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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年12月22日(木) 14:00~14:35 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

本日は、冒頭お話をすることが四つありますので、順に発言をさせていただきたいと思います。
まず、1点目でございます。エシカル甲子園2022ということでございます。
これは徳島県が主催で、消費者庁が後援で行っているものでございますけれども、来週12月27日、それぞれの選考過程を経て、76校の中から選ばれました12校が徳島県に集まりまして、それぞれ発表していただき、優勝校には内閣府特命担当大臣賞、準優勝校には消費者庁長官賞を授与するというものでございます。
パンフレットを見ていただきますと、非常に実践的な活動で、最近のSDGsのコンテンツと結び付いているということで、今回も非常に期待ができる発表になるのかなというふうに考えております。
当日は、事前登録なしで、オンラインでライブ配信が視聴できるということでございます。今年で4回目ということになりますが、例年非常に興味深い取組が発表されますので、是非多くの方に御覧いただければというふうに考えているところでございます。
それから、2点目でございます。エシカル消費をテーマに、令和4年度第3回の消費生活意識調査を実施いたしました。これは11月に実施したものでございますけれども、そのときのアンケートの結果がまとまりましたので、本日プレスリリースをさせていただくとともに、調査結果のポイントについて御説明をさせていただきたいと思います。
まず、1ページ目の下を御覧いただきたいと思います。エシカル消費の認知度でございます。これは年代別に行っておりますけれども、認知度は平均いたしますと26.9%ということでありますけれども、年代別ではやはり20歳代が最も高く、36.5%ということでありまして、やはりこのエシカル、SDGsの教育を受けている、あるいは流行に敏感な世代というのがエシカル消費の認知度も高いということでございます。
次のページをご覧ください。エシカルにつながる行動としては約6割の方々が「マイバッグ・マイ箸・マイカップ等の利用」を実践していただいています。
それから、次いで、「節水・節電」、「食品ロス削減」といったものが実践されているということでございます。また、約6割の消費者が、エシカル消費につながる商品、サービスの購入経験があると答えているということでございます。
エシカル消費につながる行動を実践している人がエシカル消費に取り組む理由としては、約5割の消費者が、同じようなものを購入するなら、環境や社会に貢献できるものを選びたい、というふうに回答していて、次いで、節約につながる、それから、環境問題や社会問題を解決したい、という回答が多くなっているということでございます。
当然ということなのかもしれませんけれども、エシカル消費について、言葉と内容の両方又は言葉のみを知っている人が、今後エシカルの消費につながる商品を購入、それから行動するというふうにおっしゃっているということでございます。
エシカル消費というのは、自分だけではなくて将来に向けて、やはり持続可能な社会を創っていくということで非常に重要でございますので、こういう購買活動、それからこういう考え方を広めるという活動をしていただけるというのが非常にこれから有効だというふうに思っておりますので、更に多くの方々が取り組まれるよう、それからそれぞれの産品ごとの特徴を今回も調査をしております。食料品でありますとか、日用品でありますとか、家電とか、いろんな形で調査しておりますので、関係省庁とも連携を取りながら進めていきたいというふうに思っております。
この調査、統計調査は、私は定点観測していくことが重要だと思っておりますので、この同じ項目で調査をしていくことによって、社会の動向を見ていき、それに伴って、いろんな施策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、3点目も調査結果でございます。大規模イベント会場における食品ロス削減実証の実施結果ということでございます。
