新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年8月24日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
今日冒頭私からご発言することはございません。皆様からの質問にお答えしたいと思います。
質疑応答
-
問
朝日新聞の寺田です。
送料無料表示の見直しの意見交換会は第6回まで積み上がりましたけど、こちらの方向性やいつまでというのを改めて、今お考えのところを教えて下さい。 -
答
送料無料表示の見直しについては、現在様々な関係者と意見交換会を実施しております。議事要旨についても精査が終わり次第皆様にお示ししたいと思っております。これは関係閣僚会議において取りまとめられた「物流改革に向けた政策パッケージ」に基づいて進めているものでありまして、きちっと転嫁していくということが示されておりますので、その中でどのような形でやっていくのかということが基本になってくると思っております。今のところ、まだ関係団体との意見交換は終わっておりませんので、様々な方の意見が集積した段階で次の方向性を決めていきたいと思っております。
-
問
日本経済新聞の前田です。
本日1時頃に、福島第一原発の処理水の放出が始まりましたが、消費者庁としてこれまで風評に関する調査も何回かされてきたと思いますけれども、改めて長官の処理水放出に対する受け止めをお聞かせいただければと思います。 -
答
消費者庁は食品安全のリスクコミュニケーションというのを担当しておりまして、このALPS処理水につきましても基本方針の行動計画の中で正確で分かりやすい情報発信ということで努めてまいりましたし、これからもしっかりやっていくということでございます。ALPS処理水の海洋放出につきましては、国内外でやはり風評被害が発生しないということが重要でございますので、河野大臣のメッセージを多言語で発信するということと、そのメッセージが皆様に届くように訪日外国人向けのSNS、これは観光庁と連携をしております。それから在外公館による動画の活用ということで、外務省と連携してできるだけ多くの方々に正確な情報を見ていただきたいと思っているところでございます。ここで改めて河野大臣のメッセージのポイントについてお話をさせていただきたいと思います。
東電福島原発から海洋放出される予定の処理水は、日々発生する放射性物質を含んだ水をトリチウム以外の放射性物質について規制基準を満たすまで浄化したもので、処理水に含まれるトリチウムについても規制基準以下になるまで海水で大幅に希釈したものであること。トリチウムは、雨水や海水など自然界に広く存在し、水道水や食料を通して私たちの身体にも取り込まれても、水と一緒に排出され、体内には蓄積せず、食物連鎖で魚など水産物の中に濃縮されることもないこと。海洋放出後も、海水や水産物中のトリチウムのモニタリングを行い、結果を分かりやすく情報提供すること。日本の食品には、放射性物質に関し、世界基準に比べて極めて厳しい基準値による検査と出荷制限等の厳格な安全対策が講じられており、国内外に流通する全ての食品に科学的な安全性が確保されていること。ということであります。これが基本的なことでありますので皆様に心配なく国内であれば食べていただくということが必要だと思っています。そのために、今回ALPS処理水に係るモニタリングの結果を経済産業省をはじめとする関係省庁において発信をしているということでございますので、これにつきましても多くの方に知っていただけるよう消費者庁においても食品の総合安全情報のサイトにリンクを掲載いたしております。そこにおきまして経済産業省と水産庁のデータを一覧性をもって見ていただくということで、皆様がデータに基づいて安心して消費行動をしていただきたいということを改めてここでメッセージとして伝えたいと思います。その他いろいろなリスクコミュニケーションを取る機会がありますので、この夏以降、各種のイベントや冊子の配布をしておりますので、それらにつきましても改めて皆さんと情報を共有していきたいと考えています。 -
問
NHKの絹川です。
今後についてお尋ねしたいんですけど、一点目、送料無料表示の見直しのお話が先ほどもありましたけど、2024年問題のパッケージの中で出てきた話ということでなにかタイムスケジュールといいますか、いつ頃までにこれをまとめるとか意見交換会はあと何回とかそういったものがあるんでしょうか。 -
答
できるだけ早くということでございまして、いつ頃ぐらいまでにと期限を決めているわけではありません。
- 問 意見交換会はあと何回ぐらい。
-
答
