新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年6月5日(木) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、私から3つお話をさせていただこうと思います。1点目が、公益通報者保護法の関係でございます。昨日、参議院本会議におきまして、「公益通報者保護法の一部を改正する法律」が可決・成立をいたしました。今回の改正は、公益通報対応業務従事者を指定していない事業者に対する命令権、立入検査権、命令違反時等の刑事罰の導入、公益通報者の範囲にフリーランスを追加する、公益通報者の探索行為や公益通報の妨害行為を禁止する、公益通報を理由とする解雇又は懲戒に対する刑事罰の導入や立証責任転換といった大幅な見直しを行ったものであります。この法律は、公布日から1年6月以内に施行することとされておりまして、引き続き、現行法の適正な執行、それから今後は、改正内容の周知をはじめ、法定指針やガイドラインの見直し等、施行に向けた準備に万全を期していきたいと考えております。
それから、2点目であります。コメの詐欺サイトに関する注意喚起です。コメの価格高騰に便乗した詐欺サイトに関する相談が、全国各地の消費生活センターに寄せられております。具体的には、ネット通販でコメを購入したが、詐欺サイトだったかもしれない、通販サイトでコメをカード決済で購入したが連絡が取れず、住所は無関係の店のものだった等の相談が寄せられているところでありまして、既に、国民生活センターからコメの詐欺サイトへの注意喚起を呼び掛けているところであります。今般、随意契約による政府備蓄米の売渡しが開始され、既にネット販売においても政府備蓄米の販売が行われるところでありますが、これに便乗した悪質な詐欺サイトがさらに生じる可能性がございます。消費者の皆様におかれましては、そのサイトが信頼できるサイトであるかどうか、十分に確認をした上で、契約をしていただきたいと思います。
それから、3点目です。先週の会見でもお尋ねがありましたけれども、経口補水液に関する制度改正が6月1日に施行されましたので、改めてその内容について説明をさせていただきます。経口補水液は、一般的な清涼飲料水よりも電解質量が多く含まれているため、脱水状態等でない場合又は脱水の原因となる疾病等に罹患していない場合に漫然と使用することにより、短期的に健康上の問題を引き起こす可能性があります。他の病者用食品と比較しても健康上リスクが相対的に高いものとなっております。その他の清涼飲料水と容器・形状が類似しているため、誤認して購入・使用されるリスクが高く、それに伴う健康影響も懸念されているということでございます。このため、令和5年5月に消費者庁次長通知に新たに「経口補水液」の許可区分を設けまして、令和6年12月にこれを健康増進法府令に規定したところであります。その際、許可を得ずに「経口補水液」と表示した清涼飲料水の許可手続きや包材資材の切替えに一定程度の期間が必要であるということ等を考慮いたしまして、令和7年5月末までの準備期間を設け、今般、令和7年6月1日から施行したところであります。経口補水液の販売方法については、消費者庁次長通知において許可取得者への留意事項を定め、販売店舗における具体的な方法については、課長通知及び業界団体が作成した陳列・掲示方法を事務連絡で示したため、適切に活用していただきたいと考えております。また、消費者庁としては、消費者が経口補水液の適正な使用方法等を正しく理解できるよう、リーフレットや動画、政府広報等を通じて普及啓発を行っているところであります。消費者の方々には、「経口補水液」を正しく理解していただき、適切にご利用いただきたいと思います。この経口補水液、許可基準が設定された令和5年5月時点では、個別評価型が8品目のみ存在をしておりましたが、準備期間中に計32品目まで増加したということでありまして、この夏に消費者の方々が利用できるような状況になっているということであります。しかしながら、摂取にあたってはスポーツドリンクとは違うということでございますので、必要な注意事項を考えた上で摂取していただきたいということです。
質疑応答
-
問
共同通信の新為です。
公益通報の関係で、公布の日はいつ頃になるというふうに想定されているのでしょうか。 -
答
公布の日は早急にということでありますが、閣議決定が決まった段階でお知らせをしたいと思います。
- 問 承知しました。あと、これは総論的な話になるのですけれども、公益通報の議論の中で施行後3年後の見直し等々もある中で、消費者庁でやる分にはあまりにも広すぎるので、例えば厚生労働省とか労働問題として扱うべきなのではないかというような意見が各国会議員の方々からも出ていたりというような話もあると思うのですけれども、これはなかなか難しいと思うのですけれども、そういうような全体的なものを見た際の今後の公益通報をどこが所管するのかみたいな、そういうところに関して思われるものとか何か検討されているものはあるのでしょうか。
-
答
公益通報者保護法、法律によって従業員の立場を守るということですので、広い意味の労働法制だと思っています。そういう中で、制度の周知などについては厚生労働省の労働基準監督局にもだいぶ協力していただきました。消費者庁の法律ということではありますが各省と連携していかなければならないと考えています。先週もお話しいたしましたように、国家公務員あるいは地方公務員の方の公益通報窓口あるいは体制の整備あるいは徹底ということについては、総務省あるいは人事院ともしっかり連携をしていくということですので、それぞれ連携していく中で、この制度を徹底していくということだと考えています。
