新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年10月5日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
お手元にございますプレスリリースの資料の順番に従いまして冒頭発言四つさせていただこうと思います。
今月は「食品ロス削減月間」です。消費者庁では食品ロス削減月間に合わせて、昨年度に引き続き「食品ロス」をテーマとして、消費者の意識や行動を把握するためのアンケート調査を行いました。調査結果のポイントをご説明させていただきますと、消費者の「食品ロス問題の認知度」は昨年度同様8割。年代別では70歳代以上の認知度は9割である一方、20歳代・30歳代の認知度は約7割と低い状況です。また、約8割の消費者が賞味期限と消費期限の違いを理解している一方、4割強の消費者が「食品を購入する際、消費予定に関係なく、なるべく期限の長い商品を購入している」と回答しています。また、今回新たに、家庭での食品ロス削減の方法として、利用予定のない期限内の食品を寄附する取組や、飲食店における食べ残しの持ち帰りについても調査を行いました。「食品の寄附を行うための効果的な取組」についての調査結果では、多様な取組へのニーズが見られたところです。また、20歳代・30歳代と比べ、60歳以上では寄附に対して肯定的な傾向がうかがえました。飲食店で食べきれなかった料理を持ち帰ることについて聞いたところ、そもそも「持ち帰りを意識したことがない」という回答が最も多い結果となり、普及啓発上の課題も改めて認識をいたしました。また、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」において設定された「食品ロスを認知して削減に取り組む消費者の割合を80%とする」という目標については、今回の調査結果は76.7%となっております。食品ロスを削減するためには消費者がこの問題を認知するだけにはとどまらず、実際に活動していただく、行動に移していただくということが必要であります。例えば、すぐ使う食品は商品棚の手前から取る行動「てまえどり」については、スーパー等における食品ロス削減の効果が期待できます。消費者庁では、昨年度に引き続き、今月の食品ロス削減月間に合わせて、全国のコンビニエンスストアにおいて「てまえどり」の呼びかけを実施しています。今回の調査結果では、「てまえどり」を知っている方の割合は7割となっています。消費者の皆様におかれましては、すぐ食べる食品の購入にあたっては、無理のない範囲でご協力をいただきたいと思います。今回の調査結果を踏まえ、引き続き、期限表示の理解を促進し、消費者への普及啓発を図っていきたいと思います。
二点目です。「食品表示懇談会」の開催についてです。消費者基本計画等を踏まえまして、わかりやすく、国際整合性を踏まえた食品表示の在り方について検討するため、食品表示懇談会を開催することとしました。懇談会の開催の背景を申し上げますと、食品表示の国際ルールに新たな動きが出てきたということです。具体的には、現在、食品表示の国際貿易ルールを定めるコーデックス委員会におきまして、容器包装上の義務表示事項のうち、健康や安全性に関する食品情報以外の情報については、デジタルツールの活用により代替することが許容されるという方向で国際ルール作りが進んでおります。また、令和6年度に食品衛生基準行政が消費者庁に移管されることも踏まえまして、今後の食品表示が目指していく方向性について、懇談会において、中長期的な羅針盤となるような食品表示制度の大枠の議論を行っていただく予定です。
三点目です。「送料無料」表示の見直しに関する意見交換です。この記者会見におきまして、随時の意見交換について皆様にお知らせをしてまいりました。明日6日、大手運送事業者でありますヤマト運輸株式会社及び佐川急便株式会社と意見交換を行うことといたしました。引き続き、意見交換を重ねまして、どのような見直しを行うべきか方向性を打ち出していきたいと考えています。
最後になりますけれども、食品に関するリスクコミュニケーションのお知らせです。消費者庁では関係省庁と連携をいたしまして、食品に関するリスクコミュニケーションを行ってまいりました。この取組の一環として、お手元に配布しているとおり、11月6日(月)に大阪府、15日(水)に東京都におきまして、食品中の放射性物質に係る意見交換会を開催することといたしました。この意見交換会は、例年行っているものでありますが、本年8月に海洋放出されたALPS処理水の科学的な安全性も含め、消費者の皆様に正確な情報を提供し、共に考えていく機会にしたいと思います。是非ご参加いただきたいと思います。冒頭発言は以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の大村です。よろしくお願いいたします。
送料無料表示の意見交換会に関連してなんですけれども、今回8回目の意見交換会ということですが、その後の消費者庁としての政策決定について、スケジュール感とかそういったところで見えてきたところがあれば教えてください。 -
答
はい。今回8回目ということでありまして、トラック業界、通販業界を含めいろんな方々と意見交換をいたしました。あと、この大手の事業者のあと消費者の団体の方々とも意見交換をしようということを計画しております。今まで皆様から寄せられたいろんな意見を踏まえまして、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議の政策パッケージで示された方向の中でどういうものが望ましいかということで意見の集約をし、皆様に図っていきたいと考えています。
