新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年7月6日(木) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室/オンライン開催)
発言要旨
本日4点お話をさせていただこうと思います。
まず1点目、「こども霞が関見学デー」の開催であります。こども霞が関見学デーについては、6月27日、文部科学大臣が実施についてご発言をされたと承知しています。消費者庁におきましても、来たる8月2日・3日の両日、こども霞が関デーを開催します。当庁では、実際にリアル(会場)で開催をいたしますのは2019年以来ということになります。消費者庁におきましては、食品ロスの削減、エシカル消費、食品表示、子どもの安全等、身近なテーマについて、クイズやゲームを取り入れて楽しく学べるプログラムを実際に会場で開催する予定です。すでに、ホームページでは告知をしておりますけれども、事前予約制です。子どもたちの有意義な夏休みとなるようご参加いただければと思います。
2点目です。資料を配布しておりますが、「親子で学ぼう、体験しよう、食品安全」をテーマとした取組です。消費者庁では、食品の安全性に対する理解の増進や信頼の構築に向け、関係府省庁と連携してリスクコミュニケーションを行っているところです。この取組の一環として、本年8月から10月にかけて、宮城、東京、大阪にて開催される3つのイベントに「親子で学ぼう!体験しよう!食品安全」と題し、ステージ企画やブース出展を行うこととしております。ステージ企画では、専門家や福島県をはじめとする産地の生産者を招き、食品安全に係る基礎的な情報や震災後に食の安全を確保するために取り組んできたこと、産地の魅力を紹介することとしています。また、出展ブースにおきましては、食品安全を学べるワークショップなどを開催する予定です。詳細につきましてはお手元のプレスリリースをご参照いただきたいと思います。
それから3点目です。6月30日に公表いたしました景品表示法の措置命令の対象となった機能性表示食品及び同種届出に対する食品表示法上の対応についてご報告いたします。河野大臣からもご発言があったとおり、措置命令の対象となった2商品については、既に撤回の届出が提出されています。また、7月3日に、今回措置命令の対象となった2商品と同一成分であって科学的根拠が同一である他の届出について、科学的根拠として疑義がある点を指摘し、届出者から合理的な回答があるかどうかの確認を開始しました。さらに、科学的根拠の再検証を行うよう関係事業者団体に対して、文書で指導をしているところです。また、機能性表示食品の届出ガイドラインの改正を予定しており、改正後は、機能性の主たる科学的根拠となっているシステマティックレビューの記載にあたって、国際的な指針であるPRISMA(プリズマ)声明(2020年)に準拠することを求めていくということです。事業者に行っていただくPRISMA声明(2020年)への準拠に当たっては、一定の準備期間が必要と認識をしております。このため、新規の届出や既存の届出の再検証については、事業者の実行可能性を踏まえる必要もあることから、パブリックコメントを行い、実施期間等について意見を求めることにしたいと考えております。このパブリックコメントを経て、準備ができ次第、速やかにガイドラインの改正を行います。
4点目であります。4月下旬から5月中旬にかけまして、地方自治体の職員、相談員を対象に、消費生活相談員・相談業務に関するアンケートを実施しました。ご協力をいただいた皆様には大変感謝をしております。集計結果はお手元の資料のとおりです。今回のアンケートでは、会計年度任用職員制度導入から3年経ったことも踏まえまして、例年10月頃にまとめている「地方消費者行政の現況調査」とは別に、相談員の任用状況、業務や勤務の状況と今後の方向性、デジタル技術への期待、消費生活センターの運営状況や相談員の処遇等についてお聞きをしたものです。主な集計結果を紹介いたしますと、相談員の年齢構成は、40代以下は15.6%、逆に申し上げますと50歳以上が85%ということです。2022年度末に任期を迎えた相談員の再任用は約9割、公募による新規採用は7.8%、定員に対する未充足率は2.8%です。キャリアパスの形成に資する役職・処遇を設定している地方自治体は、大きい団体を中心に約2割、相談員は週3日から4日程度の働き方が多く、フルタイムの希望は全体の4割程度で若手が中心です。それから、スキルアップの取組をされている方も多いということです。相談対応におけるデジタル技術の活用には総じて期待する声が多く、若手相談員ほど期待が高いということ、必ずしも地域性・個別性が高くない相談は、地方自治体に加え、国や国の機関での対応も期待されているということ、相談員は、来所相談や普及啓発など、地域密着の対応も多く、電話対応の利点を挙げる声も多い、といった点が確認されております。消費生活相談は、消費者行政の重要な礎であり、今回の結果も踏まえて、相談業務の充実や基盤の整備、相談員の担い手確保・処遇の改善等に向けた取組を進めるとともに、引き続き、地方自治体への働きかけや支援を行ってまいりたいと思います。集計結果の詳細については、この後、この場所で、担当からブリーフィングを行います。それから、この調査結果を踏まえた対応方針につきましてはあす河野大臣からご発言いただく予定です。私からの冒頭の発言は以上です。
