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衛藤前内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2019年9月12日(木) 16:01~16:32 於:中央合同庁舎第8号館1階S103会見室)

発言要旨

この度、内閣府の特命担当大臣を拝命いたしました衛藤晟一でございます。
私の担当は、沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、少子化対策、海洋政策であります。併せて内閣の担当大臣として一億総活躍、領土問題担当も含めます。よろしくお願いいたします。
まず、一億総活躍社会の実現についてですが、我が国の経済成長の隘路の根本にある少子高齢化という構造的な問題に正面から立ち向かい、誰もが生きがいを持ってその能力を十分に発揮できる一億総活躍社会の実現を目指しています。女性、高齢者、障害者、引きこもりの方々など、様々な方々に配慮した形で全体を進めていかなければいけないと思っています。
次に、少子化対策については、日本社会を根底から揺るがしかねない少子化の危機は国難であります。これを脱することは待ったなしの課題です。今年度中に新たな「少子化社会対策大綱」を決定し、一人一人が結婚や子供についての希望を実現できる環境を整備したい、そう思っています。
さらに、安倍内閣の方針に沿って、本年10月からの幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に努めるとともに、幼児期の教育・保育、子育て支援の充実に取り組んでまいります。
障害者施策については、全ての国民が障害の有無に関わらず、お互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会を目指し、各種施策を総合的に推進します。また、障害者差別解消法の見直しに向けた議論を進めてまいります。
子供の貧困対策については、新たな「子供の貧困対策大綱」を策定し、子供の貧困対策を総合的に進めてまいります。
次に、沖縄及び北方対策についてでありますが、沖縄については、沖縄振興特別措置法等に基づき、沖縄が抱える特別な諸事情を踏まえた沖縄振興に全力を尽くしてまいります。
また、沖縄の基地負担軽減のため、県民の思いを受け止めながら関係閣僚と連携の上、最善を尽くしてまいります。
北方領土問題については、北方領土問題を解決して、平和条約を締結するための外交交渉を強力に後押しするため、国民世論の啓発の強化、交流事業の円滑な実施、元島民の方々への援護等に積極的に取り組んでまいります。
領土・主権対策につきましては、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう領土・主権展示館の今年度中の拡張移転、展示内容の一層の充実等に取り組み、外交政策等との整合性を確保しつつ、内外発信の強化に努めてまいります。
海洋政策について、我が国は四方を海に囲まれた世界有数の管轄海域を有する海洋国家であります。海洋の安全保障、産業事業、環境保全、人材育成などの取組を強化していくことは重要であります。
昨年5月に閣議決定された第3期海洋基本計画に基づき、政府一丸となって海洋政策に取り組んでまいります。また、引き続き有人国境離島の保全と地域社会の維持に関する施策を強力に推進するとともに、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、関係省庁とともに海洋プラスチックごみ対策に関する取組を進めてまいります。
消費者及び食品安全政策についてですが、高齢化など社会状況が変化する中で、消費者の安全・安心を確保するために、消費者政策がその役割を十分に発揮することが重要であると認識いたしております。
このため、本年9月1日に設立10周年を迎えた消費者庁及び消費者委員会において、取引、食品等を含む表示や安全の確保に向けた厳正な法執行を始めとする消費者被害の防止、地方の消費者行政の充実、消費者教育の推進や消費者・事業者の連携等にしっかりと取り組んでまいります。
そのほか、交通安全対策、青少年育成支援、高齢社会対策、独占禁止政策を中心とする競争政策、休眠預金等に係る資金の活用、ギャンブル等依存症対策、特定秘密保護法の運用等についても着実に取組を進めてまいります。
重要な政策課題に取り組むこととなり、身の引き締まる思いであります。安倍内閣の一員として精一杯務めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

NHKの高洲と申します。
昨日各社の取材に対してですね、就職氷河期世代への支援、これも十分に行っていきたいと話されていましたけれども、改めてこれに関しての問題意識と、それに対してどういう対策を講じられるのか教えてください。

就職氷河期の問題は、社会保障全体の中で直接の担当ではありません。これは社会保障全体のことで、西村大臣のところで、それから厚労ですね、労働問題の対応をされておりますので、そういう状況でありますので、連携して活動していかなければいけないと思っています。
就職氷河期の方々は、働き方として非正規から正規へと、あるいは引きこもり状態の方々をやはりどれだけ社会の中で復帰していただいて頑張れる体制を作れるのかと、生きがいを感じて働けるのかと、そのときに一緒に、今度は就職氷河期という横の世代と引きこもりという、別にこの中にも入った方々、その問題も一緒に考えていかないと、その中で一億総活躍社会は本当にみんなが生きがいを持って、社会への参画意識を持った中で暮らせる、そんな社会を作っていくことがどうしても必要だと思っておりますので、これはですね、抽象的な言い方ですけれども、具体的に本当に社会の中でそういう自分の寄って立つ瀬のような、導きがない方々がよりどころを持ってですね、本当に暮らせるような社会を作らなきゃいけないという具合に思っていますけれども、そのことが国全体のみんなの活力となって、それはやっぱり政治においてどうしても最低必要なことだというように思っておりますので、その方向で頑張らさせていただきたいと思っています。

