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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年5月25日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭私から2点発言をさせていただきます。
まず1点目でございます。令和5年度消費者支援功労者表彰の表彰式についてであります。令和5年度消費者支援功労者表彰については、4月27日に私から表彰される方々を公表するとともに、4月28日の大臣会見におきまして消費者支援功労者表彰については5月29日に表彰式を開催する旨お伝えをいたしました。本日、配布資料のとおり、表彰式につきましては5月29日15時35分より総理官邸において開催の運びとなりましたのでご案内を申し上げます。取材要領につきましてもこのプレスリリース資料に書いてございますのでご参照いただきたいと思います。
次に2点目でございます。昨日、電気及びガスの小売事業者である日本瓦斯株式会社に対して、特定商取引法に基づく行政処分を行いました。この詳細につきましては、この後、15時から事務方より記者レクを行いたいと考えております。この日本瓦斯につきましては、特定商取引法の第3条、勧誘目的等の明示義務に違反する行為、第3条の2の第2項、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、それから、第6条第1項、役務の対価につき不実のことを告げる行為ということで、特定商取引法の規定に違反する行為をしたということで、3か月間の業務停止命令ということでございます。実はこの事案に限らず、近年、電気及びガスの小売事業者が特定商取引法の規定に違反する行為をしたことによりまして、当該事業者に対して行政処分を行う事例が複数発生しております。具体的には、5月11日でございますけれども、CDエナジーダイレクト、それから3Backs、ライフデザイン、それからその他1名に対して特定商取引法の処分の公表をしたところでございます。このような状況に鑑みまして、本日付けで消費者庁から経済産業省電力・ガス取引監視等委員会に対しまして、電気及びガスの小売事業者に対して特定商取引法で義務付けられている事項の遵守を改めて徹底するよう注意喚起を依頼するところでございます。消費者庁といたしましては、関係機関と適切に連携して特定商取引法の周知徹底を図るとともに、引き続き、特定商取引法に違反する事実がある場合には、法律に基づき厳正に対処していきたいと考えております。

質疑応答

日本経済新聞の前田です。
先ほどご発言あったとおり、電気・ガス小売事業者の処分事例が複数発生しているということでしたけれども、改めて長官の方から、消費者の方々が被害に遭わないためにこういうことに気をつけてほしいなどありましたらいただけますでしょうか。

このいずれの事案も、電気・ガスのいわゆる事業者の切り替え等の誘因ということでございます。この中においては既に注意喚起をいたしておりますけれども、勧誘例として、「値上げの対象かどうかを確認するので検診票の情報を教えてください。」、あるいは、「○○電力、○○ガスからの供給はそのままで料金が下げられるようになりました。」、それから、「ガスが安くなります。」、といった形での勧誘が多くなっているということでございます。これにつきましては、まず訪問してきた相手をよく確認をしてほしいということ、基本ですけれども何のために訪問してきたかを確認する、それから契約中の料金プランと必ず比較をしていただくということです。その場で契約するのではなく、よく確認してから再度考えた上で契約をするということ、それから不要だと思ったらはっきり断るということで、これにつきましては、契約してしまっても書面受理日から8日以内であればクーリング・オフの対象となるということですので、そのへんについて注意喚起をしております。15時の記者発表のときに配布させていただきますが、そういう形で事業者を切り替えるということなんですが、必ずしもそれによって安くならない場合もあるということもございますし、相手方をしっかり確認して契約をしていただくということですので、消費者の方々にいわば注意を徹底していただきたいと思います。これにつきましては15時の記者発表のときに改めてお話をさせていただこうと思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
別件になります。先週、食品衛生基準行政の消費者庁への移管ということで法律が制定されましたけれども、これについてお聞きします。厚生労働省から食品衛生基準行政が移管されるということについては、去年コロナ対策ということがちょっと言われたんですけども唐突に思ったんです。そのいきさつについて何か経緯としては何かあるのかどうかということが一つと、それと、なぜ食品衛生基準行政なのかということなんですけども、そしてまた、その移管先としてなぜ消費者庁になったというのがちょっとよく分からない、見えなかったので改めてお願いしたいと思います。それともう1点、来年4月から施行ということでしたが、消費者庁を受け皿としてどう変わっていくのかということがざっくりとでもいいですからお願いします。