これは、以前、この記者会見の場でもお話をいたしましたけれども、8月3日と19日に楽天生命パーク宮城で開催されましたプロ野球の公式戦において、ナッジを応用した来場者向けの啓発や地元仙台市と連携した食品寄附活動「フードドライブ」を実施して、食品ロスの削減効果や消費者の行動変容の度合いを把握するという実証事業を行ったということでございます。
プレスリリース資料の1ページを見ていただきますと、それをやらないとき(対照群)とやるとき(処置群)と、今回8月3日と19日に、こういうようなナッジの活動を行ったものということで比較をし、それぞれの方々の行動がどう変容したのかということを関係者の御協力の下にやってみたということでございます。
具体的なナッジの活動ということで、プレスリリース資料2ページから3ページにありますけれども、大型スクリーンですとか、あと、バックネットとか、いろんなサインでありますとか、あとはそれぞれ選手からのメッセージを出していただくというような形で展開をしたということでございます。
4ページの実際の結果を御覧いただきますと、こういういろいろなサインを見ることによって、食品ロスの削減に努めようとした人の割合が8%程度上昇したということと、実際の売上げ当たりの食品ロスの量が11.3%減少したということでございます。
食品ロスについては、こういう大型スクリーン等だけではなくて、5ページにありますけれども、フードドライブといった形の寄附も含めて展開をしていただいたということでございまして、ここで集まりました2日間の食品約110キロについては、地元のフードバンクに寄附をさせていただいたということでございます。
このような大規模イベントにおいて食品ロスを削減することは、来場者の意識も高揚するということでございますし、今回の実証を踏まえて、どういう形でフードロスを削減していけばいいのかということで、施策を展開していきたいというふうに考えています。
最後でございますけれども、儲け話に関する注意喚起と情報提供というふうに書いています。
年末年始、それぞれ御家庭の方と話し合う時間も増えるというふうに思いますし、御実家に帰られて、親戚の方、それからおじいさん、おばあさんとお話をする機会も増えるというふうに思いますので、この際に、儲け話について注意喚起ということでペーパーを作らせていただきました。お手元に配布させていただいております。
これは消費者庁もそうですし、国民生活センターもいろんな形でいろんな案件の注意喚起をしておりますけれども、そういう中から担当の部署が分かりやすい単語ということで、短くまとめていただいたものでございます。
読み上げさせていただきますと、「投資や儲け話を聞いたら、まず疑いましょう」、「必ず・確実はウソ」、「そんな儲け話は絶対ない」ということ。
それから、「高利回りは怪しい」と書いていますけど、本当なら、他人からお金などを集めず、自分で投資しているに違いないと。
それから、「副業や稼ぎ話の勧誘にも注意しましょう」ということで、「楽して、とか簡単はウソ」だというふうに書いてありますが、こういうのは「勧誘している人に楽して簡単にお金が行ってしまう」ということで、勧誘された側にはお金は来ませんという教訓でございます。
それから、最後ですけれども、「サポート・コーチは怪しい」ということで、「本当に稼げる方法は人には教えない」ということなので、こういうふうに近づいてくるのも信用しないようにしていただきたいということでございます。
それぞれペーパーの下の方に、消費者庁と国民生活センターの注意喚起、それから具体的な身近なトラブルの儲け話がQRコードで接続するようにしてありますので、是非、あっ、こんなことでだまされることもあるんだということで、また気持ちを新たにしていただきたいというふうに思います。
それから、消費者被害を生じさせる悪質商法等、類似の手口について、随時、情報提供のお願いをしておりますけれども、消費者庁のページに是非こういう情報を提供いただいて被害の未然防止、それから拡大の防止に御協力いただくように、ここでもう一回お話をさせていただきたいと思います。

