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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年3月2日(木) 14:00~14:25 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭、3件、私からお話をさせていただきたいと思います。
まず一つ目ですけれども、令和5年度の消費者月間のポスターのデザインが決定をいたしましたので、報告をさせていただきます。
令和5年度消費者月間のテーマは「デジタルで快適、消費生活術~デジタル社会の進展と消費者のくらし~」ということでございまして、このテーマでポスターを募集いたしました。昨年の9月から募集をいたしまして、118のデザインの応募があったところでございます。
このうち、決定をいたしましたのが、本日ここに掲示をしておりますポスターでございますが、大阪府の野口大輝(のぐちひろき)さんの作品でございまして、坂道を歩く2人のうち、デジタルを取り入れている人が取り入れていない人よりもスムーズに歩くことができ、「一歩先を行ける」というデジタル社会の様子を表現されており、今回のテーマにふさわしいものと考えております。
当然、デジタルに伴いまして、デジタルの恩恵を享受できない、あるいはデジタルによる様々な問題が生じている場合もありますけれども、これからの社会の中で、やはり決して皆さんが欠くことのできないものということで、このようなポスターということでございます。
このポスターは今年の5月の消費者月間の普及啓発ということで、全国の各地に掲示をしたいということでございます。
それから、消費者月間には、関連するいろいろな行事も行いますので、それについてはまた別途お知らせをさせていただきたいと思います。
2点目でございます。お手元にプレスリリースを配布しておりますけれども、3月15日(水)に令和4年度の消費者庁新未来創造戦略本部の成果報告会を開催いたします。
徳島に拠点を置く新未来創造戦略本部では、先駆的な取組の試行、検証のためのモデルプロジェクト、それから、デジタル化など社会情勢の変化による新しい課題に関する消費者政策の研究を実施しています。
この成果報告会は、未来本部が今年度行った主なモデルプロジェクトや研究の成果を広く御紹介するものでございます。例えば、SNSを活用した消費生活相談の実証、見守りネットワークの更なる活用、消費者向け食品ロス削減の推進に関するモデルプロジェクトのほか、デジタル社会における消費者保護に係る国際的な法制度の研究。それから、新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費行動に関する研究など、全体12テーマについて成果の報告を行う予定となっております。いずれも興味深い内容となっていると考えております。
この成果報告会はオンラインで広く一般の方にも配信をするということでございますので、是非御関心の方は見ていただきたいと思います。
3点目でございます。先日の会見で特商法の処分件数についての御質問を頂いたところでございます。この特商法の件数につきましては、国及び都道府県ごとに件数を毎年度末ということで公表しておりますけれども、今回お尋ねがありましたので、2月末日現在で処分件数を取りまとめて御報告をさせていただきたいと思います。
本年2月28日現在での処分件数でございますけれども、国が26件、都道府県が35件となっております。昨年度は国が41件、都道府県が40件ということでございます。
個々の事情に応じまして、調査期間の長短は異なり、それぞれの案件の難しさなどもありますので、必ずしも比較することがこの分野のものとして適切かどうかということはございますけれども、いずれといたしましても、消費者被害者の防止という観点から、都道府県とも連携をしながら、しっかりと行政処分なり、法的な権限を発揮していただきたいと考えているところでございます。
それから、この件数を申し上げると、処分件数の数え方に御疑問になるということかと思っておりますけれども、これは過去の年度別の公表も同じでございますが、国及び都道府県における特定商取引法の処分件数は、処分の名宛て人ごと、及び処分内容ごとに1件というふうに計上しておりますので、例えばA社とB社を処分した場合は2件ですし、3人について業務禁止命令をやったということであれば3件ということで、そのような数え方でこの件数を発表しているということを注記としてお話をさせていただきたいと思います。

質疑応答

朝日新聞の小泉です。
大した話じゃないんですけど、ちょっと気になったのでお伺いしますが、先ほど御紹介があった消費者月間のポスターですけど、左下の方に小さく『口約束でも契約は成立します 契約は「法的な責任が生じる約束」なので拘束力があります』と書いてあるんですけど、今おっしゃっていたデジタルと何かあんまり関係がないうんちくみたいのがいきなりあって、唐突感があるんです。これはどういう意味なんでしょうか。

