新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年12月1日(木) 14:00~14:22 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、二つ、発言をさせていただきたいと思います。
1点目でございますけれども、昨年6月16日に公布されました、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」のうち、公布後2年以内の施行分ということで残っておりました、契約書面等の電子化に係る規定を施行するための政令の改正案について、昨日、11月30日からパブリック・コメントを開始いたしております。今回のパブリック・コメントにつきましては、10月6日に取りまとめられた検討会の報告書を踏まえて策定をしたものということでございまして、契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする規定に関する政令・府令の改正案等の御意見を募集するというものでございます。
詳細については、担当課にお問合せをいただきたいというふうに思います。
それから2点目でございます。消費者庁では農林水産省、それから環境省及び全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と連携をいたしまして、令和4年12月から令和5年1月まで、外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンというのを実施します。本キャンペーンは12月から1月にかけて忘年会や新年会シーズンに向けた「30・10運動」、これは宴会等で最初の30分間と最後の10分間は料理を楽しみ食べ残しを減らす運動ということでございますが、この普及など自治体による取組が中心となっておりますけれども、消費者庁においてもSNS等による情報発信や普及啓発の商材などの提供を実施していきたいと思います。
また、テイクアウトによる家庭の食事の機会というのも増えておりますので、テイクアウト時の適量購入や家庭で食べ切るというのも、併せて啓発をしていきたいというふうに思っております。
この年末年始、忘年会とか新年会が行われるような状況であるということを期待いたしますとともに、食品ロスの削減にも御協力いただきたいというふうに考えております。
質疑応答
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問
時事通信の甲斐田です。
この後の閣議で、今回の旧統一教会の被害者救済を目的とした寄附新法が閣議決定される見込みです。この新法について、どういった形で取り組まれてきたかですとか、この点については非常に被害者に配慮できたような新法になったんじゃないかとか、長官側の新法に対するお考えを伺いたいと思います。 -
答
詳細については後ほど担当の方からの御説明をさせていただきたいということでございますが、今回の新法は既に閣議決定をしております消費者契約法、それから国民生活センター法の改正法と併せて、被害者の救済、それから未然防止に資するということで考えてきたものでございます。
今回の寄附新法、大きく二つございまして、一つは消費者契約法ではなかなか対象という形で救えてこなかった、いわゆる寄附行為の単独行為というものにつきましても、取消しができるという形でしっかり対応したというのが一つでございますし、それから被害者の救済という点から申しますと、債権者代位制度の特例を作るということによりまして、扶養義務がございます親族の方々が取消し、あるいはそれに基づく返還請求をしやすくするということでございます。
それからもう一つは、非常に重要なポイントですけれども、寄附の全般に対する規律、それから禁止行為というのを作ることによりまして、これからの被害の未然防止という観点でございます。今まで法人等が行う寄附については、規律は全くなかったということでございますけれども、そこにつきまして、一定の禁止行為、それから配慮義務というのを定めることによりまして、行政処分、最終的には罰則まで結び付くということでございます。
これは二つの効果がありまして、やはりそういう法人を当然ながら行政処分するということとともに、そういう法人が出てきたときに御家族の方、あるいは知人の方々も、何か例えばX団体というのは、最近いろんな形で寄附を集めているらしいという情報が正に寄せられれば、それに対して一定の行政庁が介入することによって、そういう団体にできるだけ入らないようにしようとか、そういう団体の活動を抑止していくという効果が大きく期待されているわけでありまして、その中において当然ながら、職務を執行する立場として、消費者庁の責任も重くなるということでございまして、その辺も考えながら、今回法案を作ってきたということでございます。
これが今回の寄附の新法は当然ながら、一般的に寄附をされる方々全てを対象にということでございますので、その法律の中におきましては、いろんな方々、宗教団体のみならず、寄附を受けるような主要な対象でございます学校とか、それから寄附を受けていらっしゃるNPOの方々に配慮というのも当然しなければいけませんので、そういう中で正に法案が提出され、それから消費者庁として何をやっていくかということも考えながら作ってきたということでございますし、詳細は後ほど御説明をいたしますが、多くの被害者の救済が不法行為で行われているということを前提といたしますと、配慮義務につきましては相当書き込んだものということになっておりますので、不法行為の救済の中で、より多くの方々の被害救済が実現化していくということを期待して作ってきたというものでございます。 - 問 今回、もともと通常国会での成立になるかなというふうな見方もあったんですけれども、首相の答弁の変更とかもあって、本国会での救済新法の提出ということで、かなり法律を作るに当たって非常に短期間で今回整備されたというふうに感じているんですけれども、実際に拙速だという意見がないわけでもないとは思うんですが、それについてはどのようにお考えですか。
