新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年4月11日(木) 14:00~14:24 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、「機能性表示食品を巡る検討会」の開催についてお知らせをいたします。
小林製薬の紅麹関連製品に係る事案を受けて機能性表示食品制度の今後のあり方を検討するため、既に、消費者庁次長をチーム長とするプロジェクトチーム(「機能性表示食品の在り方検討プロジェクトチーム」)を庁内に設置をしたところであります。これに加え、本検討を、様々な分野の専門家による視座から補強、また加速化させるべく、このたび、お配りいたしました資料のとおり「機能性表示食品を巡る検討会」を開催することといたしました。検討会の構成員は配布資料の別紙のとおりでありまして、機能性表示食品の今後の在り方を多角的に議論できるよう人選を行いました。また、構成員による議論のみならず、多くの関係者からヒアリングを行うことを予定しております。初回の会合の日程は現在調整中でありますが、早ければ来週中にも開催できるよう、今、準備を進めているところであります。日程の詳細は改めて皆さまにお知らせをしたいと思います。なお、この検討会の形式についてお話をいたしますと、オンライン形式、YouTube同時配信を予定しているところであります。なお、今回の事案を受けた機能性表示の今後の在り方の検討に関しまして、一昨日、自民党の消費者問題調査会長の船田会長と自見大臣の間で意見交換が行われました。また、公明党からは緊急提言をいただくなど、既に多岐にわたるご意見をいただいたところであります。消費者庁といたしましては、今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について5月末を目途として取りまとめる方向としておりまして、本検討会における議論が在り方の検討に十分活かせるよう、スピード感を持って運営してまいりたいと考えています。
質疑応答
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問
読売新聞の糸井です。
今の検討会ですけれども、総じて何回ぐらい、どのぐらいのペースで行っていくのかというのと、あと、具体的にテーマとして挙げているもの、もちろん広くだと思うんですけれども、どこに焦点を当てていくのか、それについてお願いします。 -
答
まず開催頻度でありますけれども、今、委員の方々の日程を調整しております。5月末にという官房長官からの指示がございますので、それまでにできるだけまず多くの方々からヒアリングを行いたいということでありまして、週1あるいは週2回というペースになるかと思っております。それから検討の事項でありますけれども、一つは明日を締め切りにしております機能性表示食品約7,000件に関します健康被害情報の収集の分析、確認というのがございます。それに加えまして、機能性表示食品の製造販売過程における安全性の確保、それから健康被害情報の報告のルール、あるいは消費者への情報提供の仕方といったものが主要な課題になると考えておりまして、それらの点につきまして、今、事務方のプロジェクトチームでいろいろ論点なりを整理しているところです。いずれにいたしましても、多くの専門家の方、今回、特に名簿を見ていただきますと分かりますように医療関係の方、今回、重篤な健康被害が生じたということもありますので、医療関係の方々からのご意見を多く賜りたいということ、それから、できるだけ多くの方々、当然ながら消費者団体もそうですし、これに関わる事業者の方々もと思っておりますので、そういう意味では、委員の方々のご日程にもよりますけれども、精力的に議論を行いたいと考えています。
- 問 ヒアリングについてですけれども、今おっしゃったような消費者団体の方々であったり、広く話を聞いていくという形なのでしょうか。どのレベルの方に話を聞くようなヒアリングをイメージすればよろしいでしょうか。
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答
まだ具体的な方々の日程を調整しているわけではありません。しかしながら、今回の制度は、2015年に始まってから相当な年月もたっておりますので、いろんな形で皆さまがこの制度に関するご意見もあったというふうに承知をしています。従いまして、短い間ではございますので、どの段階のどのレベルということはまだなかなか申し上げられませんけれども、できるだけ多くの方々の意見を聞いた上で制度の改善に結び付けていきたいと考えています。
- 問 それについてですけれども、先週の金曜日ですが、小林製薬から紅麹原料と、機能性関与成分の米紅麹ポリケチドを巡る再検証の回答がありました。その成分自体が健康に悪影響を及ぼす可能性は認められないとする一方で、安全とは評価できないという判断といいますか、回答が来ました。長官としてのこのご回答に対するご見解と、今後、この検討会にもつながるんですけれども、どう活かしていくかというのをお願いします。
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答
