新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年1月25日(木) 14:00~14:13 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、私からの冒頭発言はございません。
質疑応答
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問
日本消費者新聞の丸田です。
前回も発表されましたけれども、能登半島地震に関する相談事例、相談件数で傾向があるかないか、内容ちょっと分かれば教えてください。 -
答
前回お伝えしましたが、各地の消費生活センターに寄せられている相談、必ずしも悪質商法に関する相談に限られたものではないということでありますが、本日の12時時点におきましてPIO-NET登録分が251件ということであります。それから、被災4県を対象とした能登半島地震関連消費者ホットラインにつきましては、相談は19件ということであります。これは能登半島地震関連消費者ホットラインへの相談の方が多いのか少ないかというのは前回も議論させていただきましたが、各地の消費生活センターがすでに稼働しているということですので、そのまま188にお電話いただきましても然るべき相談窓口につながっているということが関係しているのではないかと思っています。今、官邸のウェブサイトやX(旧Twitter)等、様々な所で広報しているということでございます。これらの相談の中身を見ますと、前回お話ししたものと傾向としては変わらないということです。現地を訪れて屋根修理、家屋の点検といった被災家屋に対するもの、保険金を使ってといった詐欺に近いようなものがあるというのが被災地での主な相談です。それから、現地以外も含めてということでしたら、公的機関を名乗る者からの義援金を求める電話や、被災地支援のために不用品を買い取る電話ということで、種類としては前回とほぼ同様ということでございます。いずれにいたしましても、まず契約なりその事業者と話をする前に消費生活センターに相談していただきたいということと、これから現地では生活再建に向けた様々な相談も出てくると思います。これも188に電話をしていただきますと適切な窓口をご案内するということでございますので、ご利用いただきたいと考えております。
- 問 定期的な発表というのはまとまって出る予定がありますでしょうか。251件というのは結構多くなってきていると思うんですけれども、しかも、被災4県を対象のホットラインというのと、全国対象の251件ということですので。
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答
わかりました。そのような要望がございますれば、おそらく記者会見で毎回公表というのもありますが、おそらくカテゴリーが変わったものが出てきて、皆さんに被災地及び全国の方に注意喚起をするというのが出てきた場合には、私が公表をするということが必要だと思いますけれども、そういうものが出てこない場合につきましては、定期的に、できれば1週間ほどというのがいいかもしれませんが、然るべきタイミングでホームページなどに掲載するという方向を考えたいと思います。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
1月15日に、「キャンセル料の支払いに関する意識・実態調査」、「キャンセル料の支払いに関する仮想事例に基づく意識調査」の2つの調査結果と、専門家による分析結果が公表されていますが、その受け止めについてお教えください。 -
答
「解約料の実態に関する研究会」は、消費者契約法第9条第1項第1号の「消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」についての検討過程の宿題を踏まえて設置をされたものです。この時にも、平均的な損害の概念を見直すことを将来的に検討するというのが課題として残っておりましたので、まず土台となるビジネスにおける実態を明らかにしようということでこの研究会が始まったところでございます。したがいまして研究会の今後も実態の検証、支払いに対する消費者の意識、それから、それを踏まえた望ましいルールの在り方というのが大きな課題になっているということでございます。今回、1月15日に「解約料の実態に関する研究会」にて、消費者の行動を心理学の立場からご研究されております中央大学の有賀敦紀先生に調査結果を分析していただきました。この調査自体は、研究会に先立ちまして、令和5年7月に実施されたものであります。非常に興味深い結果が出ていたということでありまして、情報提供が不十分であると消費者はキャンセル料の支払いに対して不満を感じる、それから、消費者がキャンセル料の有無を選択できる時、不満は低減されるという可能性が示されております。それから、先生の分析にもございますけれども、キャンセル料にはいろいろなものが含まれている、これは当初予定されていたものでございますけれども、実態としては、様々な目的に応じて設定されたキャンセル料がありますが、言語的にはすべて「キャンセル料」あるいは「解約料」になっているということが先生の分析の中にございます。様々な目的と申しますのは、損害補填、キャンセル率の抑制、価格差別、利益目的などでして、法律における狭義のキャンセル料と実社会での広義のキャンセル料にずれがあるというようなご指摘があるところでございます。今回の調査結果、それから1回目もいろんな方々の知見をいただいておりますので、これらを踏まえてルール作りに向けて取り組んでいきたいと考えています。
