新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年1月26日(木) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、私から2点発言をさせていただきたいと思います。
1点目は、河野大臣からも発言をさせていただきましたけれども、恵方巻のロス削減、それから豆等による窒息の注意ということでございます。
大臣から23日に御発言をいただきました。2月3日は節分ということでございまして、近年多くのスーパーやコンビニで恵方巻が売られているところでございます。この恵方巻のロスを削減するため、予約販売や食べきりサイズの販売ということに取り組んでおられると思います。消費者庁では、農林水産省と連携をいたしまして、SNS等を通じて消費者の皆様に恵方巻の予約購入と食べきりを呼び掛けているところでございます。
今週末にかけて予約最終日となる販売店が多いようですけれども、消費者の皆様におかれましても、恵方巻の予約購入と食べきりに努めていただき、ロス削減に協力いただきながら楽しんでいただきたいと思っております。
また、窒息事故を防ぐため、特に高齢者や小さなお子様は小さく切り分け、よくかんで食べるようにしていただきたいと思います。併せて、節分の日は豆まきということでございまして、実は豆類を喉に詰まらせるリスクがございますし、実際にもそれが発生しているところでございます。特に5歳以下のお子様には、豆を食べさせないようにということでお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
この豆類についての注意は、子ども安全メールにおきましても、1月24日に配信をしているということでございます。
それから、2点目でございます。
昨今、全国各地におきまして、残念ながら生鮮食品を中心にいたしまして、原産地について事実と異なる表示というものが結構見られるところでございます。これにつきましては、食品表示法に基づきまして、指示・公表をしているということですけれども、この原産地について事実と異なる表示をして販売する行為は、生鮮食品を始めとする食品の表示に対する消費者の信頼を揺るがしかねないものでありまして、あってはならないことというふうに認識をしております。食品表示は消費者の自主的かつ合理的な商品の選択の機会の確保に関し、重要な役割を果たしていますので、食品関連事業者におきましては、当然ながら適正な表示に取り組んでいただきたいというふうに思っているところでございます。
このような事態を踏まえまして、消費者庁と、それから物品を所管しております農林水産省におきまして、連続して発生している指示・公表案件を重く受け止めまして、農産物、畜産物、それから水産物の生産、それから流通及び販売に携わる多岐にわたる業界団体及び都道府県のそれぞれの担当課長に対しまして、今一度、取り扱う生鮮食品の原産地の表示を確認するとともに、食品表示法を始めとする表示関係法令の遵守の意識の浸透の徹底を促す呼び掛け、通知を、本日発出をしたということでございます。
食品表示制度を所管する消費者庁といたしましては、食品表示制度が適切に遵守されるよう、農林水産省、それから都道府県等の関係機関と連携を取っていきたいというふうに考えております。
質疑応答
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問
フジテレビの藤村です。
2番目の御発言の、生鮮食品を中心に原産地の事実と異なる表示ということですが、消費者庁の方で把握している範囲で、具体例はどのようなものがあるのか教えていただけますでしょうか。
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答
いつから遡ればいいですかね。令和4年の昨年の下半期、10月からということでお話をいたしますと、あさりが昨年から相次いでいたということではございますが、昨年年末からしいたけとかごぼうとかにんじんとか、そういうほかの生鮮食品にも幾つかの案件が相次ぎました。しかも相当長い期間やっていたということもございまして、やはりここで今一度、全体的に表示に対する社内でのチェック体制、それから、事業者の方などの遵守意識の向上というのをやっていく必要があるということを判断いたしまして、本日通知を発出させていただきました。
- 問 今挙げていただきましたしいたけ、ごぼうなど、あさり以外のところですと、何と表示されていたが、本当はどこだったというところも教えていただけると有り難いのですが。
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答
あさり以外、例えば、生しいたけ、昨年の12月でございますけれども、宮崎県産であるにもかかわらず沖縄県産と表示をしていた。それから、ごぼう、これは今年になってからでありますが、中国産であるにもかかわらず青森県産又は宮崎県産と表示をしていた。それから、これも今年の1月ですけれども、ごぼう及びにんじんにつきましては、中国産であるにもかかわらず国産と表示をしていたということでございます。詳細はまた事務方に聞いていただければと思います。
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問
読売新聞の加藤です。
今のに関連してなんですけれども、分かる範囲で伺いたいんですけど、あさりが相次いで産地の偽装がされているというのは、あさりがあったから、各部局、あるいは都道府県とかもちゃんと見ているのか、それとも、何でこう相次いでいるのかと。もし分かるようなものがあれば伺いたいのですけれども。
