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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年4月27日(木) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭3件お話をさせていただこうと思います。
まず1点目、令和5年度消費者支援功労者表彰の被表彰者の公表ということでございます。令和5年度消費者支援功労者表彰被表彰者については、お配りしている資料のとおりでございますが、内閣総理大臣表彰5件、内閣府特命担当大臣表彰11件、ベスト消費者サポーター章29件を決定いたしましたことを御報告させていただきます。これまでの皆様の御功績に深く敬意を表し、心より感謝申し上げるとともに、引き続き消費者行政の推進に向けて御協力をお願いしたいと思います。なお、消費者支援功労者表彰の表彰式については、後日大臣から発表させていただきます。
次に2点目でございます。
今年のゴールデンウィークは久しぶりに行楽地に出かける予定をされている方々が多いと思います。ゴールデンウィーク、特に日常とは異なる体験をする機会もありますし、この時期に注意をしてほしい遊戯施設の利用や、それから、自然と触れ合いながら楽しむ水辺やキャンプなどの野外でのレジャーに関しまして、実際に発生した事故の情報や、これらの利用に当たってのアドバイスなどを含めまして、消費者の皆様に注意喚起することといたしました。本注意喚起の中にもありますトランポリン及び立体迷路に関しては、消費者安全調査委員会から先週「トランポリンパーク等における事故」の報告書が、それから、本日、「木造立体迷路における床板の落下による事故」の経過報告が公表されているということでございますので、併せて御覧いただきまして、これらの遊戯施設を利用する場合には注意をしていただきたいと考えております。今日17時、事務方から詳細を報告させていただきますけれども、過去に消費者庁でいろいろ注意喚起をしたものも含めて発信をしておりますので、ぜひ皆様、注意をして、楽しいゴールデンウィークを過ごしていただきたいと思います。
3点目でございます。
特定商取引法に係るガイドラインの公表についてです。特定商取引法の契約書面等の電子化に係るガイドラインの公表についてお知らせをします。特定商取引法に基づき、事業者は契約書面等を購入者等に交付する義務があるところ、本年6月1日以降、紙での交付を原則としつつ、政令で定めるところにより、消費者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができるようになります。今般電磁的方法による提供に係る規定について、その解釈等を示したガイドラインを新たに策定し、先週21日に公表したところです。ガイドラインでは、政省令案のパブリックコメントや、政令案の諮問における消費者委員会の答申書の附帯意見等で寄せられた御意見を受けて、政省令の解釈を明確化しているものです。本ガイドラインについては、明日28日14時からオンラインで事業者向けの説明会を予定しているところであります。消費者庁のYouTube公式チャンネルでも配信するほか、後日アーカイブ配信も行いますので、ぜひ御覧いただき、このガイドラインに従った取引が行われるように私たちも注意をしていきたいと考えています。

質疑応答

共同通信の池上です。
冒頭の御発言と関係なくて恐縮なんですけども、食品ロスの削減についてお伺いしたいと思います。自民党のPTなどが総理とか大臣に対して先週からいろいろと法改正も視野に入れてより取り組んでいくように、という申し入れをしているかと思います。実際、今後の法律をどうするかというのを考えて作成していくのは消費者庁の役割になるのかと思います。まず、どのように取り組まれていくのかという意気込みと、あと、今後、検討会ですとか時期的なスケジュール感ですとか、どのように進めたいというものがあれば聞かせてください。お願いします。

今お話がありました、自民党が取りまとめてくださいました提言においては、2030年度までの食品ロス半減目標を着実に達成するために、食品の提供等に伴って生ずる法的責任のあり方について、法的措置も視野に検討するということが内容として盛り込まれておりまして、政府に求められている事項であります。今回の提言を受けまして、食品ロス削減策を推進する立場の消費者庁といたしましては、食品ロス削減推進法に位置付けられています食品ロスの削減に関する重要事項について審議する「食品ロス削減推進会議」の枠組みを活用して、食品の提供等に伴って生ずる法的責任のあり方についての政府内の検討体制を整備していこうと考えております。食品ロス削減については、いろいろ他省との関係も多いところでございます。食品という観点での農林水産省、それから、ゴミの削減という観点で環境省、それから、食の安全ということで厚生労働省、いろいろな省庁が関係しているということですので、政府内での推進体制をまず確立したいと考えています。その上でどのような形で論点を整理していくのか、法改正をどのような形でやっていくのかというのは、その中で議論していきたいと思います。

