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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年3月9日(木) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭、私から3点、発言をさせていただきたいと思います。
1点目でございますけれども、消費者庁のエシカル消費のインスタグラムを始めます。新しくインスタグラム公式アカウント「消費者庁エシカル消費」というのを開設いたしました。サステナブルファッションを始め、エシカル消費に関する情報を発信していく予定であります。
この中では、「エシカちゃん」というキャラクター、小学生をイメージしているんですけども、彼女がいろんなところ、あるいはいろんな情報収集するなどの形で、消費者庁の中の若手にこれでしっかり発信をしてもらいたいと思っています。
インスタグラムというのは10代、20代の方の利用率が高いと言われていますので、若年層に向けた情報発信、それによって世界を変えていくという原動力になればと考えておりまして、私も期待しているところでございます。
2点目でございます。この会見でも何回か申し上げてきましたけれども、本日、食品表示基準を一部改正いたしました。食物アレルギー表示の義務表示の対象となる特定原材料に「くるみ」を追加する。それから、特定遺伝子組換え農産物としての義務表示の対象に、「エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を産生する遺伝子組換えなたね」を追加するということでございます。
食物アレルギー表示は、消費者の生命又は身体の危害の発生に関わるものでありまして、食品関連事業者等には原材料や製造方法を改めて確認して、自らの表示をしっかりと徹底をしていただくということでございます。
このくるみの表示の義務づけについては、令和7年3月31日までを経過措置期間ということで考えております。消費者庁としては、引き続き事業者の方がしっかり表示をしていただくように制度運営に努めてまいりたいと考えております。
3点目でございます。本日よりということなので、今日の2時からと聞いておりますが、消費者基本計画工程表の改定素案のパブリックコメントを開始いたします。終期は4月7日でございます。消費者基本計画は、消費者基本法に基づき5か年を計画期間として策定され、具体的な施策は工程表として定めておりまして、毎年度これを改定するという仕組みになっているところです。
今回の工程表では、令和4年6月の消費者委員会からの付帯意見を踏まえまして、工程表に記載する施策を重点施策として位置づけ、14の施策を記載するという方式を取っています。
記載する全施策で複数のKPIを設定するとともに、アウトカム指標を初期・中期・最終と細分化することで、可能な限り進捗状況の見える化を実践していきたいと考えているところでございます。
関係者の方々から幅広い御意見を賜りたいと思います。

質疑応答

フリーの木村です。
別件で恐縮なんですけども、2021年の7月に消費者安全法に基づく注意喚起で、大塚製薬さんのサプリメントの偽造品ですね。それが出品されて、当時、消費者庁は結構大きく注意喚起を行った経緯があるんですけども、それと全く同じ手口のものが、今度、富士フイルムさんの機能性表示食品で、この会社に聞いたところ、メルカリとアマゾンで出品されているのが確認されたという話なんですけども、お聞きしたいのは、消費者庁としては、その事実関係を把握しているのかどうかということをまず1点お願いします。

今お話がありましたのは、富士フイルムが公式ウェブサイトにおいて注意喚起をされているものということでよろしいでしょうか。
個別の案件についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

個別の案件でお話しできないのかもしれないですけど、2年前のケースもそうですし、今回のケースも、中身も偽造品、パッケージだけじゃなくて、偽造品らしいんですけども、そうすると、中身が勝手にこう作られて流通しているわけですから、2年前のときも消費者庁が特に注意したのは、健康被害が出るおそれが否定できないので、摂取をやめてくださいということを呼び掛けたんですけども、そういう点ではもう早めに注意喚起した方がいいのかなと思うんですけど、その点いかがでしょうか。

今、比較として、令和3年に行いました大塚製薬のエクエルの話を引き合いに出されました。
今回の富士フイルムの案件も注視をしておりますが、全く事情が同じというわけでもないと思います。これ以上は個別の案件のことなのでコメントは差し控えさせていただきます。
しかしながら、いずれにせよ、この前も浄水器のカートリッジについて注意喚起をさせていただきましたが、いずれも似たようなケースではないかと考えています。通販によって供給することが多い製品というものは、その製造あるいは販売会社が公式の通販サイトというのを持っていらっしゃるのが通常です。この前の浄水器のカートリッジもそうでしたし、大塚製薬の製品もそうだと思っていますし、今回の製品もそうだと思います。
そういうものにありましては、やはり他のサイトで売られるものの中には、模造品の可能性があるということを皆さんには前提に思っていただきたいということが一つですし、そこには価格差が存在をするというような場合も多いということでございますので、様々な模造品に関して注意喚起、公表を行っておりますけれども、公式サイトがあるものについては、やはり、公式サイトでお買上げをいただくというのが、一番の被害を防ぐ方法ではないかと思っております。消費者の方々にお伝えしたいのは、公式サイトがあるものは、公式サイトがあることを確認していただくことが必要です。それについても、公式サイトっぽく見えて違うものということもあるので、公式サイトをしっかりと確認した上で購入していただくというのが、財産被害、ひいては健康被害も防ぐ方法でありますので、そういう意味での注意喚起、広報というのが重要ではないかと考えておりますし、今日のこの発言がその広報の一つになればと考えています。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
御説明あった、くるみのアレルギー表示の件です。これは公布の日から施行されるけども、経過措置が2年間あるということですね。長くないでしょうか。
つまり、くるみというのは推奨表示として、これまでずっと推奨されてきたんですけども、アレルギー自体は非常に危険なものであって、それも知らないままにということもありますし、義務化についての経過措置だと思いますけども、あと2年というのは長くはないんでしょうか。そこの点ちょっと確認です。