質疑応答

NHKの島田です。
このいわゆる野球場での取組ですかね、大型イベント会場における食品ロス削減実証実験の結果についてなんですけれども、2点あって、すみません、今回こういった結果を受けて、今後消費者庁として何か実際に介入していくとか、その辺のまず見通しとか何か、今後検討していることとかあれば、まず一つお願いします。

まだ具体的にはどうということではありませんが、このナッジを見ていただきますと、何々をしてはいけないということではなくて、何かしてくれてありがとう、こういうことはいいですよというメッセージの伝え方の方が、ナッジをやる基本ですけど、いいということも分かってきましたし、やはりこういうことを皆さんが発信することで、実際に効果が推測できるということもありましたので、これはやっぱりそれぞれの場で、小さな取組ですけど、少しずつやっていただくということが結果的に方向としてよくなってくると。
これで、今回来場した方々には実際にフードドライブで幾ら集まったかというのはお知らせできなかったのですけれども、そういうことによって、自分の少しの努力によって結果的に100キロを超える食品が恵まれない方々の手元に届いたと、そういう循環が分かってくると、もっと効果が発揮できると思いますので、そういう一連のものをどうやっていろんなところで仕組んでいくのかということで、これから知を巡らせていきたいと思っています。

それと2点目が、4ページ目のその結果、結果(速報)のポイントのところで、意識の変化なんですけども、8%程度上昇ということなんですけど、8ポイントですね。この8ポイントというのはどう見ればいいのかなというのがあってですね、Nというか、対照数も2倍以上違う中で、この8ポイントというのを大きな変化があったというふうに捉えていいのかどうかというところが、ちょっとすみません、個人的には判断つかなくて、長官としてはこのポイント数というのはどんなふうにお考えでしょうか。

これはなかなか難しいと思います。そもそもこの問題、もともと意識している方が7割近くいるという案件ですので、そういう中における8%というのをどう見るかというのはありますね。もともと低いもので率が上がったということではない。もともと多くの方が意識しているものが8%上がったということは、それなりに大きいというふうに見ることもできるかもしれません。そこの見方はいろいろあると思います。
正にこれが本来、処置群において、この赤のグラフの方がなくなるぐらい行けば本当はよかったのかと思いますけども、そこはなかなか一挙に進まなかったのは、もう少し改善の余地があるというふうに受け止めることもできると思います。

先日報道でもありました、シジミの件なんですけれども、北朝鮮産を国産と偽って販売していたのではないかという産地偽装の件について、消費者庁、これまでもアサリの件が先日というか、前にあったんですけども、改めてこのような事態を受けて、長官としてどのように考えているか、考えをお願いします。

食品表示というのは、消費者にとって、その商品についてコミュニケーションを取る非常に重要な手法だということがまず前提でございます。
したがって、表示が義務付けられたものについては、きちんと書いていただく。それから、任意の表示についても、ウソをついてはいけないというのは、これは原則でございます。
そういう中にありまして、12月20日に、広島市の事業者が中国産や韓国産のアサリを熊本産と表示していたということがありました。また、警察が山口県の商社について、不正競争防止法で一斉に捜索をしたという報道がありました。
このような消費者の信頼を裏切る行為というのはしてはいけないということでございますので、こういう案件を機に、多くの事業者の方が身を引き締めていただきたいというふうに考えています。

この件について、消費者庁として何か取り組んでいくとか、そういったところは今のところ検討とか、政策とかは考えられますでしょうか。

今回の山口県の事例につきましては、警察が捜査をしておりますので、コメントは差し控えたいと思います。
全体に申し上げますと、今申し上げたとおり、表示というのは基本でございますので、それについてはしっかりとやっていただくということが当然の前提なので、消費者庁としては、食品表示の制度を担当している者として、多くの事業者の方にきちんと表示をしていただきたいということを、あえてここで申し上げたいというふうに思います。

今日が年内最後の長官会見ということで、長官も7月に就任されて、あっという間の1年だったと思うんですけれども、今年振り返ってみて印象に残っていることとか、そのあたりの所感があればお願いします。

所感を申し上げるような偉い立場ではありませんけれども、ちょうど7月に着任してちょうど半年がたちました。ここに参りまして、最初にやはり消費者基本法の根本に立ち戻ろうということで、消費者の権利を守るということと自立の支援ということで、自分なりに政策を推進してきたつもりであります。
特に消費者庁、非常に間口が広いということが着任して改めて分かりましたし、消費者事故でありますとか、いろんな消費者契約法の案件というのをその都度こなしてきたというふうに考えています。
特にその中にありまして、1月5日に一部施行することになりましたが、改正消費者契約法と改正国民生活センター法、それから法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律ということで、非常に短い間に三つの制度を整えなければならなかったということは非常に重い仕事でしたし、多くの方々の支えによって、法律は一応出来上がったということですけれども、これから施行していく任務というのは消費者庁にありますので、その施行に向けてしっかり気を引き締めてやっていきたいというふうに考えています。