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答
何でということはなかなか難しいのですが、表示の申出なりですね、こういう事業者はこういうことで大丈夫だろうかというお話が、各監視をやっているところにあるはずでございます。
やはり表示が問題になったときに、そういう意味での情報提供というのが多くなるというのは、一般的な傾向としてあると思います。その情報提供に対して調査に行って、長年やっていたことが、調査の中で、何年間、何万トン、あるいは何個について表示違反があるという形で事実を確認した上で公表しているという流れになっていると思います。やはり誤った表示をしていることが、事業者として守るべき責務であるということが認識された中において、情報提供が増えたということが背景にあるのではないかなと思います。 - 問 情報提供というのは、ある種これは内部告発みたいなイメージなんですか。
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答
これは、詳細には申し上げられません。個人的には過去の体験はそれは過去の話ですので、ここで申し上げることは差し控えたいと思います。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
今のに関連してなんですけども、昨年消費者庁は12月に食品表示の一斉調査、一斉点検ということを各省庁、自治体と一緒にやったと。これは何か事例のあれとか見て発覚した時期を見ると、重なっているような気がするんですけども、もしそれと関係があるならば教えてください。
また、それと関係ないのであれば、一斉点検調査の結果公表はいつ頃になるか。それをちょっとお聞かせいただきたいんですが。
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答
そこら辺どのような関係があるのかというのは、情報を把握しておりません。
一斉点検は、毎年いろいろな物の流通が活発になる時期ということで、各地の食品衛生を持っている部局で行っております。そういう中で発覚したのかどうかなのかというのは、今申し上げたようになかなか事実として分からないというお答えでございます。 -
問
読売新聞の糸井です。
今の件なんですけども、今日の通知なんですが、具体的に都道府県の担当課長について、何を想定して何をしてくれと、どういうことを都道府県はすべきなのかというところ、その辺を少し詳しく教えていただければなと思います。
また、消費者庁としても、農水省と連携して何をどういうふうにしていくのかというのを、もうちょっと具体的にお聞かせください。
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答
これは本日発した通知は、「生鮮食品の原産地表示の関係法令の遵守について」ということで、最近相次いでおります生鮮食品に特にフォーカスを当てて通知を出させていただいているところでございます。
ここにつきましては、まず、関係事業者自らがしっかり表示をしていただくということなので、自らの表示の体制を見直しいただきたいということと、それから、都道府県部局もそうですけれども、それぞれの物の関係団体にもお話をしておりますので、関係団体を通じまして、その事業者、それから生産する事業者、それから流通及び販売に携わる方もきちんと伝達をする、それから食品表示についての意識を向上していただきたいということで関係通知を出しているということでございます。 - 問 消費者庁として具体的にやっていくことというのがあれば、何か考えていることがあればお願いします。
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答
まずは、それぞれの事業者が自覚を持っていただくということと、これから監視をやっております農林水産省なりと御相談をしたいと思っておりますが、定期的に分野を限って一斉調査というようなものも行っております。
そういう中で、今回の通知に対する効果というのも見ていくのも一つの方法だというふうに思っておりますし、消費者庁としては、表示制度について、例えばどういうふうに表示したらよいか分からないとか、そういうお問合せがある場合には、しっかり丁寧に答えていきたいと思います。 -
問
テレビ朝日の本田です。
冒頭とは違う内容なんですが、今、食べたら痩せるというようなことをうたう海外製の製品で健康被害が問題になっているという報道などがあります。現時点で消費生活センターなどへ、この痩せるゼリーの相談などは寄せられているか、件数が分かれば教えてください。
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答
件数自体は事務方に聞いていただきたいというふうに思います。
今回確かに保健所の方も、このような薬事法、薬機法に違反する成分が含まれているということで公表されたということは承知しているところでございます。
厚生労働省からは、これにつきまして、健康被害が起こるおそれがあることから、摂取している方は直ちに摂取を中止し、健康被害が疑われる場合には速やかに医療機関を受診するとともに保健所に相談をしてくださいということをお話しされております。
