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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年3月21日(木) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭1点お話させていただきます。
「満足度No.1」などと宣伝をいたします、いわゆるNo.1表示について実態調査を行いたいと考えております。最近、客観的な調査に基づかないNo.1表示が多く見られております。今年度だけでも、景品表示法や特定商取引法に違反するなどとして、消費者庁が行政処分を行った事業者が14社にのぼっております。これらの案件の多くは、事業者のウェブサイト等のリンクを列挙して、商品あるいはサービスの「イメージ」を尋ねた結果をもって「満足度No.1」と表示するなど、およそ客観的な調査に基づくとはいえないものでありました。このようなNo.1表示には、いろいろな商品やサービスが幅広く行なわれているところであります。中には、何冠、例えば、7冠とか3冠とかいうような形でNo.1をいくつか並べるという表示も多く見られたところでございます。これらの案件におきましては、調査会社による営業活動を受けて、問題となるNo.1表示を行ったケースも多く見られたところであります。こうした状況を踏まえまして、消費者庁としては、No.1表示に関する実態調査を行った上で、問題となるNo.1表示の考え方を示すことによりまして、事業者に対し、安易にNo.1表示を行わないよう注意喚起をするとともに、消費者に対しても根拠のないNo.1表示に注意するよう周知していきたいと考えております。なお、スケジュールといたしましては、今年の秋頃に調査結果を公表したいと考えております。

質疑応答

TBSテレビの伊東です。
2点確認させていただきたいのですが、1点目は、この調査では、何社ぐらいのどういった業種の企業を対象に考えていらっしゃるのかということと、2点目は、今年秋に結果をということだったのですが、調査の開始は来年度ということなのか、もう今すぐに始めるのかというところを確認させていただきたいです。

1点目に関連して、調査の内容についてまずいくつかお話をさせていただきます。調査を大きく3点、3つの調査を行いたいと考えています。1つ目は、事業者や事業者団体へのヒアリングということで、調査会社あるいは広告媒体会社に対して、このNo.1表示の実態、あり方について調査を行うということになります。それから2つ目は、No.1表示についての消費者への意識調査です。これはWEBアンケート調査になると思います。3つ目は、実際のNo.1表示広告のサンプル調査ということで、今いろんな広告媒体にありますNo.1表示がどのような根拠に基づいてどういうNo.1か、満足のNo.1なのか、利用のしやすさなのか、いろんなNo.1がありますけれどどういうNo.1なのかということで、No.1の表示の実態を調べたいと考えています。調査につきましては年度を超えてということではなくて本日から着手したいと考えています。

追加なんですけれども、例えば、内部通報制度だったら1万人とか、数字感で言ったらどのぐらいを考えていますか。

数字というのはどういうことですか。

調査対象は何社なのかとか。

今、調査設計をお話しいたしましたけれども、事業者や事業者団体はそれなりの規模でということでありますし、広告物についても、できるだけ多くを集めて比較対象をすることによって今の実態把握を進めていきたいということでありまして、何万部とか何百部という数を今申し上げるというような状況ではありません。

読売新聞の糸井です。
今のNo.1表示の調査についてなんですけれども、これまで消費者庁、公取もあると思いますけれども、合わせて何件の措置を出しているんでしょうか。

(表示対策課)
今年度に入ってからは14件です。もし過去を遡ってということであれば必要な数字について追ってお問い合わせいただければご回答させていただきます。

このタイミングで実態調査を始めることについてなんですけど、去年ぐらいから、去年と言うかもう少し前からこの件というのは騒がれ始めていて、このタイミングというのは何か理由があるのでしょうか、最近措置が多いからということでしょうか。

昨年度からいくつか案件がございまして、今年度は14件ということになります。直近何件かもまとめて公表をいたしました。事案を見ますと今お話しいたしましたように、しっかりとした根拠のないNo.1表示が多いということと、調査会社が個々の事業者に働きかけてNo.1表示をしているというものも多いということが分かりました。これらの実態を踏まえて、消費者の方々に適切に判断をしていただけるような表示に努めていくということで今決断をしたところであります。また、No.1表示につきましては平成20年でありますけれども、景品表示法が公正取引委員会の所管であった時代に一定のガイドラインを示しております。今回はそれも参考にしますが、今申し上げたように小さな文字での満足度をたくさん並べるといった形での広告媒体が非常に増えているということ、それから、広告主の方がしっかりと調査設計をしないで、調査会社が調査をするサンプルの方々を恣意的に選んでその結果を報告し、広告主がそれを鵜吞みにしてNo.1を表示してしまう、このような実態が多く見られたということですので、このようなビジネスモデルといいますか、業界全体の質を高め、正すということも必要だと考えていますので、この時期に着手をしたいと考えています。

今、業界全体を正すということをおっしゃっていただいたんですけど、まさに、調査会社が営業活動をするというケースが多いと思うんですけど、この調査会社に対して、消費者庁としてどういう呼び掛けであったり、どういう対応をしていくことができるのか、お聞きしたいと思います。