これは、前回、前々回ぐらいの記者会見のときに、私どもがやっている消費生活意識調査の結果についてお話ししたところなんですけれども、契約の成立はいつですかということをアンケートしたところ、3分の2の国民の方が、契約が口約束で成立することを知らなかったという状況がございました。
唐突感があるということは分かりますけれども、契約の基本をやはり皆さんに知っていただきたいということで、ポスターの上の部分は、デザインを募集した部分で、ポスターの下の部分は消費者庁が扱える部分でございまして、ここにあえて書かせていただきました。という意味での基本的なことの告知でございます。

これはどなたの発案なんですか。長官ですか。

私の発案です。

共同通信の池上です。
私もこのポスターというか、消費者月間のデジタルというテーマに関連してなんですけれども、ポスターのデザインでも象徴されるように、これからはどんどんデジタル化で便利にしていきましょうというような流れになっていくんだと思うんですけども、まだだんだんデジタルになじめていないとか、苦手だとか、そういう特に高齢者の方なのかもしれないんですけど、そういう方もいらっしゃると思うんですね。そういう方にどういうフォローをしていくかとか、そういう方も置いていかないために、何か消費者庁として、ちょっとざっくり広い質問にはなってしまうんですけれども、どういった姿勢で取り組んでいきたいかというのがあれば、お伺いしたいです。

重要な視点だと思っておりまして、デジタル化の問題、デジタル化が避けて通れる問題であればいいのかもしれませんけれども、世界中の人々にとって避けては通れない方向だと思っています。
その中にありまして、お話ありましたとおり、やはり取り残されないような形でどうしていくのかということで、これは政府の全体のデジタル化のお話でもありますし、私も地域の消費生活センターの広告のページなどを見ると、消費生活の1場面として、例えばスマホ講座なんかをやっている市町村もあります。いろいろな形で横連携していくというのが必要ですし、デジタルと併せて、当然ながら消費者がある意味でだまされやすい状況というのが出てきます。
今、SNSについて議論していただいておりますし、私たちもEC取引なりの中でどうやって情報を提供していくかということを模索していますので、その両様をやっていくということで、そのデジタルの中で消費者がしっかりとした合理的な判断ができる状況を作っていく。世界の状況も見ながら進めていくということだと思っています。

毎日新聞の藤沢と申します。
私もポスターのことなんですけれども、今おっしゃったようにいろんな課題がある中で、テーマについてちょっと私の理解が不足しているんだと思うんですけれども、このポスターを一見すると、何かデジタルの活用をしましょうとか、推進をしているように素人目には見えるんですけれども、何かデジタルの活用を推進することを消費者庁が啓発するというのも何かちょっと不思議ですし、あるいは、そうした先ほどから長官がおっしゃっているようないろんな課題であるとか、注意を促すような要素が入っていないようにも見えるんですが、なぜその辺は入っていないのか、よろしければお願いします。

これ、今回ポスターですので、デジタルで消費生活がどういうふうになっていく、その中で消費者がどう活動していくかということで募集をしています。
このポスター以外もデジタルでの将来を描くようなポスターが当然多かったということでございますし、令和5年度にこのテーマを選びましたのも、デジタル社会に対して脆弱な消費者がどのようにデジタル化にキャッチアップをしていくかということですので、これはこの後お話をいたします関連行事の中でも見ていただきたいと思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
今の質問で私も同感なんですけども、ただ、今長官がおっしゃったように、関連事業がこれから発表されると。つまり、消費者月間のシンポジウムであるとか、去年は分科会をやったわけですけども、三つのですね。そういう中でデジタル化についての影、つまり、その消費者トラブルであるとかということもやっていく、テーマになるということでしょうか。確認です。

当然です。

これは5月の消費者月間事業、行事になりますけども、いつ頃まとめられ、発表になりますでしょうか。

まとまったらお知らせをしたいと思います。

去年はオンラインという形でやったんですけども、分科会を設けて。それは前にやったシンポジウムとは違った形態で、名前はそうであったとしても、手作りの中身の濃いやつだったと私記憶しておるんですけども、今年の成果報告会もそういう形になるかどうか分かりますでしょうか。

