新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年7月4日(木) 14:00~14:24 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
配布されている資料の順番にご説明をさせていただきます。
まず1つ目が「親子で知ろう!学ぼう!考えよう!食べものの安全」をテーマとした取組であります。消費者庁では、食品の安全性に対する理解の増進や信頼の構築に向け、関係府省庁と連携して、リスクコミュニケーションを行っております。この取組の一環として、本年8月から11月にかけまして、宮城、東京、大阪で開催される3つのイベントに、親子で食べものの安全について一緒に学ぶことを目的としたステージ企画やブース出展を行うこととしております。詳細についてはお手元のプレスリリースをご参照いただきたいと思います。
2点目であります。来月、8月7日と8日は「こども霞が関見学デー」が開催されます。これは霞が関に所在する各府省庁等が連携をいたしまして、夏休み期間中のこどもたちを対象に、業務の説明や職場見学等を行うことにより、広く社会を知る体験活動の機会とすること、併せて、親子の触れ合いを深めてもらうことを目的とした取組であります。消費者庁では「エシカル消費」、「食品ロス削減」、「食品安全」、「ネットショッピング」、「食品表示」といった身近なテーマについて、クイズやゲームを取り入れ、楽しく学べるプログラムを開催予定であります。詳細は週明けにウェブサイトで公表いたします。この機会に親子の触れ合いを深めていただき、有意義な夏休みを過ごしていく一助としていただければと思っております。私からの冒頭の発言は以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の井上です。
先週末に小林製薬が新たに76件について、摂取と死亡の因果関係を調べているという発表がありました。見直し作業は既に公表されてるんですが、今回の報告を含めて、機能性表示食品を所管している消費者庁としての受け止めをお聞かせください。 -
答
まず小林製薬株式会社の紅麹関連製品に関しまして、お亡くなりになった方、入院をされている方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。消費者庁といたしましては、厚生労働省が小林製薬に対し、分析を行うに当たっての具体的な指示を出しており、随時報告を受けていると承知をしております。いずれにいたしましても、小林製薬には患者の方それから行政庁に対してもということでございますが、誠実な対応をしていただきたいと考えております。消費者庁としては機能性表示食品の見直しにつきまして、5月末の閣僚会合で示された対応方針に即しまして、今、消費者委員会に諮問をし、パブリックコメントを開始しているところでございます。この方向性をできるだけ早期にかつ着実に実施をしていくということが必要だと考えております。以上です。
- 問 消費者庁はこの76件について、小林製薬からいつどんな形で報告があったんでしょうか。
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答
6月27日(木)の厚生労働省への報告の後、消費者庁にも翌日6月28日にプレスリリースを行う旨の情報提供があったということです。
- 問 あと、一点確認ですけども、3月に問題が発覚した時、小林製薬から消費者庁への連絡は何日にあったんでしょうか。
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答
事務方に確認をいたしましたところ、小林製薬からは3月21日(木)に一報があり、翌22日(金)に健康被害の具体的な内容について報告を受けたということであります。
- 問 じゃあ具体的な報告があったのは22日になるわけですか。
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答
はい。
- 問 一報は21日で。
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答
一報は21日です。この一報を受けました時に、消費者庁としては大阪市保健所に連絡するよう指示をしたということであります。
- 問 今回、3月22日っていうのも、お医者さんの診断の一報が入ってから2か月近くかかっていたのと、今回についても、最初に5人というのが明らかになってから2か月近くまでかかってるんですけれども、消費者庁のガイドラインによると、健康被害については速やかに報告しなさいということになってるんですけれども、速やかにっていう、ちょっと曖昧な言葉なんですけども、この辺どうお考えですかね。2か月間また期間が空いて、どんと数が増えちゃったっていうことに対して。
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答