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答
今回、我々当初から最大限努力をしてできるだけ早く出すという姿勢で取り組んでまいりました。非常に濃い密度で仕事をしてまいりましたので、職員の方々にはほぼ土日もなく、それから審査をしていただく法制局も当然ながら相当なスピードでやっていました。その中で、拙速だということではなくて、本当に密度が高い仕事を皆さんしてきましたし、そこにおいてはいろんなことを考えながらやってきたというものでございますので、できるだけ早くという思いの中で、閣議決定するまで結実したというふうに理解をしています。
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問
朝日新聞の寺田です。
先ほどのちょっと続きで、配慮義務も相当書き込んだというので、事実上マインドコントロール下もある程度取り入れたようなイメージもあります。こうした個人の自由な判断を抑圧しないようにするといったような配慮義務を規定して、更にこれに禁止とか取消しとか法的効果のあるものにせず、配慮義務にしたというところも、改めてこの理由、禁止までいかないというところの理由を伺えますでしょうか。 -
答
それぞれの条文の内容につきましては、これからの説明で聞いていただければというふうに思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
書面電子化に伴う政省令案の公表なんですが、これに対して記者レクは行われないのでしょうか。ちょっと今、ほかの法案のことで皆さん手が手いっぱいというところもあってですね、ちょっと今概要を拝見させていただいたのですが、あの概要では消費者団体とかの関心も高くてですね、とても分かりにくいと思うのですが、もうちょっと分かりやすい説明を出していただくというようなことは考えていらっしゃらないのでしょうか。 -
答
記者レクという形は予定をしていないようでございますが、やはり御指摘いただきましたように、分かりやすくするということは必要でございますので、その辺の努力は担当課にさせようと思っております。
- 問 それからですね、検討会の報告書の中には明記されていないんだけれども、委員間での合意事項としてされていたのがスマホの扱いなんですね。一応消費者が、どういう消費者に書面電子化を認める場合の持っている機器の要件として、一応A4判10インチぐらい程度ということを消費者庁はおっしゃっていたようなんですけれども、そこのところはどのような規定になったのでしょうか。
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答
これにつきましては、いろいろ検討して、一応の目安ということで、検討会のときにA4サイズということをお話をしていたようでございます。
その後、いろいろなやり取りを行いまして、検討を進め、現行の一般的に流通をしているスマートフォンの最小サイズということで、下限を4.5インチということで提示をさせていただいているものでございます。
これは書面並みの一覧性を有する形で表示可能な機器を条件とする報告書の内容には反していないというふうに考えておりますし、スマホも今いろんな大きさもあるということでございます。
このときに、しかしながら見づらくするということではいけませんので、事業者が申込みをした者が当該事項を明瞭に読むことができるように表示しなければならないという規定をするということと、今後ガイドラインで、その内容について具体的にお示しをしていきたいということでございまして、確かにA4サイズということではございませんけれども、現状のいろいろな通信機器の普及状況等を踏まえて、スマートフォンサイズということで今、案を出させていただいているところでございます。 - 問 その検討会の中では、委員の方たちからいろんな御意見が出ていて、それを踏まえての合意事項だったというようなことになっているので、ちょっと一応その議論を巻き戻しているというようなところがありますので、きちっとした説明とかですね、きちっと消費者団体の方とかにも分かりやすく御説明をして、再度きちんと意見を聞くというようなことが必要ではないかと思いますので、またよろしくお願いいたします。
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問
共同通信の池上です。
ちょっと寄附の新法の方に話が戻ってしまうんですけれども、今回、所管についてお伺いしたくて、所管省庁がどこになるのかということをお伺いしたくてですね、恐らく原案を作成された消費者庁の方で基本的には所管していく。で、ところどころ他省庁との共管みたいになる部分もあったりするのかなと思うんですけれども、まずそこについて、どういうふうな法律になっていくのかというのを教えていただきたいです。 -
答
条文を見ていただければ明らかでありますけれども、申し上げますと、内閣総理大臣の職務を消費者庁長官に委任するという形になります。
- 問 基本的には消費者庁の所管ということで、他省庁との関わりとしてはいかがでしょうか。
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答
行政処分の執行につきましては、消費者庁長官ということでございますが、当然、今回は非常に寄附をされる団体の幅が広いということでございますので、その内閣総理大臣から関係行政機関の長にいろんな情報提供を求めることができる、そうすることによって、しっかりとした情報を集めた上でしかるべき措置ができるというような形になります。
