新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年9月26日(木) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、冒頭2つお話をさせていただきます。いずれも資料はお手元にありますので、ご参照いただきたいと思います。1点目はNo.1表示に関する実態調査報告書についてです。No.1表示に関する景品表示法の措置が相次いだことを踏まえまして、本年3月、この場におきまして、No.1表示に関する実態調査を行う旨を述べておりました。今般、調査結果を取りまとめましたので、本日、報告書を公表いたします。今回の調査では、「顧客満足度No.1」など、第三者の主観的評価を指標とするNo.1表示を中心に、実際の広告物のサンプリング調査、消費者に対するアンケート調査、広告主・調査会社等の事業者に対するヒアリング調査を実施いたしました。なお、No.1表示に類似する表示として、例えば「医師の何%が推奨する」といった表示、高評価%表示、と言わせていただいておりますが、最近多いということですので、このような表示についても調査の対象といたしております。詳細は報告書、それから概要版を見ていただければと思いますが、例えば、満足度No.1と表示をしていながら、調査対象となる商品・サービスの利用経験の有無を確認することなくアンケート調査を行っているなど、表示に見合った調査が行われていないものが少なからず見受けられたということであります。他方、こういったNo.1表示が消費者の商品選択に一定の影響があるということも確認されたところでございます。それから、今回の調査では、広告主が調査会社やコンサルティング会社からの積極的な勧誘に応じてNo.1表示を行っているという実態、それから勧誘を受けた広告主が、No.1表示の根拠となる調査の内容を十分に理解することなく、安易に広告を行っているという実態も明らかになったところであります。報告書では、このような実態を踏まえまして、No.1表示が合理的な根拠に基づくといえるために必要となる条件や問題となる例を示しまして、広告主においてNo.1表示の根拠となる情報をしっかり確認することの必要性を示すとともに、広告主は、一般消費者がそのような情報を確認することができるようにすることが望ましいとしております。消費者庁としては、本報告書で示された考え方を、広く事業者や消費者に周知するとともに、本調査結果を踏まえ、迅速な指導による是正を含め、引き続き、厳正に対処してまいりたいと考えております。このあと、15時から、担当課が記者レクを行いますので、報告書の詳細は、そちらでお尋ねいただきたいと思います。
2点目です。お手元にプレスリリースをお配りしておりますが、今般、「デジタル時代におけるより良い消費生活を支える信頼の構築に係る官民共創ラウンドテーブル」を開催することといたしました。徳島に拠点を置く新未来創造戦略本部では、政策課題を踏まえつつ、未来を見据えた先進的なモデルプロジェクトの実施や調査研究等に取り組んできましたが、このたび、学識経験者、民間企業関係者及び消費者団体関係者など官民を含めた有識者との間で、特定の課題に関する情報交換の場として、官民共創ラウンドテーブルを設けることといたしました。今後、テクノロジーの急速な進歩と相まって、デジタル化がより一層進展していくことが想定されますが、第一弾といたしましては、このようなデジタル時代においてより良い消費生活を行う支えとなる、例えば、様々なウェブサイト、事業者、団体等に対する信頼の構築を促進していくことが重要であると考えまして、このようなラウンドテーブルの第一弾のテーマとして取り上げたということであります。構成員はプレスリリースにもございますが、日本で初めての本格的商用インターネット・サービス・プロバイダーとして、1992年の設立以来、インターネットの安心・安全をミッションとして日本のインターネットインフラに係る事業を展開されてきた、株式会社インターネットイニシアティブから、消費者が安心して正しい選択をするためのインターネット空間の設計に造詣の深い実務家に、その知見を共有いただくために参画いただくほか、消費者に関わる法制度、システムデザイン、消費者目線など、今回のテーマに関連する知見をお持ちの有識者の皆様に参画いただくこととしております。ラウンドテーブルは未来本部で実施いたしますので、詳細につきましては、未来本部にお尋ねいただきたいと思います。
質疑応答
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問
日本経済新聞の藤田です。
No.1表示の実態調査について念のため確認させていただきたいんですけれども、この実態調査をもって消費者庁の考え方を示されたということで、これからさらに、例えばガイドラインですとか、そういうものを出される方針はないということでよろしいでしょうか。 -
答
この報告書がNo.1表示に関する景表法上の考え方を示しているということでありまして、改めてガイドライン等を作る予定はございません。
