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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年2月6日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

お手元に資料がありますので、ご参照いただきたいと思います。第5回消費生活意識調査について報告いたします。消費者庁では、令和6年12月に「消費者教育」をテーマとして、消費生活に関する知識や消費者トラブルに遭った場合の行動等を把握するためのアンケート調査を行いました。調査結果のポイントを申し上げますと、配付資料1ページ目でありますが、消費者教育を受けたことがあると回答した821人に、教育を受けた機会について聞いたところ、「学校の授業」が34.6%と最も高く、次いで「職場での研修等」が23.9%ということでありました。「職場での研修等」は前回の21.9%よりも若干上回っているということで、これは各職場でのご協力を得たものと考えております。それから、配付資料2ページ目ですけれども、消費生活に関する知識の正誤問題を聞いております。全設問の正答率の平均は39.2%ということでありまして、最も基本的な知識の一つである、「契約の成立時期」を聞いたところ、15~17歳は50.9%、18~19歳は47.5%と、これら世代が高くなっております。これは成年年齢引き下げ後も学校において実施されている消費者教育による教育効果があったと考えております。他方、全設問の正答率の平均を年代別にみると20歳代が31.6%と最も低いということでありまして、繰り返し教育をしていくことが重要だと考えています。それから、配布資料の3ページと4ページで、過去1年間に消費者トラブルに遭ったと回答した1,018名のうち、どこかに相談した人は72.5%でして、そのうち、相談先で最も多かったのは「地方自治体の消費生活センター・相談窓口」ということで31.8%ということであります。消費者教育の中でも気付くということ、誰かに相談するということが非常に重要だと考えておりますので、この数字(%)が、昨年度から若干増えていますけれども、さらに多くなることを期待しているところであります。それから、配付資料5ページですが、オンラインショッピングでトラブルに遭った人のうち、交換・返品を求める等の行動をした人の割合は67.4%ということです。今回、基本的な「消費生活に関する知識クイズ」というものを出しておりますけれども、契約は口約束でも成立いたしますということでありますし、「店で商品を買った後、使う前に不要になったら解約できるでしょうか」ということに対しては、一度成立した契約は理由がなければ解約できないというのが契約の基本ですので、これらについてしっかりとした知識を持った上で対応していただきたいと考えているところでございます。消費者トラブルについては疑似的に体験できるような教材「鍛えよう、消費者力 気づく・断る・相談する」なども作っておりますので、学校、職場、地域において、さらに消費者教育を推進していきたいと考えております。

質疑応答

共同通信の新為です。
事前に質問を出させていただいた食品期限表示の関係でお伺いしたいのですけれども、月曜日の検討会で案が出されて、今、パブリックコメントを控えて、さらに修正されているところで恐縮ですが、今回のガイドライン案の改正案が出された意義と、これが食ロス削減にどの程度効果があるのかというのを、見解も含めてお伺いできますでしょうか。

食品期限表示の見直しについては、食品ロスの施策パッケージの中でも一つの課題として取り上げられておりました。そのようなことを踏まえまして、昨年5月から「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」を行ってきたところでございまして、先日、案をまとめていただきました。その中で、一つは食品の特性等に応じた客観的な指標及び基準の自らによる科学的・合理的な決定をすること、それから、安全係数の設定の考え方、賞味期限を過ぎても「まだ食べられる期限」に関するできる範囲での情報提供などと、いろいろ意見が出たところでありまして、これを踏まえてガイドラインの改正を行っていきたいと考えています。パブリックコメントを経て、ガイドラインを改正するということでございますし、これは多くの事業者の方にできるだけ実践していただきたいと思っております。食品ロスの関係で申しますと、一つは安全係数の考え方のところについて、できるだけ1に近づけることが望ましいということで、今まで0.8というものを提示しておりましたが、それをできるだけ1に近づけると。しかしながら、食品によっては微生物の増殖とかそういうものがありますので、食品に応じた安全係数は否定するものではないということであります。それから、重要なのは消費者への情報提供ということで、賞味期限を過ぎても「食べることができる期限」をできるだけお答えいただきたい。あるいは若干賞味期限が過ぎたものの調理方法とか、そういうものをお答えいただくことによって、消費者の方、あるいはフードバンクの方などがさらにその食品を利用できる、かつ、食していただけるような場面も提供したいということでございます。このガイドラインと、もう一つは最近、年月表示も進んでおりまして、最初は飲料から始まりましたが、今、菓子とか乾燥したもので広がっています。これは一つの効果としては物流の問題にも関係します。倉庫の管理で、先入れ先出し、が非常に容易になるということで、この年月表示は物流問題の中で非常に大きな効果を発揮しているということですので、期限の設定とともにその表示の仕方、双方を併せてやっていくことが、食品ロスあるいは社会的な課題の解決に結び付いていくのではないかなと考えています。

