新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年11月24日(木) 13:30~13:45 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭、私から1点お話をさせていただきたいと思います。
独立行政法人国民生活センター理事長の公募についてであります。18日から同理事長の公募を開始いたしました。公募期間は12月15日までということであります。幅広く人材を求める観点から実施するのでありまして、多くの方に応募いただきたいと思います。
質疑応答
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問
時事通信の甲斐田です。
消費者契約法に対して、霊感商法の弁護士の先生、全国霊感商法対策弁護士連絡会の方で声明がありまして、簡単にまとめると、取消し期間を延長すべきであったりとか、またこの契約について重大な不利益を回避するには当該消費者契約を締結することが必要不可欠である、この「必要不可欠」という部分が、非常に取消しの範囲であったりとか、禁止の範囲を狭めているんじゃないかというふうな主旨の御発言あったんですけれども、これに対して長官はどういったことをお考えでしょうか。 -
答
消費者契約法については、既に改正法案を18日に閣議決定をして提出をさせていただいております。記者説明会でも御説明をしたと思いますけれども、今回は、取消権、これは特に霊感の関係のところということでございますが、取消権の行使期間を追認をすることができるときから、現行1年を3年、それから、契約締結時から5年を10年という形に延長したということでございます。
これにつきまして、短いという御意見もあるというのは承知をしておりますけれども、消費者契約法、契約ということでございますので、基本的に事業者との契約ということになりますと、取引の安定性についても一定のやはり配慮をしなければいけないということで、それから、今回のような霊感の中にありますと、やはり追認できる、実際その人が取消権を行使するまでの間に、いろいろ揺れ動くような心情にあるというような検討会での御意見もありましたので、そうしたことから、追認をすることができるときからの取消権の行使期間を3年、契約の締結から10年というふうに伸ばしたということでございます。
これを更に進んで、民法と同じように20年にすべきだという御意見があるのも承知をしておりますが、そこにつきましても、やはり民法というと、基本的に民民の関係でございますが、消費者契約法は基本的に事業者と消費者ということを相手にしておりますし、消費者契約法で捉えられる契約の寄附というのもそのような性格のものということなので、そこはやはり一定の取引の安定性の視点というのも考えなければいけないということで、10年間にさせていただいたということでございます。
それから、必要不可欠というものについて、狭くなったのではないかというお話があることも承知をしております。これにつきましても、説明会のときにお話をしたと思いますけれども、現行規定では、締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨ということで、「確実」という単語が入っておりまして、ここがやはり客観的というよりは主観的な事情に大きく依存するのではないかというお話がございました。
今回は、それを必要不可欠といった形で、より客観的に証明する形にしたということでございます。ここについて、必要不可欠という単語を使わなければ取り消せないのではないかというふうに解されている向きもあるようでございますけれども、これはその必要不可欠であり、これしかないといった、そういう提案の仕方をするということをもって、必要不可欠である旨告げることということでございますので、その単語を使う、使わないにかかわらず、そのような判断をより狭めるような形での勧誘行為があったということを問題にしているので、そのような状態において使える条項になっているということで、狭まったということではなくて、より明確化したというふうにお話をしているところでございます。 - 問 ちょっと狭まったという表現はちょっと私の間違いといいますか、現状の改正案の範囲が狭いというところでして、必要不可欠ということの説明についても、確かに従来と比べると、確実に不利益を回避することができるというのがより明確化したというのは、それはレクの中でも御説明いただいた部分ではあるんですけれども、もちろん、文言にこだわっているということではなくて、その必要不可欠ということで、この文言があると、裁判所から見たときに取り消せる場合というのが非常に限られてくるのではないかというのが弁護士の先生の指摘でして、例えばこれが不利益を回避するためにこの契約が必要であるみたいな、不可欠というのを取って範囲を狭めてしまえばもっと適用例が増えるんじゃないかというふうな御指摘があったんですが、その辺はどう思いますか。
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答
その辺は、そういう御意見があることを承知しておりますけれども、逆にそういうことを、契約を締結することが必要ですということにしますと、これまた相当広い場面が想定されるのではないかと。例えば、安産にお子様が生まれるためにはこのお守りが必要ですというのは通常行われる。この祈禱が必要ですよとか、交通安全のためにはこの祈禱が必要ですよということを、いろいろなことを通常必要ですということは多くの場面で提示されることではありまして、そのような行為までが取消しになる。それは困惑するということは、当然要件として入りますけれども、そのような行為までをこの消費者契約法の中で取消しの事由にするかどうかというのは、やはり御議論があるところだというふうに思います。今申し上げた、当然そこに消費者が困惑するというのが入りますので、単に必要だということではありませんけれども、そこは御議論があるところだと思います。
我々、必要不可欠というところの範囲において、現行の条文から明確化したという理解で、今回の改正法案を出しているということでございます。 - 問 では、今度、寄附の方、新しく今、検討中の新法の方について聞くんですけれども、こちらについて、消費者庁の検討会の紀藤弁護士も、もっと旧統一教会の被害者にヒアリングするなど、被害者の意見をもっと聞くべきではないかという意見が出てるんですが、今回のその新法の制定において、法制検討室で、こういう旧統一教会の被害者にヒアリング等はされるんでしょうか。若しくは、されたんでしょうか。