- 問 先ほどの説明でも言及されていたんですけれども、調査会社とかコンサルティング会社の方から営業を受けた結果、表示されている事業者が結構いらっしゃるということで、景表法上はコンサルティング会社とかは対象にならないとは思うんですけれども、今回の実態調査を、調査会社やコンサルティング会社方へのアクションというか、周知ですとか、何か取組を考えていらっしゃることはありますでしょうか。
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答
景表法上、法的な責任はあくまで広告主ということであります。従いまして今回の報告書の中でも、広告主がしっかりとその根拠を確認することを求めているということであります。報告書の中にもありますが、実際にいろんな勧誘なりを受けて広告をしているという方もありまして、その実態を広く事業主の方にまず知っていただくということと、当然ながらそういう活動をしている方も景表法に非常に関係が深い業界であるということですので、それらについて、このガイドラインをしっかり見た上で活用していただきたいということです。
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問
フリーの木村です。
今の追加ですけれども、事業者への周知はどういう方法でされるのか、教えてください。 -
答
この報告書がホームページに載っておりますので、景表法の関係をチェックしていただく方は、まずこのホームページをしっかり見ていただきたいということだと思っています。
- 問 今回、調査の対象の中心となった手法以外にも、ある時点だけ、最大瞬間風速的な表示とか、No.1表示には幾つか種類があるかと思うんですけれども、残りのNo.1表示の手法については何か消費者庁の方で取り組む予定とかはあるのでしょうか。
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答
おっしゃったようにNo.1表示にはいろいろなものがあると思っています。今回は射程範囲をお話ししたとおり、主観的な評価がNo.1根拠になっているというものであります。これ以外にも既に平成20年の公正取引委員会の報告書では、それ以前のものに対するNo.1というのを示しています。今回の報告書はそれを上書きするものではなく、併存するものであります。従いまして、No.1表示の世界でもし仮に、平成20年の報告書、それから今回の報告書で網羅しないものがあって、それが景表法上の大きな課題だということになれば、そこでまた調査ということはあるかもしれませんが、平成20年と今回の報告書でNo.1表示については相当程度カバーしていると考えています。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
この調査の中で、広告主が、どうしてNo.1表示を行ったのかという質問に対して、競合他社が行っているためとか、調査会社、コンサルティング会社等から勧誘を受けたことを挙げる回答が多かったということですが、調査会社・コンサルティング会社に関して、消費者庁は今後どのようなご指導をされていかれるのでしょうか。 -
答
直接の指導ということではありませんが、今回調査をしたということがこの業界に与えるインパクトは一つあるだろうと考えています。それから、広告主の方々も、きちんと調査報告書の設計をチェックしていただく、それから結果もチェックしていただくことをお願いしておりますので、その双方で自浄作用が働いていくと考えています。
- 問 それから、この報告書の中に確かに考え方が17ページとかから示されてはいるのですが、今までは調査報告書の考え方に関して、一回この考え方が示されてはいるんですけれども、そこを明確にして今までは独立させてきた経緯もあると思うのですが、今回報告書の中に入れた理由は何ですか。
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答
今回報告書の中に入れた理由は、いずれにしてもこの報告書を実態的に読んでいただきたいということと、われわれとしてはまずこの報告書を皆さんに知っていただくとともに、まずは迅速な指導をしていきたいと考えていますので、その指導の中で、先ほどもお話がありましたけれども、いろいろなNo.1表示について、この考え方を踏まえて景表法の指導を含めた措置を取っていくということであります。
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問
読売新聞の糸井です。
No.1表示の実態調査についてですが、今回調査をした調査会社・リサーチ会社は、実際にNo.1表示を作っていたところという理解でいいですよね。 -
答
No.1表示をするように働き掛けを行っていた会社です。
- 問 そこについては、今回は何社について聞いたことになるのでしょうか。
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答
(表示対策課)
詳細はこの後の記者会見でご説明したいと思うんですけれども、今回、聞いた会社は3社いるんですけれども、一般的なリサーチ会社としてどういうことを行っているのか、そういう観点から聞いたということでございますので、個別具体的にこれは問題があるんじゃないですかというような話ではないということでございます。 - 問 後ほど聞きますが、この3社はNo.1表示を作っていた会社という理解でいいわけですよね。
