連であれば、どういった御報告をされたのかと、あと、もし総理から何かしら指示とかありましたら、どういったことがあったのか、教えていただきたいです。

いろいろ含めて科学技術に関して御相談をしたということです。

総理からは、特に何か感想とか、そういったことはなく。

それは、御相談ですからね。いろいろ総理の御意見を賜りましたけれども、そういったことを踏まえて、しっかり科学技術行政、推進していきたいと思います。

先ほどの万博に関連しまして、開催が半年遅れたということで、参加を呼びかける期間もそれだけ短くなると思うんですけれども、このあたり、大臣はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

そうですね。そういう意味では本当に残念に感じておりまして、あるいは危機感も持っています。ですから、12月1日に正式に承認をいただきましたら、とにかくスタートダッシュをかけていろいろ招請活動に取り組みたいと思います。
ただ、他方で、やはりコロナの影響で、直接各国のほうに訪問するということがなかなか困難なものですから、それ以外の方法もいろいろ考えなければいけないなということで、例えばオンラインでいろいろ呼びかけをするとか、あるいは在京の大使館の皆さんに要請をするとか、いろんなことを考えていきたいと思います。

状況次第だとは思うんですけれども、大臣が直接、状況が許すようになったとしたらですけれども、直接海外に行かれて参加を呼びかけるということも念頭には置かれているということになるんですかね。

そうですね。もちろん、本来はBIEの総会もぜひパリに行きたかったんです。ただ、オンラインということなので、残念ながら。ですから、いろいろとBIEも含めて、いろんな世界各国に対して状況が許せば、ぜひ行きたいなと思っております。