新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年12月21日(木) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭三点私からお話をさせていただきます。まず一点目は、投稿いただいたご意見などが受け付けられていなかった件につきまして、お詫びとそれから皆様にお願いをしたいと思っています。12月18日に消費者庁ホームページに掲載をいたしましたが、消費者庁ウェブサイト上の意見投稿、情報提供、申し込みのフォームに投稿されていたご意見などが、実際には消費者庁側に届いていなかったということがございました。11月26日以降12月14日までに75件ということでございます。これらはシステムの不具合によるものと考えられたため、必要なシステム改修を行い、現在は、通常通り投稿が届く状態にし、また仮に投稿が届かない場合にはエラーメッセージが出るように改修をしております。届かなかった投稿の日時につきましては消費者庁ホームページに掲載をしておりますので、お心当たりの方はご迷惑をおかけしますけれども、再度、ご意見、情報提供、お申し込みなどの投稿をいただきたいということでお願いを申し上げます。なお、皆さんからいただいている大切なご意見、情報提供というのは消費者行政の基礎となるものであります。従いまして、念のため11月26日より前についても同様の事象が起きていないか現在確認を行っているところであります。
次に二点目であります。お手元に資料を配布しておりますけれども、「エシカル甲子園2023」の開催についてです。12月26日、徳島県主催、消費者庁後援で「エシカル甲子園2023」が行われます。このイベントはエシカル消費の推進や実践を行う高校生が、日頃の取組の成果や今後の展望について発表するものでありまして、今回は全国84校から応募がありました。各地域から選ばれた8校が会場の徳島県に集まりまして、エシカル消費の大切さを全国に向けて広く発信をいたします。優勝校には内閣府特命担当大臣賞を、準優勝校には消費者庁長官賞を授与いたします。また各地域の次点校7校によるポスター発表や、エシカル消費に関する物販などのイベントも開催されます。当日は一般観戦を受け付けるほか、オンラインによるライブ配信もお申し込み不要でどなたでもご視聴いただけます。今年で5回目の開催になりますが、例年非常に興味深い取組が発表されているため、ぜひ多くの皆様にご覧いただければと思います。
次が三点目であります。賃金上昇と物価上昇との関係に関する動画の公表です。消費者庁では成長と分配の好循環の実現に向けた持続的な賃金上昇のためには、付加価値やコストを適切に価格に転嫁できる環境が必要との認識の下に、賃金上昇と物価上昇との関係について消費者の理解増進を図る取組を進めております。これまで今年の6月に消費者庁ホームページに特設サイトを開設いたしまして、10月には賃金上昇と物価上昇の関係について、中高生にも分かりやすい言葉で伝える動画を作成・公表いたしました。今日は「物の値段はどうやって決まるのか」、「物価が上がらないのはなぜ良くないのか」をテーマとする動画2本を新たに作成し公表いたしました。今後も動画コンテンツを充実させる予定でありまして、引き続き消費者の理解増進を図っていきたいと考えています。
質疑応答
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問
共同通信の市川です。
「送料無料」表示の見直しに関しての一定の結論が先日発表されて、事業者側に自主的な取組を促していくというような結論になったかと思うんですけれども、これについての受け止めをお願いします。 -
答
「送料無料」表示の見直しについては、関係者の方のヒアリングを丁寧に行ってまいりました。消費者、運送業者、プラットフォームの方、いろんな方々の意見を受け止めて、「送料無料」表示の見直しに向けて消費者の理解増進、それから事業者の方々のいわゆる見える化、開示を進めていくということで、現時点としては良い方向を示すことができたのではないかと考えています。今、関係団体を通じまして、それぞれの事業者の対応を促しているということでございますので、この自主的な取組の方向を私たちも注視をしていきたいということとともに、今回の契機が、送料は無料ではない、誰かが負担をしているということでありますので、消費者の方にそれを自覚していただくことが重要です。今回の物流問題はこれだけではなく、いろんなものがパッケージとして進んでいきます。再配達をできるだけ少なくする取組とか、消費者との関係の各種取組が行われていますので、それらを一体的に進めて、消費者の方々にはまとめ買いをするなど、できるだけ無駄な物流を減らしていくという努力を自覚的に行っていただきたいと考えています。
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問
NHKの絹川です。
冒頭発言でありました意見が受け付けられていなかった件なんですけれども、これはどのように覚知されて、対応にどれくらい時間がかかったものなんでしょうか。 -
答
これは12月13日17時半ぐらいに、消費者庁内の一部の部署から実際の意見が届いていないということがシステム担当者に連絡があって、その時点で消費者庁として把握したということであります。消費者庁にはここにも書かれたいろんな形のサイトがありますので、消費者庁内の全てをチェックし、15日の金曜日にシステムの改修を行い、18日に公表したということであります。
- 問 システムというのは外注していたものなんでしょうか。
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答
(デジタル・業務改革推進室)
システム自体の運用保守は外注しております。 - 問 こちらはアップデートがうまくいってなかったとか、具体的にシステムエラーというのはどういったエラーだったんですかね。
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答
(デジタル・業務改革推進室)
実際に入力フォームに投稿者の方が投稿しても、消費者庁側に届いたのが日付だけで、投稿したというのが分かるんですけれども、その内容が届いていないという状態でありました。 - 問 結構気づくまでに時間がかかったなという印象を持ってしまうんですけれども、そこらへんはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