-
問
TBSテレビの永橋と申します。
コメの詐欺サイトについてなのですけれども、コメの価格高騰を受けて増えているということで注意喚起だったと思うのですが、消費者庁としていつから増えて何件起きているかというのは把握していらっしゃいますでしょうか。 -
答
「コメのインターネット通販における商品未着などの相談件数」ということで、PIO-NETから拾い上げてみますと2024年度は337件ということでありますが、2025年度、これは4月と5月、2か月の統計でありますけれども、そちらで335件ということで、この2か月で昨年度とほぼ同じ数になっているということであります。昨年度を見ますと、やはり2月よりも3月の方が増えている、さらには今年度、4月になってから圧倒的に増えているということであります。急増いたしましたのは今年の3月から、それから4月、5月で相当増えているということですので、この価格高騰の中でこのようなサイトも増えているということであります。消費者の方々には、国民生活センターの5月20日の注意喚起にも書いてありますけれども、価格が不自然に安くないかどうか、それから事業者の連絡先がきちんと明記されているかどうか、あるいは問い合わせの電話番号に1回電話して通じるか試すとか、そういうような確認をぜひしていただきたい。それから、契約をしたときにはインターネットの場合には最終確認画面のスクリーンショットを撮っておいて、どういう条件で自分は買ったのかということが証拠に残るような形にしていただきたいと考えています。それから、トラブルにあった場合には消費者ホットライン188に電話していただく、それからサイト上でクレジットカード情報を入力した場合にはクレジットカード会社にも連絡を取っていただきたいと思います。
- 問 私も調べてみたら詐欺だろうなというサイトを発見したのですけれども、どれくらいの詐欺サイトがあるかというのは分かっていたりとかしますか。
-
答
それについては、情報を持ち合わせていません。
- 問 分かりました。今後、何か事業者に対しての働きかけとか、そういうものはできるものなのでしょうか。
-
答
実際に詐欺であるということになりますと、これは警察と連携をするということになると思います。
- 問 分かりました。もし分かれば、4月で何件、5月で何件なのでしょうか。
-
答
私の手元にある数字をお話させていただきますと、3月がまず66件、4月が180件、5月が155件ということです。
-
問
日本消費経済新聞の相川です。
先ほどのコメの詐欺サイトに関連してなのですが、私、先日、詐欺的定期購入が第3類医薬品や機能性表示食品でも拡大しているという記事の中で、違法な広告を短時間で削除することで履歴から過去の広告にたどり着けないような対策を取っている悪質業者が出てきているというふうに問題を取り上げました。実は専門家の方々に話を聞くと、今、コメの偽通販サイトがその手法を使っていて被害を増やしているという指摘をされていました。今、消費者庁で過去に被害があったものを広告で過去のものを検索して、過去のどういう広告をしていたかを見つけることができているのでしょうか。 -
答
にわかにお尋ねの趣旨がよく分からないのですけれども。
- 問 消費者が見たサイトを、例えば消費生活センターか何かが復元しようと、そこにたどり着こうとしても、もうたどり着けないということです。そのような技術が出てきていて、あっという間になくなっていると。詐欺なのでどうせ斡旋はできていないということで気をつけるしかないということなのかもしれないのですが、悪質業者のデジタル技術の方がどんどん先に進んでいて、消費者庁も検討はしているようなのですけれども、全く悪質業者の方が先に進んでしまっているというところがあって、そこのところに何らかの対応策を考えていく必要があるのではないでしょうか。
-
答
これはコメの詐欺サイトだけではなくて一般的なお話だと思っています。今お話があったとおり、サイトがなかなか後からトレースできない、それから非常に秘匿性の高いツールによっていわゆる購買のときの広告、あるいはそれぞれの対話が行われる、いろいろな問題点があると思います。今も少しずつAIなどを使ったもの、それからサイバーネットのパトロールというのをやっておりますけれども、そちらの方での技術を高めなければいけないという強い意識は持っておりますので、来年度予算に向けてできるだけ対応していこうと考えています。
- 問 それからもう1点、つい先ほどなのですが、消費者問題特別委員会で地方消費者行政の充実・強化に関する決議が出されました。実質的な決議は26年ぶりで消費者庁ができてから初めてということなのですが、その受け止めについてお教えください。
-
答
先ほど、衆議院消費者問題に関する特別委員会におきまして、地方消費者行政の充実・強化に関する件の決議が全会一致で行われました。交付金推進事業の活用期限到来への対応をはじめとして地方消費者行政に関して、この間、与野党から提言をいただきましたし、またこの消費者問題に関する特別委員会でも活発にご議論いただくなど、消費者政策の最重要課題の1つとして取り上げられ、本日の決議に至ったものと考えております。消費者庁としては、今回の決議の趣旨を尊重いたしまして、地方消費者行政の充実・強化に向けて、交付金のあり方を含め、しっかりと検討していきたいと考えています。