北海道新聞の文と申します。
北方領土関連でお尋ねします。領土返還運動に関わる元島民の方々の高齢化が進み、世代への継承が課題です。また、全国で北方領土問題への関心を高めることも必要です。これらの課題について、具体的にどのように取り組まれますか。

これは、北方領土問題は、外務省と交渉しながらやっていますけれども、そんな中で何とかロシアとの関係がうまくいけばということで、いろいろな対策が講じられていることは御承知のとおりです。経済連携の話とかをしているのは御承知のとおりです。北方領土問題を解決して平和条約の締結までこぎつけたいというのが安倍内閣としての方針です。そんな中で私どもも、それを後押しする立場でございますけれども、先程お話ししましたように世論形成、あるいは旧島民の方々の支援等に関して一生懸命頑張らなければならないと思っています。
そして、そういう活動を通じながら、国民世論を高めていくと同時に、やはり経済支援云々の話も出てくるということは、ロシアにとっても日本と仲良くすることは非常にいい結果をもたらすというような形の基盤作りを一緒にやっていく必要があると私は思っています。それがこの北方問題を担当する者としての使命であると思っています。

共同通信社の若林と申します。
保育関係でお尋ねします。企業主導型保育事業は様々な問題が重なって、今年度緊急募集がまだ始まっていない状況です。一方で、待機児童解消のために、政府のプランでも2万人分の受け皿を整備するということが計画されています。
人を確保しながらの量の拡大というのが求められていますが、今後の企業主導型保育事業についてどのように政策を進めていかれるか、あとは計画通り整備が進むかどうか、その辺りを大臣のお考えをお聞かせください。

いろんな詐欺事件等起こって大変遺憾であります。これだけの無償化に向けて、いろいろな形でバックアップしていこうということで企業主導型の保育事業について大きく枠をとれて、9万個ぐらいの枠を作ろうとしていたと、その枠組みをちゃんと理解していただけなくてこういうことに至ったということは大変遺憾でありますし、その中で私どもはやはり行政としてみたら、内閣府が担当とかほかの担当ということではありませんが、やはり質をどう確保するかということについて、シビアな議論がなかったことも事実ではなかろうかと言われています。
今、徹底的な検証をやって、これに対する対策をやっていくと。少なくともこういう問題で詐欺事件まで起こすということは、大きな制度上の問題があったという形で理解いただけなかったという、これは早急に改善をしていかなければいけないと思っています。

共同通信の玉井と申します。
先程、宮腰前大臣との引継式のやり取りの中で、明日沖縄入りをなさるということでしたけれども、具体的な予定と今後の目的についてお聞かせください。

できるだけ早く訪問したいという方向で進めております。1日でも1時間でも早くまず沖縄に訪問させていただいて知事や議長とお会いしたいと思っていますので、今その日程調整をしているところでございます。まだ発表できる段階ではありませんけれども、そういう気持ちでございます。

このやり取り、宮腰前大臣とのやり取りの中で、感情的なもつれがここまで起こっていると御発言なさったかと思うんですけれども、沖縄の方々との間でどのような感情的もつれがあるのか、発言の御趣旨も含めて御説明いただけますでしょうか。

「感情的なもつれ」と言ったんですかね。とにかく政府としても、何としてでも基地負担の軽減をして、そして、そういう中で沖縄振興を図りたいということを主眼としてやっているわけでございますけれども、そういうところが、いまいちかみ合わない部分があると、その原因を、もう一回ちゃんと調べて、そして何としてもかみ合わせていきたいという具合に思っています。
基地負担の軽減をして、今のところ、私どもが沖縄振興でできることは、いろいろな形の対策をしていますけれども、もっともっとどういう形があるのか、もっとどういう質的に変えていった方がいいのかと、そういう意味での検討もやっていかなければいけないと思っています。その「感情的な」といわれるその一種のすれ違い、思いのすれ違いは是非とも解消して、一致まとまって頑張っていくことができればという具合に思っています。そのことが将来の沖縄のためにも必ず良いことだと、そしてまた、日本全体としても良いことだと思っています。
それから、私は、6月23日の直前に自決した大田少将の言葉をよく、沖縄に行くたびにやはり思い出すものでありますから、その気持ちにかえって、必ず何としても大きく一歩を進めていくことができればという具合に思っています。