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答
(表示対策課)
一般的にそういうリサーチを行っている会社ということですので、No.1表示に特化したとか、そういうものではございません。 - 問 一般の中でもNo.1表示も作っているという、そういう理解でよろしいですか。もちろん特化していないけれども、No.1表示もやっている会社は3社ということでよろしいですか。
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答
(表示対策課)
恐らく業務の中にそういうことは入っていると思います。 - 問 その3社についてですけれども、今回のアンケートを受けて、もうやめます、もう作りませんということを言っているのでしょうか。それともどうなのでしょうか。
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答
概要版の資料の5ページを見ていただければと思うんですけれども、今回、かつてのNo.1表示と違って特徴的な主観的な評価であったということとともに、事業者がNo.1表示を行った経緯が、勧誘している調査会社から提案を受けたということも多いということであります。従いまして、まず事業者がこのような提案なり勧誘を受けないということが、景表法上の責任ある立場としての広告主の在り方ということですので、まず提案・勧誘を受けないこと、受けてこのような表示をしないこと、その両面において対応を適正化していくというふうにご理解いただければと思います。
- 問 じゃあ、この調査の中ではコンサル会社はやめますということは皆さんには言っていないという理解でいいですか。
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答
コンサルティング会社がやめますというのは景表法上の責務ではありません。広告主がこのようなものを受けないというのが景表法上の考え方だと思います。
- 問 その中でコンサル会社がやめると言ったら結構大きいなと思って、この調査の結果で、これ以上こういったことをやったら広告主に迷惑をかけるからやめますよ、やりませんよと言ったのかなとちょっと気になっていたんですけれども。
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答
それは実際のその方の営業上の判断だと思います。
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問
NHKの佐々木です。
話題が変わりますが、石川県の能登地方の記録的な大雨に関連しての質問をさせていただきます。先日の大臣会見でも、災害に便乗した悪質商法や義援金の詐欺に関する注意喚起の呼び掛けがございましたが、今の時点で今回の大雨に関する悪質商法などの被害の発生を確認されていましたら、詳細について教えていただくとともに、改めて注意喚起の呼び掛けをお願いいたします。一方で、元旦の能登半島地震に関する悪質商法や義援金の詐欺などのこれまでに確認されている被害の発生状況なども、分かっている範囲教えてください。 -
答
能登半島地域を中心に被害が出ております、9月20日からの大雨災害でございます。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げるところであります。今回の大雨被害に関しましては、9月24日に大臣が注意を呼び掛けましたけれども、このようないろいろな被害情報、あるいは悪質な情報が、われわれのところに上がってくる段階には至っておりません。これはPIO-NETでまとめる時差もあるというふうにご理解いただきたいと思います。
それから、2点目にお尋ねいただきました、元旦に発生いたしました「能登半島地震関連」の相談でございます。現時点までPIO-NETに登録された相談件数は1,400件ということで、結構たくさんのものがあるということでございます。どのような相談があるのかをお話しいたしますと、やはり一番多いものが、知らない事業者が訪れて、屋根等の家屋や住宅設備の修理・点検を勧誘されたというもの、それから、被災地支援のために義援金や不要品を集めているという形で勧誘されたということです。消費者庁では、今回の大雨被害においても、公式Xを通じて注意喚起を行うなど、災害発生時にはウェブサイトやSNSなどを通じて、このような悪質商法の注意喚起を行っているところでございます。大規模災害の後は、どの地域でもこのような被害がここのところ発生しているということでございますので、消費者の方々におかれましては、対応に困った場合には、地元の警察あるいは消費者ホットライン(188)にぜひご相談いただきたいと思います。 -
問
(日本消費経済新聞:相川)
10月1日から景表法への直罰規定を、繰り返しの課徴金が1回5万円になることと、確約手続きが入ると思いますが、事業者の説明会も盛んにやってくださったことは承知しているのですが、それに向けて今後何か新しくされるような予定はあるのでしょうか。 -
答
ございません。