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問
フリーの木村です。
冒頭発言の食品表示懇談会についてお聞きしたいんですけれども、これはまず検討テーマで優先的なものでなにか具体的なものがあれば分かりやすいかなと思ったんですけれども、どういうことを検討していくのかというのをもう少し具体的に教えていただけないでしょうか。 -
答
この検討会は、個別の事項についてどういうふうに変更するということではなくて、今後の中長期的な羅針盤となるような議論を行っていただくということでありますので、今まで、食品表示制度はいろんな形で随時見直しを行ってきました。その随時見直しを行っていくことが良いことなのかということと、先ほど申し上げましたけれども、デジタルツールで代替できるというような世界の動きになったときに、日本の食品表示事項をどうするべきかということで、個別の事項というよりは全体の中長期的なマップを作るというのがこの懇談会の目的ということであります。
- 問 基本的にはコーデックスルールに合わせていくという方向で議論されるという理解でよろしいですか。
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答
内容について繰り返しになりますが個別の事項について議論するということではありません。今まで、あるいは今後、表示事項の見直しとして想定されるもの、それをどうやってどういう時間軸で運用していくのかということを議論するということですので、コーデックスに合わせるために議論すると、そういう場ではないというふうにご理解いただきたいと思います。
- 問 あと一点すいません。ゴールといいますか、いつまでに、例えば何をまとめるとかそういうスケジュール感みたいなものは設けているでしょうか。
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答
この懇談会は年度内、今年度中に議論の方向性について意見の取りまとめをしたいと考えています。
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問
テレビ朝日の島田です、よろしくお願いします。
先ほど朝日新聞さんの質問での答えにもあったんですけれども、送料無料表示の問題で、今後、消費者側からお話を聞いていくというところにもつながるんですけれども、近く政府が、消費者が置き配を使えばポイントが付与されるみたいな緊急パッケージをまとめて、要は、物流2024年問題の解決の一助になるべくそういう政策を発表すると思うんですけれども、そうするともちろん消費者庁というのはこれまで発足当時から消費者の権利を守る側としてあったと思うんですけれども、やっぱりここに来て、義務というか、再配達することでちょっと大変なドライバーもいるということですので、じゃあ置き配で行動変容を促そうじゃないかというような政策だと思うんですけれども、そうすると、消費者庁としても行動変容をしていこうよみたいな呼びかけがされていくものなのかなと思いまして、ちょっとその長官のお考えをお聞きしたいと思うんですけれども。 -
答
今お話がありました再配達の削減については、今般6月に我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で決定されました物流革新に向けた政策パッケージの中で、項目として出され、それぞれ具体化が進んでいるというものだと思います。この閣僚会議におきましても、再配達の削減について、具体的には、「荷主・消費者の行動変容」という項目に書かれております。そこに取り組む省庁として消費者庁も名を連ねておりますので、当然ながら消費者の行動変容を促していくという中で各省と連携してやっていくということです。
- 問 何か今後発表していくような、もちろん緊急パッケージは国交省から出ると思うんですけれども、それに合わせて出されていくようなものがあるんですかね。
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答
具体的にはまだということでありますが、いずれにせよ関係閣僚会議の中で、消費者庁と厚労省、農水省、経産省、国交省、環境省、が再配達の削減については協力をしていくということですので、消費者庁としても当然その中で協力していくということです。それからここの中には合わせまして全体的に物流に関する広報の推進という項目もありますので、そこも消費者庁もしっかり関与していきたいと考えています。
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問
毎日新聞の阿部です。
冒頭発言とはちょっと異なるんですが、先週、デジタル関係のことで長官の方が視察に行かれたということなんですが、その成果と、今後それを踏まえて何か取り組みたい事項とかありましたら教えていただきたいです。 -
答