4月5日、先週の金曜日ですけれども、小林製薬から報告を受けております。現在この内容については精査をしているところでございますが、不足している点については小林製薬に対し、引き続き検証を求めていきたいと考えています。消費者庁としては、再検証について、今回の報告を受け取ったことをもって終了するということは考えておりません。また、別途求めております届出食品約7,000件の健康被害情報の収集体制の運用実態についても、明日を締め切りということで回答を求めておりますので、これらも分析した上で制度の改善に臨んでいかなければならないと考えております。
- 問 今おっしゃった不足している点というのは、言及できる範囲で何か教えていただければありがたいと思います。
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答
言及することは控えたいと思います。
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問
NHKの絹川です。
冒頭に関連してですけれども、「機能性表示食品を巡る検討会」の成果物としては、どういったものをいつ頃出すことを想定しているでしょうか。 -
答
この検討会は、今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方を検討する必要があるということで、消費者庁の方向性を決める検討に活かすためということでございまして、今回、委員の専門家の方々、それからヒアリングをされた方々からの意見を取りまとめ、最終的には消費者庁が方向性を決定する、その参考というか、そのためにいろいろご意見をいただく、そういう性格であります。
- 問 意見書みたいなものが形として出てくるとか、そこら辺はまだ決まっていないですか。そんなに厳密には決まっていない。
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答
意見書ということではなくて、いろいろなご意見を恐らくカテゴリーごとにまとめていただくというイメージだと思います。
- 問 ありがとうございます。これとあと、2週間ほど前に開かれた、自見大臣が出席した「紅麹使用食品への対応に関する消費者及び食品安全関係連絡会議」についてですけれども、これは何か関連性といいますか、何か一緒に一体的に運用していくものなのでしょうか。
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答
「紅麹使用食品への対応に関する消費者及び食品安全関係連絡会議」ということで、自見大臣が所管をしております消費者庁と、それから食品安全委員会の幹部が一堂に集まった会合を行いました。ここでそれぞれがスピード感を持って対応していくということを決めたところでございまして、それにより、われわれも食品安全委員会と極めて密接な連携を取っております。この検討会の構成のところで、検討会の関係省庁がオブザーバーとして参加をすることができるというくだりがございます。この中には厚生労働省にもお願いをいたしますし、当然ながら食品安全委員会もこの検討に深く関わっていただきたいという意味でこの連絡会議を生かしながらこの検討会も進んでいくということであります。
- 問 こちらの連絡会議、第2回の開催予定などの見通しは立っているのでしょうか。
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答
現時点では決まっておりませんが、いずれにいたしましても消費者庁と食品安全委員会が情報共有を密接に連携してやっていくということで、何か機会があれば開くということになるかと思います。
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問
フリーの木村です。
冒頭発言ですけれども、今回、この検討会の意見を踏まえて最終的に消費者庁が決定するわけですが、機能性表示食品だけに限った話なのか、それとも出てきた意見というのは、いわゆる一般的な健康食品も視野に入れて何か対策を打つということになるのでしょうか。 -
答
今回の検討会のまず名称でございます。これは「機能性表示食品を巡る検討会」ということでございまして、視野としてはまず広い視野を持って議論するということかと思います。
- 問 あと1点ですけれども、今回の検討会はイメージからいえば、食品表示法の中でできることという制約の中で議論されるのでしょうか。
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答
機能性表示食品制度は食品表示法の制度であるということであります。それを前提に議論していただくということです。
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問
日本食糧新聞の本宮です。
今の質問の関連ですけれども、そうしますと、規格基準型にという声もいろいろ出ているようですけれども、その部分については議論にはならないということでよろしいでしょうか。 -
答