朝日新聞の及川です。
2問お伺いします。1問目なんですけど、先程の質問との関連なんですけれども、宮腰大臣の方からは、足しげく沖縄に通ってほしいと。宮腰大臣退任の御挨拶の際に、全ての離島市町村を回ったとおっしゃってました。大臣御自身で全てを回るというお考えがあるのかということと、回る数ということよりは、やっぱり何回も対話を重ねていくとか、どのように先程おっしゃったようなことをやっていくお考えでしょうか。

頻繁にお伺いしたいと思いますが、まだ沖縄の全ての離島、いくつくらいあるのかまだちょっと存じ上げておりませんけれども、どこまで回れるのか、できるだけ頑張って生の声をお聞かせいただきたい。そしてそのことと同時に、先程お答えしましたように、どうしたら世論も県民の意識もまとまって、いわゆる基地負担の軽減と、そして沖縄振興のために、本当にどうしたら一番良いのかということを真剣に考えていきたいと思うんですね。それを何が何でもやっぱりカチッと歯車のかみ合うような状況をつくっていくことができればという具合に願ってますから、そのために必要なことは何でもさせていただければと思っております。

(朝日新聞 及川記者)2問目なんですけれども、小泉環境大臣がですね、育児休業の取得を検討されています。大臣は少子化担当であるかと思うんですけれど、閣僚が育休を取得することについてはどのようなお考えでしょうか。

小泉大臣も育休を取得するとは言ってない。

検討していると。

だから仕事は最優先ですと、その中でいろんな方法があるかもしれないから、検討してるんですとね。温かく見守りたいと思います。

大臣御自身は賛成、反対というのは。

別に今まだそこまで結論が出ていません。仕事との関係でどういう検討をするのか、リーズナブルなものなのであれば良いのではないかと思いますし、どういう形で行われるのか、小泉大臣の活躍を期待してるところであります。

東京新聞の河田と申します。
今回、衛藤大臣、この1億総活躍から消費者とか結構幅広い担務で、しかも六つという大臣の担当の関係が、前大臣の宮腰さんは八つでしたけれども、今回、衛藤大臣は六つということで、結構幅広でプラスいろいろ分野が広がっているところで、あと10月初旬に臨時国会が始まるという中で、なかなか大変なところもあるのかなというのも推察するんですけれども、こういう担当のその大臣の職域がこう六つに広がっているということに対して、大臣どういうふうにお考えでしょうか。

私もそんなに多岐にわたってる問題をいただけたということで、最初から総理にお聞きしていた時は、少子化と一億総活躍ですと電話をいただいた状況でしたから、その後いろいろとお聞きしたら、六つですか、沖縄、北方、それから消費者、食品安全、それから海洋に領土など、六つ入ってますから、本当に大変だと思っております。
ですから、せっかくいただいたのですから、中途半端にする気はありません。ちゃんと方向性を決めていくということが、政治にとって必要なことだと思いますので、本気でやっていきたいと。
そのときに、私は現状分析を先にやって、それに対する対策をどうしていけばいいのかということを考えたいと。そしてやはり国ですから、特に原理的なことはちゃんと整理していかないと。市町村までいったときには、これは大混乱しますから、そういう制度を重視していきながら実行に向けて頑張りたいと思います。

毎日新聞の堀です。
昨日もちょっと同じような質問だったので、社会保障についてお伺いします。全世代型社会保障の検討会議が来週に開かれますが、西村大臣を中心にということだと思うんですが、少子化の担当大臣として、この会議の議論にどういうふうに入っていくか、あるいは主導していきたいか、そういう何か意気込みや今のお考えがあれば教えてください。