意見交換会は随時様々な方と実施しておりますが、まだ消費者の方々との意見交換というのは終わっていないと思いますので、その方々ともしっかり意見を交換したいと思っています。
- 問 先ほどの処理水の話ですけれども、実際に放出が始まったということで、これまでの啓発以上にこういう体制を取ってやっていくとかこういう調査を始めるとかそういった具体的なアイデアは今あるでしょうか。
-
答
リスクコミュニケーションの基本はしっかりと正確なデータを開示すること、そのデータに基づいて判断していただけるような情報を伝えることですので、今回、経済産業省、環境省、水産庁がそれぞれの分野でモニタリングをするということですので、それができるだけ正確に伝わるようにということで消費者庁もさっき申し上げましたいろいろな手法で皆様へお伝えをしていきたいと思います。消費者の方々には先ほどの大臣メッセージにもありますけれども、仮に基準値を上回ったものが出たとしてもそれは出荷制限等の厳格な安全対策が講じられているということです。皆さんのところに流通する全ての食品は科学的に安全性が担保されています。今までの購買行動を続けていただきたいと思います。
- 問 発信の手段としては、今までに作っている冊子とホームページと河野大臣の動画その3点で大丈夫ですか。
-
答
はい。
-
問
日本消費経済新聞の相川です。
前回予定していた質問がオンライン会見に参加できず質問できませんでしたので改めてここで質問させて下さい。消費者委員会が8月10日に出した意見について質問させてください。2つとも報告書が建議にはならず意見になったということなのですが、このうちチャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思形成に影響を与える行為に対して、勧誘規制の導入の検討を求める意見が出ています。これ建議にならなかったのは、消費者庁が最後に出したコメントが大きく影響していると私は考えているのですが、消費者庁が出したコメントの中に、PIO-NETにチャットを利用した勧誘のキーワードの設定がないので、報告書は相談件数を明確に把握しておらず、具体的な相談件数を出せないとするに留まっていて、消費者被害の規模や割合などの実態把握等の検討がされないなど、新たな規制の導入の必要性、許容性の議論のいずれも欠くと指摘しています。今もキーワードは設定されないままでチャットを利用した勧誘の相談件数が把握できない状況なのですが、これに対してはどう対応されるのでしょうか。把握できない間は全くこの意見には対応されないということなのでしょうか。 -
答
まず、消費者委員会が8月10日に出していただきましたチャットを活用した消費者委員会の議論は、建議ではなく意見という形でまとめられましたが、これは消費者委員会として責任を持って対応していただいたということですので、消費者庁のコメントがどうこうということではないと思っております。それから今回のチャットを利用した勧誘というものは、デジタル化の中でのチャットということだと思っております。デジタル化におきますと毎年毎年といったら変ですけれども新しいものがどんどん出てくるということと、これからビッグデータあるいは生成AIという形で個人にパーソナルな形での勧誘行為というのが精緻になっていくと思っています。これは世界的にも同じです。そういう中において、今はチャットということが一つの大きな動きになっているということでありますけれども、消費者にできるだけ買ってもらうような仕組みが次々と出てくる、そういうものが消費者全体の中でのいわゆる脆弱性といった議論に結びついていると思っています。在り方検討会の中でもご議論もありましたけれども、遡って消費者の意思形成もどうやっていくのか、全体的に大きく捉えなければいけないと思っています。確かに今の消費生活相談の中ではチャットのキーワードというのは設定をされておりません。これは1000を超えるキーワードがあり、それを入力するときにいろいろ時間がかかっているということでいろいろ改変を重ねながらやっています。このチャットについてどうするかというのはこの意見を受けて考えるということでございますが、もしかしたらもっと広い、違う取り方のほうがこの今のデジタルの世界を大きく捉えるものかもしれません。その辺は入力する方には定義を明確にしないとしっかりとした情報が上がってこないということですので、そこは考えさせていただきたいと思いますし、消費者委員会の意見も踏まえて消費者の保護法制全体の検討を進めていくということでいきたいと思っているところであります。
- 問 全体の検討ということで、まずキーワードについては今後検討するということなんですが、それは2026年度までは対応しないということなんでしょうか。
-
答
