新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年12月8日(木) 11:00~11:21 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、私から1点、お話をさせていただきたいと思います。
お手元に資料を配布しておりますけれども、消費者庁では12月10日から14日まで、それから来年1月14日から18日までということで、「ひとりで悩まず、ちょっとアクセス、メール・LINE消費者相談」というのを実施することにいたしております。
これは令和3年12月に決定されました、孤独・孤立対策の重点計画の中で、より、被害防止のための啓発をするという活動の一環ということでございますけれども、適格消費者団体及び孤独・孤立対策のNPO等と連携をいたしまして、消費者被害に遭っても孤独・孤立した状況で周囲になかなか相談できず1人で悩んでいる、それによって被害を受けることを防止するために、メールやLINEでの相談をお受けするというものでございます。相談を寄せていただいた方々に対しまして、消費者被害に知見を持った消費生活相談員からアドバイスを実施し、一定の解決方法を探っていくほか、寄せられた相談の数々を分析することで、孤独・孤立に係る消費者被害の実態と、その対応策を導き出していきたいというふうに思っております。
そしてそれらを踏まえまして、来年の3月にはシンポジウムを実施するということで、更なる普及啓発を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
報道機関におかれましては、本取組の周知を是非お願いしたいということでございます。
質疑応答
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問
テレビ朝日の本田です。
今回、このメールとLINEでの消費者相談ということなんですが、これまでは電話が多かったと思うんですが、なぜメールとLINEを選ばれたのかを教えてください。 -
答
やはり時間に拘束されず、相談をしていただくということが必要です。従来の消費者相談も一部SNSを活用したものをやっております。
今回はそういう形でやっていきます。メールとLINEの難点はすぐに返事をすることができず、若干時間を取るということはございますが、その点で、深いお話もできるかというふうに思っております。
それから、やはり気軽に皆さん相談をしていただくということが必要だと思っておりますので、ここのチラシのそれぞれメールアドレス、それからLINEのアカウントのQRコードを撮っていただきますと、私もやりましたけれども、どういうふうに相談すればいいのかというのが出てきますので、是非、気軽に悩み事を相談していただきたいということで、今回期間を限定してやるということでございます。
全体の消費者相談につきましても、SNSを使ったやり方というのは、徳島で実証したものを、どういう形で全国に展開をするかということを同時並行でやっているということでございます。 - 問 これ返信してくださるのも、自動返信とかではなく、全部相談員の方が返信してくださる。
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答
そうです。
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問
フジテレビの藤村です。
今のお話に付随してなんですが、これ期間限定でひとまずなさって、例えば、これはなかなかいいという話で判断がついた場合は、継続していくということも検討されるということなんでしょうか。 -
答
まず、今回の経験を踏まえて、どういう形で継続していくのがいいのかということは、先ほど申し上げましたが、3月までに一定の成果をまとめるということにしておりますので、そこでもう1回考えたいというふうに思います。
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問
朝日新聞の寺田です。
ちょっと冒頭の発言とは違うんですけれども、今、国会で審議中の新法案についてお伺いしたいんですけれども、まだ成立前で恐縮なんですが、答弁からも今後の見直しが必要であるということはとても聞こえて理解できるところでございます。
現状で、長官として、今考えている政府案の課題とか、今後どういうところを見直したり、検討したりしていく余地があるというふうに考えるか、教えていただけますでしょうか。 -
答
まだ国会で審議中でございます。まず国会で法案が成立をするということが、まず重要だと思っています。それに伴いまして、消費者庁は、いろいろ大きな責務を負うことになります。新法におきましては、法人に対して一定の行政処分をする権限を有するということでございますので、その執行体制を整えていくというのが、まず先決事項だと思っております。
その上で、法律の中で必要な見直しをするということが定められておりますので、必要な期間内に見直しをしていくということだと思います。
現時点においてどこがということは、私としてはコメントすることはございません。 -
問
テレビ朝日の本田です。
先ほどの冒頭のLINEの消費者相談なんですが、これはいわゆる霊感商法みたいなものに関しても、相談があった場合は対応できるんでしょうか。 -
答
全てでございます。
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問
読売新聞の糸井です。
先ほどの救済新法について伺いたいんですが、消費者庁が所管になるということで、どこの部局の何課が受け持つのかですとか、また新法対応の新たなチームとか、組織を作ったりとか、消費者庁としての人員の増員とか、その辺の実務的なところ、どういうふうに考えていらっしゃるか、お願いします。 -
答