一部の業者の方々とかの意見を聞くと、要は物流の間に傷んだりした場合に、製造者の責任じゃないところで発生した製品の劣化みたいなものも全部製造者の責任になってしまうのが嫌で、賞味期限をある程度短く設定するというような、そういうインセンティブも働いているという話を伺ったんですけれども、賞味期限なり消費期限を長くすることによって、ある程度、今、関連的にやっている事業者側から、表立って表明はしないものの、難しいというような、そういうようなところがあるのかなと思うんですけれども、そういったところの理解の促進とかは今後されていく必要があると考えていらっしゃるのでしょうか。

安全係数という思想がそういう背景があったと考えています。しかしながら、まずそもそもの賞味期限の設定の仕方、それからそれぞれの製造工程での安全管理の仕方によって、賞味期限の元々の母数となるものが恐らく変わってくるだろう、今、変わりつつあるということと、そういう中において、安全係数を実は、それぞれ食品によって物流が違いますので、その中で経験値的に内側に縛りすぎていたであろうということを皆さん感じていらっしゃると思います。それを双方が解決していくことが必要ですし、今いろいろな食品が結構大胆に賞味期限を延ばしていらっしゃいます。それは国際的に見ても、日本の賞味期限は短すぎた、皆さんリスクを見ながら内側に設定したというものから、それぞれの物流の中でだんだんそれでも大丈夫じゃないかというおおよそのものは見えてきたということと、やはり社会的な中で賞味期限を短く設定することが、必ずしも消費者も含めて世界中の善ではないということも分かってきましたので、あと消費者の理解も当然ありますが、いろいろなものの相互作用によって賞味期限が延ばせるような状況になってきたということだと思います。しかしながら冒頭申し上げたように、食品群によって賞味期限を延ばした時、あるいは劣化のリスクは変わります。そういうことで今回も安全係数はできるだけ1が望ましいということではありますが、微生物が増殖する可能性とか品質のばらつきとか変動が大きい、そういう食品群のものについてはきちんと考えてくださいということも併せて提示しているということであります。

フリーの木村です。
今の件について関連ですけれども、消費者庁の方でガイドラインを作って、その後、分野ごと、業界ごとにもっと詳細なガイドラインみたいなものを作っていくという流れになると理解していいのかどうかということが1点。あと、動き出した後、消費者庁の方ではどこまで安全係数を1に近づけるための努力をしていくかとか、そういった監視といいますかフォローの調査はしていく予定なのか、その2点についてお願いします。

このガイドラインはあくまでガイドラインですので、それに基づいてまずは自社の商品設計を考えていただくということだと思います。現時点でも業界ごとにガイドラインを作っているところと作っていないところがあります。それは今お話しいたしました商品ごとの特性だと思っています。それは今回のものに基づいて、今までのガイドラインを変えるところ、あるいは新しく作るところは当然あっていいと思っています。そうすることによって個社の情報発信ではなくて、業界としてのそれぞれの食品群としての消費者への理解の発信ができると考えています。それから、安全係数を1に設定しているかどうか消費者庁がさらに見ていくかというお話ですが、今まで0.8というおおよその目安を出していた時でもチェックしているということじゃありませんので、その辺が変わるということではありません。ですから、元に戻りますが、期限表示は食品の特性等に応じた客観的な指標及び基準によって自ら科学的・合理的に設定していただくということですから、それぞれ事業者がしかるべき科学的なデータを持っていただくことは今も変わりませんし、これからも変わらないということです。

(日本消費経済新聞:相川)
議論途中の個別品目表示の廃止に関連して質問させてください。アーモンドチョコレートに入っているアーモンドの割合、あるいは、ロースハムの豚ロース肉の割合など、食品の主要原材料と特徴的原材料の%表示が義務化されている国がどの程度あるのか、お教えください。

食品表示につきましては、令和5年度から食品表示懇談会を行いまして順次やっているということでございます。今お話ししたものについては、その懇談会の令和5年11月の会合に主な国の資料ということで提示させていただいています。その中の項目の一つについてのお尋ねだと思います。その中を見ますと、原材料の量的な表示については、コーデックスで商品や文字等で強調されている原材料は使用割合を併せて表記ということでありますが、EUにおきましては義務化されているということでありますが、アメリカでは連邦レベルでは表示義務がないとこの検討会の中で報告されているということです。