日本消費経済新聞の相川です。
21日に消費者庁のホームページで公表されていた「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」について質問させてください。契約書面を電磁的方法で提供する方法について、電子メールに限らずショートメッセージサービスで契約書面を送信して、消費者のデバイスに備えられたファイルに記録された場合も該当すると明確に書かれています。この中で、一見、契約書面を送付したように見えたとしても、例えば、送信者たる事業者がその送信を取消等により、または、クーリング・オフができなくなるまでの期間(電磁的方法による提供を受けてから8日間、連鎖販売取引等は20日を経過するまでの間)に満たないまでの期間の経過を理由に、消費者が書面に記載すべき事項を閲覧できなくなるような場合は該当しないと、非常に分かりにくい書き方なんですけど、8日間の間に消えてしまうようなものは該当しない、と書いているように読めます。実はLINEでPDFを送付した時は有効期限がちょうど8日間です。また、LINEの個別の案件については答えないというふうにきっとおっしゃられると思うので一般論として8日間は見られるんだけれども、9日目には保存という能動的な行為を消費者がしなければ見られなくなるものは、契約書面を電磁的方法で提供したということになるのでしょうか。

(取引対策課)事務方からお答えさせていただきます。今御質問があった件ですけれども、ガイドラインには、今お読みになられたところの冒頭に、例えば、ということを書いておりますので、あくまでこれは一例ということを示しているところでございます。個別の当てはめについては今申し上げられないんですけれども、一般的に、契約者の方が後から契約内容について振り返った上で事業者に対して責任追及の糧にするというのが契約書面の役割でございますので、あまりに短い期間で、他律的要因によって契約書面が読めなくなるようなものについては、なお自己の使用に係る電子計算機には記録されていないというふうに判断されると考えられますので、電子メールによる方法には該当しないというふうに判断されるものと当課では理解しているところでございます。

あまりに短い期間とはどのくらいなのでしょうか。

(取引対策課)これ一概に申し上げられないので、ここに例示とさせていただいているところですので、例示として挙げさせていただいているものは、8日とか20日、ただ20日とか1か月とかというと、要は、効果・効能とかを見た場合に1か月後になお問題が起きるので責任追及したいという消費者の方もいると思いますので、一概には申し上げにくいところはありますが、責任追及とかをしたいというふうに考えられる多くの消費者がみられるような状況でないと、それは短い期間というふうに判断されるんじゃないかというところでございます。

非常に分かりにくくて、やはり保存という操作をしないのに消えてしまうようなもの、あとは勝手に事業者が消せるようなものは電子メールで送信する方法に該当しないというふうに明確に書いていただけないのでしょうか。ガイドラインを修正していただきたいと思います。

(取引対策課)御指摘については、送信者たる事業者が取り消しによって消費者が閲覧できなくなるような場合は、明示的に例示させていただいておりますので、御指摘は参考にさせていただきますが、作成させていただいた当課といたしましては十分明確化が図られているというふうに考えているところでございます。

全く明確ではないと思います。9日はどうですかというふうに聞かないといけない。じゃあ9日は大丈夫ですと、じゃあ20日ぐらいまではだめなんですね、じゃあ1か月はどうですか、と一つずつ聞かないといけない、相談現場にそんなことをさせるんですか、というのが1点。ここはもう見直していただきたいというのが1点です。それから、相談員さんたちといろいろお話をしていたら、一般の消費者っていうのはLINEで届く、大体おばあちゃんたちは孫の写真とかも送っているので、大体日常的にLINEは使っていると思っているんですね。でも、その写真がアカウントに届いて見ることができる状態なのか、自分のデバイスにダウンロードされて、もうそれはファイルに登録された段階なのかっていうのは分かってないんです。ほとんどの人が分かってなくて、その場でLINEで相談して、事業者が「ちょっと貸しておばあちゃん」とか言って、「ここでこうやってやったらいいからね」って保存をしてポチッとやってしまって、そういうやり取りが目に浮かぶと。そして、そのファイルがどこに保存されたか、そのおばあちゃんたちは分からないんだと、こういう場合、どのような扱いになるんでしょうか。