今お話がありましたとおり、改正法が成立をしたということでございます。これにつきましてはこの記者会見の場でも何回かお話をさせていただきましたが、令和4年6月ですからちょうど1年ほど前の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、生活衛生関係の組織について一部業務の他府省庁への移管を含めた所要の見直しを行うということで決定をされたということでございます。その後、関係省庁間で移管すべき業務の内容等について協議を行い、食品衛生基準行政については消費者庁に移管するということになったということでございます。この時のキーポイントは、消費者庁が食品安全行政の総合調整を行うということで食品安全基本法の総合調整事務を消費者庁が担っているということが大きな理由になっております。そういう中におきまして、今回の法律でも、消費者庁に新しい審議会をつくって、食品安全の衛生の基準行政をやるということでございます。もともとのこの令和4年6月のコロナ対策本部での決定というものの背景は、世界的な環境変化の中で今後も感染症のリスクはなくならないということに鑑みますと、次の感染症危機に十分備えるために厚生労働省における感染症対応の能力を強化するということが目的でございまして、その中におきまして厚生労働省組織をスリム化し、現下の行政課題に的確、迅速に判断するということで、この一部業務について他府省庁移管というのが決まったと承知をしております。今申し上げた食品安全行政の総合調整を消費者庁が担っているということとともに、現在、関係府省の食品のリスクコミュニケーションの推進の取りまとめというのも消費者庁が行っておりますので、今後、食品衛生基準行政を担うことで、科学的知見に裏打ちされた食品安全の啓発活動というのも強化されるというふうに考えております。来年度4月以降ということでございますので、組織・定員あるいは場所等も含めて、それに間に合うようにしっかり整備をしていきたいというふうに考えています。

フリーの木村です。
今の関連なんですけども、今後、来年4月1日の施行後、例えば何か食品の事故が発生したりして、規格基準の早急な見直しなど、そういう必要な場合とか出てくるかと思うんですけども、そういう時の厚労省との連携、そのへんも課題になるかなと思うんですけども、そこも含めて、来年4月1日の施行に向けて、今消費者庁の方で考えている課題というのがもしあれば教えてください。

4月1日に移管ということですので、4月1日前までは当然ながら厚生労働省が責任を持って対応するということでございます。そのへんについて消費者庁と厚生労働省の分担に変更はございません。私どもとしては4月1日以降も、現在の食品衛生基準行政が厚生労働省にあったものと同じような状況、科学的な知見に基づいた判断ができるようにということで、その体制を整備していくということです。

日本消費経済新聞の相川です。
5月18日の特商法の行政処分について質問させてください。ようやくアナログ戻しの処分が行われた点は評価したいと思うのですが、違反認定が、6か月後もサポートの契約を解約しない限りその支払いが継続して発生することを故意に告げなかったという、対価の故意の事実不告知にとどまっています。このアナログ戻しはもともと、NTT東西の116に消費者が電話をすれば、NTTがまあ懇切丁寧に対応してくださるもので、要するに、高齢者に不要な金銭を毎月3000円とか、あるいは5000円も払わせているものに対して、自分自身で手続をできることを告げなかったことに違反を問うことはできないのでしょうか。質問が細かいので担当課から答えていただいてください。

(取引対策課)ご質問の、実際にどのような違反行為を認定したかというのは個別の事案に応じて行われますので、この場でのご説明は差し控えさせていただきます。

すみません、一応説明は伺ったんですが、なんとなくこういう商法っていうのを消費者庁が認めてしまったように見えるところがどうも腑に落ちないので、何だかお答えがいただけないでしょうか。

(取引対策課)ご質問の件につきまして、我々、今回問題だった役務自体の是非を問題としているというわけではございませんで、今般の訪問販売における勧誘等の行為における問題を違法として認定したということでございますので、その点は明確に異なるということと、その上で実際に今回でありますと、販売目的を隠して勧誘するといったことが問題であるということを指摘したわけでございますので、その点はご理解いただければと思います。