これから執行の体制に向けてどういうものを組んでいくのか今検討中でございます。当然ながら、新しい職務ということですので、新しい人員でやっていかないと、今までの人員の中でなかなかできる業務ではないというふうに思っておりますので、それは組織定員とも相談しながらやっていくということでございます。
- 問 消費者庁としての人員の増員は検討していくという、そういう理解でいいですか。
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答
検討しております。これ、内閣人事局との関係もありますので、何名という話は今できる状況ではございませんが、新しい任務であることは事実ですので、その中で必要な人員を確保していきたいというふうに思います。
- 問 今のにも絡むんですが、今後新法では、自由な判断の抑圧とか、不安に乗じたとか、人の内面に係るところの難しい判断もあると思うんですけれども、こういった行政処分の根拠となる判断等、消費者庁の担当職員が判断するということになると、今後は他省庁や他機関との相談とか、そういったところの連携の体制というのはどういうふうに考えていらっしゃるのかという点を聞きたいです。
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答
これについては、具体的に法律の中でも、内閣総理大臣が関係機関の長にいろんな情報提供を求めることができるということが条文上明らかになっております。
お話のように、各種法人にわたる非常に広い権限ということになりますので、そこについては関係省庁、関係機関と連携できるような仕組みというのを作っていきたいというふうに思います。 - 問 実は、先週もブリーフィングあったんですけど、閣議決定後の、そのときは債権者代位権の制度とか、あと取消しの制度はなかなか難しくて、実際は法律の専門家の介入が必要だという発言もブリーフィングではあったんですけど、この辺りですね、法律の専門家の介入というところはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
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答
今回の法律、民事ルールの中で深掘りしたところと、法人に対して報告でありますとか、勧告、命令をできるという行政庁として新しく権限が加わって、大きく分けて二つございます。
今お話がありましたのは、債権者代位権は民事ルールでございます。それについては今日、総理、それから河野大臣も答弁をしておりますけれども、しかも、法律にも明記をしておりますけれども、やはり、日本司法支援センター(法テラス)の法律家の専門的な助言を得ることが必要だということで、ここでの体制整備が法務省において行われております。
それと、加えまして、それぞれの案件毎にそれぞれ事情が異なるという事情もございますので、そういう点ではやはり弁護士の支援を得るということで、法律にも、相談体制の整備、それから必要な支援といった形でしております。それは民事ルールの方の話ということでございます。
今回のもう一つのポイントは、禁止行為に対する行政措置の中で、お話があったいろいろな行為によって困惑をするということを禁止行為にしているということで、ここは禁止行為にして、その後、報告でありますとか、勧告に繋げる。そこは行政庁が判断しなければいけないという、新しい場面が発生いたします。
法案施行とともに、私たち、すぐ動けるように、今内部で詰めを始めているところでございます。 - 問 あと、もう少しだけあるんですけど、この法令の解釈というか、今後告発とかも行っていくことになると思うので、法解釈で職員の熟練というのも必要になってくると思うんですけど、その辺りはどのように職員を教育していくのかというか、スキルアップを図っていくのか。言える範囲で。
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答
消費者庁の良いところは非常に多様な人材が来ていらっしゃっていて、実際に今いろんな形で特商法、それから景表法とか、いろいろな執行の部隊もあります。それから、弁護士さんも任期付き任用という形で相当数来ていただいておりますし、他省庁からいろんな方に来ていただいています。
そういう方々のやはり知見を共有して集中していくということですので、今回の場面で更にどのような新しい知見が必要なのか、それから体制を組んでいくのかということは、今、まさに検討しているところでございます。 - 問 最後1個だけ。被害のこの相談体制についてなんですけど、先ほど法テラスというお話もあったと思うんですけど、これをどういう形で一般の方々、困っている方々に対して、どういうふうな相談体制を取っていこうというふうに考えていらっしゃるか。
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答
この相談体制については、関係省庁連絡会議の中で、全般的に体制を、各省の窓口がありますので、それを連携していくということで体制が組まれているところでございます。今年10月から実施しましたそれぞれの相談窓口にも相当数の相談が寄せられているということですし、これから法テラスを中心に相談を受け付ける。
しかしながら、そのときに、法テラスだけではなくて、各省が持っている窓口もしっかり連携して、ネットワークを作っていくということが関係省庁連絡会議の中で求められていますので、消費生活センターに来た相談案件を、どういう形で法テラスにつないでいくのか。あと、別の案件ですと、文部科学省のいろんな窓口とかですね、案件ごとにありますので、そこのネットワークは維持しながら、やっていくということが決定をされておりますので、消費者庁も必要な役割を果たしていきたいというふうに思います。 -
問
時事通信の甲斐田です。