時事通信の甲斐田です。
本日の午前中に景品表示法に関する検討会が行われました。こちらで報告書案には具体的に課徴金の引上げについて、特段記されていないというふうに私の方では認識しているんですけれども、これに対して日弁連の方からは課徴金の引上げについての意見書というのを出されているんですけれども、この優良誤認に違反した事例について、より重い罰を与えるということで、課徴金を具体的に幾ら引き上げるだとか、そういったことについては検討されているんでしょうか。

具体的に課徴金は幾ら引き上げるという話ではなくて、この検討会でやっぱり問題になったのは、違反行為に対する抑止力をどう強化していくのかということは一つの柱だと思いますので、その中におきまして具体的に何をやっていくかということは課題だというふうに思います。

報告書案に具体的にそういう課徴金の引上げであったりとか、そういった話を盛り込むお考えというのはないのでしょうか。

報告書案を本日了承されたということでございますので、この報告書を受けて消費者庁として何をしていくのかということは、これからしっかり踏まえて検討していきたいというふうに思っています。

今後その検討とか来年以降消費者庁の方で考えていくということでよろしいですか。

はい。

フリーの木村です。
今の関連なんですけれども、確約手続の導入というのが方向性として示されて、具体的な内容というのは、恐らく法案成立後の運用指針で詰めていくことになるかと思うんですけれども、その中でポイントの一つとして、返金措置の位置づけをどうするかというところが議論されてきて、一律的に義務付けるのは無理という結論で、個々個別案件の中で考えていくような方向かと理解しているんですけれども、課徴金がセットにならない確約手続ということで、やはり返金措置というのをできるだけ位置づけていくことが重要かなと思うんですけれども、そのあたりの長官の受け止めをお願いします。

今回の報告書の柱の一つが、事業者の自主的な取組を促進するということでございます。優良誤認とか有利誤認の表示をできるだけ早く是正をしていただくという本旨に基づいて、何ができるかということで、確約手続の導入というのがこの報告書の中で述べられていることです。
この確約手続の制度自体は御存じのとおり独占禁止法の中にある制度ですけれども、独占禁止法と景表法、似ているようですけれども対象が大分違う。独禁法になりますと比較的大きな会社がカルテルなどを結んでというのが主軸になりますし、景表法の世界におきましては本当に中小、零細、中堅、いろんな企業の方々の広告であったり表示であったりということになります。
やはり景表法にこの制度を入れるに当たっては、対象となる事業者、それから案件の特殊性を踏まえなければいけないというふうに思っていますので、そっくりそのままということにはならないと思います。そこの制度設計は、正に対象事業者の状況、それから今までやってきた景表法違反の事例などもしっかり見ながら、制度設計していきたいというふうに思います。

共同通信の池上です。
申し訳ありませんが、冒頭の発言になってしまうんですけれども、ちょっと聞き逃しまして、エシカル消費の認知度についての意識調査の結果なんですけれども、こちらで(1)で26.9%という数字が過去からすると大分増えてきているのかなと思います。これをこの数字を順調に増えてきていると評価されるのか、でもまだまだ伸ばしたいと思われるのか。「てまえどり」のように流行になったりとか、そういうもっともっとより認知度を高めていきたいですとか、今後どういうふうにしていきたいというのがあれば教えてください。

この調査、前にやっているものではなくて、比較対象にできるのが令和元年度にやったエシカル消費の認知度という調査が消費者庁にありまして、そのときは少し前提が違うんですけれども、認知度が12.2%だったということでございます。
したがいまして、ここ数年間のものとしては、2倍近くになっているので、大分人口に膾炙したなという感じはありますけれども、年代別に見ますと、10代、20代という若い方々がやはり高い。これも実は将来の展望で見ると非常にうれしいことというふうに思います。
これも実は、同じようにSDGs調査というのを某会社が毎年やっているのを見ると、認知度が一気に高まるんですね。徐々にというよりは、SDGsはこのコロナになってから、一気にやっぱり高まっていった。いろんなところで皆さんがやってくれるキーワードと連動しているということもありますので、「てまえどり」についての認知度も非常に高くなったということもありますので、これが一気に高まっていくことを期待したいですし、高まるとともに行動に移していただくということが重要なので、そこに向けてそれぞれの産品の担当の省庁もありますので、そことどういうふうに連携をしていくのかということをこれから行動に移せるようなものとして考えていかなければいけないというふうに思っています。