質疑応答
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問
通販新聞社の兼子と申します。
機能性表示食品の処分に関連して2点ありまして一問一答でお伺いできればと思います。
まず1点目なんですけれども、今回の処分案について事後チェック指針は事業者の予見可能性を担保するものだと思うんですけれども、今回処分にあたって研究レビューの問題点の一部しか説明がございませんでした。より詳しいポイントについて説明責任を果たさないと何が問題であるのか、事業者の予見可能性が担保できないと思っているんですけれどもそのあたりどのようにお考えでしょうか。 -
答
今回の処分は景品表示法に基づくものです。従いまして、景品表示法の然るべきルールに従ってそれを覆すような資料が事業者から提出されなかったということでありますので、それは機能性表示食品の事後チェック指針とはちょっと次元の違うお話なので誤解のないようにしていただきたいと思います。
- 問 すみません。2点目なんですけれども、機能性表示食品では根拠は公開されていると思いますが、なぜ不実証広告規制を適用したのでしょうか。
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答
どのような質問でしょうか。
- 問 機能性表示食品の場合は届出で表示の根拠を提出しているんですけれども、不実証広告規制はその表示に対してどういう根拠を持って表示しているかというものだと思うんですけれども・・・では大丈夫です。
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答
誤解のないようにまた申し上げておきますと、今回の案件は景品表示法の措置命令ということですので、景品表示法のデュー・プロセスに従って事業者が然るべきデータを提出できなかったということで措置命令を行ったということなので、機能性表示食品の事後チェック指針とか今お話しあったものとは混同なさらないように注意していただきたいと思います。
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問
毎日新聞の阿部と申します。
同じく機能性表示食品の措置命令に関連してなんですけれども、前回の発表のとき、類似商品は約90商品あったということで、これに関して科学的根拠の再検証を行うように指導したというふうに聞いているんですけれども、それは公表すると河野大臣もおっしゃっていたかなと思うんですけど、資料提出から2週間ぐらい経ってからの公表と言っているんですけどその時期などをお考えであれば教えていただければと思います。 -
答
大臣からお話があったとおり2週間ということです。
- 問 資料提出2週間を目途にとおっしゃっていたかと思うんですけれどもそれと同時に公表するということでしょうか。
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答
2週間を目途に事業者から提出を求めておりますので、それを集計した結果ということです。
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問
読売新聞の糸井です。
機能性表示食品についてなんですけど、今おっしゃったPRISMA声明2020年への準拠ということですが、これに準拠してガイドライン改定を行うことで、どういったことを期待されるかというところを伺えればと思います。 -
答
機能性表示食品は事業者の責任において表示の根拠となるデータを提出しそれに基づいて表示をするということであります。したがいまして、その根拠については、当然ながら事業者に責任を持っていただくということが前提です。しかしながら今のガイドラインでは根拠に関する内容が若干古かったということでございまして、今回ガイドラインをPRISMAの2020年に準拠し、新しくすることで、PRISMA2020年の基準に従って自らの科学的な根拠はどうなのかということを示していただくということで、消費者の方々にとって機能性表示食品の信頼性をより高めていくということで今回事業者の方々にお願いをしたいと考えています。
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問
日本消費者新聞の丸田です。
関連なんですけれども、今回の件については6月30日の処分があってそれで当日もその2商品は先ほどもおっしゃったように撤回されていると。それで消費者がよく見るような機能性表示食品のデータベース、消費者庁が出しているやつの撤回の理由というのが、販売終了ですかね、要するにその撤回の理由というのが今回行政処分を受けたと、法律上は景表法の方ですけれども、つまり販売が終了したというその撤回理由というのはなかなか分かりにくくて、つまりそういうところも直す必要があるんじゃないかと思います。要するに行政処分を受けたという事実これをやっぱり書くべきじゃないかなということがありますのでこれは1つあります。