この問題がすごく急増して、NTTをはじめ総務省とか国民生活センターが注意喚起をしたのが2021年の8月から12月です。当時、記事もたくさん書かせていただいたんですけれども、この会社の相談件数が2021年は154件ありますけど、もう2022年は27件に減っていて、Wi-Fi等の利便性をSNSで投稿すると毎月の利用分の報酬が得られるというふうにその勧誘をする業務提供誘引販売の相談が逆に2021年は378件というふうに増えていて、勧誘行為が完全に移行してしまった後の行政処分、業務停止命令3か月もここにかけて何かその事業者にデメリットを及ぼすことができたのかと、何かその事業者は結局やったらやり得なのかと、消費者庁はそういう処分しかできないのかという疑問があるのです。これについて何かご見解をお教えください。

(取引対策課)今般違反認定された行為と我々が調査の結果認定した事実に基づいて処分を行っているというところでございますので、しかるべき基準に従って処分をした結果でございますので、その点ご理解いただければと思います。

今の全国的なPIO-NETのアナログ戻しの相談はどうなっていますでしょうか。

(取引対策課)全国的なアナログ戻しの相談の件数というのは手元に数字がございませんので、追ってお調べした上でご報告させていただきたいと思います。

実は取材をしました。2021年度が2612件で、2022年度は1254件と半減していますが減っていません。当時取材をさせていただいた2つのパターンがあって、毎月5000円払わせるもの、また、突然アナログに戻して安くなる方がいいからと契約をしてしまって突然4万円の請求が来るもの、これが直近5月の相談でも入っていますので、やはり遅いんだと思うんです。処分が遅いというところは本当に明確にあると思いますので、他のものに対しても早急に処分をしていただきたいと思います。それからずっと言っていますが、定期購入は本当に今どんどん悪質化していて、景表法の改正もあるためかますます悪質化しているものが多くなっているので、定期購入の処分はまったなしですので、それについては併せて急いで対応していただけるようお願いします。

今、相川記者から頂いた問題で、私もこれまで会見でも申し上げておりますけれども、特定商取引法の違反について行政処分をやるためには、やはり然るべき法的手続にしっかり則らなければいけないということで、それはしっかり調査をした上で基準に基づいて判断をしているということでございます。ここの中でやはりいろいろ我々も被害の拡大という点からは悩ましい点があるということはご指摘のとおりです。他方、消費者安全法に基づく注意喚起、それから国民生活センターのカテゴリーとしての注意喚起、いろいろな手法がございますので、それぞれの案件、それから状況に応じて判断をしていきたいと考えておりまして、それぞれの法目的に従って当然ながら厳格かつできるだけ迅速にやっていきたいというのは同じ思いでございます。

はい、よろしくお願いします。もう1問質問させてください。消費生活相談員担い手確保事業についてなのですが、今年度から消費生活相談員養成講座と消費生活相談員資格試験対策講座の2つで募集が行われて、昨年度の取組から見直しが行われています。この趣旨について教えてください。

すみません、ここの場に担当がいないようですので、後ほどお答えをさせていただきたいと思います。

とてもいい見直しをしてくださったのではないかと思っていますので、よろしくお願いします。

ありがとうございます。

フリーの木村です。
別件で恐縮です。先週の金曜日に特別用途食品の経口補水液の改正がありました。ちょっと気になったのは、猶予期間が2年間なんですけれども、その間にも経口補水液と表示したものが普通の飲料売り場で流通するわけですけれども、そうなると日常的にそうしたものを買っている人ってナトリウムの過剰摂取とかかなり危ないかなと思うんですけれども、そういう意味で、経過措置期間内であっても消費者庁としてできるだけそういうのは普段は使わないようにとか、そういう注意喚起が必要かと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

お話ありましたとおり、5月19日に「特別用途食品の表示許可等について」ということで基準を改正したということでございます。今回は消費者の皆様と直接結びつく分野ということで申し上げますと、許可基準型病者用食品に経口補水液の区分を新設したということでございまして、今までの個別許可型ではなくて、一般的な規格に許可型ということでやったということでございます。今回は2年間ということで経過措置期間を置いておりますけど、この2年間というのは、それによって取り締まりをしないという意味での2年間ですので、当然ながら事業者の方にはできるだけ早く切り替えをしていただくようにということでお話をしておりますし、私どももこの違い、それからお話がありました中の成分についてのPR等はしっかりやっていきたいと思っております。