主導される担当の方は西村大臣になったわけですから、その中に参画させていただいて、是非、意見を申し上げるチャンスがあればと思っています。
いずれにしても、全世代型社会保障ということは、私どもが平成の時代で少子高齢化社会を乗り切るために、いろんな社会保障制度改革に手をつけました。その中で介護保険制度の導入とか医療制度改革とか、それから年金制度の大改革とか、そして将来の問題とか保育の問題だとか、ずっと手をつけてまいりましたので、それをもう一回全体を見直しながら、グレードアップするというのか、大改革になるのか中改革になるのか分かりませんけど、もう一回これを平成の時代にやったことを見直して、本当に安心できるような形にやりかえるというのが、今回の全世代型の社会保障の課題ではないかという具合に認識いたしております。
その中で私の方は少子化の方を担当させていただくことになりましたので、非常に大きな問題だと思ってます。総理も4、5年前から少子化問題は国難だということを発言しておられますし、今回も改造に当たってご発言もございまして、これだけはやはり目鼻つけたいというのが偽らざるところであります。
私も少子化対策を始めたのは、平成6年か7年ぐらいの自民党の社会部会長にならしていただいた時に、この少子高齢化社会、どう乗り切るかということは、平成の時代の社会保障制度改革の一番大きなテーマでした。その中で部会長のときに相当手を付けさせていただきましたから、これを本格的に効果あるものとして行わなければならない。合計特殊出生率の段階から見ると、そのときは1.57ショックの再来と言われたところですが、1.26まで落ちたものがちょっと上がってきまして、1.45まで上がったと思ったら、1.44、43というようになってきて、そして毎年生まれてくる子供さんの数が、平成の最初から見ると毎年1万ほど落ちていたものが、平成27、28年からは毎年2、3万ずつの勢いで落ちると言われて、ちょっと質的には非常に厳しい状況で、一刻の猶予もならないという気持ちでありますから、そのための対策は今後安倍内閣の中で絶対に目途をつけなければいけない問題だ思っておりますので、そのために全力で頑張ってまいりたいという思いでいます。
ですから、優秀な大臣のもと連携をして、全世代型の社会保障制度について、是非一体となってやれることをやらせていただければ有り難いと思います。

沖縄タイムスの大城といいます。
恐縮ですが、先程の沖縄の部分の話題に戻ります。先程の大臣おっしゃる感情的なすれ違いというのは、普天間の辺野古移設の件で、両者の立場が食い違っていることを指しているのかということと、そのすれ違いを解消する場合も、辺野古移設という政府方針が前提になるというお考えでしょうか。
また、あと一点、沖縄への認識という点でお伺いしたいのですけれども、6月23日というのは沖縄にとって重要な日になりますが、大臣はその日をどのように認識されていますでしょうか。

まず、やはり6月23日は戦闘が終結した日でございますので、大勢の沖縄の方々、それから軍の関係の方々、アメリカ兵も入れて20万人、一般県民の方々も4分の1に上る方が亡くなったということで、大変な日であります。
そういう意味では、やはり沖縄は当時の日本防衛の最前線となって本当に苦労されたと思っています。ですから、私も先程申し上げましたように、大田少将の言葉を忘れないように、「県民かく戦えり」、あと「御高配あらんことを」といった言葉を忘れないように肝に銘じながら今やろうとしてるところであります。
あと、感情の行き違いというのは、せっかくみんな沖縄振興という一つの方向、そして基地負担の軽減という問題に向いてるのに、なかなか完全に歯車がかみ合わないという、そういう意味で申し上げたところでして、是非そのかみ合わせがうまくいくように、そして本当に沖縄振興がなされ、基地負担が軽減され、沖縄振興がなされることを希望しています。
沖縄はそういう意味で、地理的に見ましても正にアジアの中心に位置するすばらしい地域ですから、発展する大きな大きな可能性を持っている地域ですし、そしてまたそんな県民としてやられてきたわけですから、そのことを是非、おこがましいですが実現していきたいと思ってます。そのための一つの大きな役割を果たさせていただくことができれば、これ以上の幸せはないと思ってます。

日本農業新聞の柳沼と申します。
消費者行政についてお伺いしたいんですが、5月に食品ロス削減法が成立いたしまして、今後基本方針を作成されていかれると思います。年間600万トン以上に上る食品ロスをどのようにこれから削減されていかれるのかというお考えと、農業関係、食品を生産する農業者の方に期待がございましたら、お話伺えますでしょうか。

今は10月1日の施行に向けて準備を進めているところでありまして、食品ロスの削減推進法は議員立法として、衆参全会一致で成立いたしました。これはやはり非常に重要な課題だと思っています。
これについて、担当大臣として、これだけのロスを解消していくため、世界ではまだまだ飢饉に苦しんでいるところが大変多いわけでありまして、そういうことのないように、基本方針の年度内の閣議決定に向けて是非頑張っていきたいと思ってます。
そして、国民皆様、業者の方、地方自治体も入れて、多くの方々の協力を得られるように、是非取り組んでいきたいと思ってます。こういう問題は掛け声は良く、皆様賛成するのですが、各論になるとなかなか実際にはまとまらないという問題が多いですから、そういうことのないように、国民こぞって結集できる体制をつくっていくことができれば良いと思っております。