ご存じのとおり、調査会社自体について景表法上何らか措置をするということはできません。あくまでもその表示をした事業者に対して、処分を行うということであります。まず、その広告主いわゆる事業者の方がそういう調査会社に適切な調査の設計を依頼しているだろうか、申し上げたように鵜呑みしていないだろうかということと、その報告書をしっかり見た上で満足度なりの表示をしていただくということが必要だと考えています。この全体の動きというのを、事業主つまり広告主も、それから、調査会社も、消費者も、必ずNo.1表示の場合には小さい字ではありますけれども、どのような根拠で誰に調査をしましたかということが書かれてはいます。書かれてはいますけれども、それがどういう意味なのかということを確認した上で、商品あるいはサービスを選択していただきたいと思います。

この調査結果というのが出た後には、今仰ったようなガイドラインというのを作るイメージなんですか。その内容というのはちょっと言える範囲でお願いします。

(表示対策課)
まず、実態調査はこれから行うところですので、その中身についてどういうものを記載できるかというところは現時点でお答えができないものとなっております。成果物については、これはガイドラインという形式にかかわらず、何らか景品表示法の考え方について必要な考え方を示すようなものを想定しておりまして、必ずしもガイドラインという形式になるかどうかは現時点ではお答えできないというところになっております。

最後なんですけど、今回事業者と消費者に対しては呼び掛けがあると思うんですけど、先ほどおっしゃった景表法上の今抜けてしまっている調査会社、リサーチ会社についての呼び掛けをしていく予定ということでいいんでしょうか。

呼び掛けといいますか、まず、広告主の方がしっかりと調査会社を選んでいただいて、その調査会社の結果を自分の広告で表示するかどうかというのをやはり責任を持って考えていただくというのが景表法上の基本ですし、それが今回できていなかった案件が多いということでございます。したがいまして、調査会社の方は直接ということではありませんが、調査会社もそのような景品表示法の仕組みの中でその一環として仕事をされているわけですので、そこの規律はしっかりと考えた上で調査をしていただきたいということになります。

最後です。今度、景表法が改正され直罰規定ができて、調査会社も共犯として問おうと思えば、行政処分を飛び越えて罰則を課せられるようになると思うんですけど、そのことについて長官はどういう意識を持っていらっしゃいますか。

それは個別の案件によると思いますので私がここでコメントをすることはできません。

朝日新聞の大村です。
今おっしゃった成果物に関してのご説明がありましたけれども、ガイドラインとは限らず、実態調査を公表した上で何某かの考え方を公表したいというふうにおっしゃったと思うんですけれども、今、景品表示法だけ限定されましたけど、これは特定商取引法にも関わるということでよろしいのでしょうか。そこを確認させてください。

(表示対策課)
今回行う実態調査としましては、基本的には景品表示法を想定しているものでございますけれども、特定商取引法の解釈においても、景品表示法におけるいわゆるNo.1表示についての考え方というのは取り入れられているというふうに理解しておりますので、景品表示法についての考え方を示すことで、そちらのほうにも十分参考にできる内容になるのではないかというふうに思っております。

もう1点確認をさせていただきたいんですけど、今年度に入って行政処分が14社なのか14件なのかというところを確認させてください。それともう1つ、これは景表法と特商法を2つ合わせたことということでよろしいでしょうか。

14事業者です。

14事業者、そうすると一緒に処分されたものを考えると件数としてはもう少し少なくなるということでよろしいですか。

(表示対策課)
そうです。全体としては9件ということになりまして、うち1件が特商法ということになります。

9件のうち1件が特商法で2つの法律合わせて9件14社が処分されているということですね。

9件14事業者です。

(日本消費経済新聞:相川)
先ほどの件数の続きなのですが、確認したら今年度は景表法で9件で、飯田グループホールディングス他を5件と数えるということでよろしいでしょうか。それから、特商法は先日の1件ということでよろしいでしょうか。

はい、そうです。

先日の行政処分の時に気になったのですが、特商法と景表法で処分する時の棲み分けはどのような考え方になっているのでしょうか。

景品表示法は、優良誤認表示や有利誤認表示などを禁止しております。特定商取引法でも通信販売等の誇大広告を禁止しているということであります。それぞれ法律、効果が違うということでありまして、それぞれの法律に基づいてその効果も考えながら適応していくということであります。

課徴金を取っていただいた方が効き目があるのかということもあったり、業務停止命令もしてもらった方がいいのではないかと思ったりもする案件もあり、その辺はやはり効果を考えて使い分けているというようなことなんでしょうか。

効果を考えながら適切に判断をしているということであります。

最近あまりに多くて、言われていることがいつも同じで、行政処分の時に出ている文言というのが実際に利用したことを確認していないということと、それから実際の物ではなくて印象を問うものだったというこの2つをずっと繰り返しおっしゃってきていて、これで社会に浸透させようとしているのではないかなというふうに思ったのですが、やはりどの辺をきちっと明確にしなければならないとお考えになってこの実態調査をされるんでしょうか。