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答
これからやる予定はございません。
- 問 過去にそういったことを、いわゆる被害者の声も受けた上で、しっかりその政策というものを実際にされてるんでしょうか。
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答
それは皆さんにずっと公表してまいりましたし、非公開という形で、実際にいろいろ案件の相談に乗られた弁護士の方から意見も我々、何回も聞いております。
その中で、弁護士の方、いろいろな、更に広い事例があるとおっしゃってることは承知しておりますけれども、その中で得た知見も参考に今改正法案を検討してるということでございます。 - 問 いわゆる消費者庁の検討会、霊感商法の検討会でそういった弁護士の先生の意見を聞くとか、そういったのがあったというのは、もちろん私も承知してるんですけれども、新法の制定の過程の中で、つまり検討会の報告書が一度出て、その後、新法を実際に作るってなった段階でもう一回そういう被害者の方にヒアリングというのはされてるのかというお話なんですけど、その辺りは如何ですか。
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答
それはしておりません。
- 問 実際にですね、昨日、霊感、旧統一教会の元二世信者の方々がですね、実際に新法に対する意見というものを述べられていまして、その中では、家族とかが返金を、返金とか契約の取消しができる範囲というのが非常に狭いと。生活費であったりとか実際に扶養の範囲内に収まっているということに対して、実際の被害と比べると、かなり寄附の取消しの額っていうのが少ないんじゃないかということについて、概要を参考にされてとおっしゃっているんですけれども、それでも被害者の意見というのを今後聞くということは考えないんですか。
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答
そういう御意見があるというのは、我々も報道などに接しておりますし、実際に文書なども頂いて、接しております。そういう中におきまして、今回のまだ法律の提出をしておりませんけれども、やはり、第三者の権利、持っている権利と、それから御本人が今、例えば、信者でおられる御本人が持っている財産権というのもございます。そこの中で、今回ぎりぎりの今判断をしていると。そういうことによりまして、債権者代位の制度の拡充というのを提案して考えているということでございます。
- 問 これが最後の1問なんですが、この寄附新法についてはですね、対象範囲が宗教法人だけではなくて、いわゆる寄附を集める団体全体に及んでるというのが概要を見ると分かるんですけども、政府案では、個人から法人への寄附となっているので。実際にこれに対してですね、NPO団体などでは、寄附の一律規制に対して懸念を示すような声というのが出ていて、もっと霊感商法の話だけではなくて、NPO法人へのヒアリングもやってほしいという意見が出てるんですが、これに対しては、長官はどのように思いますか。
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答
私たちもNPO法人からの要請を受け取っておりますし、実際にいろんな方々からのお話も聞いております。
- 問 それは実際にヒアリングをしたということになるんでしょうか。
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答
ヒアリングというか、お話とか、要望の内容は承知をしているということでございます。
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問
共同通信の池上です。
今のNPO法人などのところでちょっと関連してお伺いしたいんですけれども、そうすると、NPO法人など、宗教法人以外の団体について、余り今回、実態とかどういった寄附の被害があったり、そういうものがそもそもあるのかどうかですとか、そういうところについて、余り調査できないまま規制がかけられてしまうということになるのかなと懸念をしておりまして、そういった、この今ちょっと急ぎになってると思うんですが、そういった立法過程というか、そういうところについては、特に問題はないとお考えでしょうか。 -
答
そこは問題ないと思います。いろいろな事実を考えながら、それから検討室の中のいろいろな方が来ていただきながら私たちは検討しておりますので、その点につきまして、御理解を得るための努力というのはしていかなければいけないと思いますけれども、いろいろな団体の方々の過度な規制にはならないという点には十分配慮しながら、法案を今検討しているということでございます。
- 問 今後、そうすると、どういった理解を得るための努力というのをされていくというお考えでしょうか。
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答
まずはまだ法案が固まっておりませんので、法案を固めるというのが大事でございますし、当然ながら、法案を固めた段階では、いろいろな方々への説明や、理解を得る努力をしていくということでございます。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
別件で申し訳ないですが、先ほどの積極発言のときに国民生活センターの理事長の公募についておっしゃいました。今の理事長は、たしか10月1日で就任されてるわけですけれども、この任期がまずいつまでなのかということです。これが一つ。
もう一つが、何週間か前に発言されました、説明されました、徳島の新未来ビジョン・フォーラムのことなのですけれども、これはシンクタンクを募集されていて、新しいモデルプロジェクト、この進捗状況をちょっとお聞きしたいと思います。この2点お願いします。 -
答
現在の山田理事長は、前任者の残任期間というのがございましたので、令和2年10月就任ということになっておりますが、今の任期は令和5年の3月31日までということでございます。
これ、任期は5年ということになっておりますので、次の方の任期は令和5年4月1日から令和10年の3月31日までということになります。
それから、新未来フォーラムでございます。是非多くのシンクタンクということで、働きかけをしておりますので、また進捗状況はだいぶ数がでてきたところで御報告させていただきたいと思います。