この件につきましては、どのような形で6月28日になったのかということについては、厚生労働省が小林製薬に対していろいろ聞き取りをしていると承知をしています。消費者庁としても可能な情報については共有を受けているということであります。
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問
日本消費者新聞の丸田です。
ご説明があったこども霞が関見学デー、この予定なんですが、来週具体的なものがウェブに載るということですか。 -
答
はい。
- 問 そうすると、どんなことをするかとか、どういうテーマで何をするかっていうのは出てくるということですね。
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答
はい、そうです。
- 問 今年の場合は大臣とこどもたちの懇談とか、あるいは長官とこどもたちの懇談とかってご予定があるかどうか。
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答
まだ具体的にそこは決めておりません。来週発表いたしますのは、どんなプログラムでやるかという概要でございまして、誰が出るか、そういうことについては、直近になって調整させていただきます。
- 問 ということは、こどもたちがいつも毎年とってもとっても期待しているイヤヤンも参加ですけどね。イヤヤン。これはどうでしょうか。
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答
(総務課広報室)
検討したいと思います。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
朝日新聞さんと質問がちょっと重複するので、省略して。76件の死亡例が報告されていなかったということで改めて衝撃が広がっていると思うのですが、本当に速やかに報告をされるのかと、この改正案で。「遅滞なく」と「速やか」について、法律用語でどう違うのか、分かりやすく教えていただきたいということが1点。2020年6月に改正施行された食品衛生法では、指定成分等含有食品、プエラリア・ミリフィカなど4成分については、遅滞なく健康被害情報を提供することが規定されています。これに基づく2023年8月23日通知、これ1回改正されてますけれども、届け出時期の目安は、死亡を含む重篤な場合は情報を入手してから起算して「概ね15日以内」、その他の場合は「概ね30日以内」とされています。食中毒の場合は「直ちに」ということで、症例で24時間以内と規定されています。この「遅滞なく」が「速やかに」に規定が変換された場合、この死亡から「概ね15日以内」というものは短くなると想定してよろしいのでしょうか。 -
答
事業者がそれぞれ報告をする時に、時間的な猶予を表す単語として法令上は各種の単語があるということでございます。今お話をいただきました「直ちに」それから「遅滞なく」「速やかに」というもののおおむねの法令上の考え方、われわれもそれに従って法令を作っているということでありますけれども。ご説明をさせていただきますと、「直ちに」というのは、一切の遅延が許されない。今お話がありました食中毒とかそういうものは「直ちに」ということで、来たらすぐという意味です。「遅滞なく」というのは、正当または合理的な理由による遅延は許容されるという、そういうものだということです。それから「速やかに」というのは、この「直ちに」と「遅滞なく」の中間と言われている用語であります。今お話しいただいたものとの関係で申し上げますと、食品衛生法第8条は「遅滞なく」と書かれておりまして、その解釈として重篤なものが何日、それから重篤でないものが何日という形になっているということでございます。今回消費者委員会に諮問しております、かつパブリックコメント時の食品表示基準の一部改正案におきましては、「遅滞なく」よりもより早いという意味での「速やかに」という単語を使っておりますので、今お話があった第8条のものよりは、より早く行政庁に報告をしていただきたいという、そういう趣旨だとご理解いただければと思います。
- 問 分かりました。15日よりは早くなるというイメージで捉えておきます。それから、今回、健康被害を出した「紅麹コレステヘルプ」の容器包装の前面に、やはり機能性について、「悪玉コレステロールを下げる」と言い切り型のキャッチコピーが大きく掲載されて顧客を誘引した問題について大変問題意識を持っています。今回一応改正案が示されていますけど、これ景表法でなぜ処分しなかったのかと。「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の中で、問題となるという表示例にまさにこのコレステロールの問題を取り上げて、「コレステロールを下げる」と表示するなど明確に規制されている場合は問題になるというふうにしているのですが、なぜその景表法で今まで一度もこういうものが処分されてこなかったのでしょうか。
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答
