新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年5月10日(水) 11:00~11:24 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室/オンライン開催)
発言要旨
本日は冒頭、災害時に係る住宅修理サービスのトラブルに関する注意喚起ということでお話をさせていただきたいと思います。
はじめに5月5日に発生した石川県能登地方を震源とする地震により被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
今般の地震に伴いまして、災害時に係る住宅修理、あるいは、屋根等のいろんな建物に関するトラブルに関する注意喚起について改めてお知らせをしたいと思っております。お手元に資料を配布しております。これは、令和2年の夏でございますけれども、消費者庁、金融庁、国土交通省、それから、保険会社、あるいは、住宅のリフォーム業界の方々と共同で作成いたしましたパンフレットになります。災害に便乗した悪質商法に注意ということで、豪雨、台風、地震、大雪などの大規模な災害の後、これに便乗した悪質商法等のトラブルが起きやすいということで注意喚起をさせていただいておりまして、改めてご説明させていただきたいと思います。
地震などの自然災害の発生の後に、「災害に便乗して本来必要ないのに工事が必要と言われて住宅の修繕工事の契約を勧誘される」、「保険を利用すれば実質的に無料で修理できるなどと契約を迫られる」といった消費者被害が発生する傾向にございます。地震等により被害を受けたら慌てずに、修理する場合も複数の事業者から工事の見積りを取るということ、それから、自宅を訪問した事業者とその場で修繕の契約をしたということになりますと、8日以内であればクーリング・オフをすることができるということですし、本来不要な工事を勧められた場合には取消しもできる場合があるということです。
被災地の皆様には、リフォームの勧誘を受けた場合には、その場で即決せず、しつこく勧誘される場合にはきっぱり断る、それから、対応に困ったら1人で悩まずに最寄りの消費生活センターに相談をするようお願いしたいと思います。また、「保険を使って無料で修理します」といった勧誘を受けた際には、すぐ契約をせずに、ご自身で損害保険会社や代理店に連絡する、それから、修理等の契約内容をしっかり確認する、といったことにご留意いただきたいと思います。この情報は消費者庁の公式Twitterでも発信をしますので、ぜひご参照いただきたいと思います。
質疑応答
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問
朝日新聞の寺田です。
冒頭の発言に関連しまして、今回の5月5日からの一連の石川県の地震で、こうした災害時の悪質商法に関する相談などや新しい被害が入っていますでしょうか。
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答
現時点では確認をしておりませんけれども、一部報道機関で報道されているということ、それから、過去の事例でも、大雨あるいは地震、台風といった災害の後には、残念ながら発生しているような悪質商法ですので、ぜひ今回もご注意いただきたいということであります。
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問
日本経済新聞の前田です。
話変わって恐縮なんですが、昨日公表された不当寄附勧誘防止法に関する4月の情報提供件数についてなんですけれども、不当寄附勧誘にあたる疑いのあるものが18件ということだったんですが、その18件という数字について長官ご自身はどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせいただけますでしょうか。
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答
昨日、河野大臣から、件数、それから詳細について発表させていただき、事務方からも説明をさせていただきました。昨日の大臣の記者会見においても大臣からご発言があったと承知しておりますけれども、情報収集の取組を開始してから1か月ということですので、この寄せられた情報の多寡については評価できる段階ではないと思います。
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問
読売新聞の糸井です。
今の件に関連してなんですけれども、今回1か月で公表したことのまず意義というところと、あと今後に向けてどのような体制でやっていくのかというところについてお願いします。
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答
今回、寄せられた情報を1か月で公表したというのは国会の審議の中において、しかるべき時期に情報を公開するということをお話ししてきたということで、1か月の区切りということで、まず、情報を提供させていただいたということです。この法律につきましては、法律を作る段階で、いろんなご議論もありましたし、実際の施行状況を見て2年で見直すという条項も入っておりますので、できる範囲で透明性を高くするということが必要だということで、今回1か月で情報を公開させていただきました。今後も定期的に公表させていただくという方向でやっていきたいと思っています。
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問
フリーの木村です。
ちょっと別件で恐縮です。改正景品表示法案が成立する見込みですけれども、今回の改正によって悪質な不当表示というのはどこまで抑えられるのか、そして、確約手続の運営というのは難しいかと思うんですけど、その辺の所感についてお聞かせください。
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答
改正景品表示法案は、現在国会審議中ですが、1年半という範囲内で施行していくことになります。まずお話ありました、確約手続については、どういう場合に確約手続になるのかということで、やはりガイドラインを作っていくということが最初だと思っています。それから、今回の改正の中で、不当な表示をなくしていくということとともに、早期に是正をして消費者にとってより良い状況を作っていく、確約手続にはそういう意味もあると理解しておりますので、早期是正のために確約手続をどう使っていくのかということは一つの鍵になると思います。
もう一つは、今回直罰規定を導入したということが事業者の方への抑止力になります。
