新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年4月4日(木) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭2点、私から発言をさせていただきます。
1点目は、消費者団体訴訟制度ポータルサイトの公開についてであります。4月1日より、適格消費者団体が行った差止請求及び特定適格消費者団体が行った被害回復裁判の情報を集約したポータルサイトを公開しております。今までは、差止請求等の情報を確認するためには、消費者庁のホームページに公表された資料や、各団体のホームページに掲載されている資料を一件ずつ探す必要がありまして、例えば、消費者が自分の契約した内容の妥当性を調べたいと考えても、情報収集を簡便に行える手法が存在しなかったということでございます。そのような問題を改善するため、本サイトで差止請求等の情報を集約し、情報収集を一元的に行うことを可能といたしました。また、「キャンセル」や「違約金」といったキーワードで検索することも可能でありまして、類似の案件を探しやすくなっております。これによりまして、消費者団体訴訟制度を消費者にとってより身近なものとし、また、消費者の被害の発生、拡大の防止の一助となることを期待しております。また、消費者団体訴訟制度が周知されることにより、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復裁判手続が活用され、より多くの消費者の被害の回復が図られることも期待しております。
2点目です。お手元に資料も配付しておりますが、VR動画等を活用した体験型新教材「鍛えよう、消費者力 気づく・断る・相談する」についてです。VR動画等を活用した体験型教材を作成し、ウェブサイト「鍛えよう、消費者力 気づく・断る・相談する」を公開いたしました。本教材は、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」等におきまして、消費者被害の未然防止のための消費者教育の取組を強化すべきという指摘を受けまして、幅広い世代を対象に、被害防止に必要な実践的な「消費者力」の育成・強化を図ることを目的としたものであります。教材の特徴といたしましては、世代ごとに遭いやすい最新の消費者トラブル事例を扱った動画やマンガによりまして、具体的な手口や気づくべきポイント、断り方等の対策を「自分ごと」として学ぶことができます。3つの消費者トラブルについて、臨場感のあるVR動画で疑似体験できるほか、対処法をシミュレーションし、心理学の専門家による解説を学ぶことができます。また、被害の当事者インタビュー動画も視聴できるという形になっております。また、教員の方や指導者向けには、授業や講座をサポートする「教材活用ガイド」や「授業・講座の展開例」、「ワークシート」を用意しておりまして、対象やテーマに応じて利用ができることになっております。今後は、関係省庁や地方自治体、団体等に周知をいたしまして、地方自治体や関係団体による講座・研修、展示・体験コーナーやイベント等、大学生協等と連携いたしまして、大学における入学オリエンテーション等、それから高校・大学等あるいは事業者向けの出前講座といったもので活用してまいりたいと思います。なお、主に、消費者団体や自治体職員などの消費者教育の担い手の方々を対象に、4月11日・12日にVR体験会を開催いたしますので、是非積極的にご参加いただきたいと思います。冒頭の発言は以上です。
質疑応答
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問
NHKの絹川です。
先日の大臣会見でもあった話ですけれども、機能性表示食品の届出データベースの情報更新が不十分なのではないかという指摘が東京商工リサーチの調査でされていますが、それについて長官のお考えと、また併せて、データベースの令和7年度に向けた更新のお話がありましたけれども、現時点で決まっているスケジュール感や方向性を教えてください。 -
答
今お話がありましたご指摘の調査によりまして、届出をしたまま廃業をしている事業者がいる、あるいは販売状況のデータが未更新の製品が一定程度あるということは課題として認識をしております。この機能性表示食品制度は、事業者の責任において安全性や機能性に関する科学的な根拠の情報などを、販売前に消費者庁に届出をすることによって、機能性表示を可能とするものであります。こういう形で不十分なものがあるというのは課題と認識をしております。しかしながら、申し上げたいのは、そのような更新されないデータはあるとはいうものの、消費者の方々が機能性表示食品の市場で入手できる商品については、情報は漏れなく掲載しているということでありますので、今お手元でお買い上げになりたい商品について確かめようということであれば、このデータベースは有効に機能していると認識しております。このデータベースは5年に1回、システムの移行をしております。次の移行が令和7年度ということであります。機能性表示食品につきましては、消費者への情報をどうやって提示していくのか、容器包装に義務付けの表示もしておりますけれども、さかのぼって科学的なデータも皆さんがチェックした上でお買い求めいただきたいと思っておりますので、さらに使い勝手を良くしていくということが必要だと考えています。