キーワード全体についてどうするかということ。今でも細かなキーワードの切り替えは行っております。その中で、まずチャットというキーワードがいいのかどうか、その定義をどうするかということも含めて、デジタルに対してどういうキーワードが重要なのかということは考えてみる必要があると思います。
- 問 消費者安全法で、実はSNSを用いた情報商材とか最近はダイエットサプリの事業者についても注意喚起が行われているのですが、これがどのくらいの被害が積み上がっているかということを消費者庁は把握されていますでしょうか。
-
答
それにつきましては事務方に累次にわたってご質問があったというふうに理解しておりますので、さらに詳細ということであれば事務方からお答えさせていただきます。
- 問 情報商材では32事業者が消費者安全法で公表されていて注意喚起が行われていて、その被害総額が89.2億円です。ダイエットサプリで今回6事業者が注意喚起されていて、それはだいたい5500万円くらいのようなのですが、このうちのチャットを使った勧誘という表記が公表資料にあるものを抽出しますと、だいたい情報商材で26事業者、ダイエットサプリで6事業者、62.85億円くらいの被害があります。現実的に消費者庁が注意喚起したものだけでもこのくらいの被害が今目の前にあると。チャット勧誘による被害が増えていて救済が困難だというふうに現場は言っていると。この目の前の被害を全体の中で検討するという理由で一体いつまで放置していいんでしょうかということだと私は消費者委員会の意見は言っているのではないかと思うのですが、ここについてもう一度ちょっと長官のお考えをお聞かせください。
-
答
消費者庁が累次にわたって注意喚起をしているというのは、その事業者のいろいろな手法について説明するとともに、こういう形で消費者が被害に遭わないようにしていただくということが趣旨であります。それから放置をするということではなくて、今申し上げたように全体の中でしっかり考えていくということでございますので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。まずは消費者がSNSについて必要ならばそこから先を見ないとか、契約条件を確認する等、累次の注意喚起を見てみますと共通する注意喚起になっていると思います。こういう累次の注意喚起をしっかり見ていただいてSNSと付き合っていただくと。このSNSの世界は商品の勧誘だけではなく、残念ながら、今犯罪の勧誘とかいろいろな形の使われ方がされているということでありますので、そういう点でのSNSとの付き合い方をの発信していくということと合わせてやっていくということだと思います。
- 問 注意喚起では被害は減っていない、被害は止まらずいつまでも同じ被害が繰り返されることを消費者庁は許していいのかということが問われているのではないかと思いますので、検討の方を早急にお願いしたいと思います。それから昨年9月に、同じ問題で消費者委員会が建議を出しています。それは特商法の11条と12条、誇大広告の禁止とかですね、そういうものの法執行を強化しろというふうに言っているのですが、この安全法で昨年9月15日と11月17日に注意喚起されたものは、消費者安全法の中では虚偽誇大広告があったと、そういうものがあったということを確認しているということが公表資料に書かれています。なぜ建議に従って法執行の強化をされないのでしょうか。何もしないで注意喚起だけしていても何も変わらないということが明らかなのではないでしょうか。
-
答
基本的なお話を申し上げますと建議のあるなしに関わらず私たちは法執行をするということであります。法律の要件に適合してその事実が確認されれば然るべき法執行をするということであります。特商法11条、12条の違反のものについては、お話がありましたとおり行政処分を行われたという事例はございませんが、行政指導は1000件ぐらいのベースで実施しているということですので、決して消費者庁がそのような事業者を放置しているという事実ではないと思います。
- 問 では、2022年、建議の後はどのくらい指導がされているんですか。
-
答
継続的に行っておりまして、建議の前からやっていることをお話をさせていただきますと、令和2年度は1105件、令和3年度は1340件、令和4年度は668件です。
- 問 ただ処分が出ないとわかりませんので、やっぱり処分を出していただくということは建議でも言われていることなので、建議を守るということで一応処分を今後することを希望し、なおかつやはり消費者委員会の意見にきちっと対応していただくということもぜひ早急に検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。