それからもう一つは課徴金。累次に事案を発生された事業者への課徴金の負荷を高めています。そういう点では抑止力を強化したということですので、事業者の方には、それに従ったしっかりした規律ある行動をしていただくということが必要だと考えています。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
6月1日から施行される特定商取引法契約書面電子化について再度質問させてください。ガイドラインの修正について事務方から何の連絡もありませんが、ガイドラインを見直す考えはないということでしょうか。
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答
(取引対策課)事務方からお答えさせていただきます。ガイドラインの見直しということですけど、まだそもそも施行もされていないという状況でございますので、ご意見としていろいろあるところではございますけれども、今のところ、施行状況を見ながら判断をしていくということになろうかと思います。
- 問 本当は大臣会見で伺うべき内容とは思うんですが、ちょっと内容が細かいために事務方の方からもう一度教えてください。一見契約書面等に記載すべき事項を送信したように見えても消費者が閲覧できなくなるような場合は、8日とか20日とかにこだわらず、この施行規則8条1項1号イの電子メール等で送る方法とは言えないとなぜ書けないのでしょうか。何に問題があるからそこが書けないのか教えてください。
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答
(取引対策課)お答えさせていただきます。仮に、ものすごい長期間にわたって閲覧ができる状況ですと、一定の期間だけで見えなくなるというだけをもって相手方のファイルに記録されたというふうには判断しきれない場合があると考えられたことから、例示として、一定期間短い期間の間に閲覧することができなくなっているような場合には、電子メール等によった方法には該当しないということをガイドラインで書かせていただいているところでございます。
- 問 そのような長期間閲覧ができる状態で保存されない、要するにファイルには記録されない状況でアーカイブ上にあるということなんですかね、よくわからないですが、そういうものが現実的にあるんですか。
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答
(取引対策課)少なくとも技術的には当然できるものでございますので、現実にあるかどうかというのは、ガイドラインというのはかなり汎用性のあるものとして作成するものでございますので、その技術的にあり得るというものについて否定するようなことを現時点で書くことはガイドラインでは難しいというところでございます。
- 問 であれば、消費者が保存をしてファイルに記録する必要があるようなものは、施行規則8条1項1号ロのウェブサイトを利用してダウンロードする方法に該当し得るではなくて、該当し、何十年経って消えなかろうが、保存をしなければファイルに保存されないようなものは、そちらのウェブサイトを利用してダウンロードする方法に該当して、保存しなかった場合は、書面交付をしたことにはならないと、なぜ明確に書けないのでしょうか。
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答
(取引対策課)それについては少なくとも例示的に書かせていただいているとおり、繰り返しになってしまいますけれども、短い期間で閲覧できないものについてはイには該当しないということで、あとはロに該当するという、し得るというところです。ロに該当した場合は当然のことながら、後でも書かせていただいている、確認の手続に際して、ちゃんとダウンロードされているかどうか確認されるということになりますので、それをもって足りるというと変ですけれどもそのように書かせていただいているところでございまして、特段の紛れがあるということは今のところ考えているところではないところでございます。
- 問 該当し得るという、し得るの「得る」はなぜ要るのですか、該当するんじゃないんですか。
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答
(取引対策課)今のような、一見閲覧することができたとしても必ずそれがダウンロードできるかどうかもそれは限らないものですので。
- 問 保存=ダウンロードではないんですか。
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答
(取引対策課)そもそも閲覧ができたとしてもダウンロードできないという方式も当然あり得るところですので、そこはロに該当し得ると、ダウンロードできなければ当然ロの方法にも該当しないということはこの法律上明らかでございますので、一見、イに見えたとしてもロに該当し得るというしか書きようがないというところでございます。
- 問 どうも分かりにくいので、相談現場とかにはもうちょっと分かりやすい説明で伝えていただきたいと思います。福祉分野に関しても。それからその適合性の確認のところで、施行規則はやはり現実的に電子メールとダウンロード型を対象に書かれていて、ショートメッセージサービスに関しては後で入ったということもあるのかもしれませんが、明確に書かれていないと。本当にそのLINEで保存ができるというようなことを事業者が確認したことはどういうふうに裏付けが取れるんですか。そういう不安に思う相談員さんからのご意見とかが来ていますので、どうやってそれを確認したことを後で確認できるんですかと、相談員たちがどうやって確認できるんですかと、そこのところはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。
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答
(取引対策課)それは事業者の方がどのように確認したかということになりますので、確認の方法については、施行規則で定めているとおりでございますので、それに則っているかどうかというところでございます。
- 問 施行規則には書かれてませんので、ショートメッセージサービスについては。書かれてませんよね。
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答
(取引対策課)少なくともその電子的方法とか、いわゆるウェブサイトとかを利用してくださいということをですね、施行規則で書いておりますので、それに反するようなことで承諾とかを取っているとかということ、承諾の取り方については書いているところでございますので、そういうものに則って、承諾を取っているかどうかということについては、事業者の方に確認いただく、ということになるのかと思います。