それと、今回、データベースの中でその成分であるとかいわゆる機能性表示という事を入れながら出すと結構出てくるわけですけれども、こういうのも多分今回要求されているんだと思うんですが、もう一度確認しろということだと思います。この確認なんですけれども、これは今までのデータベースの中ではレビューであるとか検査の結果とかなんかこう出ているわけなんですが、この確認というのは事業者に投げかけて事業者でやるのか、事業者が第三者機関でやるというのがあるんでしょうけれども、それとも、この確認をまた確認することになるのか、つまり、消費者庁が何らかの関与をしていくのか、そこのところご見解はありますか。 -
答
機能性表示食品制度は、先ほど申し上げましたが、事前許可制であるトクホとは異なりまして、安全性や機能性の科学的根拠に関し届出を行う事業者に挙証責任を求める制度です。今回の一連の消費者庁の依頼、あるいは、要請文書というのはこの制度を前提にしたものということですので、これを上回るものではないということであります。今お話のあった撤回についても、届出の撤回を届出者に促すということでありまして、今の制度の運用の中で消費者庁は行っているということです。
- 問 別件なんですけれども、こども霞が関見学デーを何年ぶりかでやると。前にやったときはちゃんとイヤヤンさんがご登場したわけですけれども、今回登場するかどうかということと、それとあと前にやった時は宮腰大臣だったと思いますけれども、そのときは子どもたちとの懇談会をやって厳しい質問が子どもたちから出ているわけなんですが、こういう大臣や長官と子どもたちとの懇談会というのはやる予定はありますか。
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答
イヤヤンは今のところ予定がないということと、大臣の出席の予定は現時点ではありませんということですが、公務の都合が許せばいずれかのプログラムをご視察いただくということは検討しているところです。
- 問 また、別件なんですけれども、先週PLオンブズ会議という弁護士さんとか消費者団体・相談員・研究者の方々が集ったPL法を作る時にできた団体があるんですけれども、そのPLオンブズ会議が、来年が法が制定されてから30周年、海外の状況も非常に変わってきているし、あとデジタルも進んできた社会的な変化があるということで、PL法について、政府に対して、PL法の見直し、こういうことを見直しの機運を高めていくみたいなことを言っています。正確に言いますと、日本においても、政府に対して、PL法改正に向けた動きを加速するよう求めていくという提言が出ました。徳島の未来本部でもPL法については海外状況について研究されておりますけれども、この提言に対しての長官としての受け止めをお願いしたいと思います。
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答
3日に開催されたPLオンブズ会議報告会の提言というのを私も見させていただきました。この中に、制定して30年経って世界あるいはいわゆる物の流通をめぐる状況が大幅に変わったということはご指摘のとおりだと思います。その中にもありますように、こういう事例を踏まえて経済産業省が製品安全4法の見直しを検討しているということも言及されているところであります。この中でも言及をされております欧州委員会の新たなPL指令案というもの、2023年10月の欧州議会で第一読会が始まると聞いておりますが、EUの指令というのはご存じのとおり、それが直接加盟国の企業なり個人を規律するというものではありません。指令案が出て、それぞれ各国が国内法を整備しないと具体的な効力を発しないというものですので、そういう段階であるということをまず認識することが必要だと思っています。一般論として申し上げると製造物責任のあり方、各国の法体系の中で検討していくというものでありますし、私どもも今お話がありました徳島の新未来本部においてEUの動向と社会的な経済状況についての分析を行っているところでありますし、間もなくその中間報告書も公表するということでございます。
- 問 中間報告って目途はありますか。
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答
今月中には。
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問
フリーの木村です。
糸井記者の関連で質問と同じなんですけどもPRISMA声明2020年の話なんですが、いくつかポイントあるとしても、一つ研究レビューの、今回措置命令でも問題になったんですけども、研究レビューの更新っていう観点が重要かなと思っているんですが、今回のPRISMA2020年への更新によって研究レビューの更新が促進されるのかどうか、その辺の期待感というのはいかがでしょうか。 -
答