- 問 今回、消費者庁がなぜ担当になるのかというところで、これまでの当然霊感商法の検討会から原案を作成されて、検討室が出来上がってですね、そういう流れがあったので、そういった流れ上消費者庁になったということなのか、あるいは消契法と並行しながら運用していくような法律になるということが多分条文にもあったと思うんですけども、補い合うような形で。そういった建て付け上、新法も消費者庁で所管しようということになったのか、その辺りの理由ですね。消費者庁が持つ理由を教えていただきたいのと、もしかしたら本来は例えば文化庁ですとか、ほかの省庁ですとか、そういったところが担当すべきだったのではという気持ちもちょっと若干ありまして、そういったところも、お話しできる範囲でお伺いできればお願いします。
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答
これも条文を見ていただくと明らかなんですけれども、この法律は法人に一定の義務を課すことにはなるのですけれども、法人の規制法ではなくて、あくまで寄附をされる個人の方の保護を目的とするということでございますので、それから、消費者契約法で補い切れなかった単独行為の寄附というのも今回の新法に入るということですので、その点を総合的に勘案いたしますと、消費者庁が適切ではないかということだと思います。
- 問 個人の保護というところが、消費者庁になじむんじゃないかということですね。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
関連して質問させてください。先ほどの話でですね、やはり今回禁止行為に対する行政規制が入っている点は唯一評価できるかなと思っているんですけれども、この一応勧告、勧告に応じない場合の措置命令、公表が入っているんですが、これは消費者庁の何課が担当することになるんでしょうか。 -
答
なかなか鋭い質問でございまして、これから早急に我々も執行体制を今考えているところでございます。
- 問 今ちょっと特商法とかの執行が非常に少なくて、ちょっと心配している状況がある中で、ちょっと心配かなというところがあって、それから、もう1点いろいろ取材をしてみて、弁護士さんと消費者庁、首相の答弁との齟齬がすごくあるなと思っているところがあって、ちょっと一応確認させていただきたいんですけれども、要するに、マインドコントロールのところが必要かどうかというところの議論のところになるんだと思うんですけれども、一番最初に不安をあおって地獄に落ちるというような説明をしてですね、最終的にはもう天のお父様へのプレゼントということで、自主的に進んで献金をしてしまうというようなことが今一番問題になっていて、首相の答弁ではですね、一番最初に不安をあおられた場合はですね、マインドコントロールが解けて取消しを主張したときには、3年以内であれば取消しができるというふうに説明をされているんですけれども、そんな何年も前、何十年も前に不安をあおられた献金について、どこまでそれが現実的に適用ができるというふうに消費者庁はお考えなんでしょうか。
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答
実際に私たちも検討会でいろんなケースを聞きましたけれども、不法行為の適用においては、いろいろ勧誘されたときからそれぞれ献金をしたところをつまびらかにすることによって、相当前のものも認められると。不法行為の時効自体は20年ということでございます。
そういう点においては、時間軸が問題なのではなくて、やはりどれだけの皆さんの事実をやっぱり適用できるのかなというのが実態的な問題だというふうに思っています。
いろいろ議論がございまして、今回、不安に乗じてということで、不安な状態にずっと置いておいて、そこに更に献金をしていくという場合も規制の対象に新たに加えております。よく国会でも議論されておりますけれども、実際その本当に多くの不安を与えたのが少し前で、その後自主的に献金している人をどうするかという話はあるのですが、本当に自主的に献金をしているのだろうかと。その根っこにほかの方から見るとすすんで献金しているように見えるのですけど、やっぱり不安が根っこにあって献金をしているということであれば、今回の条文、不安に乗じて、ということに十分該当するというふうに思っておりますので、やはり個々のケースをそれぞれ見ていかないといけないなというのが、私どもの今の考え方でございます。 - 問 その個々のケースというのが、何か、今回の法案みんな弁護士さん任せ、裁判任せ、裁判官次第みたいなところがあって、ここが本当に10年以上前の一番新しいその契約の取消しに適用できるのかというところが、本当に取材する人によって回答が全然違うので、ここは本当にもうちょっと明確にしていただいた方がいいんじゃないかなと思っています。
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答
そういう御意見は承知いたしますし、今回の法律の規律というのは、なかなか遡って適用ということにはなりません。
それから、行政処分を行うに当たっては、その辺の解釈は、やっぱり行政庁として明らかにしていかなければならないので、これからいろんな課題があるというふうに思います。
今お話しいたしましたのは、個々の献金の状況というのはやはり個別ですし、そういうこともありまして、関係省庁連絡会議の中では法テラスを通じて皆さんの個別の問題をやっぱり解決していくということでないと、なかなか実際にお金を取り戻すという行為には結び付かないということで、そこは政府を挙げて対応をしているという状況でございます。 - 問 分かりました。いずれも新法施行後ということなので、それ以前の契約には適用できないということは大前提だとは思うんですけれども、その辺が確かにちゃんと伝わっているのかなというところはあると思います。私たちも気を付けて書かないといけないと思っています。ありがとうございました。