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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年2月9日(木) 14:00~14:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

本日は冒頭、私が2月7日に岡山県に伺っていろんな方々と意見交換をしてまいりましたので、その模様について御報告をさせていただきたいと思います。
岡山県にまいりまして、一つは食品ロスの関係で、内閣府特命担当大臣賞、消費者庁長官賞を受賞されている岡山と四国の方々と意見交換をいたしました。
具体的には、岡山県のスーパーのハローズ、これは令和2年度に内閣府特命担当大臣賞を受賞されたところでございます。それからジャパンハーベスト、これは令和3年度に消費者庁長官賞を受賞された方、それから令和4年度に内閣府特命担当大臣賞を受賞されましたeワーク愛媛の方と意見交換をさせていただきました。
食品ロスの法律の束ねの消費者庁として、これからどういう形でこの食品ロス削減というだけではなく、それを必要とされている方へどうやって届けに行くかということで、様々な活動をされている方のお話を聞いたところでございます。
ハローズはスーパーという立場でありますけれども、スーパーに取りにきていただくという形で生鮮食品も含めたものを、いろんな方に提供している。
それから、ジャパンハーベストの方は、ジャパンという名前がついております、世界的なこういう活動の方々との連携を取っているということで、世界の中で日本がどうあるべきかというお話。
それから、愛媛のフードバンクの方は、フードバンクだけではなくて、対面型のコミュニティーパントリーとか、あとフードドライブ、それから子ども食堂との連携を地域でいろんな形で展開をされているということで、これから正にロスしたものを必要とされる方に届けることも併せて食品ロス削減という形で展開していかなきゃいけないということで、課題、それからやるべき姿等について意見交換をさせていただきました。
それから、2番目のカテゴリーでございますけれども、岡山県消費生活センター、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者ネットおかやまに伺いまして、岡山県での消費生活センターの活動、それから適格消費者団体の活動について御意見を伺いました。
岡山県の消費生活センター、非常に活発にやられていて、特筆すべきことを幾つかお話ししたいと思いますけれども、まず、消費生活センターが月曜日は休んでおりますけれど、土日も受け付けているということ。それから、メールでの受付も相当早くから自主的にされているということでございました。
これは、岡山県においては、市町村での設置が余り芳しくないということを補う意味というのもあるようでございますけれども、やはり消費者の利便性を高めるために、間口を広くしていくということは、今後の課題だと思っておりますので、岡山県の事例は参考になるのではないかと考えております。
それからもう一つは、非常に早くから教材作りをされておりました。これも本ではなくて、いわゆるウェブで使えるものということ。ウェブで使う場合のそれぞれの解説書も一緒にということで作られておりまして、この作成の過程で、地元の大学の法学部のゼミの学生と連携をするということで、そこでゼミの学生と議論をし、その学生の人たちがボランティアとして出前講座などにも参画をしているということで、いろいろな方々の巻き込みと、それから展開というのが、今までに私が聞いた中では非常に特徴的であり、社会の中でも有益なのではないかなと考えています。
それからもう一つは、適格消費者団体と連携をいたしまして、消費者講座でボランティアの育成も非常に熱心に行われております。横の広がりを確保するという意味でございまして、正に地域の民生委員、児童委員、それからケアマネジャーさんなどにも広く呼びかけて、契約の基本的な話でありますとか、引っかかりやすい事例とか、そういう形でのボランティア講座というのも積極的に取り組んでおられまして、いろんな人たちが声を掛けていくということによって被害を防止するという点から、非常に参考になる活動でございました。

質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
岡山県の訪問なんですけども、消費生活センター及び適格団体ということですが、長官の方から、つまり消費者庁の方から、何ていうか、要望、働きかけというのは何かあったんでしょうか。岡山センターに対して。要求とかですね。お話を聞くというだけのお話なんでしょうか。

今回、既に県議会が始まっておりまして、知事にはお会いできませんでしたので、消費者庁の方から消費生活相談員のそれぞれの給与、それから活動についてということで要請はしているところでございます。
それから、もう一つは今回補正予算で手当てをいたしました霊感を中心にいたしました消費者への知識の普及のことということで、これにつきましても出前講座が、どの県もそうなんですけれども、コロナの中でなかなかやり難かったということで、是非これを活用して、皆様に消費者のいろんな知識を伝えていただきたいという要請をしてまいりました。

そうすると、今お話の相談員の配置の、要するに整備ということと、それとあと霊感商法に対する対応ということを要請されたと。

はい。

見守りネットワークについてはどうですか。

それもお話をさせていただきました。岡山県は、見守りネットワークの設置が全国から比べるとなかなか高くはないという状況でございまして、それも先ほど申し上げた見守り力アップということで、既に民生委員さんとか児童委員さんといろいろタッグを組んでいるという状況はあるようでございますので、それをやはり見守りネットワークという形で更に展開をしていただきたいというお話はさせていただきました。