研究レビューの更新を促進するためにPRISMA2020年への準拠を求めるということであります。これは先ほど申し上げたように、機能性表示食品という事業者の皆様の届出によって成り立っている制度の、安心あるいは信頼性をより高めるということで消費者の需要に応えていくということだと考えています。届出の状況を見ますと、コロナ後の2020年、2021年大幅に増えているという実態が見られます。それは国民の方のいろんな意味での食に求める機能性というのがだんだん重要になってきて、期待感が高まっているということもあると思います。そのような中にあってはやはり信頼に応える制度にしていくということが必要ですので、今回はそれを目的にした届出ガイドラインの改正というふうに考えていただきたいと思います。
- 問 先ほどの説明で、猶予期間あるいは経過措置期間のようなお話があったかと思ったんですけれども、実施までの経過措置期間で今まで業界団体側と消費者庁の間で争点の一つになっていたと思うのですが、今のところ消費者庁としてはその経過措置期間というのはどのくらい置く予定なのか、もし今お話できればお聞かせいただきたいのですが。
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答
それについては現時点ではまだ答えを持ち合わせていません。これはパブリックコメントをする中で決めていきたいと考えています。
- 問 あとすみません1点だけなんですが、機能性表示食品90商品の再検証の件なんですけども、先ほどいつ頃というのはお話あったんですが、公表する内容について数字だけ公表するというような方向かと思うのですけども、具体的に個々の商品名でどれが撤回されたとかそういった詳細なところというのは公表せずに、あくまでも届出の一覧表を見て消費者は判断することになるというそういう方向でしょうか。
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答
そういう方向かどうかについては今お答えすることはできません。
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問
(事務局)共同通信の市川様からのご質問です。
6月30日に公表された物価上昇に関する消費者庁の考え方についての質問です。物価について消費者庁が説明することの意義や狙いを教えてください。またこのタイミングでの公表となった理由を教えてください。さらに、長官から消費者に向けてのメッセージがあればコメントをいただけたらと思います。 -
答
これは、6月30日に消費者庁のウェブサイトに特設サイトを作った「物価が上がっているけど、消費者の私たちはどうしたらいいの?」についての問い合わせだと思います。この物価に関するコミュニケーションについては昨年末からいろいろ検討してきてようやくサイトが立ち上がったということでございます。これから順次コンテンツを追加して物価上昇と消費者いわゆる家計の関係等について皆様に情報提供というかその関係についていろんな情報をお出ししていきたいと思っておりまして、なぜ、消費者庁がやるかということでございますが、物価上昇の中でモノあるいはサービスを購入する消費者というのが、その社会的な中でどういうことを考えて行動していくのかということと、消費者は家計を預かっているということですので、家計の収入と支出の関係などについて皆様がどういうふうに考えていくのかということで、私たちはその参考になるようなデータなりをお示ししたいということであります。皆様が見ていただいて、例えば、これは違うと思えばご意見を賜りたいと思いますし、なるほどと思えば皆様の少しでも行動変容なり、納得ある消費活動に結びついていけばということでサイトを開始いたしました。
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問
日本消費者新聞の丸田です。
機能性表示食品のことで一つだけ。大臣の発言の中で、取組が2つあって、1つが先ほどおっしゃった90商品のことについての改めての確認と、もう1つが機能性表示食品の全体についての確認といいますか、これを順次事業者団体に対して文書で出しているとしています。これはまず90商品の方が2週間ということでしたけれども、これは何か期限があるんでしょうか。 -
答
関係事業者への文書配出は7月3日に行っております。これは全事業者の方、機能性表示食品を販売している方が足元を見直していただきたいということ。特に期限があるということではありません。しかしながら繰り返しになりますけれども、この制度が事業者の自主的な届出に基づいているということですので、それはしっかりやっていただくということがこの制度の信頼性確保と継続につながると思っています。事業者及び事業者団体の方にはしっかりともう1回表示の根拠を見直していただきたいと考えています。
- 問 となると届出件数自体は7000件を超えているんですけれども、実際に販売されたら、その半分くらい3000なんですけども、それはあまり関係なく全届出に対してということなんですか。
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答
そうです。