消費者庁では、いわゆる健康食品の分野についてPRをいたしておりまして、食事のコントロールも運動もせずに健康食品だけで安全に楽に痩せるということはないということ。それから、保健機能食品以外の健康食品は、販売前に人での安全性や有効性がほとんど確認されていないということなので、どの程度有害な作用があるかは分からないということ。それから、体調不良を覚えたらすぐ使用を中止し、医師に相談、それから保健所などに申告をしていただきたいということを周知しておりますので、このように関係省庁と連携しながら、消費者の方が被害に遭わず、利用する際に注意しながらやっていくということをお願いしているところでございます。 - 問 これまでも国内で販売されているものに関しても、景表法などで、それは表示だと思うんですけれども、こういった結構みんな消費者の方とか、痩せたいなと思っている人は飛び付いちゃうかと思うんですけれども、改めてどういうことを一番注意したいですか。
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答
表示の問題だけであれば、必ずしも健康被害がすぐ発生するものもないということでございますけど、今回は健康被害が発生するような、薬機法に違反する成分が入っていたということでございます。
今申し上げましたとおり、保健機能食品以外の健康食品は、販売前に人での安全性や有効性がほとんど確認されていないということですので、そういうことをまずしっかり自覚していただきたいということ。それから、繰り返しになりますけれども、食事のコントロール、それから運動をせずに、健康食品だけで安全に楽に痩せられるということはありませんので、それらをまずしっかりと念頭に置いていただきたいということでございます。 -
問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
改めて2点、すみませんがお聞きします。
先日、消費者委員会が答申を出しました。これは契約書面の電子化についての答申なんですけども、妥当とするという答申とともに、附帯意見を付けられて、大きくは導入された後の消費者属性に即した実態把握ということを踏まえた見直しの検討をすべきだということと、それとあと、クーリング・オフなどの重要事項については、ガイドラインで周知徹底をするようになどと要望されています。
これに対して、消費者庁として、答申自体は妥当だということなので、附帯意見についての消費者庁としての対応、これをお聞きしたいです。
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答
1月20日付けで消費者委員会から答申を頂いております。この中に、お話しいただきましたように附帯意見が幾つか付いておりまして、真摯に御検討いただいた結果での御提案だというふうに重く受け止めているところでございます。
その附帯意見につきまして、どういう形で対応していくのかということは、これから内部で検討していきたいと思います。
いずれにせよ、改善に向けての重要な視点だと思っておりますので、対応方針を早急に決めて実施に移していきたいと思います。 -
問
もう1点なんですけど、これも今週だったんですけども、エシカル甲子園なんですけども、エシカル甲子園で優勝された高校と特別賞を受けた高校が2校、生徒さんたちが集まって、それで、長官との意見交換、表敬訪問という形でしたか。あれを聞いていて、とても前向きで心が晴れるというかですね、とても参考になる、教えられることがとても多かったんです。
長官はこれについて、どういう受け止めをされたかをちょっと、あそこではよく分からなかったので、お聞きしたいと思います。
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答
先週、エシカル甲子園でそれぞれ賞を取られた宮城県の農業高校と、それから徳島県の城東高校の方がお越しになりました。それぞれの発表した内容とともに、意見交換を30分間ぐらいさせていただきました。
その中で、次世代を担う方々の興味関心の深さと、それをやっぱり実行につなげていこうというその原動力にとても感銘をいたしたということでございます。
宮城県の農業高校は、肥料のマイクロプラスチックについて、どうやっていけば改善できるかという、その問題提起だけではなくて、次に、どういう素材に変えていくと環境に優しくかつ農家の方々の余計な負担が掛からないかということで、商品開発に取り組んだり、それから、城東高校の方は、日本だけではなく、世界と意思疎通をするということとともに、同じような制服のリサイクルに取り組んでいる他の高校といろいろ刺激になったというお話もありました。
今後、更にこれをどういうふうに発展させたいかというお話をそれぞれ聞いたところと、この後、3年生は大学に進んで、そのときも、自分の興味関心を持って続けていきたい、あるいはこういう循環という形でいくと、他の物についても、実はリサイクルできる物があるんじゃないかということと、制服だけでなく、次の課題に取り組んでいきたいというお話を伺いまして、やはり問題関心の鋭さと、これからの原動力ということに感銘を受けまして、正直私たちが学ぶべきものはたくさんあるなという感じでございます。
そういう形で、高校生同士が切磋琢磨するのは当然ですけれども、そういう中でこういう施策を作る人たちも、やっぱり頭を柔軟にしていかなければ、また、常にチャレンジしていくという思いを強く受けまして、私も含めて、参加したうちの職員も非常に刺激を受けたということです。こういうような機会が最近増えておりますので、出場高校だけではなくて、皆さんも是非、機会があれば、それぞれの皆さんの高校の方々のプレゼンを聞いていただければ、よりいろいろな社会活動が活発になっていくのではないかなというふうに考えたところです。