- 問 承諾ではなくて、適合性確認をしたかどうか、事業者はしましたと言うに決まっているじゃないですか。なにしろ、優しく説明されておばあちゃんたちは何でもはいはいと言ってしまうと、皆さん心配しているわけですよ。じゃあどうやって確認するんですか。
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答
(取引対策課)適合性等については、その承諾をするにあたって、そういったウェブサイトとかを介して行うことによって、その人の適合性とかも確認するということができるということをガイドライン等でも説明しているところでございまして、その間に、事業者の方でおかしなことが介在されているということなのであれば、それは消費者の方にお話とかを聞いて私がやったんじゃないということは、事業者の方が言ったとしてもそれは違うということがあり得るというところでございます。それはどんなものでも同じかもしれませんけれども、この書面の電子化に限ることではなくて、事業者は適法にやっていると言ったとしても、消費者の方が不実告知をされたとかということはこれに限ることではございませんので、それは主張が食い違うということは当然あり得るところで、それをどのように確認するかと言われれば消費者の方にもお話とかを聞いたりする、ということになるのかというところでございます。
- 問 消費者は真意の契約すらできない、不当に勧誘されたことをうまく説明もできないから被害になっていてなかなか救済ができないんですよね。だから皆さん心配しているというところがあるので、もうちょっと本当はこのガイドラインはちょっと本当は見直していただきたいと再度要望をしておきます。よろしくお願いします。
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問
ウェルネスニュースグループの藤田です。
別件ですみません。機能性表示食品制度のガイドラインの改定の公表なんですけど、これいつ頃になりますでしょうか。
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答
今パブコメしているものですか、違うものですか。
- 問 しているものかな。している方はどんな感じなんですか。
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答
然るべきパブコメの期間を経てガイドラインを出すということだと思います。
- 問 していない方はまだこのパブコメが終わってからということですかね。
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答
そうです。
- 問 改定の時期はまだ決まってないということでいいんですか。
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答
担当課に聞いていただいたらいいと思いますけど、決まっていないと思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
別の質問をさせてください。不当寄附勧誘防止法の行政措置が4月1日から施行されて1か月の情報提供分について公表されたということなんですが、この法律なかなか複雑で、併せて消費者契約法が改正されていて、この行政措置については単独行為も契約と解される寄附全てについて行政措置が4月1日から入ったんですけれども、消費者契約法で被害の救済だけは、取消しだけはできるという規定になっています。それで、霊感商法等を用いた告知による勧誘に対する取消権が使える、追認することができる時からの行使期間が延長されています。これについてもう少し詳しく分かりやすく説明をしておいていただけないでしょうか。
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答
不当寄附勧誘防止法、それからそれに先立つ消費者契約法の改正については、逐条解説を既にホームページに掲載をしておりますので、それで不十分な点があるかどうかということだと思います。
- 問 なかなか分かっていない方が多くて、例えば、昨年の夏にマインドコントロールが解けた方は、いつからいつまでの期間、その霊感商法等の告知による勧誘に対する取消権が活用できますか。
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答
事務方から回答させていただきたいですが...
- 問 ここのところに答弁内容をきちっと入れてください。これとっても大事で、あっという間に3年過ぎてしまうので、去年の夏にマインドコントロールが解けた方は、2019年6月15日以降の契約であれば、3年間に延長されて取消権が使えるはずです。この辺はきちっと、不当寄附勧誘防止法の行政措置とは別に取消権が使えて、寄附というものは、今まで契約法ではなかなか対象にできないと思っていたものが、今回明確に契約であるということがはっきりしているので、この取消権は一応厳格な要件ではありますけれども、使えるようになっていますので、この辺は長官会見のところにきちっと書いておいていただけないでしょうか。
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答
今お話ししました民事ルールの方は、逐条解説で結構詳しく書いたつもりでございますが、ご懸念の点があれば、より詳しくするようにしたいと思います。
- 問 詳しくではなくて、逐条解説を読む一般の方はいませんので、一般の人が分かるように、取消権使えますと、マインドコントロールが解けて、マインドコントロールが1年以上前に解けている人たちはもう失効して使えませんので、1年も満たない間にこの1月5日が来た時は延長できるはずですので、その辺について分かりやすくもう少し説明すべきだと思います。一般の方向けに。
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答
(事務方)今、消費者契約法のお話いただいていますので、問題意識は担当課の方にも伝えさせていただきます。
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答
消費者契約法の改正部分については、既にパンフレット等も作っております。それが届いていないということであれば、さらにしっかり周知をするということと思います。ここで改めて申し上げておきますと、今、相川記者からあったように、消費者契約法と民事の世界とそれから行政措置が今回寄附の禁止行為に介入するという話は全然違う話でございますので、そこは誤解なきようにということですし、お話ありましたとおり、民事の中での取消しの範囲も、取消権の期間も拡大しているということなので、そこの周知はパンフレット等でやってきたつもりですけれども、届いていないということであれば、またしっかりやりたいと思います。