日本消費経済新聞の相川です。
先ほど岡山県の話があったのですが、岡山県とか愛媛県の方で相談員の担い手不足について、その現場の問題意識というようなことについて御意見を交換されてますでしょうか。

今回、岡山県にしか伺っておりませんので、四国のほかの県につきまして直接お話を聞いておりません。

そうですか。ちょっとここについてはまた改めて質問をさせていただきたいと思います。
今回、実は6月1日から施行される特商法の契約書面の電子化について、再度ちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
2月1日に公布された特商法政省令で、SNSが除外されていない問題で、私が2月3日の大臣会見で質問したことを御覧になった相談員さんから以下のような御意見を頂戴いたしました。
訪販に来た布団屋さんと楽しいおしゃべりをした高齢者が、孫とのLINEと同じ感覚で、LINEでいいよという状況が目に浮かびますと。相談員は、SNSは除外されると思っていたので、大変怒っていますという御意見です。
この相談員さんの抱いている不安とか、このお怒りに対して、消費者庁から直接御説明をいただけないでしょうか。

消費者庁の方に具体的にお話があれば、これから私たちも説明会なり行ってまいりますので、お答えをしたいと思います。
それから、今頂いた内容についてお話しをさせていただきますと、今回公布いたしました規則の中で、少し用語は細かいのですけれども、「販売業者又は役務提供事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された書面に記載すべき事項を電気通信回線を通じて申込みした者の閲覧に供し、当該申込みをした者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法」ということで定めておりまして、このやり方の中で、このファイルを相手方に送る、しかも、相手方がそれを記録することができるというものであれば、それはSNSの手法であっても許容をするということで、しっかりと電磁的なファイルでは届くということが前提となっておりますので、相談員の方にそのような誤解があったということで、解かなければならないと思いますし、そういう意味では我々検討会の報告書のときからも、LINEのような電磁的な手法によって、メールでなくても届けられるものというのはこの手法として考えるということで記載してきたところであります。

ちょっとよく分かりませんでした、今の回答で。LINEについては、全世代利用率が90.3%あって、60代では76.8%、70歳代でも49.3%というのが総務省の令和2年の調査で明らかになっていてですね、まあ、外れないということであればですね、LINEについては、消費者庁もLINE相談も進めてきたということがありますので、どのようなものが対象になってですね、あと、1週間するとメールが消えて読めなくなるとかですね、あと、24時間相手方も削除することができるとかですね、いろんな仕組みがあるようなんですけれども、そういうものに対してはどこまでが対象でですね、どこがクーリング・オフの起算点で、そういうトラブルがあったときはどのように対応するのかということについて、相談員さんは不安を抱いていると思うので、そこのところについて明確に御説明をいただけたらと思いますが、よろしくお願いします。

今お話を頂いたもので、いろんなケースが出てくるということは私どもも考えているところでございます。
アプリによっていろいろな仕様がございます。それを消費者が設定を変えられるものと変えられないものというのがある。その点においては、メールもいろいろ設定が変えられますので、その辺のアプリの特性というのは考えなければいけないというふうに思います。
基本的には今申し上げましたように、そのPDFファイル送信することが可能であり、それを受け取った人が、保存することができると。このアプリが活用できるということであります。
したがって、アプリを受け取った人も、一定程度そのアプリについて使用しているというのが前提になるということです。そのときにPDFが送られたときに、しっかりと保存も、消費者が保存してしっかりと証拠を残す行為をしていただくことです。
それから、繰り返しになりますけれども、基本的にこのような電子書面で受け取るということは、提供を望まない消費者に対しては、電子書面は送ってはいけないということなので、そこでの入口をしっかりガイドライン等で書いていくということと、それからもう一つは、今回は消費者の希望によって、指名する第三者に対してもいわゆる記録の写しを送ることができるようになっていますので、そういう意味での、多重なロックという言い方が適切かどうか分かりませんけれども、導入していますので、それを皆さんに御理解いただくということが重要だと思っています。
今お話を頂きました、具体的にはこういうものが使えますということは、これからガイドラインを整備いたしますので、その中で皆さんの疑問にできるだけ答えていくようにしたいと考えています。