これには実際にお買い求めになる方々の意見も聞きながら、店頭で買い求めた時に、その店頭の商品から得られる情報、それから、さらにデータベースの情報ということで、より使い勝手を良くするための改善を行っていきたいと思います。それからもう一つは、このデータベースを消費者庁のホームページに掲載しておりますが、なかなか深いところに入っていて見にくいというご指摘を受けているところでございます。これにつきましては既に改善をしておりますが、消費者庁のトップページから入っていただけます。それから、機能性表示食品なので必ず届出番号がその商品に書いてあります。その届出番号を入れていただくと、データベースから必要なデータが見られるという形に改善をしておりますので、今まさに店頭でお買い求めになりたい方々は、そういう形で消費者庁のホームページから届出番号を入れることによって確認をしていただきたいと考えています。以上です。
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問
フリーの木村です。
同じテーマですけれども、対策チームについてですが、対策チームで検討している焦点となるテーマと、あと議論の場というのはどういう場で、オープンにやったりするのか、その辺について教えてください。 -
答
プロジェクトチームを消費者庁内に次長をヘッドに立ち上げたところでございます。このプロジェクトチームは、今回の案件を受けまして、いろんなものを再検証していきたいということです。予断をもってどの項目ということはまだお話しする段階にはないと思っています。そういうことで事務的にしっかり詰めた上で、どういうふうに議論を発展させていくのかということは、今後お知らせすべきことがあればお知らせしたいと思います。
- 問 あと、2018年度、19年度あたりの機能性表示食品制度の調査事業だと、安全性確認とか健康被害情報の件とか、そういったいろんな提言が行われてきたんですけれども、それが今の制度とかガイドラインとかも含めて、どう反映されているのかという点について、教えてください。
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答
この前の記者会見で申し上げましたが、いろんな課題については、今のプロジェクトチームなり、私たちは全て受け止めて、これから課題の俎上に載せていくということですので、ここで一件一件お答えするというような状況ではないということであります。
- 問 分かりました。あと、もう1点だけです。今回の小林製薬の件は、世の中で出ていますけれども、大きく分けると食品衛生全般に関わるような話と、機能性表示食品制度で問題があるのかないのかという、その整理の仕方ですけれども、消費者庁ではその点についてどう整理されているのでしょうか。
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答
これは消費者庁の整理というよりも、3月29日、関係閣僚会議におきまして、具体的に官房長官から2つの方向が示されております。厚生労働省において、食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方。それから、消費者庁において、今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方ということでございますので、この指示に従って必要な対策を検討していくということです。
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問
読売新聞の糸井です。
今の健康被害情報の収集のところですが、一部報道で健康被害が出た場合、国などへの報告を義務化するように、政府は食品衛生法を改正する方向性と報道がありました。これは厚労省の主管になるのかもしれないですけれども、それに付随して機能性表示食品についても、同様に健康被害情報の報告は義務化する方向性だという報道が出ています。これの事実確認と、あと健康被害の拡大を防ぐために報告の義務化というのが、長官自身も必要だと考えられるかどうかというところ、それをお願いします。 -
答
そのような報道があったことは承知しておりますが、繰り返しになりますけれども、現時点において具体的な方向性などを決める段階にはないと考えています。
- 問 なかなかお答えにくいでしょうけれども、ご見解として義務化が必要かどうかというところはどうでしょうか。報告が遅れたことに対して遺憾だということは大臣も長官もおっしゃられていたとは思うんですけれども、そのあたりはどういうお考えがあるかなと。
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答
今まで会見で、死亡者が出たということを了知しながら2カ月たったことは遺憾だということは申し上げました。それから、まさに官房長官から、情報収集体制の見直し及び国の在り方というのは厚生労働省で出ておりますので、その全体の検討の中でどういうふうにしていくかという形は出てくるのかと思います。
