新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年10月20日(木) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
まず冒頭、私から1点御発言をさせていただきたいと思います。
10月4日に東京地裁におきまして、平成27年度機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書に係る情報公開請求訴訟について、一部不開示とした決定を一部取り消し、当該部分の開示を命じる判決が下されたところであります。
本判決におきましては、当庁による一部不開示決定の大部分が支持をされました。一方で、開示すべき情報とされたものは、食品ごとの分析方法の評価結果、評価結果に対応する食品の製品名と機能性関与成分ということであります。
今回の判決では、本件検証事業において指摘された問題点は、事後的に補正されており、おおむね問題がない旨確認されていること、事業者は事前の許認可を要さずに機能性表示ができる利益と引換えに一定の情報を開示する必要があるのが機能性表示食品の制度趣旨であることを踏まえますと、本判決で開示すべきとされた検証結果の情報を開示されないという事業者の利益の要保護性は低いというふうにされております。
なお、本件検証事業で指摘のあった製品につきましては、いずれも届出事業者が当該指摘に即して届出内容を改善済みであることを確認し、既に公表しております。
こうしたことから、消費者庁としては本判決の趣旨を真摯に受け止め、関係行政機関とも協議の上、控訴しないことといたしました。
なお、今般の判決内容の趣旨を踏まえまして、今年度実施予定の検証事業から、単に評価結果を公にするのではなく、対象製品名及び機能性関与成分、当該評価結果を踏まえた届出事業者の対応も含めて公にし、機能性関与成分の分析方法の検証に関し、より透明性の高い運用を図る方向で検討してまいりたいというふうに考えています。
質疑応答
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問
フリーの木村です。
今の冒頭発言についてなんですけれども、17日付けで原告側は控訴したことが分かりました。それについてコメントを下さい。 -
答
現時点におきましては、控訴状の送達を受けていないため、原告側の控訴の有無については回答を差し控えたいと思います。
- 問 あともう1点だけなんですが、先ほどの長官のお話だと、今後透明性の高い報告の仕方をするということなんですけれども、そうなると一つ懸念されるのは、違反があったかどうかというような機微な調査になったときに、それも公表するのか、それともそういう調査がしにくくなるのかという点について、どのような考え方なのかというのを教えてください。
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答
調査がしにくくなるという意味ではなくて、この検証事業については引き続きしっかり行っていくということと、より信頼性を高めるためにということで、今評価結果だけを公にするのではなくて、製品名とそれから機能性関与成分、当該評価結果を踏まえた事業者の届出ということで、事業者がどういう対応をして改善したのかということも含めて、それが確認される中で公表するということで、これは事業者にとっても、使っていただく消費者にとっても、より透明性の高い制度運営になるというふうに感じています。
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問
日本経済新聞の渡邊です。
霊感商法に関してなんですけれども、今日国会の審議の中で、総理から地域の見守りを通じて霊感商法、主に高齢者の方だと思うんですけれども、対策をするという発言がありました。これについて、具体的な施策などを含む、お話しいただけるものがあればお教えください。 -
答
この地域の見守りにつきましては、検討会の報告の中でも委員から提起をされておりました。やはり今回の問題が、献金とともに、家族の方々がいろんな形で被害を受けられている状況、そういうものにつきましては、やはり地域全体で見守っていくというものが必要だろうということで、実は、消費者庁はそれ以前から、見守りネットワークということで福祉関係の方々が作っている、孤独・孤立の中で作っている児童相談所でありますとか、福祉協議会でありますとか、そういうものの中にやはり高齢者、だまされやすい高齢者の注意喚起も一緒にやっていくというネットワークを作っております。
現在1,600余の市町村の中で、後で確認をいたしますが、たしか400ぐらいの市町村で作っていただいています。特に先進的な徳島県におきまして、ほぼ全市町村で作っていただくということで、そういう中で、何か起きたときに皆さんが気付いて、それぞれやはり手を差し伸べられる枠組みというのを作っていくのが必要だという提言もございまして、この点につきましても、今回の霊感に限らず、しっかりとフォローアップするような体制というのを更に高めていきたいというふうに考えています。 - 問 すみません、追加で、これはその400ある市町村を広げるという意味もあるのか、それとも、深めていくというのもあると思うんですけど、より具体的にありますでしょうか。
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答
両方あります。まずはそういうネットワークづくりを、市町村を増やすということもありますし、深めていくということで、この前、見守りネットワークのそれぞれ各地の取組の発表を聞いたんですけれども、官だけではなくて、例えば、毎日そのお宅に伺う宅配便の方とかいろいろなものを、端的に言うと牛乳配達の方とか、官民で連携しているという事例報告もありましたので、そういう意味では本当に、これは今回の霊感に限らず、児童相談もそうですし、高齢者の方々、寝たきりの方もそうですし、そういう形でのフォローアップというのを、これを機に、さらに他のいわゆる福祉部局ともしっかり連携をしていきたいというふうに思います。
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問
読売新聞の石井と申します。
霊感商法の検討会の総括というか、それについて教えていただきたいんですけれども、先週の会見ではほぼ無回答で、おおむね同意したということだけですね、長官はおっしゃっていまして、ただ、17日に第7回の議事録が公表されれば、これは議長一任で月曜日公表ですねというところまで話は進んでいたと。
これまでずっと公開でやってきて、最後だけもう非常にクローズした消費者庁の対応だったと思うんですけれども、17日に公表しても結局会見開くこともなく、それについての例えば座長が出て話をするとかですね、これまでの検討会とか、消費者委員会で提言出せば、必ずその説明の場というのはあったと思うんですけど、そういうのもなかなかなかったと。