具体的な表示の内容、今特定の商品についてお話がありましたけれども、これにつきまして景品表示法に違反するかどうかのお答えは差し控えたいと思っております。その上で一般論として申し上げますと、景品表示法上の優良誤認表示に該当するか否かについては、表示と実態との間に著しい乖離があるかどうかといった法律上要件を満たすかどうかを証拠に基づき総合的に判断するということでございまして、今お話しいただいた商品についてもそのような形で判断をしてきたということであります。
- 問 現実的に「内臓脂肪を下げる」「内臓脂肪ダウン」「ストレス緩和」「目の疲労回復・軽減」「睡眠改善」「免疫ケア」とか、一般的なおばちゃんからすると、医学的な効果をうたってるんじゃないかなと思うような表示がもう氾濫しているんです。やっぱりこれが何で許容されるのかが理解できないというところがあってですね。食品表示法の現行の規定の中に、機能性については消費者庁長官に届け出た内容を表示するとされています。これを逸脱した言い切り型のものが容器包装の前面に大きく表示されている時に、これは食品表示基準違反には問えなかったんでしょうか。
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答
当該商品につきましても届出番号、届出表示については、裏面ではありますけど正確にしかるべきポイントで表示をされているということでございます。先ほどから「言い切りの表示」という表現がございましたが、実物の商品を見ますといろいろご指摘があるかと思いますけれども、言い切りにはなっていないということであります。そこはやはり皆さんしっかりと裏面の届出番号、それから届出表示を見ていただく。届出番号をチェックしていただければ、消費者庁のウェブサイトで追加の情報が得られるということであります。今回、食品表示基準の中では表に機能性表示があるので、それから届出番号を書いてくださいということをお願いしております。したがいまして、機能性表示食品と確認して、表の届出番号を見た上でどのような届出表示が許された届出表示なのか、それからさらにウェブサイトで追加の情報として何があるのかということを見ていただきたいというのは、そういう意味であります。
- 問 よく分からなかったのですが、今、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」がここにあるのですが、一番上から3行目に「悪玉コレステロールを下げる」と大きく書いてますよね。これは言い切り型の表示ではないというのは、どこを見てこれはちゃんと書かれていますということが言えるんでしょうか。
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答
私が見ているのと商品見本が違うかもしれません。
- 問 裏面の届出表示のところにきちっとあれば一応大丈夫という認識でいいんでしょうか。事務方でもいいので教えてください。
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答
まず届出表示がしっかり書かれている。それから当然、先ほど申し上げました景品表示法において、この広告全体を総合的に判断する。両方の基準に合致しているかどうかを見るということであります。先ほどの言い切りについては、私が見ている見本と違うのかもしれません。仮に言い切りであったとしても、事実に反しているかどうかということは、法律的な要件を判断しなければいけないということであります。
- 問 今の表示禁止事項の中にも、疾病の治療効果または予防効果を標ぼうする用語は禁止なんですが、「悪玉コレステロールを下げる」は、疾病の治療効果または予防効果を標ぼうする用語には当たらないんでしょうか。
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答
裏面の届出表示をご覧になっているのか、その他の部分をご覧になっているのか分かりませんけれども。
- 問 フロントの前面にある、大体皆さん後ろまできれいに読むかというのが問題で、大体商品それで取ってしまいますので。上から3行目の「紅麹コレステヘルプ」の上に書かれている「悪玉コレステロールを下げる」という表示について質問させていただいています。
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答
表示全体については景表法上、全体を総合的に判断するということになっておりますので、特定の単語だけで景品表示法の違反をとるということではございません。再度申し上げますと、機能性表示食品については届出番号、それから届出表示が記載されています。今まで前面だけをご覧になっていたという方も裏面をひっくり返して、しっかりとこの届出表示なり注意事項を見ていただきたいというのが、消費者庁の姿勢であります。
