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衛藤前内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2020年6月9日(火) 12:38~12:51 於:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室)

発言要旨

消費者及び食品安全担当大臣として、2点発言させていただきます。
まず1点目としては、本日の持ち回り閣議において、消費者白書を閣議決定しました。
今回は特集として、食品ロスの削減を中心に、「持続可能な社会の形成に向けた取組」について分析しました。
消費者、事業者、行政等が「つくる責任、つかう責任」に加え、食品ロスなどを「減らす責任」があることを示し、この社会的課題の解決を目指して様々な当事者が協力して取り組んでいる具体例を紹介いたしています。
また、毎年の消費者被害の傾向を分析していますが、2019年に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談は、前年に比べ約9万件減少し93.3万件でした。
一方、年明け以降、新型コロナウイルスに関する相談が急増しており、本年1月からの累計で3万件以上寄せられています。今日までにほぼ4万件を超えるものと見込まれます。
白書の分析内容を踏まえて、今後も、新型コロナウイルス感染症への対策等、消費者行政を推進してまいります。
2点目といたしましては、昨日、参議院本会議におきまして、「公益通報者保護法の一部を改正する法律」が全会一致で可決、成立しました。
今回の改正は、消費者の安全・安心を損なう事業者の不祥事が後を絶たない状況にあることに鑑み、法令違反行為が早期に是正される環境を確保する観点から、事業者に必要な体制の整備等を義務付ける、さらに、公益通報対応業務従事者に刑事罰付きの守秘義務を課すなどの措置を講ずるものであります。
この法律は、公布の日から2年以内に施行することとしており、今後、施行に向けた準備を進めてまいります。

質疑応答

NHKの秋山です。冒頭の白書についてなんですけれども、昨年、定期購入に関するトラブルが2倍で急増しているというデータも出てきております。改めて、大臣として、定期購入などに対する対策を今後何か検討されていることがあれば、お考えを教えてください。

消費者が1回限りの契約と思って契約したが、意図せずに定期的に継続して購入する契約になっている、いわゆる「定期購入」に関する消費生活相談件数は増加しておりまして、消費者庁としても、悪質なお試し・定期購入に関する監視を強化しています。
実際に、通信販売における定期購入に関する表示について、特定商取引法に違反した事業者に対して行政処分を行ったほか、消費者に対しても注意喚起を行っているところです。
この問題については、現在、特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会において、制度的な対応についても検討を行っており、消費者庁としては、引き続き、検討を重ね、本年夏までに一定の結論を得た上で、具体的な制度設計を行いたいと考えています。

産経新聞の永原です。大臣、先日、内閣委員会で、中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、尖閣を巡る情報発信の強化に言及されました。与党内からも高まっている、このときの5月の追尾の際の映像の公開について、どのように対応していくのかをお伺いできますでしょうか。

先日の委員会でも申し上げたとおりでございまして、尖閣諸島を巡る情勢については、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するように、内外発信の強化に取り組んでいるところであります。
とりわけ今年になりまして、「領土・主権展示館」のリニューアルオープンをいたしました。そしてまた、ウェブサイト等を通じて、中国公船による領海侵入の状況や、海上保安庁による尖閣諸島の周辺海域における警戒監視活動の状況等について、情報発信を行ってまいりました。
映像の公開については、関係機関ともよく相談してまいりたいと思っております。
委員会のときにも申し上げましたように、今までは漁船も中国の公船に接近されるという事例が四、五回ぐらい起こっておりましたけれども、今度は領海内を2時間にわたって追尾されるという状況、それから、中国の公船が非常に隻数も増えて、安定的に入ってくるという状況にこの1年半ぐらいなっておりますので、やはり極めて厳しい状況だと思っております。
そういう意味で、漁民の方が大変危険な目に遭ったということについて、今後、漁民の方々がどうしたら安全な操業ができるのか。そして、その漁業者の振興ということも考えて、あるいは、この海洋調査、漁場調査とか、いろいろなものについて、やはりちゃんとやらなければいけないと思っています。
領海内だけではなくて、EEZや接続水域においてもそういうことが起こっていますので、安定した漁場としてもどう確保できるのかとか、そういうことについて漁業者の安全、それから、安定した漁場としてどう確保できるのか、あらゆることを考えていかざるを得ないのではないのかと思っておるところでございまして、そういう中で、いわば映像の公開については、今、検討中でございます。

NHKの高洲と申します。先週発表された人口動態統計で、去年の出生率が1.36だったという数字が改めて示されましたけれども、大臣としてのこの数字の受止めと、今後の少子化対策についてのご所見があればお願いします。

昨年の出生率が1.36となりまして、大変ショッキングな数字です。その前の2018年が1.42で、それから、2017年が1.43、その前は1.44、1.45というぐあいにずっと下がってきて、せっかく上がっていたものが1.45をピークにして下がり出して、今年は1.42から1.36と、いきなり0.06下がりましたので、「86万ショック」に次ぐショックだと思っております。
少子化の進行はもう待ったなしだと。そして、その中で思い切った取り組みを速やかに進める必要があるという思いを改めて強くしたところでございます。深刻さを増す少子化の問題は、社会経済に多大な影響を及ぼし、新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先にも存在し続ける、国民共通の困難でございます。
今般策定した新たな大綱に基づく施策の具体化に速やかに取り組んで、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路を打破、子供や家族が大事にされる社会への転換に強力に進んでまいりたいと思います。

共同通信の國枝です。昨日、公益通報者保護法が改正等しまして、守秘義務の導入で一歩前進という声もある一方で、本当に信頼できる窓口になるのかという声があると思うんですけれども、消費者庁が労働者に意識調査したのは平成28年度が最後だったと思うんですが、今後、労働者に意識調査をしていくご予定とかはあるんでしょうか。

公益通報者保護法の改正案は平成18年の法施行から14年後という大改正でございました。まずは、今回の改正内容が十分活かせるように、公布の日から2年以内の施行に向けて必要な作業を着実に進めてまいりたいと思っております。
また、様々な宿題をいただいていますので、2年後の施行に向けて、いろいろご指摘いただいたところを確実に推進してまいりたいと思っております。
それから、附則第5条として、法の施行後3年を目途として、「公益通報者に対する不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方及び裁判手続における請求の取扱いその他新法の規定」について検討を加えて、その結果に基づいて必要な対策を講ずるものとしております。
ですから、私どもも、改正法が施行される2年後までの間に、関係者の連絡協議会等に出席し、各役所にもこれを徹底し、とりわけ労働局との連携等について、もっと図っていく必要があると思っています。
まだまだ消費者庁は発足10年というところで、小さい役所でありますけれども、その能力をもっとアップできるように頑張ってまいりたいし、それから、足りないところは他の省庁の力も遠慮なく借りて、連携すべきところは連携して、使命を全うしていきたいと思っております。