委員の先生方の多角的な幅広いご意見を聞くということですので、その点について議論を排除するということではございません。いろんなご提案を受け付けます。しかしながら、今回の検討は小林製薬の事案を受けてということでありますので、スコープの中心は、今回の事案を受けました安全性の担保でありますとか、報告のルールでありますとか、消費者への情報提供のあり方というものが主軸になってくるということであります。
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問
フジテレビの木沢です。
検討会のヒアリングをされるということで事業者というふうにおっしゃっていたのですが、これは小林製薬さんも当然念頭に入っているというか、呼ばれる予定があるのでしょうか。 -
答
これから選定をいたしますけれども、実際にこの商品を作っておられる方を代表するような方々ということになるかと思います。
- 問 その中には小林製薬さんは入っているかもしれないし、入っていないかもしれない。
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答
まだ決定をしておりませんので、どちらともお答えはできません。ですが、小林製薬の案件だけというわけではありませんので、そこの原因究明をここでやるというわけでありませんので、その趣旨はご理解いただきたいと思います。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
先ほどの関連で、9日の消費者問題特別委員会で、与野党を含めて多くの議員から、健康被害の報告の義務化と、それからGMP認証の義務化なども併せて早急に法改正をすべきというご意見があって、健康被害の報告義務化については先行して今国会で法改正すべきというご意見が出ているのですが、これに対応するようなお考えはあるのでしょうか。 -
答
この検討会におきましては、健康被害情報の報告ルールについてはご議論するということは考えておりますということではあります。そのような意見があることは承知をしておりますが、今回、機能性表示食品についてということで、報告ルールなどについては専門家の方のご意見をいただくということであります。
- 問 もう1点関連で、この機能性表示食品制度を創設する時に議論をした検討会の4回目の資料で、2014年4月に消費者庁が出した資料の中で、米国ダイエタリーサプリメント制度の15営業日以内の有害事象を届け出る制度で、2008年からの3年間で6,307件、入院が1,836件、死亡が92件ということですが、これの新しい情報を消費者庁は持ち合わせていらっしゃいますでしょうか。
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答
今、私の手元にはございませんので、確認して回答させていただきます。
- 問 国会でもこの数字しか出ていなかったので、きっと今の段階ではないのではないかと思うのですが、米国がその後どのような見直しをされて、今どのような状況にあるのか、公開されるという有識者会議の検討会の中ででもいいのですが、そういうものも併せて報告していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
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答
検討会におきます委員の方々の議論の方向性というのを踏まえて資料を作成していくということでございますので、今、資料として出すとも出さないともお答えできる状況ではないと考えています。
- 問 それから別の質問をさせてください。3月29日に開催された消費生活相談デジタル化アドバイザリーボードについてです。地方自治体が消費生活相談デジタル化の新システムを導入する際に、どのくらいの初期費用とランニングコストがかかるのか、どのような説明をされたのか、お教えください。
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答
3月29日に消費生活相談デジタル化アドバイザリーボードを開催いたしました。ここの趣旨は、地方公共団体において新システムの導入準備を進めていただく際の手順、それから2025年度予算要求のポイントについて、地方公共団体の皆さまに情報提供した上で、新システムに関する業務フローのイメージをお持ちいただくようにということであります。その際、具体的にお示しをいたしましたのは、現在PIO-NETを利用している地方公共団体においては、2025年度予算要求といたしまして、新システムに接続するためのインターネットに接続可能な端末、それからインターネット回線の整備が必要であること。端末、回線が既に整備されている場合は、この予算要求が必要ないことをお伝えしたところであります。
- 問 端末については自治体が用意をして、回線費用については交付金で10分の10補助をしていただけるということなのでしょうか。
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答