2000年にEUで義務化されたのを皮切りに、南米とかトルコとかロシア、ウクライナ、あとは中央アジア、タイ、マレーシア、ベトナム、中国、韓国、香港、オーストラリア、ニュージーランドと、ほとんどの国で主要国はもう導入されています。アメリカは栄養表示の方が先行していますが、例えば飽和脂肪酸とか不飽和脂肪酸であるとかコレステロールとか食物繊維とか糖類とかが、1日摂取量の%まで表示する義務があります。日本は世界に比べて非常に遅れています。食品を選択できるための情報が非常に欠けています。添加物がいろんなものが省略できるというところも日本だけですが、なぜこういう状況にあるのに、まず、今であれば、せめてエビフライが50%以上のもの、あとはシューマイとかギョーザの皮が40%以上のものとか、そば粉が3割入っていないものに対しては表示があると。それがなくなってしまったら消費者の選択の幅が狭まることは間違いないです。このお正月に税抜きですが200円にも満たないような商品を購入してみますと、ほとんどのものがエビフライだと75%、エビシューマイだと45%、ギョーザの皮は60とか65、水ギョーザは70%です。今、物価が高騰して原材料が高騰する中で、本当に安いものを求めている人たちが多くて、何でこの時期にいったのか、何で量的表示と同時に検討されないのか。なぜ同時に検討されないのですか。

表示については食品表示懇談会におきまして、今お話しいただきましたコーデックスとの比較を詳細に説明した資料を提出しております。栄養成分の話でありますとかアレルギー、あるいは保存方法といったもの、あと原産国とか。そういうものを説明した上で、食品表示懇談会におきましてタイムスケジュールを決めて順次開催していくということで、今、進めているところです。限られた消費者庁の人材の中で何を優先していくかということで、この懇談会の中でお話をいただいて、2023年度は大枠の議論をし、24年度からは分科会に移し、今「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」と「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」という、分科会の1と2を走らせているということです。お話がありました、これから情報量を増やすという点では、デジタルツールの活用といったものが有益と思っておりますので、この検討会も2024年度、令和6年度から行っているということであります。

デジタルツールで義務表示を代替している国が世界に例がありますか。

デジタルツールはコーデックスでも議論されておりますし、今回の総会でもステップが上がったと理解しています。いずれにしてもこの懇談会の手順にのっとってやっているということでありますので、かつ、その成果物については食品表示の改正の手順を、法的な手順を踏んでいくということであります。

とても消費者庁が恣意的にしか見えなくて、事業者に寄っているとしか思えないんですね。デジタルツールを代替している国はなくて、皆さん容器包装の中でコーデックスを実現しています。東京都は既に調理冷凍食品は、商品名あるいは容器包装に標準表示があるものは全て%表示を今も義務付けています。だから、今エビフライの%のところをエビの%に変えれば、括弧して書けばいいだけで、何も容器包装が広がらなくても実現できます。今急いでこれをやる理由もよく分からず、急いでやるのだったらそこも急いでどうしてやらないのかなと思うんですね。選択のための表示に消費者庁は変えていただきたい。2010年にFAOは食品表示の改革というものをやっていて、世界は表示の最大の目的は消費者保護だと、商品選択の容易化に変えていくということをやっていて、どんどんいろんなものが進んできています。日本は主要先進国では最低レベルです。本当に将来的に原材料の%表示を検討する考えはあるんですか。わざとやらないために遅らせているのではないかとさえ思います。どう考えたって今の中小企業とかの状況を見ていて、義務表示をデジタル化できるような状況があるようには、ずっと検討会を聞いていて、非常に困難じゃないかと私は思っています。本当に検討する気はあるのですか。わざと先送りしてるんじゃないんですか。

繰り返しになりますけれども、食品表示懇談会におきましては、原材料の量的表示についてのコーデックスの違いも検討の俎上に載せた上でこのような判断をされていると承知しております。現在の食品表示制度はでこぼこしていると思っています。それから、さっき中小企業というお話がありましたが、表示について細かくやっていくことについての中小企業の負担も考えなければいけない。それは両面あると思っています。そういう中で、今課せられた義務は食品表示懇談会の行程に沿ってやっていくということでありますし、その中には原材料の量的な表示も将来的にやらないということは決して言っていない、まずこの順番でやっていきましょうということですので、今いただいたお話は意見としては承りたいと思います。

今の消費者庁に、個別品目表示と引き換えにせずに%表示が本当に実現できる力があると自分たちが思っていますか。

それについてはお答えできません。

本当に事業者の目線しかないように見えてしまいます。もうちょっと農水ではなくて、消費者目線で、消費者庁の目線で表示を見直してください。
テレビ朝日の福田です。
配布資料の3ページの図3のところに、「過去1年間で実際に遭った消費者トラブルの内容」というもので、「契約・解約時にトラブルがあった」というのが去年よりも増えているのですが、これは具体的にどんなものが増えたか、お分かりだったら教えていただきたいです。

後ほど事務方からお答えします。

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