昨日ですね、宗教2世の当事者団体の発足会見があったんですけれども、その中でですね、今週の火曜日、2日前に消費者庁の担当者と旧統一教会の宗教2世の方がお会いになったというふうなお話がありまして、その中で、消費者庁としてもその2世の方の意見というものを幅広く聞いていきたいということがあったんですけれども、具体的にですね、今後その旧統一教会であったりとか、宗教2世の声というものをどういった形で政策であったりとか、処分とか、消費者庁さんとしてどういう形でいかしていくおつもりなのか、お考えをお聞かせください。 -
答
宗教2世の方々が抱えている問題、非常に多様であり複雑な問題があるというふうに思っております。その中で、消費者庁がどういう形でその方々の声を吸い上げていくのか。消費者庁のみならず、全省庁のいろいろな分野で吸い上げていくということだと思っておりますので、そこはこれから、必要な施策につなげていくということかと思います。
それから、更に付け加えますと、今回の法律の中でも一定程度債権者代位制度を中心として、一定程度親族の方々が救済される道も広がっているということでございますので、その辺も併せて対応していくということだと思います。 - 問 具体的に施策に関するというお話だったんですけれども、例えばどういったものを想定されているんでしょうか。
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答
消費者相談の中で皆さんの金銭の救済も必要であるということであれば今回の法律の話ですし、それから、いろいろ学校で問題があるということであれば、文部科学省が既に対応しておりますので、その辺を御紹介するとか、やはりそれぞれの方の問題が多様でありますので、そこにやっぱり寄り添っていくということで、消費者庁のみならず全省庁のいろんな相談窓口、対応体制でやっていくという政府の中において、消費者庁が役割を果たしていくということだと思います。
- 問 分かりました。もう一つ、今回のですね、旧統一教会の被害者救済を目的とした寄附新法なんですけれども、野党の意見とかも踏まえてですね、配慮義務のところに、例えば配慮義務に明らかに従っていないような事業者に対して報告を求めるですとか、あと、法施行後3年見直しとしていたところを2年に見直すなど、いろいろ国会の方でもやり取りというのがなされているんですけれども、こういうふうな形でですね、いろいろ当初のものから少しずつ野党の求める形に少しずつ変更していったことについてですね、長官としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
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答
与野党の協議の中で法案修正が行われつつあるということは承知をしておりますけれども、私どもは国会において出来上がった法律をやはり執行していく立場ということでございますので、法が成立したときにその法律に基づいて必要な施策を執行していくということだと思います。
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問
フリーの木村です。
昨日、消費者委員会で、食物アレルギーのくるみの追加の諮問、答申が行われて、その中で経過措置期間が2年となったんですけれども、今回そのくるみの症例の傾向を見ていると、アナフィラキシーも含めて急増している中で、また、人命に関わるという表示について、経過措置期間、もう少し短くするという議論は消費者庁内で無かったのでしょうか。 -
答
今までいろいろなもの、2年間ということで経過措置を置いてきたということで、今回も2年間だと思います。
アレルギー、確かに今も当然ながら、いろいろ苦しんでいる方がいらっしゃるということで、今も推奨表示ということでやっておりますし、これから義務表示ということではありますけれども、できるだけそれに行く前から、皆さん自主的に推奨していただくということを、私ども同時に求めておりますので、それにつきましては、やはり一定の義務にするということになりますと、事業者全般の方々への配慮というのも必要だと思いますので、まずは事業者の方がアレルギー表示が義務になるということを前提に、表示の包装をどんどん変えていただくということを私たちも切望しているところであります。 -
問
NHKの島田です。
昨日、国会審議において河野大臣が今のいわゆる新法を含めてですけど、いわゆる施行後に運用状況などを確認するための検討会を立ち上げる考えを示されたと思うんですけれども、こちらの検討会については、例えば、そのいわゆる立ち上げる時期だとか、どういったメンバーを構成員に入れるかとか、まだ昨日の発言があったばかりなので、昨日の今日で恐縮なんですけれども、もしお考えがあればお聞かせ願えればと思います。 -
答
まだ法律が成立をしておりませんので、今お答えすることはございません。
- 問 施行後に立ち上げるということであれば、いわゆる年始、早い段階で立ち上げるというところになるんでしょうか、スケジュール感としては。
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答
まず、現在の法律の施行の期日がそれぞれ決まっております。ここについて、最終的にどうなるかということは分かりませんけれども、契約の部分については、消費者契約法と同じ施行日から、契約のいわゆる民法に関する条項については公布の日から起算して20日を経過した日からということではございますが、第5条、それから附則といった、いわゆる行政庁が新しくやるものにつきましては、罰則を伴うということもございますので、やはり一定の周知期間が必要だということで、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で定める日ということになっております。
見直し規定はいずれも施行の状況ということですので、まずは施行に傾注をしたいということでございまして、その状況を踏まえてやはり検証をしていくという段取りではないかというふうに考えているところでございます。