地方交付税措置がございますし、地方公共団体の自主財源に裏付けられているということであります。今お話がありました新システム移行に関してということで申し上げますと、入出力装置、それから周辺機器、回線敷設に係る費用、インターネット回線などがその市町村なりで整備されていない場合、地方消費者行政強化交付金の対象となり、10分の10の補助の対象となります。これはそれぞれの自治体のシステムがどうなっているのかということと密接に関係をしておりますので、お悩みの市町村の方々とは直接システム担当者と話を進めていかなければいけないと思っておりますので、そのような対応をする自治体も出てくると考えています。
- 問 自治体からはどのようなご意見が出ているのでしょうか。
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答
自治体の皆さま方のご意見を紹介させていただきますと、システムとか通信環境は自治体ごとに異なっているということですので、既存の環境を変更する場合には、予算要求も課題になるということで、これはやはりシステム担当者との調整が必要ですし、その場合には私たちも直接システム担当者とお話をするということも必要になるといったことです。それから、そういうご意見のほかに加えまして、電話機能でありますとかメール相談の実務、準備のための情報共有などについて現場の声をお聞かせいただいたということであります。
- 問 LGWANを使っている自治体が多いと思うのですが、どうもLGWANにつなぐ時に非常に高額なお金が必要ではないかということで不安が広がっています。この辺も十分に対応いただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
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答
不安を抱いているという方もいらっしゃるかもしれませんが、システム担当者同士で解決していくということが必要な場合には、私たちもそういう話し合いができるような形に持っていきたいと考えています。
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問
日本流通産業新聞社の星野と申します。
昨日発表があったオルリンクス製薬という会社に対する、特商法に基づく行政処分についてお伺いしたいんですけれども。今回、初めてランディングページの365日24時間いつでも解約できるという表示に対して、実は解約の方法が煩雑だったということに対して、誇大広告であるということを認定しているんですけれども、これについて事業者であったりとか専門家であったりとかから、消費者庁の判断が恣意的になってしまうんじゃないかという指摘が複数あるんですけれども。要は、どういう広告表示をしていて、どういう解約方法をとっていれば違法ではないかという判断が、消費者庁の執行の運用によってしまうんじゃないかという指摘があるんですけれども、これについてご意見を教えてください。 -
答
これにつきましては、昨日、事務方から記者説明を行ったと承知をしておりますが、この事案をよく見ていただきたいということであります。24時間解約できるなどとうたいながら、実際にはこの事業者がどういうものを消費者に解約までの手続きとして要求していたかを踏まえて、違反となるかを判断しています。
- 問 もう一つお伺いしたいんですけれども、オルリンクス製薬という会社は売れるネット広告社という会社の子会社でして、売れるネット広告社は2024年2月にこのオルリンクス製薬を100%子会社化しているんですけれども。売れるネット広告社の加藤公一レオという人が社長なんですけれども、いろんなYouTubeの番組等で、定期通販を行う事業者向けに、解約方法は電話のみに限定したほうがLTVが上がる、メリットが高いようなことを言って、解約しづらい方法を喧伝していたという一面があるんですけれども。それに対して消費者庁が、オルリンクス製薬に対して処分を行うことで売れるネット広告社をけん制する動きだったんじゃないかというような業界の見方もあるんですけれども、そういう事実はあるのでしょうか。
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答
今回の業務停止命令は、オルリンクス社とその代表者ということでありまして、それ以上の情報は私どもはございません。
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問
共同通信の市川です。
先ほどの相川さんの質問への回答がよく分からなかったのでもう一度聞くんですけれども、報告義務化の件についてはこの検討会で議論するのかしないのか、どちらですか。 -
答
機能性表示食品制度につきまして、健康被害情報の報告のルールについては検討するということであります。
- 問 一部報道で義務化の検討に入ったと既に報道されていて、在り方を踏まえて検討するとあるんですけれども、在り方を検討する前に既に義務化するということが決まっているかのような報道も出ているんですけれども、それについてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
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答
それは報道ベースでありまして、政府としては方向性は決めていないということであります。