今日の1枚ペラでも、結局17日の資料公表ということは資料配布としても書かれていないので、消費者庁としては結局、消費者庁としてはですね、これまでずっと消費者庁の検討会ということで公開してやってきて、最後だけ非公開になった。これはやっぱり政府の当日の流れとかも含めて、最終的に消費者庁の中だけの対応ではもう何も言えない状態になっていたんで余りしゃべらなかったのか。この辺ちょっと教えてください。 -
答
繰り返しになりますけれども、検討会につきましては、当初から設置要領の中で、座長、それから委員の同意を得たときは非公開にできるという規定がございました。10月13日だけが非公開というわけではなくて、中2回ほどの個別の事案につきましても非公開で御議論をしたということでございます。
10月13日につきましても、議事録で御確認いただけたと思いますけれども、座長の方から発言があって、委員の方々も皆さん同意をしたという形で非公開で運営されたというふうに考えておりまして、それにつきまして消費者庁としてコメントすることはございません。 - 問 非公開の理由というのは、これは委員の自由な議論を促すため、自由に議論できるためというのが今回の第7回の非公開理由だったと思うんですけど、最後の結論部分というのはそういう趣旨ではないので、少なくともスケジュール感とかですね、また17日に報告書を公表した後に、それを例えば消費者庁として説明する場というのを設けなかったのは、これはどうしてなんでしょうか。
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答
全ての審議会について、報告をしたときに、座長の会見を開いているかどうか、私の経験上、それを全てやっているわけではないというふうに考えております。
今回のものにつきますと、報告書を読んでいただければ分かるという意味で報告書を我々は作ったつもりでございまして、さらに何か皆様から要望があれば行うということかもしれませんけれども、報告書を読んでいただき、議事録と照らし合わせていただければ、私どもの意図は分かっていただけるというふうに思います。 -
問
議事録を読めば分かるということなので、最後の質問なんですけれども、今回の議事録、特にその法制化というところについては、いわゆる霊感商法については要件も狭いとか、いろんな問題点があるので、いわゆるマインドコントロール下に付け込まれたものについては取消権を広げようとかですね、期間を広げようと、こういう項目があって、次に、献金の問題については、なかなか契約かどうかに関わらず、献金全体について、その法制化、救済するような法制化を目指そうと、この二つ、二本立てだったと思うんですけれども、読めば分かるということですけど、一部の報道を見ると、消費者契約法で寄附と霊感商法について取り消せるよう明記するというふうな書きぶりしている社があったんですけど、読んでいてもどうしてもそうは思えないので、日経だったんですけど、この点いかがなんでしょうか。
つまり、正確に意図が伝わっているかという、そういう問題。読めば分かるというお話でしたけど、いまだに見比べてもちょっと腑に落ちないので、その辺はいかがなんでしょうか。最後の質問です。 -
答
検討会の報告書、確かに法律的にテクニカルな部分もあるということで、読んでなかなか理解されていないという点もあるのかもしれません。報告書自体が法律の改正案になるわけではありませんので、出来上がりとしては、当然法律の改正案という形になりますので、そこでまたしっかり皆さんに分かっていただく。法律の改正上どうなっているかということが重要なのではなくて、今後、被害者の救済のときに何ができるのかということが重要だと思っていますので、その点について分かりやすく説明していくというのは私たちの義務だと思っています。
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問
朝日新聞の小泉です。
霊感商法の関係で質問させてください。提言ができてですね、消費者庁としては今後、法制化に向けての準備を進めていくということになるとは思うんですけれども、その一方で政治の方では与野党で救済法案について協議をするというふうな話になっております。
今のところ、法案の形として出ているのは、立憲と維新が出している野党の法案なわけですけれども、その中では提言の中でですね、検討事項にとどまっている寄附のですね、上限規制だとか、又は家族などの第三者がですね、いわゆる財産の部分に関して取消しを求めたりとかできるというふうな仕組みが入っております。
この点、政治の方の協議の結果次第では法制化を求められる可能性もあるとは思うんですけれども、そこの御見解をお願いします。 -
答
この点につきましては、本日の国会で河野大臣が答弁されているとおりでございまして、私どもは法制化の準備をしっかりするということでございまして、臨時国会を含め提案する準備をしていきたいということ。それから国会では法案について協議会が設けられ、御議論されると伺っているので、そこと平仄を合わせてしっかり準備していきたいということになります。
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答
(事務局)すみません、ちょっとここで1点、先ほど御質問のあった見守りネットワークの数、確認しましたので。令和4年9月で405自治体です。失礼しました。
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問
時事通信の甲斐田です。
霊感商法の検討会の報告書を受けてですね、消費者庁の方では18日に法制検討室が立ち上げられたということなんですけれども、具体的にこちらで検討する内容としては、報告書の内容を踏まえた上での取消権の拡充であったりとか、寄附に関しては新法の制定などを想定して検討しているという認識でよろしいんでしょうか。 -
答
当然ながら報告書が出て、消費者庁のやるべきことということが、中でも最後に書かれておりますので、当然そのやるべきことを踏まえて法制化に移るということです。
- 問 18日の国会でですね、岸田首相が本国会での救済法案について言及されたということで、スケジュール感としては結構前倒しになったのかなというふうな印象があるんですけれども、実際に今国会に何とか間に合わせるということで対応は可能なんでしょうか。
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答
これも予算委員会の大臣答弁に戻りますけれども、この臨時国会を含め提案する準備をするということです。
- 問 臨時国会を含めということは、必ずしもその報告書の内容が全てこの臨時国会の中で検討された形として法改正であったりとか、つまりこの臨時国会で全ての法改正だったり、議論された法律の案というのが出されるわけではなくて、次の例えば通常国会などに延期される可能性というのもあるということなんでしょうか。
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答
それも私が今日言えるのは、この臨時国会を含め、提出する準備と、それから早急にやっていくということでございます。