- 問 私も大変興味深いと思いました。平均の契約額に占める平均のキャンセル料の割合が、例えば、インターネット接続やWi-Fiの場合は80%、エステティックや美容医療は69%、最もキャンセルが多かったホテルや旅館等の宿泊は34%、スポーツジムやスポーツクラブの会員契約は7%、とあまりにばらつきが大きく、有賀先生がご指摘されたとおり、業界によってキャンセル料の考え方が異なる可能性があるのではないかと思います。キャンセル料は一般的には損失補填と考えられていたけれども、そうなっていないのではないかというご指摘があったところなのですが、ここを踏まえて、今後具体的に消費者庁はどのような検討をされていくのでしょうか。何かもう少し新たな調査というようなものをされていくのでしょうか。
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答
新たな調査というお話ですが、今回の調査でも相当な調査母数を踏まえて、業界別の分析というのをしております。今回、消費者行動の専門家、それから経済学の専門家、法的な専門家の方々が研究会に入っていらっしゃいますので、これをまずどう分析していくかということがこれから基礎になると考えています。今お話があった業界ごとということになるのか、それとも広義のキャンセル料と書いてありますけど、それを本来もしかしたら区分して規律を作っていかなければならないのか。いろいろな視点があると思いますので、少し委員の方に議論を深めていただいた上で消費者庁としての方針を考えていきたいと思います。
- 問 いろんな分野の方、事業者からのヒアリングも検討されるんでしょうか。
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答
事業者の方へのヒアリングも行う予定です。
- 問 情報提供に不満がある場合は不満が強い、キャンセル料に対しても不満が強い、それから、キャンセル料を気にする度合いが強ければ強いほどキャンセル料に対する不満が少ない傾向があるのではないか、全ての取引ということではなくて、特に旅行とか交通とかは大きく、サービスなんかもそういう傾向があるというようなご指摘も出ているのですが、そういうものを現実的にいろんな施策とかに活かしていくみたいな取組も今後はされていくのでしょうか。
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答
今お話がありましたように、いろいろな組合せがあると思います。キャンセル料はある面ではリスクの分配でもあると思っておりますし、その業態におけるサービスなどによって非常に提供の頻度が高いものや提供の件数が少ないものもあります。あるいは消費者の側から見て金額が高いものもあります。いろいろな条件によって消費者側の納得度合というのも違ってくると思います。もう少し私たちも分析をしたいと思っておりますし、今申し上げたとおり業界の方へのヒアリングをしていくということが必要だと考えます。
- 問 この中で、特にオンラインでのキャンセル料の表示について、これらの情報に対する印象がほとんど関連していない、ある意味消費者が表示の部分を正確に記憶できていないのではないか、キャンセル料の情報提供がオンラインでは機能していない可能性があるというご指摘もされていて、大変興味深く拝見したのですが、この辺に関して長官はどのように受け止められましたでしょうか。
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答
実態として、これからオンラインでの取引はどんどん増えていくということになりますと、契約の初期の条件、キャンセルの条件、配送日と、いろいろな条件をやはり消費者がしっかり納得した上で購入するというのがより必要になってきます。今お話があったように実際に言葉で聞くよりはオンラインの方が読み流してしまうということもあるでしょうし、事業者の表示の仕方というのも工夫ができるということであります。おっしゃるとおりオンライン取引においてどうやって消費者に正確な情報を提供し、消費者がそれらの情報を総合的に判断して契約ができるかということが重要な課題だと思っておりますので、今回のデータは、解約料に関するものということで調査をしておりますけれども、いわゆるオンライン取引、EC取引も考える上でも非常に重要なものですので、消費者庁全体で共有したいと考えています。
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問
朝日新聞の寺田です。
昨日、日弁連の方で定例会見がありまして、機能性表示食品の制度のあり方についての意見書が長官宛に出されたと思うんですけれども、こちらのご対応についてお伺いしたいと思います。 -
答
まだ受け取っておりません。
- 問 長官はまだ見ていないということですか。
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答
はい。