(取引対策課)例えば、今挙げられているような事案ですと、禁止行為としてそもそも適合性が確認できていない方に対して電磁的方法によって提供するとか、あるいは、不正な手段によって承諾を代行しているとかということになりますので、そもそも禁止行為として今回施行規則で禁止しているところになります。

ただ、これガイドラインをよく読むと、電子メールに対してはこういうことを確認しましょうとか、ウェブサイトでダウンロードする場合については、具体的に、書いていますが、このLINEのようなSNSについては何の記述もないですよ。日常的におばあちゃんたちが使っていて、保存できるかどうかもきちんと確認させるんですか。それはガイドラインには全く書かれてなくて、そして、はっきり言って、勝手に事業者がポチッと押しても全くそのおばあちゃんたちはどういうふうに介入されたかも後で立証できないような状況ですよ。もう全くやられ放題だと思いますけれども、それに対してはどうですか。

(取引対策課)そもそもそういったことについては承諾とかがございませんので、立証の問題をどういうふうに考えるのかというのは、そもそも消費者の方がそのようなお話をされればですね、そういった真意のある承諾というのがなされていないということだと思いますけれども、そういった、もし、仮に、不正な不当な承諾等があれば、当庁としましては厳正に対処していくということになるかと思います。

ですから、不当な承諾じゃなくなるんじゃないですかということです。おばあちゃんたちは日常的にLINE使っています。LINE使っているから大丈夫ですよねって、LINEは便利だからっていいですよね、と言って安易に容易に承諾を取ることは想定されます。そういうことも加えて、非常にこのガイドラインでは不十分だと、見直していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

この契約書面の電子化については非常に長い期間いろんな方と御議論をしてきたと承知しています。その中で繰り返し申し上げていますけれども、紙での交付が原則だということは変わっていないということでございますので、当庁としても、御心配になる方はまず紙で交付してくださいということをしっかり主張してくださいと、そこが根本になると思っています。その中で、消費者の承諾が本当にあるか無いかというのは、いろんなケースが想定されるというのは御指摘のとおりかもしれませんが、それぞれのケースによって判断できると思いますが、まずは紙で交付してくださいということがこの原則だということです。しかしながら、電磁的方法による提供でもいいですよと承諾する場合には、それぞれ契約者である御本人の責任というものが発生してきますので、そこは当然ながら、LINEの使用方法とか、そういうものについてしっかりと知っていただく、それはメールも当然ですけれども、その上で、契約書面が紙と同じような形で自分の手元に残り、いざ契約を取り消したいといった時に使えるかどうかということをそこは考えていただくということも併せて必要になってくると思います。繰り返しになりますけど、紙での交付が原則だということをしっかり周知していく責務が消費者庁にあると思っていますので、そのようにしていきたいと考えています。

長官の御意見としては承りましたが、ではなぜ事業者の説明会しか開かれないのでしょうか。私たちには記者レクもなかったのでしょうか。

冒頭申し上げましたが、説明会、それからYouTubeでの配信、それからアーカイブの配信も行う予定です。また、個別に説明会の要請がございましたら出向いて御説明を行いますので、そこはオープンだという姿勢でございます。

ただ事業者向けの説明会になっていますので、これは福祉関係者に必ず丁寧に伝えていただいて、おばあちゃんたちはきっとこのような説明会をネットでしても見る方はいないと思います。じゃあどう伝えるんだっていうところをきちんとやっていただきたいということがありますが、根本的にはガイドラインは見直すべきだと思います。よろしく御検討ください。

御意見としては承っておきます。