また別の件で、先ほど言及のあった寄附の新法なんですけれども、1月5日に施行されるのは一部で、罰則などはまた今後ということになると思うんですが、その罰則が施行される際もできれば周知はしたいなと思っていまして、現時点では残された部分の施行の時期というのは閣議決定されているでしょうか。

残された部分は法施行後1年を超えない間にというふうに言われています。そこについてはしかるべき時期に発表させていただきますけれども、当然ながら、いろんな背景があってできた新法ですので、できるだけ早く体制を整えて施行に移したいと思っています。
まず、その前に、行政処分、法人の勧誘行為について行政処分を科すというものについては、最終的には罰則につながる制度ということですので、やっぱり多くの方に知っていただくということが重要ですので、きちんと説明会を関係者にやるということをまず年明けやった上で施行に移していきたいと思っています。

業者向けの説明会でよいでしょうか。

今ですのでウェブで恐らく皆さん聞いていただける形にした方がいいと思っています。

朝日新聞の寺田です。
私も同じ寄附の新法に関してなんですけれども、Q&Aのような形による法律解釈の公表が5日の施行までにというふうにおっしゃっていました。ちょうど年末年始も挟んでいるので、年末なのか来年なのか、ちょっとスケジュール感をお願いいたします。

今、まずは年末に第一弾できるところまでやり、5日に更にやるということで順次作業しているところです。

年末に第一弾というのも、公表が第一弾のものを公表すると。

公表第一弾、はい。

何か大きな違いがあるんですか。

違いは、できるところからということです。

フリーの木村です。
先ほどの景表法検討会の中で、かなりたくさん新規の対策が盛り込まれたかと思うんですが、ちょっと1点、消費者裁判のところで、特定適格消費者団体に消費者庁が行政処分した際の書類を提供するという、そこは事実上見送ったかなと思うのですが、この報告書の書きぶりは、特商法の1年程度様子を見た上で改めて検討すべきということが書かれているんですけれども、1年ほどして、この部分をまた検討するという、そういう想定でしょうか。

そこは必ずしもそういう想定ではなくて、この報告書を受けて、いろんな施策を組んでいく中に、そこの時間軸の中におのずと入ってくるものだというふうに思います。

日本消費経済新聞の相川です。
寄附不当勧誘防止法関連で、昨日、機構・定員要求で室長が1人と職員が10人ということで消費者庁の人員が今回初めて400人を超えるということで大きな組織になってくるということなんですが、どの課にどういうふうに設置するかというところがまだ今から検討ということなんですが、消費者安全法とか特定商取引法とかを見ていますと、せっかく警察とか経産省とか公取とか、いろんなところから、各省から人が来てくださっているんですけれども、どうもまだ縦割りのところが残っているという、うまく本当に連携ができているのだろうかみたいなところがありまして、長官、今から検討するということなんでしょうけれども、イメージで、どういうふうな組織にしていこうとお考えになっているかということがありましたら、少しお教えいただけないでしょうか。法執行の体制についてです。

実際にどういうふうに法執行していくかというのは非常に重要な問題でして、まずQ&A、それから逐条というものでしっかりやって、皆さんで頭をそろえていくというのが必要ですし、それから、いろいろ寄せられた情報をどうやって整理をしていくのかということも、これ、いろいろ考えていかないといけないと思っています。
そういう意味では、執行をできるだけ早くということではありますが、それまでに整理していく、それから、皆さんの情報共有すべきことというのは非常にたくさんありますので、それを本当にチームを組んでしっかりやっていこうと思っています。
今、法制検討室におられる方々は12月末ですっかりいなくなるということではありませんので、まずいろいろ国会で答弁をさせていただいたこと、それから、いろんな方々の要請で解釈として答えなければならないことというのをまずしっかりと整理して、それを新しくできるであろう執行チームにつないでいくということを私としてはしっかり心がけて運営していきたいというふうに考えています。