- 問 分かりました。ありがとうございます。あと、明日の話ですけど、5日、小林製薬の機能性表示食品制度に関する安全性の報告があると思うのですが、それを受けて、これからどういう形で消費者庁として進めていかれるのか、お願いします。
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答
小林製薬に求めた安全性の科学的根拠の再検証というのは、4月5日に回答期限を置いているということでございます。これらも踏まえての検討ということになりますので、総合的な検討の中の要素ということで、明日参ります回答を受け止めたいと考えています。
- 問 具体的にどこまでどうしていくというのは、受け取ってから考えるという理解でよろしいですか。
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答
ということです。
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問
(毎日新聞:阿部)
先ほどの質問に絡みましてですけれども、これまで機能性表示食品というのはデータベースで商品の基本情報などを検索できる仕組みになっていて、今回の小林製薬の健康被害があったサプリメントも同様かと思います。5日までに期限があります科学的根拠の再検証の結果というのは、同じようにこのデータベース上で公表するのか、それともまた別のような形で消費者に対して公表するのかというのは、お考えはあるでしょうか。 -
答
明日の小林製薬からの報告がどのような形なのかというのは、私どもは現在受け取っていないので何も申し上げられませんが、公表後皆さまには記者ブリーフという形でお伝えをしたいと思っています。それを踏まえて全体として検証していくということになると思いますし、既に小林製薬の3製品については回収命令が出ておりますので、消費者の方はお買い求めができないですし、お手元にある方はしかるべく回収のルートに乗せていただくということなので、データベースからは既に削除されているという理解をしています。
- 問 科学的根拠の再検証ということで、新たに何らかの資料なり何かが届くと思うのですが、それを消費者に対してというのはどういう形で伝えていくのでしょうか。
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答
消費者の方々にお伝えするべき内容があればお伝えするということです。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
消費者庁と厚労省が設置したコールセンターの相談件数が、今、何件ぐらいになっているか教えてください。 -
答
集計なので少し齟齬があると思いますし、自見大臣もお話しになっているという理解をしています。コールセンターを3月29日に設置いたしまして、一番のピークは3月30日土曜日、それから次のピークが4月1日ということであります。直近4月2日から3日にかけましては、4月1日月曜日の約半分以下ということで、電話の相談はだいぶ落ち着いている感じだと報告を受けているところであります。
- 問 申し訳ありません。それぞれ1日以降の件数を教えていただいていいですか。
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答
(総務課広報室)
確認の上、後ほど回答を差し上げるようにいたします。 -
問
朝日新聞の寺田です。
検討チームの部分ですけども、検討する射程として、考え方としては今回の小林製薬の事案、1事例から出てくる課題を検討している形なのか、以前の会見でも、これまでも課題がいろいろと指摘されているとおっしゃっていましたけれど、今回の小林製薬の事例をきっかけに、そうした過去の課題とかほかのものも含めて検討するのか、射程の範囲みたいなものを教えてください。 -
答
射程の範囲は、今回の事案を受けてということでありますので、今回の事案で特に顕在化した問題が中心になるということでありますが、それが制度の今までのご提言の中に含まれているものも当然ながらあるように思いますので、そういうものも当然視野に入れてということであります。
- 問 今回の事案で出てきた課題で、いろいろあると思うんですけど、長官として今、一番問題だと思っている点は何でしょうか。
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答
まだ原因究明が終わっているわけではないので、なかなか課題を絞っていくということは難しいと思っておりますし、私たちも常に動きながら課題を考えていくということではないかと思っております。
- 問 今回の事案からの検討ということなので、一部の意見だと、届出制を許可制にすべきだとか、これ自体を廃止すべきだという意見もありますけれども、現状では長官としてはこの制度をひとまず続けていくということなのか、これを続けることの消費者と事業者に対するメリットをどのようにお考えなのか、お願いします。
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答
今お話がありましたとおり、機能性表示食品制度全体についてはいろんなご意見があるというのは承知をしています。この届出制度の機能性表示食品制度をどういう形で考えていくのかということが、基軸になるということであります。