そこはいろいろ御意見あるかもしれません。この経過措置というのは、食品表示法に基づくいわゆる取締りの対象となるまでの期間ということでございますので、今も表示している方もいらっしゃいますし、経過措置期間の間にも当然先んじてやっていただくということが前提となると思います。
そういう点では長過ぎるという御意見もあるかもしれませんが、食品表示の今までのいろいろな経験値を踏まえますと、やはり2年間というのは事業者との関係において、適切だというふうに考えています。

もう1点、DHAですか、EPAとDHAのなたねですね。これは遺伝子組換え作物が、これまで9作物と、加工食品は33食品だったと思うんですけども、すみません、数え方としてなたねが対象品に入っていましたけども、加工食品が二つ、DHAとEPAが増えるというふうに数えていいのかどうかちょっと確認です。

今回のものは基準別表の第18ということで、特定遺伝子組換えのいわゆる形質の違うものということなので、今既に2種類、ステアリドン酸の大豆と高リシンのとうもろこしというのがあるので、そこに二つなたねのEPAとDHAが加わったということなので、形質としては四つになり、品目としては、大豆ととうもろこしとなたねというふうに三つになるという理解だと思います。

日本消費経済新聞の相川です。
くるみがようやく義務化されるということなのですが、公定法が当然、検査方法が確立したということだと思うのですが、実は、カシューナッツについては、なかなか公定法を開発してくださるところが見付からないということで、足踏み状態だったと思うのですが、カシューナッツについて長官はどのようにお考えになっているかお教えください。

このくるみを義務化するときに、カシューナッツについてもいろいろな御意見があったと思います。
今お話を頂いたように、公定検査法の確立も必要でございますが、実際に症例数を見ると、くるみとカシューナッツには差があるということもあって、今回くるみが義務表示化ということになったと承知しています。
今回の義務化に当たっては、くるみの検査法も開発をしていただきまして、公定検査法も手順とともに提示をすることができたということでございます。私たちもカシューナッツの公定検査法についても、いろいろな働き掛けをしているところでございます。
次の見直しのときには、品目の検討に際して、発症例なども含めてどのように検討していくかということになりますが、その中でやっぱりカシューナッツも上がってくるのではないかと思っています。
現在でもカシューナッツは推奨表示の品目というふうになっておりますので、カシューナッツを扱っている方には、推奨品目という形でしっかり表示をしていただくようにということで働き掛けをしていきたいと考えています。

はい、ありがとうございます。もう義務化の水準を超えていると私は認識しておりますので、早急な義務化を御検討いただければと思います。
それから、別件なのですが、消費生活相談員の会計年度任用職員についてなんですが、この会計年度任用職員制度に移行してちょうど3年目ということで、国が示した基準だと、1年雇用で2回更新ができ、3年目に公募するというようなものが示されていまして、公募が行われているところがどのくらいあるのか。
それからですね、公募をした際にですね、やはりほとんど新しい人を残して全部の人たちが入れ替わった自治体がある、あるいはその更新が行われなかった自治体があるというような声が入ってきております。この実態を消費者庁は把握されていますでしょうか。

お話がありました相談員の方々、多くの、県、地方公共団体におきましては、会計年度任用職員の制度の対象となっているということでございます。
この制度、相談員以外にも、いろんな方々に使われておりまして、その制度自体の課題も提起されているというふうに承知しています。
相談員の方々が安定的に業務を続けられる、それから、消費生活センターとしての機能を低下させないという意味で、どういう形で、相談員の方々の処遇なり、全体としての相談能力をパワーアップしていくのかということは、重い課題というふうに受け止めておりまして、庁内でもいろいろ検討を始めています。
今お話がありました、今回3年経ってということで、相談員の方々がこの制度の適用によってどういう形になったのかというのは、年度を明けてちょっと落ち着いた段階で総合的に調査をしようと思っています。
やはり実態を把握して対策を立てるということが必要だと思っていますので、今その調査の準備をしているところでございますので、全体として、相談員の方々と国民生活センターの関係とか、いろいろ重要な課題がありますので、総合的に考えていきたいと思っています。

前向きな御答弁を頂き感謝しております。是非ここを消費者庁を挙げて検討をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。