実は、相談員さんのメールにはこうもありまして、最近ネット通販の定期購入で解約の電話がつながらないという相談が多く、最近はちょっと増えているような印象すらあると。そこで、メールで解約をしてくださいというふうにお伝えすると、メールができないというふうに答える人がいて、最初は相談員さんも唖然としたらしいんですが、実はそういうことが珍しいことではなく、ほかの自治体の相談員さんに聞いても大変多いと。明らかにメールができない消費者ですら、消費者がネット通販で申込みをしていてですね、そのLINEで50歳以下の人ならできるかもしれないけど、LINEの保存機能を知っている人というのは60歳以上でどのくらいなのか、そんな調査もなくて大丈夫なのか、本当にLINEで保存できることを、事前の確認のときにきちっと確認してもらえるのかと。それができない場合は、ちゃんと違反になって、書面不交付の扱いになるのかとかですね、そういう具体的な心配がかなり来て、おっしゃっていますので、そこについてはちゃんとその場で保存することとかも確認していただけるんでしょうか。

今お話しいただいた具体的な、それぞれの方の御事情、いろんないわゆるケーススタディーというか事例になると思いますけれども、そういうものについて、私たちもできる限り検討して、皆さんに、相談員の方々がお困りにならないような状況というのは作っていこうと思っています。

基本的にですね、スマホもSNSも対象から外れるのが合意事項だったというふうに、委員の方たちはどうも認識していたとお話をされています。そこは消費者庁の認識とは違うのでしょうか。

そこは委員の方がどのような形でお話をしているのかというのは私も個別に聞き取ったわけではありませんが、報告書におきましては、具体的な提供の手法ということで、利用可能なアプリケーションは普遍性と持続性を有すべきではないかということで、その中で具体的にはということで、ウェブブラウザ、メールソフト、PDF閲覧ソフトというのが該当するというふうに、昨年10月6日の報告書ではなっております。
この中のいわゆるPDFファイルを閲覧できることというものについては、これもメールで、メールソフトでなくてもPDFが閲覧できるような形で送信をするというものはここで含まれるというふうに返しておりまして、この報告書の提言に反しているものではないと考えています。
その上で、先日公布したところでございますので、その規則の中で、相談員の方がお困りにならないように、それから、消費者の方々が戸惑わないようなということで、解釈、それから、いろいろなチェックポイントみたいなものは、しっかりお知らせをしていくということにしたいと思っています。

最後に1点だけ。やはりその契約書面の電子化自体がですね、検討会の検討もなく突然盛り込まれたということがあって、今回は丁寧に検討会で議論してきたはずだと皆さん認識されていて、1年2か月もかけてですね、とてもすばらしい報告書ができたというふうに私も思っていました。
ただ、その蓋を開けてみるとですね、一番大事なスマホのところとかですね、SNSのところがもともと除外されているような検討だったので、一番大事なところが公の場で議論されていない。そこに対するとても不信感というものがあって、やはりその辺は透明性を欠くのではないのでしょうか。この辺について、長官はいかがお考えでしょうか。

前回か前々回の記者会見にて質問を頂いたところでございます。やはり議論を透明性ある形でやっていくというのは当然だと思います。しかしながら、具体的な手法というのは、それぞれ変化していくということですし、具体的な手法になったときにやはり詰めるべき時期というのもあると思っています。
今回、重要なポイントは、消費者の承諾なしには電磁的な提供はできないということをまず決めたということでございまして、その承諾した方には本人のみならず、第三者にも通知をすることができるということで、書面と同等の形で、いわゆるそのものを受け取れるという形、それをどうやって担保をしていくかということだと考えています。
そういう中で、具体的に、これからもいろいろなアプリなりが出てくると思います。そういうときに、基本は今申し上げた消費者の承諾の有無、承諾がないときにやってはいけないということ。それから、消費者が電磁的な媒体であれ紙であれ、その書面を保存することができるということが重要ですので、そこの基本論が揺るがないようにいろんな解釈なり、皆さんや事業者への周知というものはやっていきたいというふうに考えています。

訪問買取りでですね、不招請勧誘の禁止規制を入れ、なおかつ8日間はいつでも解約ができて物品の引渡しを拒絶し、留め置くことができるということを伝えることまで法改正で入れてもですね、最近またやはり結婚指輪をですね、1,000円で奪い取られるように買っていってですね、全然もう気付いて申し入れたときには全く対応できずに対応されないみたいなことが相次いでいるような分野が特商法の分野なので、一応いろんなことを入れてくださっているということはあるんですが、一番心配な部分が公開の場で議論されていないというところに対しては、やはり今後も何か禍根を残すのではないかなと私は心配しておりますので、そこのところをきちっとフォローできるような対応をよろしくお願いいたします。

しっかりと皆さんの意見を踏まえて対応していくこと、それから、消費者の保護を図るために何がベストなのかということを基軸に置いてこれからも議論をし、対応していきたいと考えています。