まず、いろいろなウェブなどの広告を見ますと、No.1、例えば何冠達成といった形での表記が大変たくさん今多く見受けられるということであります。そういうこともありますので、消費者の意識を調べるというのがまず1点であります。それからそういうふうにたくさんのNo.1表示をしようとして、いろんな分野、セグメントを細かくしてNo.1表示をしているということもあります。その中で今お話をいただきました調査をする方々、調査会社のサンプルが適切なのか、全くその商品を使ったこともなく、関心もなく、買ったこともない方を対象にいくつかのものを列記して、これがNo.1だと思いますかという調査方法が果たして適切なのかということもありますし、その調査表自体、特定の社を必ず一番上に持ってくるとか、そういう意味でのアンケートの仕方というのもあると思います。いずれにいたしましても、今回私たちが処分した案件だけではなくて、多様なNo.1表示がありますので、それらをどういう形で適正化していくことが消費者の自主的かつ合理的な選択に資するのかということで幅広い検討をしていきたいと考えています。

フリーの木村です。
実態調査の成果物についてなんですけれども、仮にガイドラインを示すことになる場合は、例えば、今ある消費者庁の比較広告ガイドラインを改正するのか、それとも別の新しいものが出るのか。その辺りはいかがでしょうか。

(表示対策課)
今の点ですけれども、現段階ではどのような形で考え方をお示しできるのかというところが回答できませんので、その点についてはお答えできないという状況になります。

先ほどいろんなNo.1表示を視野に幅広く検討されるというお話だったんですけれども、例えば、よく目につくのは、○○のデジタルショッピングモールにおいて、何日何時時点でNo.1だったという瞬間的なNo.1とか、あの辺もかなりグレーかなと思うんですけれども、そういうのも含めていろんな問題がありそうなNo.1表示の考え方を示していくというそういう理解でよろしいでしょうか。

No.1表示には大きく2種類あると思っております。今お話しいただきましたように、特定の数字なりを根拠にやっているもの、一定期間どこかの数字に基づいているものについては客観的な根拠がないとまではなかなか言い切れないと思います。したがいまして、それがいつのNo.1なのかということはお買い求めをされる消費者がチェックをしていただくということが必要だと思います。それから、今回特に問題といたしたいのは印象を問うようなNo.1ということであります。満足しているとか使い勝手とかそういうものについてはそもそも客観的なデータがなかなか取れないという中で調査をしてNo.1を取っているということでありまして、そこに二重の意味での客観性に疑義が発生しているということでありますので、今回は特に後者の方を中心に調査をしていくことになろうかと思います。

毎日新聞の阿部です。
そもそもNo.1表示っていうのはさまざまな業界で蔓延しているかなという認識だと思うんですが、いつ頃からとかそういった認識は長官の方であるでしょうか。また今回のNo.1表示っていうのは、商品とかサービスをよりよく見せるためのビジネス形態の一つだとは思うんですが、なぜこれほどまでにNo.1表示が蔓延してしまったのかなと考えられているでしょうか。

(表示対策課)
No.1表示に関しては、公正取引委員会も平成20年の報告書でまとめているとおり、当時からNo.1表示に関する問題があったのだと理解しているところでございます。ただ先ほど長官も述べましたように、イメージ調査に関するNo.1表示というのはやはり最近の傾向と言っていいのかなというふうに考えておりまして、こういったものについて、今後実態調査を行った上で必要な考え方を示していければと思っているところでございます。

フリーの木村です。
別件ですいません。食品添加物の不使用表示に関するガイドラインなんですけれども、無添加表示の見直し期間が今月31日で終わる予定ですけれども、まだ販売されている商品とか見ると、ガイドラインで問題ありというか注意すべきとされている、単に無添加とだけ表示しているようなものとかもまだ散見されるんですけれども、改めて食品業界で見直しがどこまで進んでいるのかという感触などありましたらお聞かせください。

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」における表示の見直し期間は3月末までということであります。業界によりまして非常にインパクトを受けているところとそうでないところがあると承知をしておりまして、業界としてインパクトがあるところは非常に皆さん悩みながら表示を変えていただいていると認識をしております。いずれにいたしましても、消費者の方に誤認のないような形で表示を見直していただくということが必要ですし、そのような形で業界内の話が進んでいると認識をしています。

このガイドラインはあくまでも容器包装上の表示が対象なのですけれども、それ以外、広告についての無添加表示の問題というのは4月1日以降消費者庁としてはどのように対応されていくのかについてお願いします。

広告については4月1日以降も以前もございません。いずれにいたしましても、それが事実に基づいているものなのかものでないのか、景表法等に照らして違反になるのかならないのかといった視点で検討していくということだと思います。

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