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答
一つはシステム環境を移行したということで、内部システムをガバメントクラウド上に移行したという、大きな我々の端末を全部今入れ替えているのですけれども、そういう大きなシステムの転換時期だったということが一つだったと思います。従いまして、11月26日に、ということでありますが、発見したのが12月13日ということで、その間数週間あったということですけれども、私としては、担当部局が早く気づいたことが今回の早期の改修に結びついたと考えています。今お話をいただきましてホームページにも公表しておりますが、誰が何日に投稿したということは分かりますが、相手方が特定されていないということです。仮に私たちが相手方を特定できていれば、その方にこちらからアクセスできるんですが、何時何分に投稿したということしか記録が残っていないということですので、大変お手数ではありますが、その時に一定のフォームにログインされた方については、再度、何らかのアクセスをしていただければということであります。
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問
フリーの木村です。
12月に入って、機能性表示食品の景表法違反事件が相次いでいるんですけども、改めてインターネット通販事業者に何を求めていくのかということと、消費者が商品選択をする際の注意点、改めてお聞きしたいんですがよろしくお願いします。 -
答
今相次いでいるかどうなのかということは判断基準があると思いますけれども、常々申し上げているように、機能性表示食品は消費者庁に一定の届出を出して、一定のその部分についての表示ができるということにしているものでありまして、全体パッケージについて消費者庁が適否を判断しているものではないということです。何回もお話をしておりますが、消費者庁の機能性表示食品のウェブサイトを確認していただきますと、お買い上げになるときの商品名あるいは会社名を見ていただきますと、何の表示が届出をされていて、それがどういう根拠なのかということがすべてわかるようになっています。そういう点では透明な制度として運用しているということですので、なかなか手間暇がかかるかと思いますが、お買い上げになるときにその表示とその根拠、それから、それが自分にとってどのようにメリットがあるのかどうかということから確認していただきたいと考えています。
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問
日本消費者新聞の丸田です。
いよいよ年の瀬なので、定例会見についてもひとつ区切りということもあってお聞きしたいと思っています。今年は改正法の施行であるとか、いろんなガイドラインとか、指針の導入であるとか、山あり谷ありという感じのものもありました。課題もいろいろ提起されていたと思うんですけれども、激しい動きだったというふうに私は思っているんですけれども、消費者行政政策の中で、長官としては、今年を振り返り、取組をどう感じて、新しい展望があるとしたらば、来年に向けどんなものがあるかということを、風呂敷はでかいんですけれどもお聞きしたいと思います。 -
答
年末を区切りにして振り返るのがいいのかどうかという問題はあると思いますけれども、ご質問なので答えさせていただきます。まず、消費者庁の組織としては2009年に発足をいたしまして今年で14年目、来年15年目ということになります。その間、消費者の課題もいろいろ変わる中対応してきたということでございまして、組織的にはちょうど今年度の定員が消費者庁発足時の2倍となる400人になったということであります。これがいいことなのか悪いことなのかいろいろご判断があると思いますが、発足当時、小さな政府ということで目指してきた中、400人の定員を抱えないといろんな課題、それでも不足されるという方は多いと思いますけれども、そういう状況になっているというのはまず現状認識です。それから今年は、昨年来いろんな課題に取り組んできた中で、やはり今の消費者法制度がなかなか限界がある、これは世界共通の、特にデジタル化は世界共通の課題であります。そういった時に、やはり日本の伝統的な法制度が少しターニングポイントに来ていると思っておりまして、それを転換するためにいろんな方を巻き込んで議論してきたということであります。昨年の「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」の議論を踏まえまして、今年は消費者委員会にも諮問いたしました。それから自民党の方でもいろんな方々の意見を聞いて、間もなく提言を大臣に出していただくということで、議論の土俵が今年はできてきたと思っています。皆さんに今のままではだめだよねというそういう共通認識は醸成されてきたのではないかと思っておりまして、来年どこまで具体化できるのかということが勝負だと思っておりますので、できるだけ時間をかけずに、とは思っていますが、やっぱり根本的な問題も議論しなければいけないところがありますので、そこは拙速にならず時間をかけながらしっかりやっていきたいと思っています。あと制度改正という点では、不当寄附勧誘防止法の施行、それから景品表示法の改正、「ステルスマーケティング」の告示の制定、施行ということで、ここは現代的な課題に向けていくつかの取組が成就し始まったばかりではないかと考えています。それから、もう一つ、今年、来年あるいは再来年に向けて重要なのは、地方消費者行政のDX化、消費生活相談のデジタル・トランスフォーメーション・アクションプランということで、DXを進めていく、まさにPIO-NETを刷新していくということが重要であります。PIO-NETの刷新とともに消費生活相談のデジタル化を進めるということと、デジタル化することによってより良い相談あるいは斡旋などをするより深い解決に向けた取組ができるようにということで、ここの体制の基盤の構築というのもこれから課題になってきますし、今年もそれに向かって一定の成果が出ましたから、来年以降しっかり具体化をしていきたいと思っています。それから、価格の関係では大手電力会社の電力料金の値上げ申請に対しての消費者庁の対応。それから最近気になりますのは企業統治の観点から見た場合、ビッグモーターの案件もありました。それから、ダイハツの報告書も見ますと、内部通報制度の不備についての指摘というのもあります。このような企業統治の問題というのも大きな課題ですので、これも来年に向けてどう取り組んでいくかしっかりと受け止めていきたいと考えています。