- 問 今回の改正案では、前面にも当然、研究レビューで科学的根拠が示されている場合は、○○の機能が報告されていますと書くんですよね。消費者委員会の表示部会に示された表示例ではそうなっていたので。これがない場合は、今後は食品表示法に基づく指示・命令が出せるのでしょうか。それから、それをやっていく体制があるのでしょうか。食品表示部会で、○○の機能が報告されていますという文字が同じ大きさではないと。同じ大きさではないことまではなかなか要求していなくて、すごく小さい場合は問題になるというようなご説明だったのですが、どのぐらいの場合だったら違反になるんでしょうか。
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答
届け出の商品につきましては、届出事項の表示それから全体のパッケージの表示について、届出時に消費者庁がしかるべくチェックをしています。
- 問 今も一応見本を届け出ることになってますので、全く何かいろんなものが放置されてきたような気がしてならないんですが。取りあえず見本が出た時に、直してもらうという感じですか。
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答
今までもそうですし、これからも見本についてしっかりとチェックをしていくということであります。
- 問 どうも納得がいかないのですが。この言い切り方とか誇張について、表示禁止事項と明確に規定することはできないのでしょうか。
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答
言い切りが全ていけないというわけではないと思います。言い切りも、例えば事実であれば、それは十分表示事項になりますし、誇張というものを広告との関係でどう見るかというのは総合的な判断というのが必要になってくると思います。何をもって、字が大きいからといって誇張というのかというのはあると思いますし、何が誇張で何が広告で何が事実なのかということは、それぞれの商品の特性によって異なってくるということであります。また、今回重要なのは医薬品との違い、それからトクホとの違いというのを明確に表示するということをお願いしておりますので、その辺のチェック体制はこれからもしっかりやっていくということであります。
- 問 「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」の中には、「一部を切り出して強調する」ということは問題になると、「誤認を与える」というふうに書かれてますけど、一部を切り出すこととかは表示禁止事項にしていただけないんでしょうか。
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答
一部切り出すこと自体を全部禁止するということは現実的ではないと思っておりますし、今申し上げましたように、表示全体の中で判断していくということだと思います。
- 問 消費者庁の考え方としては理解しました。ありがとうございます。
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問
NHKの絹川です。
もう少し議論が進んでから質問しようかなと思ってたんですけど、今ちょっと話が出たので大きいところを聞かせてください。食品表示基準ではパッケージの見本について、確認の体制をしっかりするっていうことで一歩踏み込んだ内容なのかなと思ってるんですけども、実際の購買行動を考えると、オンラインだとか店頭での広告についても、何か同様の規定を満たさないと、パッケージはまともでも、店頭ポップだとかオンライン通販の画面とかで食品表示基準では許されない表示も出てくるんじゃないかと思うんですけども。食品表示基準の範ちゅうからは出てしまうんですが、景表法も管轄しているということで、消費者庁一丸となってそこら辺の問題に取り組んでいくお考えがあるかお聞かせください。 -
答
景表法は今までも、食品に限らず執行してまいりましたし、その姿勢は変わらないということであります。それから閣僚会合の中で、今後のこれからの取組ということで、食品事業者自らが表示あるいは広告の適正化に向けて自主的な取組を行うという事項もありますので、その辺りも監視の体制、それから事業者の努力ということをあわせて、市場を健全化させていくということだと考えております。
- 問 もう1点、今行われている食品表示部会などでも、いろいろ表示しても裏面とかの小さい文字、注意事項を消費者がどこまで見るか、あと届出情報をどこまで見るか疑問が残るっていう意見もあったと思うんですけども、消費者庁としてそこら辺どういうふうに消費者を誘導していくだとか、啓発していくだとか、お考えがあればお聞かせください。
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答
これは予算も関係すると思いますけれども、ドラッグストアなどの実際に買う場で消費者の方がきちんとチェックをしていただけるような購買行動を促す取組というのはしていこうと思いますし、今まさにお買い上げになろうとしている方は、必ず届出事項を見ていただきたいということであります。8ポイント以上で書いてくださいということになっておりますので、自分の身を守るために見て納得して購入していただくということが基本だと考えています。