まだ検討中です。今年はコロナの状況もだいぶ落ち着いていると思いますので、できるだけ併用型が望ましいのではないかなと思っています。

それともう1点、最初に御発言されました徳島の成果報告なんですけども、去年10月、11月辺りで「新未来ビジョン・フォーラム」の立上げがありました。これは民間シンクタンクであるとか、大学であるとか、未来に対していろいろ検討されているところと徳島の本部が連携してやるということで、確かこれは非公開でずっとやっていらっしゃるというふうに聞いて、このビジョン・フォーラムは。これは、成果としては何か報告は予定されていますか。

新未来ビジョン・フォーラムは、実はまだ1回開催したところでございまして、今年度の成果というのはちょっと難しいと思います。もうちょっと時間を、おそらく私としては来年度には、成果が出ることを期待しています。
まだブレインストーミングというか、土俵をどうするかという話を始めているところです。未来に向かってどうしていくのかということを思い描きながら消費者政策をやっていくところが非常に重要ですし、このデジタルの分野も基本的にはそういう分野だと思っておりますし、しかしながら、今年度の成果というところはまだちょっと時期尚早ではないかと思っています。

日本消費経済新聞の相川です。
特定商取引法の処分件数について、国が26件で昨年の44件から減っているということ自体、地方自治体も含め減っているということ自体問題なのですが、その処分件数の公表の仕方なのですが、消費者庁の処分の内訳を見るとですね、業務停止命令6件、指示6件、業務禁止命令4件、16件というふうにこれ数えられるんですが、実は同じ事業者、同じ処分で3関連事業者を処分しているようなケースもあってですね、現実的には3事案6事業者にしか行われていないということです。
全国の消費生活センターなどに寄せられる相談件数が約90万件ある中で、消費者庁の行政処分事案が3事案というのはですね、消費者庁として余りに情けないのではないでしょうか。
この処分件数の内容が、実態が分かるように公表すること。それからですね、景表法はですね、定期的にもっと頻繁に公表しているわけで、私は特商法も消費者庁ができた当時はもっと頻繁に公表していたと認識しています。そこはもっと外部にアピールする、そして、何か隠しているように、実績が悪いことを隠しているように逆に思ってしまえるので、処分もやっぱりしていくんだという意思を伝えるためにも、そこはもう、もう少し検討をお願いしたいと思います。
それからですね、今回質問通告をさせていただいたんですけれども、改正特商法が昨年6月1日に施行されて以後のですね、定期購入の相談件数の推移が分かるように、相談件数をお教えいただけないでしょうか。

まず、1点目の特商法の処分件数についてであります。
お話を頂いた趣旨は大変よく分かります。特商法のチームは、証拠を固めるため、相当な努力をしながら一つ一つの案件をさばいています。
やはりその努力を、私たちも積極的にPRしたいということは思いますが、若干、景表法と違うのは、この特商法というのは、警察との関係というのが非常に何というか微妙なところもございまして、悪い事業者自身を特商法の刑事罰や、あるいは本当に詐欺とかに該当するような案件もあるだろうということなので、そこで若干の差が必要だと思っています。
PRしたいことは当然ですし、積極的に公表したいということはございますけれども、その公表の仕方については、私としては現在の公表の仕方でよいのではと思っています。
それに加えて、非常に難しい問題なんですけれども、やはり一定程度の事業者の方がPIO-NETに上がってきたときに、消費者安全法に基づく注意喚起なり、それから類型ごとの、国民生活センターのこういう分野では非常に良くない案件が起こっていますよといった注意喚起と併せて、消費者に対して早期の警告、それから事業者に対してはその業界からの退場と、いろいろと使い分けながら消費者の利益を守っていくということが必要だと思っています。
90万件の相談のうち全てが特商法関連ということではありませんので、今、内部で議論しているのは、いつ、どういう消費者庁の情報提供なり、武器を使っていくのが、消費者保護の観点で一番いいのかということで、それぞれの案件をさばいているつもりですので、御理解をいただければというふうに思います。
それから、定期購入の件数のお話がございました。PIO-NETに登録されております定期購入に関する消費生活相談の件数、これは国民生活センターから頂いたところでございます。改正法施行前後を月別で見ますと、おおむね5,000件程度ということで、おそらく、この課題自体が歴年で見てみますと、だいぶ波があるというようなことでございますので、特段変化があるということではないというふうに私は認識をしているところでございます。