先週会見を一回休ませていただきまして、欧州のいくつかの国を訪問してまいりました。私の目標は、特に欧州のそれぞれの機関の執行状況、執行の手法というものをつぶさに意見交換したいというのが主軸でありまして、具体的にはイギリス、ポルトガル、ギリシャの3カ国に行ってまいりました。イギリスでは食品表示、基準行政を扱っている省庁、それから消費者行政を担当している競争政策の省庁ということで2つ行ってまいりましたし、特にイギリスにおきましては、ステルスマーケティングの先進的な取組をしているということで、具体的に、彼らは別にインフルエンサーだけではなくて、プラットフォーマーとか仲介業者全てを対象に規制をしておりますけれども、その規制に至った理由、それから実際にその規制を実効あるものとして執行しているのかということについて意見交換をしてきました。ポルトガル、ギリシャ、いずれも人口一千万人程度ということで大きい国ではありませんが、EUの特にデジタルサービス法の執行状況について聴取しました。実際その国のレベルでも執行できるようなツールが実働していることを確認し、デジタルの取引に関して日本が進んでいく方向というのが少し見えてきたような気がします。いずれにいたしましても、これからデジタル関係をしっかり調査をしながら、どういう手法が日本の環境に馴染むのかということを考えていかなければいけないと思います。
- 問 今後の視察を踏まえて何か検討会だったりとか、そういった取組の施策、すぐですが考えとかありましたら教えていただけますか。
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答
恐らく直近に次の展開を進めます。
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問
日本消費者新聞の丸田です。
冒頭発言の中で、食品に関するリスクコミュニケーションのこれは8月以降、海洋放出以降ですね、いろいろな団体からも中止とか反対の意見が出たりとかしていました。これは東京と大阪で2つやるということですが、その他にはやらないのかどうかということ。これ一点お聞きしたいと思います。それともう一つが食品ロスのアンケートの中で、余ったものを寄附したくないという方々が一番多い36%もあると。理由は何かということをちょっと推測でお願いします。 -
答
一点目ですが、この意見交換会自体は大阪会場と東京会場で行いますけれども、いずれもオンライン併用です。例えば、いずれの会場もそうなんですけど、定員300名ですけど、会場100名、オンライン200名ということですので、いろんな地域からご参加いただければと考えています。それから寄附をしたくない方、これは実は理由まで聞いておりませんので、私が推測でいろんなことを申し上げるのは適切ではないと思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
EUを視察されて今後いろんなことをやりたいというふうにおっしゃっていただいているのですが、消費者法の在り方懇談会の議論の整理というものがまとまっていて、それに関連していろんな検討が順次始まるというようなイメージなのでしょうか。もう少し内容をお教えいただけないでしょうか。 -
答
相川記者がおっしゃっているとおりでありまして、消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会の具体化をこれからやっていく。あれは非常に網羅的なものですので、少し分野を分けなければいけないものもあると思っています。それをこの秋から始めていく。その中の一つの課題として、デジタル取引をめぐる情勢にどう対応していくのか、今までの法制度で良いのか、EUはある意味切り離してということでありますけれども、そのようなものも当然課題に入ってくるということです。
- 問 ではその後の検討会の立ち上げの発表を楽しみに待っております。それから食品表示懇談会なのですが、骨太の方針には食品表示基準の国際基準への整合化の推進というものが盛り込まれていてですね、もう少し輸出の促進とかをする意味からも、いろんな分野でコーデックスに具体的にもっと寄ってくる検討をするのではないかというふうに期待もしていたのですが、そういうことではなくて大きな方針を検討するということなのですが、これは何かなかなかやっぱり難しいものがあって、ワンクッション置いて検討していくみたいなことなんでしょうか。
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答
大きな方向として国際的な基準に従っていくということに変わりはありません。しかしながらその前提として、コーデックス基準を見ていただきますと、明確にAとBがこういうふうに線が引かれているものだけでなく、いろいろ各国によって判断できる余地があるという形であります。その中におきまして、今までのこういうものを書きなさいというコーデックス基準と、それから先ほどご説明いたしましたが、袋・パッケージに書くものと、それから、それを代替するようなデジタルツールでやっていくものという大きな、またちょっと別の議論が出てきて、しかも、それが具体化しているということであります。そういう中にありまして日本としてどういう考えをしていくのかということも重要ですし、食品表示の見直しの仕方が今までその都度だったということが事業者にとってどういうインパクトがあるのか、また、容器包装に書くということで消費者の情報がもしかしたら少なくなってきたのかもしれないというような懸念事項もあります。したがって全体として中長期的な羅針盤をここで一回俯瞰してみる。それから個別の見直しの具体的な項目に入っていくというその2ステップでやるというのが今の考え方です。
- 問 はい、分かりました。大体どういう方々でどの程度の規模の検討会になるのでしょうか。
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答
初回を10月13日に行います。プレスリリースには名簿も入っておりますのでそれをご参照いただきたいと思います。