制度課とか政策課の中にまた独立した室ができるというので、というイメージでいいのかなという、でも、それではやっぱりまた同じ縦割りが残るんじゃないかなみたいなちょっと懸念があって、もうちょっと総合的に大きく組み替えるようなことをお考えになるのか、ちょっと御意見をお伺いしたかったのですが。

おっしゃることの意味は大変よく分かります。消費者庁、いろいろ皆さんに情報提供するツールが複層的になっています。国民生活センターで注意喚起していただくものもありますし、具体的な法執行という形で措置命令なり勧告をしていただくスキーム、それから、消費者安全法に基づいてやるスキームというのもあります。
私が着任してから心がけているのは、どの手法を使うのが拡大防止とか被害者の救済に一番いいのかということを常に考えていくということが必要だと思っていまして、早期にやるべきもの、それから、しっかりと証拠を積み上げて法執行するものという形での、そういう問いかけをしながら施策を進めていきたいと思っていますので、しかしながら、全部ごちゃごちゃにしてしまうと、なかなか誰が責任を持って、どこまでやるのという話も出てきますので、そこはおっしゃるとおり、微妙にバランスが必要なところなんですけれども、でも、常に横を見ながらやっていくような形での庁内の運営はしていきたいというふうに心がけています。

それから、今日、長官会見が最後ということなので、閣議決定前で予算の話をさせていただきたいと思うのですが、今回、地方を支援するための交付金が30億円を要望して、17.5億円だったと。この額についてなんですが、今まで毎年下がってきたものを今回維持したという点では評価できると思いますし、頑張って2次補正で20億円確保してくださったというところも評価できるとは思うのですが、やはり今から相談のデジタル化を進めていく上で、この交付金の予算額、どういう交付金を付けていくかということを地方は消費者庁のメッセージとして受け止めると思っています。
この額、それから、補正で初めて強化、10分の10を確保していくという方針が示されたのですが、この当初では強化の10分の10というものがまだ入ってきていないと。その辺の交付金に対する長官のお考え、今後、強化の10分の10を増やしていくお考えがあるかについてお教えください。

閣議決定前ですのでなかなかお答えにくいのですけれども、交付金は正にそれぞれの各県、それから市町の消費生活センターにおいて有効に使っていただけるものということで交付をしているものでございます。これにつきましては、今回、補正も含めて減少が防げたというのはよかったことだというふうに思いますし、やはり予算というのは、それぞれのタイミングで、なかなか予算が取れるときと取れないときというのがありますので、今回、それぞれの消費生活センターにお願いしたいのは、この霊感商法の交付金20億、それから5億円の中で、コロナでやはり少しなかなか下火になっていた出前講座を活発にやっていきたいと、見守りネットワークと兼ねて出前講座をしっかりやっていきたいということで運用していただき、やはりその成果が次の年の予算につながっていくというふうに思いますので、まず有効活用して、こういうふうに役立ったと。成果が見えるような活用を工夫していって、次年度につなげていきたいと。

10分の10の枠が5億円ですので、それに対してどのぐらいの人たちが手を挙げてくれるのか、霊感商法等の悪質商法ということを前提にすれば、体制整備にも使えるという、ただ、それは補正だけですので、そういうところもやっぱり大事にしていかないと、今後なかなか、地方がついてきてくれるのかどうか心配なところがありますので、もう少し10分の10のところをどういうふうに活用して、どう配分していくのか、その辺についてはきちんと地方に丁寧に伝えていただきたいと思いますし、そこを広げていって、消費生活相談をやめる市町村が出ないように、消費者庁からやはり積極的に支援をしていただけるような取組をお願いしたいと思います。

ありがとうございます。是非そういうような形で進めていきたいというふうに思っています。