実は、相談件数、1月とかに極端に増えていまして、1万件を超える数になっており、増えております。
消費生活相談員の方からはですね、もう行政処分がなされないためにやりたい放題だと。野放しで法改正後、事業者が増加してトラブルが増えて、状況が悪化していると。最近は架空請求の相談よりも件数が多くて、手間が非常に掛かって、疲労感、負担感が多くなっていて、一番の負担になっていると。
とにかく電話がつながらなくて、センター専用電話番号がない、あるいは3時間待ってようやくつながる、あるいはセンターの専用電話番号や消費者用の電話番号も2時間以上待たないとつながらないというような案件が非常に多くなっているのに、全く行政指導もされないし、なぜ行政指導が1件もないのかと、そこを聞いてほしいという声が非常にたくさん上がっているのですが、これについてどうお答えになられますでしょうか。

お話しいただきましたとおり、1月の定期購入に係る相談件数は1万件になっておりますし、2月は約半分ぐらいということなんですが、これについてまずしっかり分析をしていくということ、それから、今お話がありましたけれども、そのような形で相談件数が上がってきたものに、あるいは、情報提供をいただいたものについては、私たち、調査をしっかりしていくということは、定期購入という問題のみならず他の事案も同様でございますので、それはしっかりやっていきたいというふうに思います。
それから、定期購入自体が、やはりいろんな分野で、サブスクリプションという言い方をすると割といい感じを受けるかもしれませんけれども、いろんな意味で定期購入のやり方、増えていると思います。
そういう中にあっては、今回の改正内容に係る情報がしっかり提供されているかどうかということは、やっぱり皆さんに、注意して購入をしていただきたいというふうな、PRと併せてやっていくということだと思っています。
私どもは決して怠っているわけではないので、しかるべき時期にはしっかりと調査結果を出していきたいというふうに思います。

ちょっとすみません、数字を出しました。国民生活センターに私が昨日の時点で取材した件数はですね、2021年度が5万8,526件です。2022年度は改正前のものも含まれますけれども7万4,146件、前年同期が4万7,617件ということで、とても減っているとか、法改正の効果が出ているとは言い難い、増えていると受け止めるのが妥当ではないでしょうか。
それでですね、現場の相談員さんの声を聞いてみますとですね、定期購入ではない、いつでも解約可と表示して安心させて、購入後に購入者しか入れない画面でですね、クーポンであるとか、おまとめであるとか、定期がお得などと言って定期購入に移行させる手口が一般化していると。これはもう消費者庁が放置していたからに他ならないと思うんですね。
それが一般化しているためにですね、もうやっぱり2回目が届いてしまって定期購入だと気付く人たちが多くなっていてですね、せっかく法改正で誤認させる表示に100万円以下の直罰規定を入れてですね、取消しができるようにしてもですね、もう取消し通知が使えないんですね、現場で。結局、消費者しか入れないところ、相談員さんが確認することができない画面で勧誘されているために、その交渉ができないというようなこともありまして、本当に苦労しています。
もうこれだとどうしようもないと、何とかしてくださいという悲鳴に近い訴えが出ているんです。本当にその処分ができないんだったら、更に改正してクーリング・オフを入れるとか、もう本当に待ったなしの対応が求められていると思うんですが、今後どうやってこの相談現場の声に答えるのか、消費者庁長官のお考えをお聞かせください。

消費生活相談、現場のお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。相談件数が増えているということは、いろんな御意見があるとは思いますが、皆さんが、そういう相談をしやすくなったということも背景にあるかと思います。これは国民生活センターとも相談しながら注意喚起の手法とか、消費者安全法の手法とかいろいろありますので、早期に対応をしたいと思います。
先ほど申し上げたいろんな分野で定期購入は増えていますので、そこでの消費者の利益を守っていくというのは、今後非常に必要になってくると思います。頂いた御意見を踏まえて、どういう対応ができるか早急に検討をしたいというふうに思います。ありがとうございました。